ちきりんさんのこんなツイートを見かけました↓
今日の日曜討論の9時26分くらいから立教大学の首藤教授が話してる内容がまさに正論だと思う。過去20年の日本経済のデフレ停滞を引き起こしたのは、日本の大企業経営者の時代遅れな競争戦略が原因。(なおご本人はこんな直接的な言い方はされてません。念のため)https://t.co/yCQHTyR551
— ちきりん (@InsideCHIKIRIN) February 5, 2023
というわけで、さっそく日曜討論を見てみました。
そこで学んだことを記事にて簡単にまとめていきます。
*知っておきたい用語「春闘」↓
各企業等の労働組合は、全国中央組織の労働団体や産業別組織の指導・調整のもとに、毎年春に賃金引き上げ等を中心とする要求を各企業等に提出し、団体交渉を行います。これを一般に「春闘」と呼んでいます。現在の春闘方式は、1956(昭和31)年から始まったと言われており、半世紀以上の歴史があります。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudouseisaku/shuntou/index.html
なぜ日本の賃金は上がらなかったのか?
番組のテーマ的には「物価高に負けない賃金アップをしよう!」みたいなことで議論が進んでいきます。
何年も前から話されている内容ですね。
んで、立教大学の首藤教授はこのようにおっしゃっていました。
- 今は重要な曲面。でもこれはずっと語られてきた話。今始まった話ではない。
- 賃上げは企業の社会的責務だと先ほど申し上げられていましたが、今まで企業は国際競争力であるとかデフレであるとかグローバル化であるとか、様々な要因を挙げて賃上げを回避してきたという事実もある。
- また労働組合も積極的な賃上げを求めてこなかったと言う事実もある。
- なぜ賃金が上がらなかったのか?と言うと、労使の共犯だったと私はみている。
- ミクロの経済行動で見ると、先行きが見えない中で賃上げを抑制するのもやむを得なかった個別企業もある。
- ただ賃上げしないと経済成長しないと言うのはマクロの課題であって、ここはマクロ的なアプローチを強めていく必要があると私は考えている。
- 例えば政労使会議を開いて、賃上げのガイドラインを作成してより強く呼びかけていく。 賃上げができない企業には、一定の説明責任を課すというような政府の役割も求められている。
首藤教授のこのような話に対して、経団連会長は「賃金が上げられない一番の犯人はデフレ。経団連ではずっと賃金のベースアップを呼びかけていたけれど、できなかった。デフレマインドの中で多くの中小企業は製品価格を上げることができなかった。」などなど、聞いたことある話をずっと話されておりました。
また首藤教授の話に戻ります。
- ここ5.6年の春闘の賃上げ率を見ると、労働組合がある中小企業の賃上げ率は大手企業を上回っている。ここは評価するべき点。
- ただ100人未満の企業だと労働組合がある率は1%を切ってしまう。だから私は中小企業の賃上げは最低賃金の引き上げが強く影響すると思っている。
めちゃくちゃわかりやすいですね。 日本の企業は中小企業がたくさんある。だけれどもその中小企業には労働組合があるところは少ない。だからこそ最低賃金を引き上げることが賃上げにつながっていく。
これについて経団連会長はこのように話しております。「最低賃金を上げることも大切だけれども、そのためには原資を確保できなければ持続的ではない。 持続していくためには、付加価値、生産性を上げていかなければならない。その基本となるのは取引価格の改定だと思います。」
でたー、付加価値、生産性!笑。
これ聞き飽きたっすよ。てもこれって企業としてモノを売っていくための超基本なんで、みんなそう思ってるんですよね。
首藤教授のターンが回ってくると、
- 日本の賃金がなぜ上がってこなかったのか?といいますと、先ほどデフレが原因だと言われていましたが、デフレは原因なのか結果なのかというのがよくわかっていない。
- 日本の春闘の賃上げ率が1%台になったのが2002年からで、この年に何があったのかというとトヨタショックと一般的に言われており、過去最高益を出しながら賃上げをしなかった。そして他企業がそれに追随した。
- 当時の豊田の会長は当時の日経連の会長で、「国際競争に勝つためには賃上げは論外である」と言う発言を度々していた。
- 私はこういった姿勢に問題があったんじゃないかと思っている。
首藤教授、すごいっすよ。ズバリと言ってますよ。経団連の会長に全くびびってないその態度、かっこよすぎですよ。
んで、この後も経団連会長は「デフレだ!デフレが問題なんだ!デフレマインド脱却なんだ!」ということを繰り返し発言しておりました。
まったく話が噛み知っておりませんですな。
日本が稼ぐ力を取り戻すにはどうすればいいか?
議論は「稼ぐ力をどうすればいいのか?」に移っていきます。
この議論になると「官民で協力していろんなことをやっていきましょうや!」的な話になっていきましたが、首藤教授はこのようにいます。
- 私も、稼ぐ力を取り戻すために新しい価値を創造していくことには賛同する。
- ただ私は、一般の労働者の所得を上げていくことが、なによりも企業の稼ぐ力を取り戻すことににつながると思っている。
- 稼ぐ力というのは、商品が売れないといけないわけで、新しい商品/サービスがあったとしても売れていかないといけない。
- もちろん需要側の議論だけでは充分ではないけれども、これまであまりにも需要側の議論が軽視されていたと思う。
- ヘンリーフォードは、自分の社員の給料を2倍にすることで、社員が自社の車を買えるようにしたという有名な話がある。
- 私は、高いスキルを持つ人だけでなく幅広く一般の人の所得を上げることが、日本の成長戦略だと思う。
以上、日曜討論の学びのメモでしたー。
いやはや、民間のトップの人も政府のトップの人もエリート街道を歩みすぎて、『普通の人』のことをなんにも分かってないんだろうなぁと。
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