*この記事は、もともとUFC 323の試合前予想記事として公開したものを、試合後の結果を踏まえてリライトしたものです。
平良達郎選手が、元UFCフライ級王者ブランドン・モレノを2R 2分24秒、パウンドによるTKOで撃破しました。
ただ勝っただけではありません。
元王者相手に、自分の最大の武器であるグラウンドに持ち込み、最後はバックからのパウンドで止め切りました。
内容も含めて、かなり大きな勝利だったと思います。
1Rはモレノの三角絞めに捕まり、見ている側としてはヒヤッとする場面もありました。
しかし2Rの平良は一気に修正します。
組んで倒し、マウントを取り、バックに回ってボディトライアングルで固め、最後はパウンドで仕留める。
流れとしては、ほぼ完璧でした。
試合前の私は、この試合を「平良のグラップリング vs モレノのボクシングと経験」と見ていました。
その見立て自体は、大きく外れていなかったと思います。
ただ、平良がモレノをここまで明確にフィニッシュまで持っていくとは、正直予想以上でした。
この記事では、UFC 323の平良達郎 vs ブランドン・モレノを振り返りながら、試合前の予想がどこまで当たっていて、どこが予想以上だったのかを整理していきます。
試合結果と勝利の意味
UFC 323で、平良達郎選手はブランドン・モレノに2R TKO勝ちしました。
モレノは元UFCフライ級王者であり、フライ級を長く盛り上げてきたトップ選手です。
タフで経験があり、簡単に崩れるような相手ではありません。
そのモレノを、平良はグラウンドで捕まえて、最後はバックからのパウンドで止めました。
判定で競り勝ったのではなく、元王者をフィニッシュした。
しかも偶然の一発ではなく、組み、倒し、ポジションを進め、逃がさず殴るという、自分の得意な流れで試合を終わらせました。
これは、タイトル挑戦を訴えるうえでかなり説得力のある勝ち方でした。
試合後に平良選手は王座挑戦をアピールし、同じ大会でジョシュア・ヴァンが新王者になったことで、タイトル挑戦は一気に現実味を帯びました。
2026年5月1日時点では、平良達郎 vs ジョシュア・ヴァンのUFCフライ級タイトルマッチがUFC 328で予定されています。
つまり、このモレノ戦は「すごい勝利だった」で終わる試合ではありません。
日本人初のUFC王者に向けて、平良が本当に王座戦線のど真ん中に入った試合だったと思います。
平良達郎強すぎる!
1Rはモレノの怖さが出た
ただし、試合全体を見ると、最初から最後まで楽に勝ったわけではありません。
1Rは、むしろモレノの怖さが出たラウンドでした。
平良が組みに行った流れからグラウンドになり、モレノは下から三角絞めを狙います。
この場面は見ていて怖かったです。
完全には極まっていないように見えましたが、平良もすぐには抜けられません。
モレノは三角絞めをキープしながら、腕も狙っていました。
あの状態で焦って雑に動けば、一気に極められてもおかしくない状況です。
しかし、平良はパニックになりませんでした。
見ている側は、首は大丈夫か、腕を取られないかとヒヤヒヤしました。
それでも平良は焦ることなく少しずつ対処し、最後は首を抜いて、ラウンド終了間際には上体を起こして反撃する形まで作りました。
この1Rがあったからこそ、2Rの凄さが際立ったと思います。
もし最初から一方的に支配していたら、「やっぱり平良の寝技は強いね」で終わっていたかもしれません。
実際には、1Rでモレノの経験と引き出しを見せられました。
そのうえで、2Rに平良が修正して一気に試合を終わらせた。
ここが、この試合の一番面白いところでした。
2Rの平良達郎はほぼ完璧だった
2Rの平良は、勢いで突っ込んだわけではありません。
打撃を見せて組みに入り、倒してポジションを進め、最後にフィニッシュまで持っていく。
この一連の流れが、本当に滑らかでした。
特に印象的だったのは、テイクダウンからバックを取るまでの速さです。
平良が組みつき、モレノを倒す。
そこからマウントを取り、モレノが逃げようとしたところでバックに回る。
この時点で、かなり平良の形でした。
さらに、バックを取ってからのボディトライアングルでモレノの動きが制限されます。
そのうえで、平良はただ背中に乗っているだけではなく、しっかり殴れる位置を作っていました。
だから、パウンドが効いてきます。
モレノが防御に回る。
平良がさらに殴る。
モレノの動きが止まる。
そこでレフェリーが試合を止める。
この流れでした。
試合後に「ストップが早かったのでは?」という見方もありました。
たしかに、モレノほどタフな選手なら、もう少し見たかったという気持ちはわかります。
ただ、あの場面のモレノはかなり悪い体勢でした。
バックを取られ、体を固められ、防御も追いついていない。
しかも相手は、ポジションを失わずに殴り続けられる平良です。
あのまま続いても、モレノが一気に脱出できたかというと、かなり難しかったと思います。
あの2Rは、ただのフィニッシュではありません。
平良が元王者を完全に捕まえたラウンドでした。
勝つとは思っていたけれど、こんな勝ち方をするとは…想像を超える!
試合前の予想は当たっていたのか
試合前の私は、この試合をかなりシンプルに見ていました。
「平良のグラップリング」vs「モレノのボクシングと経験」。
平良が勝つには、モレノの打撃と経験をかいくぐって、どこかでグラウンドに持ち込む必要がある。
逆にモレノは、平良に簡単に組ませず、打撃とスクランブルで試合をコントロールしたい。
そういう構図を想定していました。
実際、1Rはかなりその通りでした。
平良が組み、モレノが下から三角絞めを狙う。
グラウンドに持ち込んだからといって、平良が簡単に支配できるわけではない。
「モレノの経験は怖い」と思っていた部分が、1Rでそのまま出た形です。
ただ、予想以上だったのは2Rです。
試合前は、平良が勝つとしても、もっと競った展開になると思っていました。
判定勝ちか、後半にバックを取って一本。
そんなイメージの方が強かったです。
しかし実際には、2Rで一気に倒して完全に捕まえ、パウンドで止めました。
試合前の焦点は、「平良がモレノをグラウンドで支配できるか」でした。
でも実際には、支配するだけではありませんでした。
平良は元王者を逃がさず、最後まで仕留め切りました。
ブランドン・モレノを止めた意味、そしてヴァン新王者誕生の影響
ブランドン・モレノは、UFCフライ級の歴史に残る選手の一人です。
デイブソン・フィゲイレードとの名勝負を含めて長くトップ戦線で戦い、タフで気持ちが強く、劣勢になっても簡単には折れない選手です。
そのモレノをフィニッシュした意味は、単なるランキング上の勝利ではありません。
世界トップの実力者を相手に、自分の勝ち筋を押し通せることを証明した試合でした。
「平良達郎は寝技が強い」というだけではありません。
「寝技に持ち込んだ後、相手を逃がさず試合を終わらせられる」ということを、元王者相手に見せたわけです。
一度捕まったら、ただ凌げばいいわけではない。
ポジションを進められ、固められ、削られ、最後は止められる。
モレノ戦の平良には、そういう怖さがありました。
同じUFC 323では、フライ級タイトルマッチも行われました。
王者アレッシャンドリ・パントージャ vs 挑戦者ジョシュア・ヴァン。
試合前の私は、正直パントージャが勝つのではないかと思っていました。
ヴァンは勢いがあるけれど、パントージャの経験と泥臭さに飲み込まれるのではないかと。
でも、試合はまさかの展開でした。
開始早々にパントージャが腕を負傷し、ジョシュア・ヴァンが1R 26秒TKO勝ち。
ヴァンが新UFCフライ級王者になりました。
この結果は、平良にとっても大きな意味を持ちます。
若い新王者ヴァン。
元王者モレノを止めた平良。
この2人がタイトルをかけて戦う流れは、かなり自然です。
そして実際に、平良達郎 vs ジョシュア・ヴァンのタイトルマッチが組まれています。
当初UFC 327で予定されていたこのタイトルマッチは、ヴァンの負傷によりUFC 328へ延期されています。
直前変更があるのが格闘技なので、最後まで油断はできません。
それでも、日本人選手がUFCの王座に挑むところまで来ている事実は変わりません。
これはもう、夢物語ではありません。
日本人初のUFC王者が、現実のスケジュールに乗ってきました。
ロイバル戦からの進化、そして次のヴァン戦
平良達郎にとって、ブランドン・ロイバル戦の敗北はかなり大きかったと思います。
無敗で駆け上がってきた平良が初めて敗れた試合。
しかも、勝てる場面もありながら、5Rを通してトップ選手のしぶとさと経験を見せつけられた試合でした。
あの敗戦は、見ている側としてもかなり悔しかったです。
しかし今回のモレノ戦を見ると、あの敗戦が無駄ではなかったことがわかります。
1Rで嫌な形になっても焦らない。
相手の経験に飲まれない。
2Rでしっかり修正する。
チャンスが来たら逃さない。
ポジションを取ったら、最後まで仕留め切る。
このあたりに、ロイバル戦以降の成長を感じました。
以前の平良も強かったです。
でも、今回の平良は「強い若手」というより、もうトップコンテンダーの戦い方でした。
ただ、次に見えているジョシュア・ヴァン戦は、また違う怖さがあります。
ヴァンは若く勢いがあり、打撃の回転も速い選手です。
モレノのような経験値とは別の意味で、試合のテンポを一気に持っていく怖さがあります。
平良としては、モレノ戦と同じように組んで倒して、ポジションを進めたいところです。
ただ、ヴァン相手にどれだけ安全に距離を詰められるのか。
打撃の交換でどこまでリスクを抑えられるのか。
そして、組んだ後にどれだけ早く自分の形に持ち込めるのか。
ここが大きなテーマになると思います。
モレノ戦が、平良のグラップリングが元王者に通用することを証明した試合だとすれば、ヴァン戦はベルトに届くのかを確認する試合です。
ここまで来たら、もう期待せずにはいられません。
まとめ:平良達郎は「期待の若手」から「王座挑戦者」になった
平良達郎 vs ブランドン・モレノは、平良のキャリアの中でもかなり重要な試合でした。
試合前の焦点は、「平良のグラップリングがモレノに通用するのか」でした。
結果は、通用するどころではありませんでした。
1Rこそ三角絞めに苦しみましたが、2Rには完全に修正。
テイクダウンからマウント、バック、ボディトライアングル、パウンドまで、平良の強さが全部出たような試合でした。
元王者モレノを相手に、あの勝ち方。
本当にすごいです。
そして、ジョシュア・ヴァンが新王者になったことで、タイトル挑戦は一気に現実になっています。
もう「いつか日本人初のUFC王者が見たい」ではありません。
「次で本当に見られるかもしれない」ところまで来ています。
平良達郎は、もう単なる期待の若手ではありません。
UFCフライ級の王座に手をかけた、日本MMAの最前線にいる選手です。
次のジョシュア・ヴァン戦で、平良のグラップリングがどこまで通用するのか。
そして、日本人初のUFC王者は本当に誕生するのか。
ここまで来たら、あとはもう見届けるしかありません。
参考にしたサイト
- UFC公式:Main Card Results|UFC 323: Dvalishvili vs Yan 2
- UFC公式:Official Scorecards|UFC 323: Dvalishvili vs Yan 2
- MMA Fighting:UFC 323 video: Tatsuro Taira stops Brandon Moreno with vicious ground and pound attack
- MMA Fighting:New UFC 327 main card revealed after Joshua Van vs. Tatsuro Taira cancelled
- Reuters:Report: Alexandre Pantoja has elbow injury, not shoulder
- ESPN:Van’s injury pushes title defense vs. Taira to UFC 328 in May


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