損保ジャパンの「介護への配置転換」が暴いた、日本社会の残酷な真実

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2019年6月のある日、Twitterのタイムラインが騒然となりました。

「損保ジャパンが4000人削減、余った従業員は介護事業に配置転換」

この一報を見て、あなたは何を感じたでしょうか。「ついに大手企業も…」という驚き?それとも、どこか他人事のような安堵感?

私がこのニュースで最も衝撃を受けたのは、実はニュースの内容そのものではありませんでした。それは、この報道がほとんど炎上しなかったという事実です。

なぜ炎上しなかったのか。

その理由を考えていくと、私たちの社会が抱える深い闇が見えてきます。


2019年6月24日、何が報じられたのか

衝撃のニュース

まず、当時のニュースを振り返りましょう。

2019年6月24日、複数のメディアが一斉に報じた内容は以下の通りです。

  • 損害保険ジャパン日本興亜(現・損保ジャパン)が、2020年度末までに国内損保事業の従業員を4000人削減
  • IT活用(RPA等)による業務効率化が理由
  • 全従業員約26,000人の約15%に相当
  • 余った従業員は介護などを手掛けるグループ企業に配置転換
  • 希望退職者の募集は予定していない
  • 人件費など年約100億円圧縮できる見通し

この報道を見た瞬間、多くの人がこう思ったはずです。

「追い出し部屋の進化版じゃないか」

しかし、会社側は否定した

ところが、です。

損保ジャパン側は、この報道内容について明確に否定しています。

会社側の説明:

  • 4000人削減の大半は定年退職などの自然減である
  • リストラではなく、希望退職の募集もしていない
  • 介護事業への配置転換は計画していない
  • デジタルテクノロジー関連の新事業などに要員を配置予定
  • 2015年に介護事業へ本格参入し、介護事業の内部管理部門に要員を配置したことから誤解が生じた

つまり、「介護への配置転換」という報道と、会社側の説明には大きな乖離があったのです。

真相がどうであれ、この報道は私たちに重要な問いを突きつけました。

「もし本当に介護への配置転換だったとして、それは批判できるのか?」


なぜ、この報道は炎上しなかったのか

「追い出し部屋」なら大炎上していたはず

少し前まで、企業が行っていた「追い出し部屋」は社会問題として大きく取り上げられていました。

追い出し部屋の実態:

  • 窓際に机を並べ、何もさせない
  • 意味のない単純作業を延々とやらせる
  • 草むしりや倉庫整理など、本来の業務とかけ離れた仕事
  • 退職を促すためのハラスメント

これらは明らかに非人道的であり、企業イメージを大きく損なうものでした。SNS時代、こうした行為が発覚すれば大炎上は必至です。

しかし、「介護への配置転換」は炎上しませんでした。

なぜか。

介護職は「批判できない仕事」だから

評論家の御田寺圭氏は、この問題について鋭い指摘をしています。

介護職への配置転換が批判されない理由:

  1. 介護は社会的に必要不可欠な仕事である
    • 高齢化社会で最も求められている
    • 誰もが「介護は大切な仕事だ」と認識している
    • 介護職を批判することは社会的に許されない
  2. 多くの人が介護職を避けたいと思っている
    • きつい、給料が安い、というイメージ
    • 高学歴な人ほど「自分には関係ない」と考えている
    • 実際には、やりたくない仕事の上位にランクされる
  3. この矛盾を企業が利用している
    • 「社会的に意義のある仕事への異動」という建前
    • 実際は退職を促す手段として機能
    • 批判されにくい完璧な仕組み

つまり、「介護は大切な仕事」という建前と、「でもやりたくない」という本音の間にある矛盾を、巧みに利用したのです。

これは恐ろしいほど計算された手法でした。

もし誰かが「介護への配置転換はおかしい」と批判すれば、すぐにこう反論されます。

「介護は社会に必要な仕事ですよ?それを否定するんですか?」

批判する側は二の句が継げません。

私たちが直視すべき真実

この出来事が暴いたのは、日本社会が介護職に対して持つ差別的な価値観でした。

口では「介護は大切な仕事」と言いながら、心の中では「絶対にやりたくない仕事」と思っている。

この矛盾が、「配置転換」を「罰」として機能させているのです。

もし介護職が本当に尊敬され、適正に評価されている仕事なら、配置転換は罰になりません。むしろ「チャンス」として受け取られるはずです。

でも、そうはならなかった。

私たちは、自分たちの心の中にある差別に、向き合う必要があります。


追い出し部屋の新時代

かつての「追い出し部屋」

日本の雇用制度では、正社員を解雇することは非常に困難です。

解雇の4要件(労働契約法第16条):

  1. 人員削減の必要性
  2. 解雇回避努力義務の履行
  3. 被解雇者選定の合理性
  4. 手続の妥当性

これらすべてを満たさない限り、解雇は無効とされます。

そのため、企業は様々な方法で社員に自主退職を促してきました。

従来の手法:

  • 追い出し部屋(窓際族、何もさせない)
  • 過酷な配置転換(地方の僻地、希望しない部署)
  • 退職勧奨の面談を繰り返す
  • 早期退職優遇制度(割増退職金の支給)

中でも「追い出し部屋」は非人道的だとして批判されてきました。

実際にあった追い出し部屋の例:

  • 大手電機メーカー:一日中、新聞の切り抜きをさせる
  • 金融機関:倉庫整理や草むしりを延々とやらせる
  • 通信会社:電話もPCもない部屋で待機させる

これらは明らかにハラスメントであり、訴訟に発展するケースも多々ありました。

「介護への配置転換」という新手法

そこで登場したのが、「社会的に意義のある仕事への配置転換」という手法です。

この手法の巧妙な点:

  1. 法的に完全に適法
    • 配置転換は企業の人事権の範囲内
    • 介護は正当な事業である
    • ハラスメントとは言えない
  2. 社会的に批判されにくい
    • 「介護は大切な仕事」という建前がある
    • 反対すると差別者扱いされる
    • マスコミも取り上げにくい
  3. 実質的に退職を促せる
    • 高学歴、高給の人ほど受け入れがたい
    • プライドが傷つく
    • 給与が大幅に下がる可能性
    • 自主退職につながる

従来の「追い出し部屋」が批判されて使えなくなった今、企業は新しい手法を見つけたのです。


なぜ配置転換が「罰」として機能するのか

給与格差の現実

ここで、冷静に数字を見てみましょう。

2024年時点の給与比較:

職種平均月給平均年収
介護職(常勤)33.8万円約406万円
全産業平均約38.3万円約460万円
金融・保険業約50万円約600万円
差額(金融→介護)-16.2万円-194万円

損保ジャパンのような大手金融機関の社員の平均年収は約600万円です。

もし介護職に配置転換されれば、年収が200万円近く下がる可能性があります。

40歳の社員の場合:

  • 配置転換前:年収600万円
  • 配置転換後:年収400万円(推定)
  • 年間損失:200万円
  • 定年(65歳)までの総損失:5,000万円

これは単なる配置転換ではなく、実質的な「減給」です。

住宅ローンを抱え、子どもの教育費を考えれば、多くの人が退職を選ぶでしょう。

プライドの問題

しかし、問題は金銭だけではありません。

高学歴・高プライドの人が直面する現実:

ある40代の元金融マン(仮にAさんとします)の心の声を想像してみてください。


「有名大学を卒業し、難関の就職試験を突破して大手金融機関に入社した。20年近くキャリアを積み、それなりのポジションにもついた。

それが、介護職?

自分の親の介護でさえ、正直なところ、できれば避けたいと思っていたのに。他人のお年寄りのおむつを替える?食事の介助をする?

いや、介護は立派な仕事だと理解している。頭では分かっている。でも…

同期の連中は本社で活躍している。後輩が出世していく。一方、自分は…

妻や子どもに何と説明すればいいんだ。友人との集まりで、『今、何してるの?』と聞かれたら…」


これがリアルです。

本人は決して介護職を見下しているわけではないかもしれません。でも、社会の目、周囲の目、そして何より自分自身のプライドが許さない。

この心理を企業は正確に理解しています。

だからこそ、配置転換が「罰」として機能するのです。


介護職の本当の価値

数字で見る介護の重要性

ここで、一度立ち止まって考えてみましょう。

本当に介護職は「罰」に値する仕事なのでしょうか?

データを見てみます。

日本の高齢化の現状(2026年):

  • 65歳以上人口:約3,600万人(総人口の29%)
  • 75歳以上人口:約2,000万人(総人口の16%)
  • 要介護認定者数:約700万人
  • 2040年には要介護認定者数が約1,000万人に

介護職員の需給:

  • 2022年度:約215万人(現状)
  • 2026年度:約240万人必要(不足約25万人)
  • 2040年度:約272万人必要(不足約57万人)

つまり、介護職は日本社会が最も必要としている職種なのです。

給与は本当に安いのか

「介護職は給料が安い」というイメージがあります。

しかし、近年、状況は大きく変わってきています。

介護職の給与推移:

  • 2009年:平均月給25.0万円
  • 2019年:平均月給30.0万円(+5.0万円)
  • 2024年:平均月給33.8万円(+8.8万円)

15年間で約35%上昇しています。

今後の処遇改善予定:

  • 2024年度:処遇改善加算により平均2.5%のベースアップ実施
  • 2025年度:さらに2.0%の賃上げを目標
  • 2025年12月〜2026年5月:補正予算により月額最大1.9万円の賃上げ
  • 2026年6月:介護報酬の臨時改定が予定

政府も本腰を入れています。

2025年度補正予算:

  • 介護職員の処遇改善に1,920億円を計上
  • 介護職は月額最大1.9万円の賃上げ
  • 他職種(看護師、リハビリ職など)は月額1.0万円

確かに全産業平均と比べれば、まだ年収で約50万円の差があります。

しかし、処遇改善は確実に進んでおり、10年後には差がかなり縮まっている可能性があります。

介護職に必要なスキル

「誰にでもできる仕事」

これは介護職に対する最大の誤解です。

介護職に本当に必要なスキル:

  1. 専門知識
    • 高齢者の身体的・心理的特性の理解
    • 疾病や障害に関する知識
    • 介護技術(移乗、食事、排泄、入浴など)
    • 医療的ケアの知識
  2. コミュニケーション能力
    • 認知症の方との対話
    • ご家族との連携
    • 多職種との協働
    • 信頼関係の構築
  3. 身体的能力
    • 体力(重労働である)
    • 正確な技術(安全な介助)
  4. 精神的強さ
    • ストレス耐性
    • 感情のコントロール
    • 死と向き合う覚悟
  5. 倫理観
    • 人間の尊厳を守る
    • プライバシーの保護
    • 虐待の防止

これらを見れば分かる通り、介護職は高度な専門職です。

「誰にでもできる」どころか、向いていない人がやれば、利用者にとって危険です。


ブルシット・ジョブという視点

本当に価値のある仕事とは

ここで、少し視点を変えてみましょう。

人類学者デヴィッド・グレーバーが提唱した「ブルシット・ジョブ(Bullshit Jobs)」という概念があります。

ブルシット・ジョブとは:

「完璧に無意味で、不必要で、有害でもある有償の雇用形態。当の本人でさえ、その存在を正当化しがたいと感じているような仕事」

グレーバーは著書の中で、衝撃的なデータを示しています。

自分の仕事を無意味だと感じている人の割合:

  • イギリス:37%
  • オランダ:40%
  • 日本:職場満足度調査で34カ国中最下位(2019年)

つまり、先進国では約4割の人が「自分の仕事は社会に意味がない」と感じているのです。

ブルシット・ジョブの5つのタイプ

グレーバーは、ブルシット・ジョブを5つに分類しています。

1. 取り巻き(Flunkies)

  • 上司や組織を立派に見せるためだけに存在する仕事
  • 例:受付係、秘書、ドアマン(本当に必要のない場合)

2. 脅し屋(Goons)

  • 攻撃的・欺瞞的な要素を持つ仕事
  • 例:ロビイスト、テレマーケター、企業弁護士(一部)

3. 尻ぬぐい(Duct Tapers)

  • 本来あるべきでない欠陥を取り繕う仕事
  • 例:プログラマー(バグだらけのシステムの修正ばかり)

4. 書類穴埋め人(Box Tickers)

  • 組織が実際にはやっていないことをやっているように見せかける仕事
  • 例:コンプライアンス担当(形だけ)、調査担当(使われない報告書作成)

5. タスクマスター(Taskmasters)

  • 不要な仕事を他人に割り当てる仕事
  • 例:中間管理職(不要な会議や報告を要求する)

逆説:本当に必要な仕事ほど給料が安い

グレーバーは、重要な指摘をしています。

「社会的に本当に有用な仕事ほど、給料が低い傾向にある」

エッセンシャルワーク(本当に必要な仕事):

  • 介護職
  • 看護師
  • 保育士
  • 教師
  • 清掃員
  • 農業従事者
  • トラック運転手

これらの仕事は、社会の基盤を支えています。

もし明日、これらの職業の人が全員いなくなったら、社会は即座に崩壊します。

一方、高給取りの仕事の多くは:

給料は高いが、なくても困らない仕事:

  • 一部の金融商品開発者
  • 企業コンサルタント(効果が疑わしいもの)
  • 広告代理店の一部業務
  • 過剰な管理職

もしこれらの仕事がなくなっても、社会は回ります。場合によっては、むしろ良くなる可能性すらあります。

なぜこんな逆転現象が起きるのか

理由1:市場原理の歪み

  • 介護報酬は国が決める(市場原理が働かない)
  • 金融やコンサルは高額な報酬を設定できる

理由2:代替可能性の誤認

  • 「誰にでもできる」と誤解されている仕事は安い
  • 実際には高度なスキルが必要でも評価されない

理由3:生産性の測定方法

  • 金融は「お金を動かして利益を生む」と測定しやすい
  • 介護は「人の尊厳を守る」ことの価値を測定できない

理由4:資本主義の本質

  • 資本主義は「儲かるか」で価値を測る
  • 社会的貢献度とは無関係

損保ジャパン事例の本質

ここまで見てくれば、損保ジャパンの事例の本質が見えてきます。

ブルシット・ジョブの従事者が、エッセンシャルワークに配置転換される

これは、ある意味で正しい方向性かもしれません。

RPA(ロボット)で代替できる仕事は、本当に人間がやる必要があったのでしょうか?

もしその仕事が消えても社会に影響がないなら、それはブルシット・ジョブだった可能性があります。

一方、介護は絶対になくせない、人間にしかできない仕事です。

問題は、その価値が正当に評価されていないこと。

そして、私たち自身がその価値を認めていないこと。


IT化・AI化が変える雇用の未来

消えゆく仕事、残る仕事

損保ジャパンの事例は、これから起こる大きな変化の前兆です。

IT化・AI化で代替される仕事:

  • データ入力
  • 定型的な事務処理
  • 簡単な審査業務
  • カスタマーサポート(一部)
  • 経理・会計業務(一部)

代替されにくい仕事:

  • 人間との深い関わりが必要な仕事(介護、看護、教育)
  • 創造性が求められる仕事(芸術、デザイン、研究)
  • 複雑な判断が必要な仕事(経営、医療、法律)
  • 肉体労働(意外と自動化が難しい)

オックスフォード大学の研究(2013年):

  • 今後10〜20年で、米国の雇用の47%が自動化のリスクにさらされる
  • ホワイトカラーの事務職の多くが消える可能性

大手企業・公務員も安泰ではない

「大企業に入れば安心」「公務員なら一生安泰」

この考えは、もはや通用しません。

大手企業の早期退職募集(2019年以降):

  • みずほフィナンシャルグループ:1万9,000人削減
  • 三菱UFJフィナンシャル・グループ:6,000人削減
  • 日産自動車:1万2,500人削減
  • 富士通:約5,000人削減
  • NEC:約3,000人削減

公務員も例外ではありません。

公務員の配置転換リスク:

  • 人口減少で税収減
  • 高齢者増加で福祉部門の強化が必要
  • AIによる業務効率化
  • → 余剰人員を福祉・介護部門に配置する可能性

実際、地方自治体では:

  • 直営の介護施設の職員配置
  • 地域包括支援センターへの異動
  • 福祉事務所の増員

といった動きがすでに始まっています。

大企業の希望退職をまとめてみた【大企業も公務員も一生安泰とは言えないよね】


私たちはどう生きるべきか

会社依存からの脱却

損保ジャパンの事例が教えてくれるのは、**「会社に依存する生き方のリスク」**です。

今、あなたができること:

1. ポータブルスキルを身につける

  • 会社固有ではなく、どこでも通用するスキル
  • コミュニケーション能力
  • 問題解決能力
  • プロジェクトマネジメント
  • データ分析
  • デジタルリテラシー

2. 複数の収入源を持つ

  • 副業・複業の検討
  • スキルシェア(専門知識を活かす)
  • 投資による資産形成
  • 「会社の給料だけ」に依存しない

3. 継続的な学習

  • 変化に対応できる柔軟性
  • 新しい技術やトレンドへの感度
  • 資格取得、スキルアップ

4. 自分の市場価値を把握する

  • 定期的な転職活動(実際に転職しなくても)
  • 自分のスキルが市場でどう評価されるか知る
  • LinkedIn等でネットワーク構築

介護職を見直す

もし、あなたが配置転換を打診されたら。

否定的に捉える前に、こう考えてみてはどうでしょうか:

「金融商品を売る仕事と、人の尊厳を守る仕事。本当に価値があるのはどちらだろう?」

「RPAに代替される仕事と、人間にしかできない仕事。10年後も必要とされるのはどちらだろう?」

「年収600万円で無意味な会議を繰り返す人生と、年収400万円で誰かに感謝される人生。どちらが幸せだろう?」

答えは人それぞれです。

でも、少なくとも、給与の高さだけで判断するのは間違っていると、私は思います。

金融スキルは介護業界でも活きる

実は、金融機関で培ったスキルは、介護業界でも十分に活かせます。

活かせるスキルの例:

1. マネジメントスキル

  • 介護施設の運営管理
  • スタッフの労務管理
  • シフト管理、予算管理

2. 数字に強い

  • 介護報酬の計算
  • 経営分析
  • 収支管理

3. コンプライアンス知識

  • 法令遵守体制の構築
  • リスク管理
  • 監査対応

4. 顧客対応スキル

  • 利用者・家族とのコミュニケーション
  • クレーム対応
  • 信頼関係の構築

介護業界は今、マネジメント人材が不足しています。

現場の介護職員は豊富にいても、経営や管理ができる人材が圧倒的に足りないのです。

つまり、金融機関出身者にとって、実はチャンスかもしれないのです。


社会は変わらなければならない

介護職の処遇改善は始まっている

政府も、介護職の処遇改善に本腰を入れています。

最近の動き:

2024年度:

  • 処遇改善加算により平均2.5%のベースアップ
  • 月額約8,000円の賃上げ

2025年度:

  • さらに2.0%の賃上げ目標
  • 補正予算で1,920億円を計上
  • 2025年12月〜2026年5月の半年間、月額最大1.9万円を支給
  • 介護職:月額1.9万円
  • 他職種:月額1.0万円

2026年6月:

  • 介護報酬の臨時改定予定
  • 恒久的な賃上げを実現

年収で計算すると:

  • 2024年:約406万円
  • 2026年(予定):約430万円
  • 増加額:約24万円(2年間で約6%アップ)

この流れが続けば、10年後には全産業平均に近づく可能性があります。

ブルシット・ジョブを減らす

同時に、社会全体でブルシット・ジョブを減らす努力も必要です。

具体的な取り組み:

1. 不要な会議の削減

  • 目的不明な会議をなくす
  • オンライン化で効率化
  • 参加人数の最適化

2. 形だけのコンプライアンス業務の見直し

  • 本当に必要な書類だけに絞る
  • デジタル化で効率化
  • 実効性のあるチェック体制

3. 過剰な管理職の削減

  • フラットな組織への移行
  • 実働部隊を増やす
  • 意思決定の迅速化

4. 生産性の低い業務の自動化

  • RPA、AIの活用
  • 人間は人間にしかできない仕事に集中

これにより、本当に価値のある仕事に人材を配置できます。

サラリーマンで最強な能力とは?【ブルシット・ジョブ耐性がある人】

価値観のアップデート

最も重要なのは、私たち一人ひとりの価値観を変えることです。

変えるべき価値観:

❌ 「給料が高い=価値のある仕事」 ✅ 「社会に必要とされる=価値のある仕事」

❌ 「介護職は誰にでもできる」 ✅ 「介護職は専門性の高い仕事」

❌ 「ホワイトカラーの方が上」 ✅ 「どの仕事も対等に尊重されるべき」

❌ 「大企業・公務員=安定」 ✅ 「変化に対応できる能力=安定」

これは簡単なことではありません。

でも、損保ジャパンの事例が「炎上しなかった」という事実が示すように、私たちの価値観は確実に歪んでいます。

その歪みに気づき、少しずつでも変えていく。

それが、持続可能な社会を作る第一歩です。


おわりに:本当の問題は何だったのか

損保ジャパンの「介護への配置転換」報道から5年以上が経ちました。

結局、大規模な配置転換は行われませんでした。報道と実態には乖離がありました。

でも、この出来事が私たちに突きつけた問いは、今でも重要です。

この報道が暴いたもの:

  1. 日本社会の介護職への差別的な価値観
    • 口では「大切な仕事」と言いながら、心では避けたいと思っている
  2. 終身雇用の崩壊
    • 大企業でも安泰ではない時代の到来
  3. IT化・AI化による雇用への影響
    • ホワイトカラーの仕事が消えていく
  4. ブルシット・ジョブの存在
    • 高給でも無意味な仕事がある
    • 低賃金でも本当に必要な仕事がある
  5. 給与と社会的価値の不一致
    • 資本主義の矛盾

そして最も重要なこと:

私たちは、「どんな仕事に価値があるのか」を、もう一度考え直す必要がある。

介護職が「罰」として機能する社会は、明らかに歪んでいます。

人の最期に寄り添い、尊厳を守る仕事。 誰もが最後にはお世話になる仕事。 これからの超高齢社会で最も必要とされる仕事。

そんな仕事を「やりたくない」と感じてしまう社会。

でも、変えられます。

まずは、私たち一人ひとりが、自分の中にある偏見に気づくこと。

「もし自分が配置転換されたら…」と想像してみてください。

最初は抵抗を感じるかもしれません。

でも、本当に悪いことでしょうか?

RPAに代替される事務作業を続けるより、人間にしかできない仕事に就く。

高給でも無意味な仕事より、適正な給与で社会に貢献できる仕事を選ぶ。

それは、もしかしたら、人生の転機になるかもしれません。

損保ジャパンの事例を「対岸の火事」として見るのではなく、自分自身のキャリアと価値観を見直すきっかけにする。

そして、介護職をはじめとするエッセンシャルワーカーに、心からの敬意と適正な処遇を実現する社会を作る。

それが、私たちがこの出来事から学ぶべきことではないでしょうか。


参考データ

介護職の処遇改善スケジュール:

  • 2024年度:処遇改善加算で月額約8,000円アップ
  • 2025年12月〜2026年5月:補正予算で月額最大1.9万円アップ(半年間)
  • 2026年6月:介護報酬臨時改定で恒久的な賃上げ実現予定

介護職員の必要数(厚生労働省):

  • 2022年度:約215万人(現状)
  • 2026年度:約240万人(不足約25万人)
  • 2040年度:約272万人(不足約57万人)

介護職の平均給与推移:

  • 2009年:月額25.0万円
  • 2024年:月額33.8万円(+8.8万円、+35%)
  • 年収:約406万円(全産業平均約460万円)

出典:

  • 厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果」
  • 厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」
  • 厚生労働省「令和7年度補正予算案」

この記事が、あなたのキャリアと人生について考えるきっかけになれば幸いです。

福山

・地元の公立中高に行き
・地元の国立大学に進学する
・という、普通の生活を送る
・そんなもんだと思っていた
・でもそれは、ただの奴隷コースだった
・社会の歯車コースだった
・絶望だ
・奴隷コースから脱出するため、
・「個人でお金を稼ぐこと」の勉強する
・個人でぼちぼち稼げるようになる
・そこから学んだ気づきとかをブログで書いていきます

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コメント

  1. より:

    イチ経営者として損保ジャパン方式は天才的なアイディアに思いましたが、他企業が続く話を聞きませんね。なぜなんでしょう?

    仕事柄厚労省や県庁保健福祉部局の人と話すことがあるので、公務員について補足します。
    結論からいうと、以下により公務員ではこの損保ジャパン方式は使われないと思われます。

    まず、大企業と並べられる国家、都道府県、政令市では、直営の病院・介護施設等が少ない点。
    また、採用枠も技術職となりはじめから資格が必要となる点。

    そもそも論、霞が関を代表にこれらの公務員は元からブラック&僻地遠距離転勤もあるため、わざわざ介護で追い出す必要性は無いというか、追い出す余剰人員がいないでしょう。
    勝手に病気で辞めたり詩んだりしてくれてます。

    基礎自治体たる市町村では直営の介護施設等は多いのですが、
    昨今直営で維持できず、民間委託する流れになっています(特に過疎地域)
    そういった介護施設で働いていた市町村職員は、委託先の民間職員の身分となり労働条件が劣化します。
    ある意味、介護職員全体のリストラかもしれませんが、彼らはもともと介護職員だったので今回の損保ジャパン方式ではないわけです。

    • 福山 福山 より:

      コメントありがとうございます。
      合理的に考えたら損保ジャパン方式はバンバン採用されそうなものなんですけどね。
      結構批判もあったので、評判を気にする大企業ほどやりにくいのかもしれませんね。

      公務員の補足についてありがとうございます。 情報が整理されていて頭にすんなり入りました!

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