【読書メモ:人類と気候の10万年史】福井県の水月湖がすごい!

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今年最後の一冊かな。 #読書 #人類と気候の10万年史 #中川毅

福山和寿さん(@fukuyama_kazutoshi)がシェアした投稿 –

中川毅さんの『人類と気候の10万年史』を読みました。
知的好奇心がMAXになる面白さの本でした。

ということで、いつものようにメモしていきます“φ(・ω・。*)カキカキ

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人類と気候の10万年史を読んで

内容紹介

アマゾンより内容を引用します。

人類は、たいへんな時代を生きてきた! 驚きの地球気候史
福井県にある風光明媚な三方五湖のひとつ、水月湖に堆積する「年縞」。何万年も前の出来事を年輪のように1年刻みで記録した地層で、現在、年代測定の世界標準となっている。その水月湖の年縞が明らかにしたのが、現代の温暖化を遥かにしのぐ「激変する気候」だった。
人類は誕生してから20万年、そのほとんどを現代とはまるで似ていない、気候激変の時代を生き延びてきたのだった。過去の精密な記録から気候変動のメカニズムに迫り、人類史のスケールで現代を見つめなおします。

どうやって数万年単位の昔を時代を調べるのか?
そこに焦点を当てた本になります。

『我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか』

ゴーギャンの言葉を思い出しますね〜。

地球の気温は上下し続けている

5億年の歴史を遡ると、地球は温暖期と寒冷期を繰り返しており、その温度は幅は10度くらいになります。(詳しい方法はわからないけど、岩石に含まれる酸素の同位体比から温度を予想できるようです。)

じゃあ、今は温暖期と寒冷期、どちらだと思いますか?

「地球温暖化って言われてるくらいだから、温暖期でしょ!」と思うかもしれませんが、ところがどっこい、寒冷期なのです(´・ω・)

今から一億年前は、今の地球よりもはるかに暖かくて、北極にも南極にも氷床が存在しなかったんですって!
「蒸し暑くて生活しづらそう・・・」と、私たち現代人は考えちゃいますが、実際はどうだったんでしょうね。

現在の感覚をそのまま当てはめるなら、それほどの蒸し暑さは快適とは言い難いかもしれない。だが当時、人類はまた地上に出現していない。古生物学的に見ると、当時はいわゆる恐竜時代である。すなわち、地球の歴史の中でも例がないほど豊かな生態系が成立していた。生態学は、多様性と生産性を基本的には「是」であると考える傾向を持っている。そのどちらの視点から考えても、当時はむしろ「いい」時代だったように思える。p29

暖かいってことは、バンバンに農作物も育ちますしね。
日本的な考えで言ったら、毎日がハワイって感じかもしれません。

暖かくて過ごしやすそうな気もしますね〜。(台風がやばいだろうけど笑)

ミランコビッチ理論

なぜ地球の温度は変化するのか?

太陽と地球の位置関係が絶えず変化し、地球に降り注ぐ太陽エネルギーも変化するからです。(これをミランコビッチ理論があります。)

しかしこの理論は万能ではありません。
地球の火山も影響しますし、太陽エネルギーも変化し一定ではないからです。

高温になりすぎることはないけど、低温になりすぎることはある

地球の歴史を見ると、北極や南極の氷がなくなるほど温暖になることはありますが、生物が死に絶えるほど、海が沸騰するほどに気温が高くなることはありません。
逆に、6億5000万年前は地球全土が凍る『スノーボール・アイス』と呼ばれる超低温の現象が起こることもあります。

地球が凍ると、雪や氷は白いため太陽のエネルギーを反射し、より地球に太陽エネルギーは当たらなくなり寒冷化が加速します。

そう考えると、寒冷期の今、地球温暖化の対策をするべきなのか・・・?

グリーンランドの分厚い氷を分析すると

グリーンランドはほとんど全域が厚い氷で覆われており、島の中央部ではその厚さが3キロメートルにも達します。
これを氷床というのですが、氷床の正体は押し固められた雪です。

つまり、“雪の層”ができており、この雪に混じっている微量の不純物などを分析すれば、その時代の環境を復元できるというわけです。
その結果、過去6万年の気候変動を調べることができました。(6万年前は私たち人類と同じ、ホモ・サピエンスが登場している)

その結果、1万年前ほど前は、基本的に安定して温暖な機構が続いていますが、氷期(2〜6万年前)は安定とは程遠く17回も急激な温暖化がありました。(氷期なのに気温が現代のようになったりすることもあった)

それまで海洋底の泥などを通して見えていた氷期は、一言で言えば単に寒い時代に過ぎなかった。グリーンランドの氷床の分析結果は、このような固定観念を完全に打ち壊して世界に衝撃を与えた。氷期は、現在よりもはるかにダイナミックな時代だったのである。p47

氷期の温暖化現象のことを、発見者の名前を取り『ダンスガード=オシュガー(D-O)イベント』と呼ぶそうです。
ちなみに、なぜD-Oイベントが起こったのか?については未知だそうです。

5万年前までを測る放射性炭素年代測定

5万年前までの時間を測る方法としてもっともポピュラーなものが、『放射性炭素年代測定』と呼ばれる手法になります。

自然界に存在する炭素の質量数は12〜14までの3種類の同位体があります。
このうち質量数14の炭素だけが放射能を持ち、時間とともに別の物質に変わっていきます。(質量数12と13の炭素はいつまでも変わらない)

つまり、質量数12と13の炭素と比べて、質量数14の炭素がどれくらい減少しているかを測ることで、その試料の年代を推定することができるというわけです。
しかし、5万年が経過すると質量数14の炭素の残存料はほぼゼロになってしまうので、5万年までしか放射性炭素年代測定は利用できないのです。

人類はなぜ農耕を始めたのか?

現在もっとも広く受け入れられている説によれば、人類史上はじめて農耕をおこなったのは、現在のシリアの内陸でナトゥーフと呼ばれる文化を担った人々だった。p185

ナトゥーフの遺跡であるアブ・フレイラから、人々が意図的に刈り取ったと思われるコムギの種子が見つかっており、それを証拠として人類最古の農耕としているらしいです。
それが1万2000年前ごろのことだそうです。

グリーンランドの氷分析によれば、氷期が終わったのは1万1650年前ごろのことです。
つまり、まだ氷期の頃に最初の農耕が始まったということなのです!

でも疑問が残ります。

  • なんで氷期の頃に始めたの?
  • なんで氷期が終わった後、世界各地で一斉に農耕が始まったの?
  • 氷期といえど、ナトゥーフより暖かい地域で先に農耕が始まっても良くない?

筆者はある仮説を立てています。
「農耕は始めることができたけど、あえてやらなかった」ということです。

なぜかというと、気候変動が激しいときは、今年は農作物が育っても、来年、再来年に育つかどうか分かりません。
だから人類は『農耕』より『狩猟採集』を選んだのです。

言い換えるなら、氷期を生き抜いた私たちの遠い祖先は、知恵が足りないせいで農耕を思いつけなかった哀れな原始人なのではなかった。彼らはそれが「賢明なことではない」からこそ、氷期が終わるまでは農業に手をつけなかったのだ。その一方で、アフリカを出てからわずか数万年の間に、世界のほぼ全ての気候帯にまで分布を拡大することができた彼らは、したたかで沈着で順応性に富み、さらに好奇心とバイタリティーまで併せ持った偉大な冒険者たちだった。p201

福井県の水月湖の年縞がやばい!

グリーンランドの氷床で過去の地球を予測できましたが、それ以上に素晴らしいものが見つかりました。
それが福井県にある水月湖です!

水月湖の特徴は次の通り。

  • 流れ込む川がない:湖の下にたまっている堆積物を削り取らない
  • 酸素がない:酸素があれば動物が住み着き、堆積物を荒らしてしまう。無酸素状態でも微生物なら住み着けるけど、堆積物をかき混ぜることはない
  • 大気の影響を受けない:水月湖は水深が34メートルもあるので、風などの大気の影響を受けない

その結果、誰にも荒らされることなく堆積物が積み重なっていったのです!(その堆積物がバーコード状の模様になっているのを『年縞(ねんこう)と言います。)

こうして水月湖の年縞は、過去5万年までを対象とする地質学の「世界標準時計」になった。p114

さらっと書きましたが、コレってすごいことなんですよ!!

過去を調べるのに『花粉』が適している理由

放射性炭素年代測定で質量数14の炭素を調べるとしても、それの“もと”がなければ意味がありません。
過去の生物について知るもっとも簡単な方法は『化石を調べること』です。

動物にしろ植物にしろ、化石を発見すれば調べることができます。
しかし・・・化石はそう簡単に見つからないのです(´・ω・)

この問題に画期的な解決をもたらしたのが、花粉分析と呼ばれる手法だった。p123

植物の『葉っぱ』ではなくて、『花粉』に注目します。
なぜ花粉なのか?それには理由があります。

  1. 花粉は大量に撒き散らされる
  2. 森から遠く離れた場所でも、風により拡散する
  3. 花粉の中身はオスの生殖細胞、つまり遺伝情報を担うDNA。その情報を無事に届けるための安全なカプセルこそが“花粉”。そのため、花粉の膜は頑丈!

水月湖の堆積物には“花粉の化石”がたくさん含まれているのです!
この花粉を調べることで、樹種が分かり、当時どんな植物が生えていたかが分かるそうです。

ちなみに筆者も、水月湖年縞の発見者である安田喜憲先生も、本来は年縞ではなく花粉分析の専門家である。

もっとも近年では、同位体分析などデータ生産効率の高い他の手法に押されて、存在感がやや薄れつつある。日本では、とくにこの傾向が顕著である気がする。花粉分析が最近やや不人気に見える理由のひとつは、花粉化石を1粒ずつ観察して何百粒、何千粒も数え上げていくプロセスがあまりにも地味で、時間もかかるということだろう。この点において、花粉分析は年縞の計算と通じるところがある。p125

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まとめ

この記事では『人類と気候の10万年史』についメモしてきました。

目からウロコな情報ばかりでしたし、何より日本の水月湖を知らなかったのが恥ずかしかったです(´・ω・)
まさか福井県の湖の年縞が『世界標準時計』となっているなんてね〜、驚きです。

  • 地球の気候の過去について
  • 地球の気候の未来について
  • 地球温暖化の予測について

これらに興味ある人は、ぜひとも手にとって読んでみてください(`・ω・´)”

今回の記事も最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

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