新社会人になるのだけれど、学生と社会人の違いって何があるんだろう?
そんな疑問に答えます。
結論から言いますと、一番知っておくべきは『評価のされ方の違い』です。これは就職活動の時に気がつき、「あ、社会ってやっぱりそうなのね」と感じた方もいるでしょう。
学生と社会人では評価のルールが全然違うので、これを知って置かないと痛い目にあうかと。以下ではもう少し具体的に書いていきます。
ふろむださんの『人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている』を参考にしています。
学生から社会人になると実力より運要素が大きくなる
学生時の評価は、
運よりも実力
が大きく関係しました。センター試験を受ける時に多少の運はあれど、基本的にテストの点数(=実力)が成績に直結します。しかし、20歳を過ぎてくると徐々に実力よりも運要素の方が強くなってきます。
- どのサークルに所属するかで大学生活の楽しさが変わる
- バイトの選び方で大学生活の充実度が変わる
- バイトの人間関係で大学生活の充実度が変わる
- どの研究室に配属するかで就職の推薦度合いが変わる
- 研究テーマの選び方で結果の出やすさ・出にくさが決まる
年齢を重ねるにつれて、
運要素という不確実なもの
に大きく影響を受けていることが分かってくるはずです。
社会人でさらに重要になる錯覚資産
大人になるにつれて運要素というものが大きくなり、実力要素が小さくなっていきます。そしてさらにここに『錯覚資産』というものが入ってきます。
錯覚資産とは、
人々が自分に対して持っている、自分に都合のいい思考の錯覚
のことです。心理学の世界ではハロー効果とも呼ばれているものです。例えば、「第一印象がいいと、他の能力まで高く見える」というやつです。
そして、この錯覚資産が多ければ多いほど人生というゲームがイージーになります。例えば、
- 東大卒
- TOEIC900点
- 元Google
という3つの肩書きがあれば、
なぜか知らないけれど全ての能力において高そうに思える
のです。これが錯覚資産です。人は完全無欠じゃないと頭では理解していても、たいそうな肩書きがあればそれに脳が騙されてしまいます。
学生のうちは、勝敗は、錯覚資産など関係なく、かなりの部分が、実力だけで決まる。しかし、社会人になったら、錯覚資産を持つものは、人生はイージーモードのゲームになるが、錯覚資産を持たざる者は、人生はハードモードの糞ゲーになる。p72
この本の著者ふろむださんは、複数の企業を創業し、そのうち1社は上場させた人物です。こう聞くと「自分とは全く違う、異次元の人なんや」と思うはずです。しかし、ふろむださんはそれを否定します。
ハッキリ言おう。それは、錯覚に過ぎない。なぜなら、その会社が上場したのは、ほとんどが、運によるものだからだ。運良く、時代の波に乗れたからだ。運良く、優秀な人間と一緒に起業することができたからだ。運良く優秀な人材を採用することができたからだ。運良く、優秀な人間が経営陣にジョインしてくれたからだ。運良く、ヒット商品が出たからだ。私自身は、対して優秀な人間ではない。これは、謙遜ではない。ただの事実だ。p86
まとめると、錯覚資産のメリットとは、
人に良い解釈をされ、実力が底上げされる
という、とんでもない効果があることです。ちょっと意識して社会を見てみると「あー、確かに錯覚資産だらけだわ」と気がつくはずです。
錯覚資産をコントロールせよ
社会人としてバリバリ働きたいのであれば錯覚資産をコントロールする必要があります。なぜなら、錯覚資産をコントロールできる人は、周りから評価され、チャンスを与えられるからです。
そしてそのチャンスをこなしていけば、実力がつき、その実力がさらに評価され、新しい仕事のチャンスを得て・・・という正のサイクルに入ることができます。
最初の錯覚資産を得るためにするべきこと
錯覚資産を得るためには、人から「スゲー」と思われるようなナニカに手を出していくことです。
- 100万PVを叩き出すブロガーになる
- インスタグラマーになる
- ユーチューバーになる
- ツイッターのフォロワーを集める
- TOEICの点数を上げる
- 有名企業に就職する
などなどになります。とりあえず人から「スゲー」と思われるようなものであればOKです。そして手を出しているものが当たるか当たらないかは運要素が強いので、
いろいろなことに小さく賭ける
ことが大切な姿勢になります。つまり、「いろんなことにチャレンジしろ!」ということです。
チャレンジして成功するかどうかなんて、運次第だから、たくさんチャレンジするしかない。サイコロで当たりを出すのに1番効果的な方法は、たくさんの回数、サイコロを振ることだからだ。そして、たまたま成功して、ハロー効果を手に入れられたら、そのハロー効果を使って、より良い環境を手に入れる。p 92
これと同じようなことを2chの開設者であるひろゆきさんも著書『働き方完全無双』で言っております。
ワンチャンを狙え
と。ですから、新しいことにはとにかく首を突っ込んでおいて、チャンスを狙うのです。
ニコニコ動画がうまくいったとき、もちろんニコニコ動画そのものが成長するのは当たり前なのですが、それと同時に、「ニコ動の中で動画をあげている一般人」も有名になっていきます。
〜中略〜
このように、何か新しいサービスの上にいる人は、「そこにたまたまいる」と言うだけで突然、ゲタを履ける時期があるのです。そこで重要なのは、本人がものすごく優秀であると言うことではなく、「たまたま早くからそこにいた」という事実です。働き方完全無双 p44
SNSのようなサービスに限らず、実社会でも同じようなことが起こります。例えば、たまたま入社したベンチャー企業がたまたま成長したら、そこにいただけ転職の際に有利になります。
わらしべ長者戦略で錯覚資産をパワーアップ
ワンチャンを狙い続けて、何か1つ他人より能力を身につけたとします。他人から「お、そんな能力あるんや!」と思ってもらえたら、その能力を評価してもらえるような場所に出かけましょう。
ふろむださんは翻訳・監訳・著者の顔がありますが、もともと最初からそういう顔を持っていたわけではありません。小さなアクションをきっかけにして『その顔』を手に入れるようになりました。
私も、最初から翻訳・監訳・著作の依頼があったわけではない。最初は、「エンジニア同士の勉強会に参加する」と言う、誰でもできる、極めて細やかなアクションから始めた。そこで、いろいろ交流しているうちに、他のエンジニアから、雑誌記事を書く仕事を回してもらった。わらしべを手に入れたのだ。生まれて初めて書いた記事だったが、それをきっかけに、いろんな雑誌から、芋づる式に雑誌記事の依頼が来るようになった。そして、それがさらなる思考の錯覚を生み、今度は書籍の翻訳の仕事が来た。自分の得意とする技術分野の洋書を翻訳する仕事だ。それがうまくいくと、今度は、監訳の仕事が来た。それを繰り返しているうちに、人脈も増えて、結局、起業することになったわけだ。p 97
- あいつは記事執筆の依頼が来るらしい
- あいつは洋書の翻訳をしているらしい
- あいつは監訳の仕事が舞い込んで来るらしい
→すごいやつに違いない!
人はそのように考えてくれるのです。
誰に能力を評価されるかを意識
ワンチャンを狙って能力を得たとしても、人に知ってもらわなければ意味がりません。ふろむださんが勉強会に参加することから始めたように、人に出会う必要があります。
- 勉強会に参加する
- 友達とご飯に行く
などなど、そこで自分の能力をちょっとアピールするだけでOKです。アピールというと大げさな気がしますが、人と会えば「なにやってるの?」みたいな質問をされますので、そこで「こういうことやってるんだ。」みたいに言えばいいだけです。
そしてそのアピールは社内関係でいうのも大切ですが、
社外に向けて
の方がより重要になってきます。
このことについてはゾゾタウンの田端信太郎さんが著書『ブランド人になれ』で書いています。
社内で評価されてもボーナスがちょっと増えるくらい
だと。だから社外に向けて自分の能力をアピールすることが大切になるのです。そして社外の人でも特に重要なのは、
影響力のある人にどう褒めてもらえるか
が一番重要になってきます。特にクリエイティブの世界では作品を客観的に評価することなど不可能でして、インフルエンサーに一言もらえるかどうかで変わってきます。
おわりに:人は本当の実力を評価できない
20分そこらの面接や、数時間喋っただけで、
人の能力を正確に測ることなど不可能
です。じゃあどうやって人を評価しているかというと、
思考の錯覚で評価している
わけです。そして人は、自分が思考の錯覚などという不可思議なモノで人を判断しているとは考えません。自覚すらしません。
さてさて、思考の錯覚という怪しげな能力を持っているわけですが、なぜそんな能力を持っているのか?を考えてみると、「そのようにヒトが進化してきたから」としか言いようがありません。
そしてその能力こそが虚構というものを作れ、人類をここまで繁栄させました。もう一段階深い理解をしたい方にはユヴァル・ノア・ハラリ先生のサピエンス全史をお読みください。それでは!
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