AIとWordPressの間でコピペを繰り返してきた私が、EmDashを試してみた

AIとCMSの間を人が行き来し、両者をつなぐ関係を大きく示した記事テーマのイラスト ブログ運営
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AIと共同で記事を書くこと自体は、もう難しくありません。構成を相談し、下書きを作り、言い回しを直す。ここまではChatGPTやClaudeが数分でやってくれます。

問題は、その先でした。

AIと書いた文章をWordPressへ移し、画像を入れてALTを設定し、下書きを更新する。文章の作成は数分で済むのに、CMSへ持っていくところでは、人間がAIとWordPressの間でひたすらコピペを繰り返すことになります。

そんなときに知ったのが、Cloudflareが開発しているオープンソースCMS「EmDash」です。新しいCMSというだけなら、それほど気にしなかったと思います。引っかかったのは「MCPサーバーを標準搭載している」という点でした。

MCPは、AIが外部のサービスを直接読んだり操作したりするための共通の接続口です。

WordPressとAIをつなぐために認証やプラグイン、自作の連携方法までいろいろ試してきた身としては、見過ごせない話でした。

そこでEmDash 1.2.0をMacのローカル環境へ導入し、Codexから記事を読み取らせてみました。

先に断っておくと、これはWordPressをやめる話でも、EmDashを手放しで絶賛する話でもありません。実際に触ってみて、何が省けて、何が省けなかったのかを記録した記事です。

2026年はずっと、AIとWordPressの手作業連携に悩まされてきた

AIとCMSの間で文書を何度も手作業で移し、パソコン前で困っている人のイラスト

振り返ると、2026年は一貫してAIとCMSの連携について考えてきました。

1月にはWordPressという実行環境そのものに苦戦した結果、CursorからChatGPT Codexへ軸足を移しました。
AIより先にWordPressが強敵だった。Cursorを諦め、ChatGPT Codexを選んだ「非エンジニアの生存戦略」

5月には、記事データをWordPressの中だけに閉じ込めず、MarkdownやGitにも持たせる運用を考えました。
AI時代にWordPressブログは古いのか|捨てずに「閉じ込めない」運営術

7月には、「今からブログを始めるならWordPressを選ぶのか」を改めて考え、もう無条件の第一候補ではない、という結論になりました。
「これからブログを始めるならWordPressを選ぶ?」Fable 5に聞いたら身も蓋もない答えが返ってきた

その後、CloudflareとCodexやClaudeをMCPでつなぎました。一番便利だと感じたのは、管理画面を開いて、今どうなっているかをAIへ報告する作業がなくなったことです。
Cloudflare MCPをCodexやClaudeにつないで分かったこと。Zero Trustまで構築して、結局「公式ルート」に戻った話

10月にはWPVibeを試し、ChatGPTとの会話からWordPressの記事を取得・編集し、画像やALTまで扱えることも確認しました。
WPVibeでChatGPTからWordPressを編集|プラグインなしでできたこと・料金・認証

つまり、WordPressでもAI連携はできます。

ただ、そのためにどの方法を使うのか。認証情報をどう持たせるのか。どこまでの権限をAIへ渡すのか。失敗したらどう戻すのか。そのたびに自分で考える必要がありました。

ブログの記事を書きたいだけなのに、なぜ私は認証方式やOAuthの権限について考えているのか。たまに真顔になります。記事を書く時間より、接続設定に悩む時間の方が長い日さえありました。

WordPressも、AIとの連携基盤を整え始めている

既存CMSへAI連携を追加する形と、最初からAI連携を考えたCMSを対比したイラスト

公平を期すために書いておくと、WordPress側もAI連携の整備を進めています。

WordPress 6.9では「Abilities API」が導入されました。WordPressやプラグインが持つ機能を、外部システムから発見・実行できる形で登録するための共通基盤で、公式ドキュメントでもAIエージェントなどからの利用が想定されています。

さらに公式の「MCP Adapter」を使えば、Abilitiesとして登録された機能をMCP対応のAIへ公開できます。

私はこの公式MCP Adapterをまだ実際には試していません。なので、この記事で「WordPressよりEmDashの方がAI連携に優れている」と判定するつもりもありません。

両者の大きな違いは、出発点だと思っています。

WordPressは20年以上使われてきた巨大な既存システムを維持しながら、そこへAI連携の仕組みを加えようとしています。だからこそ、AIを組み込む難しさもあるのだと思います。

一方のEmDashは、最初からAIとの連携がある前提で作られています。後からゼロから作れるからこそ、EmDashにはWordPressでは難しかったことまで実現してくれるのではないか、と個人的には期待しています。

EmDashは、AIの利用を前提に作られたCMS

EmDashはCloudflareが手がけるオープンソースCMSです。

2026年4月1日に発表されたときは、正直エイプリルフールの話かと思いました。実際には本当に開発されていて、9月28日にはEmDash 1.0が正式リリースされています。

開発の原点は「今WordPressを一から作るならどうなるか」という問いだったとCloudflareは説明しています。

中身は既存CMSを少し改修したものではなく、Astroをベースにした別のシステムです。MCPサーバーも標準で備えており、公式ドキュメント上では、AIから記事を読んだり作ったり、編集・公開・予約投稿をしたり、メディアを扱ったりできます。

また、CloudflareのWorkers、D1、R2などとも組み合わせやすく作られています。EmDashが広がれば、結果としてCloudflareの各サービスを使う入口にもなり得ます。

EmDash 1.2.0をMacで動かしてみた

今回試したのは、2026年10月7日時点のEmDash 1.2.0です。1.2.0自体もGitHub上で日本時間の10月7日朝に公開されています。

公式のStarter構成で、Node.jsとSQLiteを使い、画像もMacの中へ保存しています。Cloudflare WorkersやD1、R2へはデプロイしていません。

以下に書くのは、このローカル環境で試した範囲の話です。

セットアップ自体はCodexに任せました。ブラウザだけで完結するWordPressのレンタルサーバー導入とは違い、最初にNode.js環境を用意してプロジェクトを作る必要があります。ただ、今回はセットアップ方法の解説が目的ではないので、詳しい手順は省きます。

拍子抜けするほど普通の管理画面

管理画面を開いたときの第一印象は、「思ったより普通だな」でした。開発者向けのとっつきにくい画面を想像していたので、少し拍子抜けしました。

Pages、Posts、Media、Categories、Tagsなど、WordPressユーザーにも見慣れた項目が並びます。投稿画面にはタイトル、本文、Featured Image、カテゴリーやタグがあり、SEOタイトル、メタディスクリプション、canonical、noindex、OG画像などの設定欄もあります。

WordPressを使っている人なら、細かい違いはあっても、どこで何をするかはだいたい分かると思います。

EmDash 1.2.0の投稿編集画面。タイトル、アイキャッチ、本文、Live versionなどの項目が表示されている

ただし、日本語化はまだ途中です。日本語になっているところも多い一方で、英語のまま残っている項目もあります。

1.0の正式公開からまだ間もないので仕方ない部分ではありますが、日本語版WordPressの整い方に慣れていると、まだ若いCMSだということは感じます。

Touch IDでPasskeyを作れた

初期アカウント作成では、メールアドレスと名前を入力したあと、Passkeyを登録しました。MacではTouch IDに指を置くだけで完了しました。

メールリンクでログインする選択肢も画面上に用意されていました。今回はメールリンクでのログイン自体は試していません。

APIパスワードやOAuth、Keychainなど、認証の扱いで何度も悩んできた身としては、この部分はかなり簡単でした。

認証の仕組みを後から足すのではなく、最初からPasskeyを選べるようにしているところは、新しいCMSらしいと感じます。

MacのTouch IDを使ってEmDashのPasskey作成が完了した画面

投稿画面でもう一つ気になったのが「Live version」という表示です。

公式ドキュメントによると、公開済みの記事をMCPから更新した場合も、公開版を残したまま変更内容をdraftとして保持し、差分を確認してから公開できる仕様になっています。

AIに記事を触らせるのであれば、「AIが変更した」と「読者へ公開した」を分けられるのは安心材料になりそうです。

ただし、今回は書き込みを試していません。自分で確認したのは、管理画面に「Live version」と表示されているところまでです。

CodexからEmDashの記事を直接読ませてみた

ここからが今回、一番確かめたかったところです。

Codex Desktopから、ローカルのEmDashに標準で入っているMCPへ接続しました。

OAuth画面に、管理者権限までチェックが入っていた

接続すると、ブラウザにOAuthの承認画面が表示されました。

今回Codex側から要求された権限には、記事の読み書き、メディアの読み書き、設定変更、インポート・エクスポートなどに加えて、「Full administrative access」まで含まれていました。しかも、初期状態ではすべてチェック済みです。

EmDashのOAuth承認画面で、記事、メディア、設定、管理者権限など多数の権限が選択されている

EmDashの公式ドキュメントでも、MCPクライアントが要求した権限は最初すべて選択された状態で表示されると説明されています。最終的な権限は、残したscopeと、そのEmDashユーザー自身のRoleの両方で制限されます。

権限を要求しているのはCodex側なので、EmDashが勝手に管理者権限を取りに来ているわけではありません。ただ、それを最初からすべてチェックした状態で表示するのはEmDash側の設計です。

管理者権限のような強い権限まで最初から選択済みなのは、初期状態としてはもう少し控えめでもいいのでは、と感じました。確認せずに承認していたら、そのまま広い権限を許可していたかもしれません。

チェックは一つずつ外せるので、絞るかどうかは利用者次第です。

残したのは「読む」と「構造を見る」だけ

今回はほとんどのチェックを外しました。

残したのは「Read content」と「View collection schemas」の2つだけです。記事を読むための権限と、記事の構造を見るための権限で、書き込み、画像操作、設定変更、管理者権限などは外しました。

EmDashのOAuth承認画面でRead contentとView collection schemasの2項目だけを残した状態

なお、実際のテストで使ったのは記事一覧の取得と本文の取得だけです。「View collection schemas」は許可しましたが、schemaそのものを取得する操作までは試していません。

最初から全部をAIへ許可する必要はありません。今回は読むだけにしました。

本文を貼っていないのに、CodexがWelcomeを読んだ

CMSの記事をAIが直接読み取り、人による本文のコピー作業が減る様子を示したイラスト

OAuthを承認したあと、Codexにサンプル投稿「Welcome」を確認してもらいました。CodexはPostsの一覧を確認し、その中からWelcomeを取得しました。

返ってきたのは、タイトル、本文、そしてpublishedという公開状態です。

私は本文をコピーしていません。URLも渡していません。頼んだのは「Welcomeを読んで」だけです。

これまでなら、記事を開いて本文をコピーし、AIへ貼っていました。直ってきた文章を、またCMSへ戻していました。

今回は、そのうちの片道、CMSからAIへ本文を運ぶ作業がありませんでした。

9月にCloudflareをMCPでつないだとき、管理画面を確認してAIへ報告する作業がなくなりました。それと同じことが、今度はCMSの記事そのもので起きました。

サンプル記事を一本読ませただけではあります。でも、今年ずっと手作業で往復してきた自分には、この違いはかなり大きく感じられました。

つまずいたのは、EmDashではなくAI側だった

もちろん、一発で終わったわけではありません。

CodexにはEmDash以外のMCPも登録してあり、最初に起動したとき、以前登録していたCloudflare側の接続まで自動的に動き、その認証更新でエラーになりました。

その後、EmDashだけを有効にした状態で実行すると、問題なくWelcomeを取得できました。

今回つまずいた原因はEmDashではなく、AI側の接続設定でした。ただ、この出来事は意外と重要だと思っています。CMS側で権限を細かく管理していても、AI側に何が接続されているのか把握していなければ、別のところで問題が起きます。

AIとの接続が簡単になるほど、CMS側とAI側の両方を確認する必要がありそうです。

今回あえて試さなかったこと

EmDashのMCPは、公式ドキュメント上ではかなり幅広い操作に対応しています。

ただし、今回私が自分で確認したのは読み取りまでです。

操作EmDash公式MCP今回自分で確認
記事一覧を見る対応確認済み
記事本文を読む対応確認済み
新しい記事・下書きを作る対応未確認
記事を編集する対応未確認
公開・予約投稿する対応未確認
画像をアップロードする対応未確認
画像のALTを変更する対応未確認

最初から書き込み権限まで与えて全部試すこともできましたが、今回はやめました。

まず読むだけにして、問題がなければその先を考える。それくらいでいいと思っています。書き込みまで試すかは、もう少し使ってから考えます。

WordPressとEmDashの比較

今回のテーマに関係するところだけ、WordPressとEmDashを並べてみます。

これはCMS全体の優劣を決める表ではありません。AIと一緒にブログを運営するという観点から、今回気になった部分を整理したものです。

比較ポイントWordPressEmDash 1.2.0
AIとの接続口Abilities API+MCP Adapterを公式整備。私は未検証MCP標準搭載。読み取りまで実機確認
AIに渡す権限ユーザー権限+利用する連携方法によるOAuth scope+Role。今回はscopeを手動で制限
管理画面へのログインコアの標準は従来のパスワード方式。Passkeyなどは追加可能Passkeyは実機で作成。メールリンクでのログインも用意あり
公開済み記事の修正標準的な運用では、更新すると本番へ反映ドキュメント上は公開版を残してdraft変更を保持。私は未検証
SEO設定SEOプラグインを使う運用が一般的title、description、canonical、noindex、OG画像などを標準UIで確認
日本語環境長年の蓄積があり成熟日本語化されているが、まだ英語も残る
困ったとき日本語情報が非常に多い現状は公式ドキュメントとGitHubが中心
WordPress資産の移行移行不要WordPressインポーターあり。ただし事前検証は必要

今回触った範囲では、EmDashはAIとの接続口が最初から用意されている分、接続までの流れが分かりやすく感じました。

一方、日常運用まで含めればWordPressの積み重ねはやはり大きいです。特に困ったときの情報量は比較になりません。

何か壊れたとき、日本語で検索すれば、何年も前に同じ問題に遭遇した人の記事が見つかる。こういう蓄積は、新しいCMSが短期間で用意できるものではありません。

それでも、今はまだWordPressからEmDashへ移行しない

AI連携を前提とした新しいCMSと成熟した既存CMSを前に、移行を急がず考える人のイラスト

現時点で、私はWordPressからEmDashへ乗り換える予定はありません。

WordPressは20年以上使われ、問題が出ては直され、多くの人に使われ続けてきました。その実績自体に大きな価値があります。

一方、EmDashにはWordPressから移行するためのインポーターも用意されています。WordPressユーザーを意識していることは、このあたりからも感じます。

ただし1.1.0時点では、ページ構造が崩れる不具合や、カスタムフィールド・メニューを取り込めない問題が報告されています。私が試した1.2.0でどこまで改善しているかは確認していません。

だからといって、「EmDashのインポーターは使えない」という話ではありません。ただ、長年運営してきたブログを移すなら、私はまだ十分な検証なしではやりたくありません。

ブログ移行で欲しいのは「98%成功しました」という結果ではありません。

残りの2%はどこへ消えたのか、という話です。

その2%に、URL、内部リンク、画像、SEO情報、過去記事の一部などが入っていたら困ります。

しかもWordPress側でも、AIとの連携基盤は整い始めています。今のところ、リスクを取って急いで移る理由はないと判断しています。

まとめ:EmDashの進化に期待

EmDashを少し触っただけですが、かなり期待しています。

正直、WordPressっていちいち面倒なんですよね。グーテンベルクも、私はいまだにあまり気に入っていません笑

今回確認できたのは、CodexがEmDashの記事を直接読めるところまでです。それだけでも、これまで自分で本文をコピーしてAIへ渡していた作業が一つ消えました。

公式ドキュメントを見る限り、記事の作成や編集、画像のアップロード、公開までMCPから操作できるようになっています。もしこうした作業をAIとの会話だけで安全に済ませられるようになれば、人間はもっと「何を書くか」に集中できるようになるのかもしれません。

そして私が一番期待しているのは、EmDashが進化することでWordPress側にも良い刺激が入ることです。

EmDashが「AIと一緒に使うCMSとはこういうものだ」と見せれば、WordPressもさらにAIとの連携を進めるかもしれません。

私としては、それが一番ありがたいです。だって、EmDashへブログを丸ごと移行する作業が一番面倒そうですから笑

当面はWordPressを使いながら、EmDashがどう進化していくのか見ていこうと思います。

参考までに。それでは!

参考資料

この記事の事実確認には、主に以下の公式資料とGitHub情報を参照しました。本文中で自分が実際に確認したことと、公式資料に書かれている機能は分けて記載しています。

WordPress

Cloudflare / EmDash

GitHub

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