小選挙区制?比例代表制?大選挙区制?選挙に行く前に知っておきたい基礎知識

政治・経済
本サイトはプロモーションが含まれています
スポンサーリンク

小選挙区とかってどういうことなの?

そんな疑問に答えます。

今回の記事は選挙シリーズ第4回目ということで、『選挙の方式』について説明していきます。

「選挙!」といっても、いくつかの方法があります。

  1. 『小選挙区制』
  2. 『中選挙区制』
  3. 『大選挙区制』
  4. 『比例代表制』

があり、漢字だけ見てもまぁ分かりません🤢

この記事ではそれらについて簡単にまとめていきます。

選挙シリーズの3回目は『衆議院と参議院の違いって何?選挙に行く前に知っておきたい基礎知識』という記事を書いたので、合わせて参考にしてみてください。

スポンサーリンク

選挙制度の特徴

まずはざっくり選挙制度を眺めてみましょう。詳細は後述します。中選挙区制は小選挙区制と大選挙区制の中間だと思ってください。

選挙制度仕組みメリットデメリット
小選挙区制1つの選挙区から1人を選出
  • 二大政党につながりやすい
  • 小さく選挙ができるので選挙費用が少なくて済む
  • 死票が多い
  • 少数政党は不利
大選挙区制1つの選挙区から2人以上を選出
  • 死票が少ない
  • 少数政党からも当選者が出やすくなる
  • 多くの少数政党からたくさん当選者が出ると、政治が安定しない(進まない)
  • 選曲が大きくなるので選挙費用がかかる
比例代表制政党ごとの得票数に応じて当選者が選出される
  • 死票が少ない
  • 少数政党からも当選者が出やすくなる
  • 多くの少数政党からたくさん当選者が出ると、政治が安定しない(進まない)

小選挙区制の特徴とは?

小選挙区制は一番シンプルで分かりやすいものです。小選挙区制では1区で1名が当選します。つまり、その区でもっとも得票数が高い人が当選します。

例えば、

 票数結果
A氏(自民党)70,000当選
B氏(公明党)50,000落選
C氏(共産党)30,000落選

こういう場合だと、70,000票取ったA氏(自民党)が当選するということです。

1:小選挙区制のメリット

小選挙区制のメリットとしては、人気の政党以外の当選が困難になるということです。つまり、二大政党制に繋がりやすいということです。

 

なぜ二大政党制に繋がりやすいかというと、自民党に入れたくないけど、自分の支持している政党が弱っちい場合、自民党に勝たせたくないので、自民党に対抗できそうな政党に入れようという心理が働きます。結果として自民党と、もう一つの党が二大政党になっていくのですね。

 

この前だと、今はなき民進党(民主党)がそれでした。

2:小選挙区制のデメリット

小選挙区制のデメリットは死票が多いということです。上の表の例でいうと、自民党が70,000票なのに対して、自民党以外の票が80,000票あります。

 

つまり、80,000人の方は自民党を支持していないということであり、これでは十分に民意が反映できてないんじゃね?ということなんですね。

3:小選挙区制のデメリット2

小選挙区制では政党内での新陳代謝が起こりにくくなります。というのも、一度当選した人は知名度もつくので、下手なことをしない限り次の選挙でも当選します。

 

その人が所属する政党としては当選しやすい人を応援するので、『一度当選した人は落選するまでそこの選挙区の候補者になる』わけです。そうなると、若くて力がある新人候補者はどうしたら良いのでしょうか?

  • 無所属で出馬する?→当選しないですよね

仕方がないので、他の有力政党の門を叩くことになります。今は採用されていませんが、中選挙区制度だと、1つの選挙区から複数の当選者が出るので、若い人が古い人を蹴落とすという新陳代謝が起きていました。

4:小選挙区制のデメリット3

小泉チルドレンという言葉を聞いたことがないでしょうか?

小泉さんといカリスマ性溢れる人が出てきたとき、自民党は活気にあふれました。そのせいで、本来なら政治家として選挙に出ても当選しないような人が、政党の人気によって当選してしまうことがあります

 

これが小選挙区の最大の問題と言われています

 

例えば、

  • 「小泉の息子、小泉進次郎が所属する自民党なら安心だろ。うちの小選挙区から出てる自民党員は全然知らないけど、自民党に入れよう」

なんてことが起こるわけです。

 

逆に、

  • 「あの政治家が不倫しただって?そんなやつが所属している政党がまともなわけない!次は他の党に入れよう!」

なんてこともあるわけです。小選挙区だとそれが大きく響いちゃうのです。

5:衆議院は小選挙区制を採用

衆議院の小選挙区制では、全国を300の小選挙区に分けて、そこから1人ずつの議員を選びます。(参議院では都道府県単位で、有権者の数に応じて当選人数は変わります。)

 

衆議院の定数は480人で、小選挙区制で300人が選ばれます。残りの180人はというと、比例代表制で選ばれます。比例代表制は、政党の名前を投票用紙に書いて投票し、政党ごとの得票数に応じて各政党に議席を分配する仕組みです。(後で詳しく書きます。)

 

衆議院の選挙制度は、小選挙区と比例代表制を同時に行うので、『小選挙区比例代表並立制』という長ったらしい名前で呼ばれています🤢こんなに長い名前・・・覚えるの無理ですよね笑

大選挙区制の特徴

大選挙区制も分かりやすいです。小選挙区制が1区1名が当選でしたが、大選挙区制は1区2名以上が当選します。例えば2名が当選するとします。

 票数結果
A氏(自民党)70,000当選
B氏(公明党)50,000当選
C氏(共産党)30,000落選

そうなると、A氏(自民党)とB氏(公明党)が当選し、C氏(共産党)が落選することになります。これもシンプルで分かりやすいですね。

1:大選挙区制のメリット

大選挙区制のメリットは、小選挙区制と比べて当選確率が上がるので小政党にもチャンスがあることです。つまり、『死票』が少なくなり、民意を十分に反映できるということですね。

2:大選挙区制のデメリット

小政党が当選するということは、政党が乱立するということでもあります・・・😱

そのため政局が不安定になりやすく、政治の安定感がなくなります。そうなると結果的に一番議員の多い、自民党のような強い政党だけが力を持つことになってしまうのですね。

 

他のデメリットとしては、大選挙区では同じ政党内で複数の立候補者が出ることになります。しかし、同じ政党とういうことは、政策や公約は同じということになります。

 

そうなると、複数の立候補者はそれぞれの違いを出すために、「私が当選したらここに道路を作ります!」などといったような利益誘導の選挙になってしまいやすいのです。

比例代表制の特徴

小選挙区制や大選挙区制と違って、分かりづらいのが『比例代表制』です。小選挙区や大選挙区が『候補者』に投票するのに対して、比例代表制では『政党』に投票することになります。そしてドント式に基づき、議席を比例配分します。これだけだと意味が分からないですよね😅

 

例えば、9人の当選者が出るブロックがあるとします。

政党名A党B党C党
票数100万票60万票20万票
1で割る1006020  
2で割る503010
3で割る33.3206.6
4で割る25155
当選者数432

各党の投票数を1,2,3と数字で割っていき数字の多い順で当選者数を決めていきます。これを「ドント式(整数割配分)」といいます。

 

当選した党には背景色(水色)をつけています。つまり、A党は4人、B党は3人、C党は2人ということが決まりました。

 

「その党からは出る候補者はどうやって決まるの?」ですが、衆議院は拘束(こうそく)名簿式、参議院は(非拘束名簿式)を採用しています。

  • 拘束名簿式:名簿順位の上から順に当選
  • 非拘束名簿式:名簿順位なし。政党名or個人名で投票。(政党名でも個人名でも、その政党への1票として扱われる。個人あて得票の多い者から当選)

とまぁ分かりにくいですが、比例代表制はこんな感じになっています。

1:比例代表制のメリット

比例代表制のメリットは、人数が少なく弱い政党でも議席を取ることができる点です。

2:比例代表制のデメリット

大選挙区と同様ですが、多くの政党から当選者が出るので政局が不安定になりがちです。

衆議院の選挙について

選挙制度を理解したということで、続いて衆議院の選挙について見ていきましょう。

1:衆議院の選挙は小選挙区制と比例代表制を組み合わせる

衆議院選挙は、小選挙区制と比例代表制を組み合わせた選挙が行われます。「小選挙区比例代表並立制」という難しい名前で呼ばれています😅

 

衆議院の定数は465人で、そのうち289人が小選挙区制で選ばれます。(全国を289の選挙区に分けて投票を行う)

衆議院選挙の比例代表制では、全国を11のブロックに分けて投票を行い、残りの176人を選びます。各政党はそれぞれ候補者に順位をつけた名簿を提出し、その名簿の順位が高い候補者から順に当選していきます。

 

衆議院選挙では、小選挙区に立候補している候補者も比例代表に立候補することができます。(この場合、比例代表の名簿には、複数の候補者が同じ順位に指定されることもあります。)

 

小選挙区で当選すればそのまま当選となり、落選した場合は比例代表制の順位で当選が決まるということですね。もし同じ順位の候補者が被った場合、小選挙区で惜の惜敗率(惜しい負け方)をした人が当選することになっています。小選挙区で落選したのに比例代表制で復活する(復活当選)のはダメだろ・・・という意見もあったりします。

2:衆議院の選挙はもともと中選挙区制だった

衆議院選挙はもともと中選挙区制で行われていました。中選挙区制ですと、1つの選挙区で3〜5名が当選します。そうなると、同じ政党の候補者たちが立候補することになり、同じ政党内で争わなければなりません。

 

同じ政党ですから、政策や公約に違いはありません。そのため「私が当選したらここに〇〇を作ります!」という地元への利益誘導の選挙が行われてしまいます😱

 

それでは政治が腐敗する・・・ということで、政党同士が1つの選挙区で戦いあう小選挙区制度が基本になりました。(各政党から立候補するのは1人だけ)

参議院の選挙について

続いて参議院の選挙です。

参議院の選挙も選挙区と比例代表制を組み合わせたものですが、衆議院選挙とは異なった部分があります。

1:選挙区は都道府県単位

有権者(選挙権を持つ人)の数に応じて当選者の数が2人、4人、6人、8人と、都道府県単位で決められています。ただ、参議院は3年で半数を改選するので、参議院選挙のたびに半分の1人、2人、3人、4人を選びます。(定数が1人のところは、結果的に小選挙区と同じということ)

 

選挙区からは計146名が選ばれます(3年で半数を改選するので、73名を参議院選挙のたびに選ぶ)

2:比例代表制は全国が1つの選挙区に

衆議院選挙では11の選挙区に分けましたが、参議院選挙では全国が1つの選挙区です。比例代表制で計100人が選ばれます(半数改選では50人)

おわりに

小選挙区なんかは感覚として覚えるのが簡単ですが、比例代表制って覚えづらいですよね😅

まぁ覚える必要があるのか?と言われると、ないような気がするんですけど、メリットとデメリットくらいはなんとなく分かっていただけたらと思います。

今回の記事も最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

*記事の内容を簡単に動画でまとめています↓↓↓

*選挙関連記事

コメント