「アマテラス粒子」はどこから来た? 太陽や超新星から考える宇宙線の謎

地球へ飛来する粒子と大きな文字を配し、非常に高いエネルギーを持つアマテラス粒子の出発地点が未解明である謎を表す宇宙線のイラスト 科学・歴史・文化
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たった1個の粒子が、飛んでいる野球のボールと同じくらいのエネルギーを持っていました。

2021年、アメリカのユタ州で観測された「アマテラス粒子」のことです。推定されたエネルギーは約40ジュール。重さ約145グラムの野球ボールを時速84キロメートルほどで投げたときの運動エネルギーに相当します。

ボールは膨大な数の原子の集まりです。そのボールの運動エネルギーに匹敵する量を、原子核ほどの小さな粒子1個が持っていたわけです。同じなのはエネルギーの量で、野球のボールと同じぶつかり方をするという意味ではありません。

ずいぶん不思議な話に聞こえますが、宇宙には太陽がありますし、それより激しい超新星爆発もあります。「そんな宇宙なら、とんでもないエネルギーの粒子が飛んできても当たり前なのでは?」と思いませんか。

研究者は、この粒子が大気に入ったときに生まれた大量の粒子群から、元のエネルギーを推定しました。ところが、何がそこまで加速したのか、どこから来たのかは、まだ分かっていません。元の粒子の種類も確定していないのです。

なぜ、太陽や星の爆発があるだけでは、この粒子を説明できないのでしょうか。

太陽は強力なのに、なぜアマテラス粒子ほど加速できないのか

まず、アマテラス粒子は「宇宙線」と呼ばれるものの一つです。宇宙線という名前からは光や電波を想像しがちですが、この記事で主に扱うのは、宇宙から飛んでくる高エネルギーの陽子や原子核です。

「アマテラス粒子」は、2021年5月27日に観測された、この1個の宇宙線に付けられた愛称です。名前は日本神話の太陽神に由来しますが、太陽から来たという意味ではありません。

宇宙線の正体を理解するために、粒子について少し整理しておきましょう。陽子はプラスの電気を持ち、中性子は電気を持たない粒子です。これらが原子の中心にある原子核をつくっています。いちばん単純な水素の原子核は陽子1個、炭素や鉄などの原子核は複数の陽子と中性子からできています。

こうした粒子は、宇宙のさまざまな場所で加速されます。太陽の活動で加速されるものもあれば、太陽系の外からやって来るものもあります。エネルギーの高さもさまざまで、光の速さに限りなく近い速度で飛ぶものもあります。

その中で、アマテラス粒子のエネルギーはどれほど特別なのでしょうか。まずは、私たちに身近な太陽が加速する粒子と比べてみましょう。

太陽は、中心部で軽い原子核が結び付く「核融合」によって、膨大なエネルギーを生み出しています。私たちが地球で受け取る光や熱も、その一部です。それほど強力な天体なら、粒子1個にも莫大なエネルギーを与えられそうに思えます。しかし、太陽全体が放つエネルギーの大きさと、粒子1個をどこまで加速できるかは、別の問題です。

太陽で粒子の加速に関わるのは、太陽フレアやコロナ質量放出といった活動です。太陽フレアは、太陽の大気で磁場に蓄えられたエネルギーが急激に解放される現象です。磁場とは、磁石が周囲に作るような、磁力の働く空間の状態です。また、コロナ質量放出では、太陽から大量のガスが噴き出します。こうした激しい活動によって、陽子や重い原子核などが高いエネルギーを得ます。

そのエネルギーを、数値で比べてみましょう。小さな粒子の世界では「電子ボルト(eV)」という単位がよく使われ、10億電子ボルトを1 GeV(ギガ電子ボルト)と呼びます。NASAの資料では、特に強い太陽粒子現象で、陽子が数GeVに達することが説明されています。

ところが、この数GeVと比べても、アマテラス粒子の推定エネルギーは数百億倍以上です。太陽の激しい活動が加速する粒子と比べても、桁違いなのです。

太陽がどれほど明るく輝くかと、1個の粒子をどこまで加速できるか。アマテラス粒子の謎を考えるには、この二つを分ける必要があります。では、太陽よりも激しい超新星爆発なら、そのエネルギーに届くのでしょうか。

超新星でも、粒子の加速には限界がある

超新星残骸の衝撃波と周囲の磁場を描き、加速領域にとどまれる条件が限られ、粒子が外へ逃げることで加速が制約される様子のイラスト

巨大な星が一生の最後に起こす超新星爆発では、大量のガスが猛烈な勢いで広がります。そのガスが周囲のガスを押しのけることで、衝撃波が生まれます。衝撃波とは、圧力や密度、流れの速さなどが急激に変わる境目のことです。

こうした爆発の跡を「超新星残骸」と呼びます。その衝撃波は、粒子を加速する重要な場所です。ただし、爆発の勢いで粒子が一度押し飛ばされるだけではありません。

電気を帯びた粒子は、周囲の磁場の乱れによって進む向きを変えられます。その結果、衝撃波の前後を何度も行き来し、そのたびにガスの流れからエネルギーを受け取ることがあります。こうして粒子のエネルギーを高める仕組みが「衝撃波加速」です。

ここでいう「加速」は、速さが目に見えて増し続けるという意味ではありません。粒子が光速に非常に近づくと、エネルギーが大きく増えても、速さの増加はごくわずかになります。同じように「ほぼ光速」と呼ばれる粒子でも、持っているエネルギーには大きな違いがあるのです。

超新星残骸で粒子が加速されることには、観測の裏付けもあります。NASAのフェルミ・ガンマ線宇宙望遠鏡は、そこで加速された陽子が周囲のガスに衝突したことを示す、特徴的なガンマ線を捉えました。ガンマ線は、光の仲間の中でもエネルギーが高いものです。

ただし、粒子を加速できることと、アマテラス粒子ほどのエネルギーに届くことは別です。ここでも、粒子1個にどこまでエネルギーを与えられるかが問題になります。

何度もエネルギーを受け取るには、粒子が加速される場所にとどまる必要があります。ところが、同じ種類の粒子なら、エネルギーが高くなるほど磁場で曲げにくくなり、その場所から逃げ出しやすくなります。強い磁場があっても、その広がりが足りなければ、粒子を十分に閉じ込めておけません。

では、磁場が強く、広く分布していればよいのでしょうか。それだけでも不十分です。加速を続けられる時間が必要ですし、途中で粒子がエネルギーを失ったり、原子核が壊れたりする過程も考えなければなりません。

さらに、粒子の種類によっても条件は変わります。鉄の原子核には陽子が26個あり、陽子1個の26倍のプラスの電気を持っています。同じエネルギーなら、電気の量が多い粒子ほど磁場で曲がりやすくなります。そのため、同じ強さと広がりの磁場でも、鉄のような原子核は、陽子より高いエネルギーまで閉じ込めておけます。

ただし、閉じ込められることは、実際にそこまで加速できることの保証ではありません。時間やエネルギーの損失といった条件も、同時に満たす必要があります。

超新星残骸は、私たちの銀河系で多くの宇宙線を加速する有力な場所です。それでも、通常の超新星残骸で想定される条件だけでは、アマテラス粒子ほどのエネルギーを説明するのは難しいと考えられています。

宇宙に大きな爆発があるだけでは、答えになりません。粒子が逃げ出すまでに、途中で失う分を上回るエネルギーを、十分に与えられるか。アマテラス粒子の発生源を探すには、そうした条件を一つずつ確かめる必要があるのです。

小さな粒子1個のエネルギーを、どうやって測ったのか

宇宙線が大気中で衝突して多数の二次粒子へ枝分かれし、地表に並ぶ検出器でその広がりを捉えて元のエネルギーを推定する仕組みのイラスト

アマテラス粒子を捉えたのは、日本やアメリカなどが参加する「テレスコープアレイ実験」です。観測場所は、アメリカ・ユタ州の砂漠でした。

この宇宙線を捉えた地表の観測網は、約700平方キロメートルの範囲に507台の検出器を配置したものでした。これほど広い土地を使うのは、最高エネルギーの宇宙線がめったにやって来ないからです。

ただ、最初の粒子を地上でそのまま捕まえたわけではありません。宇宙線が大気中の原子核と衝突すると、そこから別の粒子が次々に生まれ、大量の粒子が地上へ広がって降り注ぎます。この現象を「空気シャワー」と呼びます。

アマテラス粒子の観測では、23台の検出器がこの粒子群を記録しました。研究者は、それぞれの検出器に届いた信号の量や、到着時刻のわずかな差を調べました。粒子群の広がり方を計算と照らし合わせ、元の宇宙線のエネルギーや飛来方向を推定したのです。

2023年11月に発表された解析結果では、エネルギーは244 EeVと推定されました。1 EeV(エクサ電子ボルト)は10の18乗電子ボルトなので、244 EeVは2.44×10²⁰電子ボルト、日本の大きな数の単位では約2.44垓電子ボルトです。これを日常的なエネルギーの単位であるジュールに直すと約39ジュール、丸めれば約40ジュールになります。

もちろん、推定値には幅があります。原著論文では、統計的な不確かさが±29 EeV、測定の基準や仮定などに関わる系統的な不確かさが+51/−76 EeVと報告されています。244 EeVは、こうした不確かさを伴う中心値です。それでも、観測史上最高級のエネルギーを持つ宇宙線であることは変わりません。

エネルギーを推定できるのに、粒子の種類は分からない?

ここまで聞くと、「そこまで測れるなら、何の粒子かも分かるのでは?」と思えてきます。

ところが、地表検出器が捉えているのは、最初の粒子から生まれた大量の粒子群です。その情報からエネルギーを推定することと、元の粒子が陽子だったのか、鉄などの原子核だったのかを見分けることは、同じ作業ではありません。

粒子の種類を調べる手掛かりの一つは、空気シャワーが大気中のどの深さで最も発達したかです。それを調べるため、テレスコープアレイには、空気シャワーによって大気が出すかすかな光を観測する望遠鏡もあります。しかし、このときは月明かりのため、その望遠鏡は稼働していませんでした。

また、こうした光の観測ができても、1個の宇宙線の種類が必ず確定するわけではありません。空気シャワーにはばらつきがあり、多数の観測と計算を比べながら、どのような粒子が含まれているかを調べます。

アマテラス粒子の場合、地表で記録した粒子群の特徴から、光の粒である「光子」だった可能性は強く否定されています。一方、陽子と、それより重い原子核を区別するには至っていません。

飛んできた方向を見ても、出発地点が見つからない理由

宇宙の磁場で曲がる荷電粒子の軌跡と地球から延ばした直線を描き、観測した飛来方向だけでは発生源を特定できない理由を示す概念のイラスト

アマテラス粒子の謎が大きな注目を集めたのは、そのエネルギーだけが理由ではありません。観測された飛来方向に、発生源として有力な天体が見つからなかったのです。

その方向は「ローカルボイド」と呼ばれる領域と重なっていました。周囲と比べて銀河が少ない、宇宙の比較的空いた領域です。何も存在しない空間という意味ではありませんが、粒子を極限まで加速しそうな天体が簡単には見当たりませんでした。

ただ、飛来方向が、そのまま発生源の方向を示すとは限りません。陽子や原子核は電気を帯びているため、宇宙を進む間に磁場で曲げられます。地球で分かるのは、長い旅を終えた粒子が最後にどちらから入ってきたかです。その向きを宇宙の奥までまっすぐ延ばしても、出発地点に戻れるとは限りません。

どれだけ曲がったかを調べるには、粒子が通った磁場の強さや向きが必要です。しかも、同じエネルギーでも、陽子と鉄の原子核では電気の量が違うので、曲がり方も変わります。磁場にも粒子の種類にも不明な点があり、道筋を一つに決められないのです。

それなら、もっと遠くまで探せば見つかるのでしょうか。

ところが、宇宙にはビッグバンの名残の光である「宇宙マイクロ波背景放射」などが満ちています。極端に高いエネルギーの陽子や原子核は、途中でそうした光と反応してエネルギーを失います。原子核の場合には、陽子や中性子がはがれ、別の核へ変わることもあります。

どこまで高いエネルギーを保って進めるかは、粒子の種類や最初のエネルギーによって異なります。アマテラス粒子ほどのエネルギーを地球で観測したという事実は、発生源の距離を考えるうえでも制約になるのです。

つまり、方向が合いそうな天体でも、地球に届くまでに観測されたエネルギーを保てないなら説明になりません。近くに強力な天体があっても、そこから来た道筋が観測と合うかを確かめる必要があります。

さらに、過去の一時的な爆発が発生源だった可能性もあります。磁場で曲がった宇宙線は、その現象の光より遅れて届くことがあるためです。今、明るく活動して見える天体だけを探せば済む話でもありません。

出発時の粒子が何だったか、途中でどう変わったか、どの道を通ったか。地球での観測からこれらをさかのぼるのは、なかなか難しい作業なのです。

2026年の研究では、どんな可能性が見えてきたのか

銀河と重い原子核の模式図に虫眼鏡を添え、アマテラス粒子の発生源候補と粒子の種類について異なる仮説を検証している研究のイラスト

最高エネルギーの宇宙線を作る候補としては、活動銀河や、星が活発に生まれる銀河、激しい天体の爆発などが研究されています。活動銀河とは、中心部から大量のエネルギーを放出している銀河です。超巨大ブラックホールの周囲に落ち込む物質や、そこから噴き出す高速の流れなどが、粒子の加速に関わると考えられています。

ただし、強力そうな天体の名前を挙げれば、それでアマテラス粒子の説明がつくわけではありません。粒子を加速できる条件に加え、地球まで届く過程も観測と合う必要があります。ここでは、2026年に学術誌に掲載された二つの研究を見てみましょう。

M82は、出発地点の候補になるのか

磁場で曲げられた道筋をたどり直すと、出発地点はローカルボイドの外にもあり得ます。その可能性を詳しく調べたのが、一つ目の研究です。

研究チームは、宇宙線が磁場で曲がることと、途中でエネルギーを失うことを組み合わせ、観測された方向とエネルギーに合う出発地点をコンピューターで調べました。その際、アマテラス粒子は発生源を出たときに鉄の原子核だった、と仮定しています。

出発時には鉄でも、途中で核子を失えば、地球に来たときの種類は変わります。核子とは、原子核をつくる陽子と中性子のことで、研究ではこの変化も計算に含めています。

その結果、公表されたエネルギーの中心値を使い、重い原子核として地球に到着した場合には、推定された発生源の候補領域に「M82」が含まれました。M82は比較的近くにある、盛んに星が生まれる「スターバースト銀河」です。一方、観測の不確かさを考えてエネルギーを低めに置いた計算では、M82は、この研究で求めた候補領域から外れる結果になりました。

同じ観測でも、粒子の種類やエネルギー、磁場の表し方によって、探すべき場所は変わります。M82が発生源だと決まったわけではありません。それでも、「銀河が少ない方向から来たから、既知の天体では説明できない」とすぐには言えないことが、具体的に見えてきました。

鉄より重い原子核として届いた可能性はあるのか

もう一つは、京都大学などの研究チームによる、粒子の種類そのものに注目した研究です。アマテラス粒子のような最高エネルギーの宇宙線に、鉄より重い「極重原子核」が含まれる可能性を調べたものです。

同じ総エネルギーで比べると、重い原子核では、核をつくる陽子や中性子1個当たりのエネルギーが低くなります。すると、背景の光との反応の起こり方も変わります。粒子が重いか軽いかによって、高いエネルギーを保って進める距離まで変わってくるのです。

この研究では、アマテラス粒子に近いエネルギー領域で、極重原子核が陽子や中間的な重さの原子核よりも、長い距離にわたって高いエネルギーを保ち得ることが示されました。途中で一部の核子を失いながら、なお重い原子核として届く場合も考慮しています。

さらに、この研究で扱う極重原子核は鉄より大きなプラスの電気を持つため、同じエネルギー・同じ磁場なら、鉄の原子核より曲がりやすくなります。粒子の種類を変えて考えると、たどり直した出発方向も変わる可能性があるのです。

こうした核の生成や加速に関わる候補には、中性子星どうしの合体や、大質量星の崩壊があります。中性子星は、大きな星が崩壊した後に残る、非常に密度の高い天体です。ただし、そのような場所で核が壊れずに加速され、外へ出られるかなど、発生源側にも検討すべき問題が残ります。

M82の研究が主に尋ねているのは「どこから来られるか」、極重原子核の研究が広げているのは「どんな粒子が届き得るか」です。「M82か、極重原子核か」という二者択一ではありません。ただし、M82の候補領域は出発時に鉄だったという仮定で求められているため、極重原子核を考えるなら、どこから来られるかも改めて計算する必要があります。

2026年10月時点で、出発地点も粒子の種類も確定していません。それでも、観測を説明するために、どの仮定が重要なのかは少しずつ具体的になっています。

何が分かれば、宇宙線の出どころに近づけるのか

鍵になるのは、まず粒子の種類です。これから届く最高エネルギーの宇宙線を数多く観測し、エネルギーと粒子の種類を詳しく調べる必要があります。

アマテラス粒子に近いエネルギー帯では、陽子などの軽い粒子が中心なのか、鉄のような重い核や、さらに重い核も多く含まれるのか。観測の数が増えれば、特定の方向に偏りがあるかも調べられます。こうした集団としての傾向が分かれば、アマテラス粒子について考える仮説にも、間接的な制約を加えられます。

ただし、2021年の粒子をもう一度観測したり、そのとき記録できなかった空気シャワーの光を後から測ったりすることはできません。残された観測記録の再解析や、同じエネルギー帯の宇宙線との比較はできますが、この1個の種類や発生源まで確定できるとは限らないのです。

宇宙の磁場についての理解を深めることも必要です。粒子の種類だけでなく、通ってきた場所の磁場も、その道筋を決めるからです。

途中でエネルギーを失う現象は、探す範囲を狭める手掛かりにもなります。粒子の種類が分かれば、どこまで遠くから届き得るかも絞れるからです。

ニュートリノは、別の手掛かりを運んでくる

宇宙の加速現場を探るうえでは、南極の「IceCubeニュートリノ観測所」の研究も手掛かりになります。ニュートリノは、陽子や原子核とは別の、電気を持たない粒子です。磁場で進む方向を曲げられず、ほかの物質とも反応しにくいという特徴があります。

高エネルギーの陽子などが周囲の物質や光と衝突すると、その反応の途中でニュートリノが生まれることがあります。届いた方向を調べれば、宇宙のどこで粒子の加速や衝突が起きているかを探る手掛かりになります。

IceCubeは2022年、NGC 1068という活動銀河の方向から来る高エネルギーニュートリノの証拠を発表しました。2026年には、X線で明るい複数の活動銀河をまとめて調べた解析で、ニュートリノ信号の統計的な兆候も報告されています。

ただ、ある銀河からニュートリノが来たことは、その銀河がアマテラス粒子を作った証拠にはなりません。観測しているエネルギー領域も異なり、どの粒子がどこまで加速されたかは別に確かめる必要があります。

宇宙線のエネルギーや種類、ニュートリノの方向、天体から出る光。それぞれから分かることを合わせると、その天体にどんな加速の仕組みがあり、周囲でどんな反応が起きているかを、より具体的に調べられます。一つの観測だけで答えを出すのが難しいからこそ、違う情報を組み合わせる意味があるのです。

ニュートリノを使って宇宙を調べる仕組みや、南極の観測施設IceCubeについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
→ 2026年ノーベル物理学賞。南極の氷はなぜ「宇宙を見る目」になったのか

まとめ:知りたいのは、宇宙が粒子を極限まで加速する仕組み

最初の疑問に戻りましょう。太陽も超新星爆発も膨大なエネルギーを放出します。それでも、粒子1個をアマテラス粒子ほどのエネルギーにすることは、当たり前にできる話ではありません。

必要なのは、粒子にエネルギーを渡し続けられる環境です。磁場の強さや広がり、加速に使える時間、途中で失われるエネルギーが関わり、どんな粒子を加速するかによって必要な条件も変わります。これらの条件を満たしたうえで、地球での観測ともつながらなければなりません。

アマテラス粒子は観測され、そのエネルギーは約40ジュールと推定されました。しかし、何がそこまで加速したのか、どこから来たのか、どんな粒子だったのかは、今も研究が続いています。

科学者が知りたいのは、出発地点の天体名だけではありません。宇宙のどこで、どんな粒子が、どのような条件で極限まで加速されるのか。その仕組みを確かめたいのです。

たった1個の粒子の記録から、遠い宇宙で起きたことをたどろうとする。アマテラス粒子の謎は、太陽や星の爆発を「すごいエネルギーだ」と眺めるところから、もう一歩先へ進む問いなのです。

参考資料

資料確認日:2026年10月13日。

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