山口周さんの『ビジネスの未来 エコノミーにヒューマニティを取り戻す』を読んでいて、「あ、この本、学生のうちに読みたかったやつや」と思いましたので、感想を記事に残します。
まず一言。
「ビジネスで解決できる世の中の問題はほとんど残ってないけど、会社に入って何したいの?」
ビジネスで解決できる問題はほとんど解決してしまった
いま、不足しているモノ・サービスってあります?答えづらいですよね。これだけモノやサービスが溢れているんですから。
先人たちのおかげで、私たちの社会はもう困っていることがほとんどなくなりました。人類が長らく抱えてきた課題は、現代ではほぼ解消されています。
ですから本来であれば、私たちは人類が成し遂げたその偉大な成果を祝祭すべきなのです。「もう食べ物に困ることなんてない!無駄な労働なんてしなくていいんだー!1日3時間も働けば十分だね!ありがとう先人たち!」みたいな。
でも、それができていません。従来の考えに縛られたまま、
- もっと商品を作って売って、売り上げを増やそう!
- 新規事業を立ち上げよう!
と、身を粉にして働き続けているわけです。
なぜそんなに働くの?モノを作るの?もう食べ物にも困ってないじゃん。それに無駄にモノを作ったって廃棄が多くなるだけだし、そんなの環境にも悪いじゃん。
誰もが一度は考えたことがある、「なんのために働くの?」「その仕事、やる意味ないのでは?」というのは「まさにその通り」だったりします。
資本主義が解決できる問題は、利益が出る問題だけ
では、すべての問題が解決したのかというと、そんなことありません。
- 子どもの貧困問題
など、大きな問題は残っています。解決の目処だってありません。では名だたる大企業がこの問題について全力を出しているかというと、そんなことありません。こういう貧困問題系は未解決のままです。
なぜか?それは儲からないからです。貧困の人たちを助けたって、お礼にお金がもらえるわけではありませんから。
つまり、資本主義におけるビジネスの課題解決とは『利益が出るものだけ』に限定されているのです。「社会の問題を解決する!」と謳う企業は多くありますが、解決する社会問題は利益が出るものだけなのです。そりゃ当然ですよね。利益が出ないと従業員を雇えませんから。
というわけで、『利益がたっぷりと出そうなおいしい問題』から解決されていきました。そして次々と利益が出る問題は解決されていき、いまではそのような問題がほとんどなくなりました。
儲からないけど解決すべき問題はたくさん残っている
でも逆に言えば、『儲からない/なんならマイナスになる』ような問題はたくさん残っています。山口周さんの言葉を借りるなら、経済合理性限界曲線の外側の問題が残っています。(先にあげた貧困問題とか)
そしてそれらの問題は、『儲かるからやる!』というような人では解決できない問題です。「儲からないけどやる!やるしかないんや!」という衝動を持った人たちだけが解決できる問題なのです。
だから、そういう人たちをどうやって支援していくか?が、これからの時代には鍵になってきます。
「大学出て、社会貢献したいんや!」という強い気持ちがある方は、このような『儲からないけど解決しなければならない問題に取り組む/基盤を作る』のがいいかもですー。
なんにせよ、私たちは新しい価値観をつくらなければなりません。ってことで、オススメの一冊です。参考までに。それでは!
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