同級生40人、50歳までに何人亡くなる? 約100年前の死亡率なら約11人

同級生のその後という見出しと開いた卒業アルバムを中心に、二色の道に沿って大人や高齢者の姿が並ぶ様子のイラスト 科学・歴史・文化
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高校を卒業して何十年もたつと、ふと昔の同級生の顔を思い出すことがあります。

「あの40人のクラスは、50歳になるころ、何人くらい生きているのだろう?」

ここで問題です。18歳のときに男子20人、女子20人の計40人がいたとします。2025年の日本の死亡率で計算すると、50歳の誕生日を迎えるまでに亡くなる人は、平均何人でしょうか。

  • A.0人
  • B.約1人
  • C.約3人
  • D.約5人

正解は↓

↓

↓

↓

↓

正解はB。詳しく計算すると、1人にも満たない約0.8人です。

ところが、約100年前の死亡率なら、どの選択肢よりも多い約11人。同級生が亡くなる人数は何歳ごろから増えるのか。日本の死亡状況は、いつ大きく変わったのか。40人の「その後」を統計でたどってみます。

この記事の数字について
実際の学校の卒業生を追跡した調査ではありません。それぞれの時代の死亡率が、その後の人生でも続くと仮定した「仮想の40人」の計算です。現代と約100年前を比べるため、どちらも18歳の男女各20人から出発します。昔は現在と同じ高校制度ではなかったことにも注意が必要です。

1.平均1人未満。それでも、誰かが亡くなっているクラスのほうが多い

平均とばらつきの見出しの下で、虫眼鏡に集まる人々と、周囲の丸い枠に分かれた構成の異なる集団を線でつないだ様子のイラスト

厚生労働省の2025年簡易生命表を使うと、18歳から50歳になるまでの期待死亡人数は、男子20人で約0.5人、女子20人で約0.3人。合わせて約0.83人です。「平均で1人未満なら、ほとんどのクラスでは全員が生きているのでは?」そう考えたくなりますが、40人それぞれの死亡が互いに独立して起こると仮定すると、結果は次のようになります。

50歳までに亡くなる人数その人数になる理論上の確率
0人約43%
1人約37%
2人約15%
3人以上約5%

各人の死亡を独立と仮定した理論値です。実際の学校や地域の調査結果ではありません。

少なくとも1人が亡くなっている確率は約57%。 全員が生きている場合より、誰かが亡くなっている場合のほうが多い計算になります。

「平均0.83人」は、誰も亡くなっていないクラスも、1人や2人が亡くなっているクラスも、すべてをならした数字です。平均が1人未満でも、誰かが亡くなっているクラスは決して珍しくありません。

2.同級生は何歳から減る? 10年ごとに増える死亡人数

では、同級生が亡くなる人数は何歳ごろから大きく増えるのでしょうか。2025年の死亡率を使い、18歳で40人だったクラスが各年齢を迎えるときの期待人数を計算しました。

到達年齢生きている期待人数(40人中)
40歳約39.6人
50歳約39.2人
60歳約38.1人
70歳約35.4人
73歳約34.1人
80歳約29.1人
90歳約15.6人
100歳約1.8人

この表を「その10年間に何人亡くなるか」に置き換えると、減り方がはっきりします。

年齢の区間その10年間に亡くなる期待人数
40〜49歳約0.45人
50〜59歳約1.1人
60〜69歳約2.6人
70〜79歳約6.3人
80〜89歳約13.6人

40代から80代にかけて、10年間に亡くなる人数は、次の10年間にはおよそ2〜2.5倍になっています。40代では約0.45人。40人という小さな集団では、ほとんど目立たない数字です。それが50代、60代と増え、70代では10年間に約6人。年齢を重ねるにつれて訃報を聞く機会が増えたように感じる背景には、こうした変化もあるのでしょう。

「亡くなり始める年齢」という明確な境目はありません。小さかった死亡人数が、10年ごとにおよそ倍々で増え、実感できる大きさになるのです。

40人の生存人数が半分の20人を下回るのは、2025年の死亡率では88歳。男女別なら、男子20人が半分未満になるのは85歳、女子20人では91歳です。

ちなみに、この企画は「73歳の人の同級生は40人中何人亡くなっているのか」という疑問から始まりました。表の答えは約6人です。ただし、現在73歳の人は若いころに2025年より高い死亡率の時代を経験しています。実際の同世代では、この計算より多くの人が亡くなっている可能性があります。 実際の世代を推計するには、その世代が各年齢で経験した死亡率を別に調べる必要があります。

3.約100年前の死亡率なら、50歳までに約11人

昔と今をくらべるの見出しとともに、開いた本の左右に昔と今の服装の人々を並べ、中央に砂時計を置いた比較のイラスト

ここからは、時計を約100年前に戻します。内閣統計局の第5回生命表(1926〜1930年)の死亡率を、同じ18歳の40人に当てはめました。

40人のその後1926〜1930年の死亡率2025年の死亡率
50歳までに亡くなる約10.8人約0.8人
65歳を迎える約19.7人約37.0人
80歳を迎える約5.3人約29.1人
生存人数が20人を下回る最初の年齢65歳88歳

約100年前と2025年の死亡率で、18歳の40人が50歳までに何人亡くなる計算かを比較した人物アイコン図

18歳の40人が50歳までに亡くなる期待人数を、1926〜1930年と2025年の死亡率で比較した人物図。昔は約11人、現代は1人未満。

図1:50歳までの期待死亡人数。人型アイコンは期待値を整数に丸めた模式図です。

1926〜1930年と2025年の死亡率から計算した、18歳の40人が年齢とともに減る生存曲線

18歳の40人の生存期待人数を年齢別に比較した折れ線グラフ。1926〜1930年の死亡率では65歳、2025年では88歳で20人を下回る。

図2:各年齢を迎える期待人数。実在する同級生を追跡した曲線ではありません。

約100年前の死亡率なら、65歳の誕生日には生存人数が20人を下回ります。2025年の死亡率で同じ状態になるのは88歳。その差は23歳です。さらに興味深いのは、同級生が同じ人数だけ生きている年齢を探した結果です。

約100年前の死亡率での年齢生存人数がほぼ同じになる2025年の死亡率での年齢
40歳約75歳
50歳約80歳
65歳約88歳
80歳約96〜97歳

約100年前の死亡率で迎える40歳の教室と、2025年の死亡率で迎える75歳前後の教室は、生きている同級生の人数がほぼ同じになります。

もちろん、これは健康状態や老化の進み方を比べたものではありません。18歳から同じ40人で出発したとき、生存人数が同じになる年齢の比較です。ところで、昔の日本の平均寿命は40代だったと聞いたことがありませんか。それなのに、なぜ40人の半分近くが65歳まで生きる計算になるのでしょう。

4.「昔の平均寿命は40代」の本当の意味

乳児を抱く親と若者を別々の出発点に置き、大人や高齢者へ続く二本の道で、寿命を考える年齢の違いを表した人物のイラスト

1926〜1930年の生命表にある平均寿命は、男性44.82歳、女性46.54歳。確かに40代でした。ただし、平均寿命は、生まれたときを起点にした平均です。大人になった人がみんな40代で亡くなっていたという意味ではありません。ここだけは、18歳ではなく出生時から数えてみます。

約100年前の死亡率では、生まれた100人のうち18歳を迎える期待人数は約74人。2025年の死亡率では約99.6人です。子どもの時期の死亡が多いことは、出生時の平均寿命を大きく押し下げていました。では、18歳まで生きた人に限るとどうなるでしょう。当時の生命表で計算した平均的な死亡時年齢は、男性約59歳、女性約61歳でした。「さっき、半分になるのは65歳と書いていたのに?」と思うかもしれません。

これは平均と、半分が亡くなる年齢は違うからです。若い年齢で亡くなる人が一定数いると、そのぶん平均は低くなります。当時、18歳を起点にした男女別の半減年齢は男性64歳、女性67歳でした。つまり、「昔の人はみんな40代で亡くなっていた」は誤解です。一方で、「大人になってしまえば今と変わらなかった」も違います。子どもも大人も、現代とは大きく異なる死亡リスクの中で暮らしていたのです。

5.1947年には約9人、1955年には約4人。死亡状況はいつ変わった?

約100年間で起きた変化は、一定のペースで進んだわけではありません。18歳の40人が50歳になるまでに亡くなる期待人数を、時代ごとの生命表で比べてみます。

生命表の対象年50歳までに亡くなる期待人数
1926〜1930年約10.8人
1935〜1936年約10.3人
1947年約9.4人
1950年約6.8人
1955年約4.2人
1965年約2.8人
1975年約2.1人
2024年約0.9人

1947年以降は日本版死亡データベース(JMD)による値です。冒頭で使った2025年簡易生命表とは作成方法が異なるため、2025年はこの時系列に含めていません。

1920年代後半、1930年代半ば、1947年。確認できるこれらの生命表では、50歳までに亡くなるのは40人中約9〜11人という高い水準でした。ところが1947年と1955年を比べると、約9.4人から約4.2人へ、半分以下に減っています。 8年離れた二つの生命表の間で、それほど大きな変化があったのです。

戦前の歴史的生命表2時点と1947〜2024年の日本版死亡データベースの代表年を用いた、50歳までの死亡人数と80歳到達人数の推移グラフ

戦前の2時点と1947〜2024年の代表7時点の生命表で、18歳の40人の50歳までの死亡期待人数と80歳への到達期待人数を比較したグラフ。

図3:上段は50歳までに亡くなる期待人数、下段は80歳を迎える期待人数。戦時期の空白は補間していません。戦前と戦後では資料の作成方法が異なります。

同じ1947〜1955年に、80歳を迎える期待人数も約6人から約11人へ増えました。「まず若い人だけが亡くならなくなり、ずっと後になって高齢者が長生きした」といった単純な順番ではありません。とはいえ、長い目で見れば、長寿化に大きく貢献した年齢層は変わりました。

JMDの1947年・1965年・2024年の男女別生命表を使い、18歳時点の平均余命が延びた年数を年齢帯別に独自計算すると、1947〜1965年は18〜39歳の死亡率改善の寄与が最大でした。一方、1965〜2024年は65歳以上の改善が最大となりました。

若い成人の死亡がすでに少なくなった後は、平均余命がさらに延びるうえで、高齢期の死亡率改善がより大きな役割を果たすようになったのです。ただし、これは各年齢層の死亡者数の割合ではなく、平均余命が延びた年数への寄与です。個々の医療政策や治療法の効果まで、この生命表だけで断定することはできません。

戦争と数字の空白
今回の時系列では1937〜1946年を同じ系列として追えません。また、1926〜1930年の死亡率を一生に当てはめた仮想の40人は、その後に戦争を経験した実際の世代の生存記録とは別のものです。戦前と戦後では、統計の対象地域や作成方法にも違いがあります。

6.もう一度、18歳の40人を思い浮かべる

抽象的な点が並ぶ開いた本と、いくつも分かれて先へ続く道を見つめる若者を描き、統計と個人の未来の違いを示す場面のイラスト

最後に、18歳で40人いた同級生が、50歳、そして80歳を迎えるまでにどう変わるのかを見てみましょう。

18歳の40人を、50歳より前に死亡・50〜79歳で死亡・80歳到達の3区分に分け、約100年前と現代を比較した図

18歳の40人を50歳前の死亡、50〜79歳の死亡、80歳到達に色分けした図。丸めた期待人数は昔が11・24・5人、2025年が1・10・29人。

図4:期待人数を合計40人になるよう整数に丸めた模式図。実際の40人の人生を再現したものではありません。

仮想の40人50歳前に亡くなる50〜79歳で亡くなる80歳を迎える
約100年前の死亡率11人24人5人
2025年の死亡率1人10人29人

今18歳の人たちが実際に何人80歳を迎えるかは、これからの死亡状況によって変わります。ここに並べたのは、あくまでそれぞれの時代の死亡率を当てはめた計算です。その前提で、二つの数字を見比べてください。

約100年前の死亡率で50歳を迎える人数は、40人中約29人。

2025年の死亡率で80歳を迎える人数も、40人中約29人。

同じ40人のうち、約29人が生きている年齢。約100年前の死亡率では50歳、2025年の死亡率では80歳。

その差は、30年です。

計算方法と資料の読み方

男女別の生命表にある生存数を18歳時点で割り、その生存割合を男性20人・女性20人に当てはめて合計しました。「50歳までに亡くなる」は50歳の誕生日を迎える前までを指します。各クラスの死亡人数の確率は、各人の死亡が独立しているという仮定で計算しています。

年齢換算表は、1歳刻みの生命表を使い、生存人数がほぼ同じになる年齢を求めたものです。1歳未満の端数は、隣り合う年齢の値の間を直線で結ぶ方法(線形補間)で計算しました。図の人型アイコンは期待値を整数に丸めています。戦前・戦後では生命表の作成方法や対象地域が完全には一致しません。1972年以前の人口動態統計に沖縄県は含まれず、JMDは沖縄返還に伴う地域調整を行っています。

18歳時平均余命の年齢別寄与は、JMDの生命表を使ってArriaga法で独自に分解し、順方向と逆方向の寄与年数を平均しました。これは死亡者数の内訳ではありません。

出典・参考資料

  1. 厚生労働省「令和7(2025)年簡易生命表の概況」。男女別生存数を独自集計(2026年10月11日確認)。
  2. 内閣統計局「第5回生命表(1926〜1930年)」「第6回生命表(1935〜1936年)」。Human Life-Table Database掲載の第5回生命表、同・第6回生命表。HLD公式サイト経由で確認し独自集計(2026年10月11日確認)。
  3. 国立社会保障・人口問題研究所「日本版死亡データベース」。男性の期間生命表・女性の期間生命表を独自集計(2026年10月11日確認)。
  4. Arriaga, E. E. (1984), “Measuring and Explaining the Change in Life Expectancies”。平均余命の年齢別寄与の計算方法を参照。

この記事の人数、確率、図・表は公表された生命表から独自に計算・加工したものです。公的機関が「同級生40人」の死亡実績として公表した数字ではありません。

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