ベーシックインカムってどうなるんだろうねぇ〜。長期的に実験した国の例があればいいのに。
そんな疑問に答えます。
ナウル共和国🇳🇷(通称ナウル)を紹介したいと思います。ナウルは、太平洋南西部に浮かぶサンゴ礁のナウル島にある共和国のことで、国土面積は21平方キロメートルと言う小さな島国になります。
ナウルはかつて世界で最も高い生活水準を享受でき、今でいうベーシックインカムのような制度が実現できていたのです。以下では具体的にナウルつについて書いていきます。
このページはリュック・フォリエさんの『ユートピアの崩壊 ナウル共和国―世界一裕福な島国が最貧国に転落するまで』を参考にしています。
リン鉱石の採掘でベーシックインカムを実現したナウル
小さな島国ナウルでは、もともと漁業と農業に従事して国民は生活していました。しかし、19世紀、太平洋の島国は次々と欧米列強国により植民地にされていきました。
例外なくナウルも1888年にドイツの植民地国になりました。そして1889年、ナウルにはリン鉱石が豊富にあることが発見されました。
1906年からリン鉱石の採掘がスタートします。当時、リン鉱石は工業原料として大変貴重なものでした。
ナウルにリン鉱石が豊富だった理由
アホウドリなどの海鳥の糞が数千年に渡りたまり続け、それがサンゴの石灰と結びついてリン鉱石ができていました。つまり、限りある資源ということです。
税金なし・教育や医療は無料のナウル
第二次世界大戦後、ナウルは1968年に独立しました。そして今までは占領国に取られていたリン鉱石採掘による収入がナウル国民に還元されるようになりました。
その結果、世界でも有数の生活水準を享受することができるようになりました。
- 税金なし
- 医療費無料
- 教育費無料
- 全年齢層に給与として支給
と、今考えられているベーシックインカムより数段上の福祉制度が実現していたのです。
そして、莫大な国家予算を使って、ほぼ全ての労働者を、中国や近隣のミクロネシア諸島からきた出稼ぎ外国人に依存していました。
食っちゃ寝生活を続けたナウルの末路
- 税金なし
- 基本的にインフラサービスは無料
- ベーシックインカム支給
- 労働は外国人に任せる
そんな天国のような生活も長くは続きませんでした。(それでも30年ほど続いた)
リン鉱石がなくなった
20世紀末にリン鉱石が枯渇し、楽園は終了しました。基本的なインフラを維持することもできなくなったのです。
失業率は90%
2011年の統計によると、ナウルの失業率は90%にも達しているとされています。
働くという概念が失われた
30年に及ぶ贅沢三昧の末、ナウル国民は勤労意欲がないというか、そもそも「働くって何?」状態になってしまいました。リン鉱石がいずれ枯渇すると言う予測があったにもかかわらず、「働こう!」とする国民はほとんどいませんでした。
いかに働かないでお金を稼ぐか?という思考になってしまっていたのです。そしてナウルはマネーロンダリングなどでお金を稼ぎ、テロリストに加担し、アメリカから反感を買うことになってしまいます。
国民の30%が糖尿病
2016年時点で、ナウル国民の住人に6人が肥満体型で、国民の30%以上が糖尿病を患っています。(南太平洋の、太った人の方が健康的で魅力的とされる文化も一因)
おわりに:ナウルから学べること
AIやロボットを前提としたこれからのベーシックインカムは、ナウルのように限りある資源に頼るものではないと考えられます。
かといって、AIやロボットも結局は電力に依存しており、その電力は石油・石炭・ウランなどに依存しています。ということは、長い期間で見ればナウルのような悲劇に襲われてしまう可能性もあるのです。(もちろん、AIやロボットに依存しなくても、資源の枯渇はありますが)
難しいことです。一緒に考えていきましょう。それでは!
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