DolbyとDTSは何が違う?3つの層で整理、歴史で納得

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✅この記事でわかること

  • DolbyとDTSの「何が違うのか」を、技術の層で整理
  • 1992年から2026年までの歴史と、採用の変遷
  • 配信サービス(Netflix、Disney+等)の対応状況と注意点
  • なぜ「どちらが上か」という問いに答えが出ないのか
  • あなたの環境で何を確認すればいいのか

重要:この記事は「なぜこうなったのか」を歴史で理解する深掘り編です。今すぐ問題を解決したい場合は、先に実用編(迷子にしない地図)をご覧ください。

注:Sonosユーザーでない方へ
本記事で何度か出てくる「Sonos Audio In」は、“いま受信している音声形式を確認する画面”のことです。
Sonos以外でも、基本は同じで AVアンプ/サウンドバー/TVの「入力音声情報(Info)」表示で確認できます。
要するに「対応してるはず」ではなく、受信側の表示で“実測”しましょう、という話です。


3行で結論

  • 配信では一般的にDolby Atmos採用が多く、ディスクは時期により両者の採用に変遷がある。
  • DTS:Xは配信参入が遅く(2024年〜)対応機器も限定的。
  • 家庭では最終的にLPCMへ展開されることが多く、結局は「経路と設定」で結果が決まる。

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まず整理:何を指して「Dolby/DTS」と言っているか

私たちが迷子になる最大の理由は、複数の層が混ざって語られることです。まずこれを整理しましょう。

3つの層に分けて考える

3つの積み重なった層によるオーディオ技術構造の概念図。最下層:「組織(Dolby/DTS)」とラベル付けされた強固な基礎ブロック。中間層:「コーデック(配送)」とラベル付けされた輸送コンテナまたはトラック。最上層:「メタデータ(Atmos/X)」とラベル付けされた浮遊する輝く設計図またはきらめき。分離を示すための分解図スタイル。ミニマリストなフラットベクターデザイン。白背景で分離。

層1:陣営(企業・規格)

  • Dolby Laboratories / DTS, Inc.:企業名であり、規格のライセンサー
  • 技術を開発し、映画スタジオや機器メーカーにライセンスを提供

層2:運び方(コーデック・圧縮方式)

  • Dolby Digital、TrueHD / DTS、DTS-HD MA:音声データの「圧縮方式」
  • 限られた帯域で音声を効率よく運ぶための技術
  • 例えるなら、荷物(音声データ)を運ぶための「配送方法」

層3:立体音響(メタデータ)

  • Dolby Atmos / DTS:X:音の「位置情報」を追加する技術
  • 音声データそのものではなく、「この音は上から」といった指示書
  • ベースとなる音声(層2)に付加される情報

家庭での最終形態:LPCM

重要なのは、これらの技術で運ばれた音声は、家庭では最終的にLPCM(生の音データ)として再生されるということです。AVアンプやサウンドバーの中で、圧縮された音声が展開され、スピーカーを鳴らします。

つまり「DolbyとDTSどっちが上?」という問いには、「何の層を比べているか」で答えが変わります。そして最終的な音質は、「どう運ばれたか」よりも「経路と設定」で決まることが多いのです。

詳細はPCM地図をご覧ください。

歴史的背景:なぜ2つの陣営が必要だったのか

1990年代、映画館でデジタル5.1サラウンドを実現するには大きな課題がありました。それは「限られた帯域で、いかに高音質を運ぶか」です。

これは配送に例えるとわかりやすいでしょう。狭い道(帯域制約)で荷物(音声データ)を効率よく運ぶために、各社が独自の圧縮技術(配送方法)を開発しました。DolbyもDTSも、この時代の技術競争から生まれた「運び方の工夫」が原点にあります。

その後、技術は進化しました:

  • ディスク時代:容量が増え、ロスレス(無劣化)方式が可能に
  • 配信時代:帯域制約が戻り、効率的な圧縮が再び重要に
  • 立体音響時代:音の位置情報(メタデータ)を追加する技術が登場

しかし根底にあるのは「限られた条件で、いかに良い音を届けるか」という工夫の歴史です。

なぜ「優劣」では答えが出ないのか

「DolbyとDTSどっちが上?」という問いに答えが出ない理由は、戦っている土俵が違うからです。

採用の場所で決まる実用上の違い

配信プラットフォーム

  • 主要サービスの多くがDolby Atmosを採用
  • DTS:Xは2024年から一部サービスで限定的に開始

ディスク市場

  • 2006-2012年頃:スタジオにより採用が分かれた(詳細は後述)
  • 2012年以降:Dolby Atmosが増加傾向

ゲーム機

  • 本体やタイトル、出力設定により異なる
  • PlayStation、Xbox、Switchでそれぞれ対応状況が異なる

つまり「どちらが音質的に上か」ではなく、「どのプラットフォームが採用したか」で実用上の違いが生まれています。音質の差よりも、「あなたが使うサービスがどちらを採用しているか」の方が重要なのです。

視覚化:技術の進化と分岐

1992 ━━━ Dolby Digital(Batman Returns)
         劇場デジタル5.1時代の幕開け

1993 ━━━ DTS(Jurassic Park)
         劇場での競争激化
         ↓
1997     DVD登場、家庭への普及開始

2005-06  Dolby TrueHD / DD+ 登場
         DTS-HD MA 登場
         ↓
         HD時代:ディスクでのロスレス競争

2012 ━━━ Dolby Atmos(Brave)
         オブジェクトベース音響時代へ

2015 ━━━ DTS:X 登場
         ↓
2010年代後半 Netflix等でAtmos配信開始
         配信での採用拡大

2024年ごろ Disney+でDTS:X開始(限定的)
         ↓
2026     配信:主にDolby Atmos中心
         ディスク:作品により異なる

配信サービスの対応状況(最終更新:2026-02-16)

このセクションは時期により変動します。最新情報は必ず各サービスの公式ヘルプを確認してください。

配信サービスでDolby Atmos/DTS:Xを利用するには、複数の条件を満たす必要があります。「作品が対応している」だけでは不十分で、プラン・デバイス・音響システム・設定の全てが揃って初めて体験できます。

Netflix

対応音声:Dolby Atmos(対応作品のみ)

要件(すべて必須)

  1. プラン:Ultra HDでのストリーミングに対応したプラン(プラン名称は地域で異なる)
  2. デバイス:Atmos対応のストリーミングデバイス
  • 例:Apple TV 4K、Fire TV Stick 4K、対応スマートTV
  1. 音響システム:Dolby Atmos対応のサウンドバーまたはAVアンプ
  • 例:Sonos Arc、Beam Gen 2、Atmos対応AVアンプ+スピーカー
  1. 設定:ストリーミング画質設定が「高」または「自動」
  2. 作品:Atmos対応作品であること(専用アイコンで識別可能)

重要な注意点

  • すべての作品がAtmosに対応しているわけではありません
  • 上記の条件を満たしても、ネットワーク速度や接続方法により結果が変わることがあります
  • 最終的な受信状態は、機器の表示で確認する必要があります

公式情報:Netflix Dolby Atmos要件

Disney+

対応音声

  • Dolby Atmos(一般的に利用可能)
  • DTS:X(IMAX Enhanced、極めて限定的)

Dolby Atmosの要件

  • Atmos対応デバイスと音響システム
  • 対応作品であること

DTS:X(IMAX Enhanced sound)の制約

DTS:Xの配信対応は、Dolby Atmosと比較して極めて限定的です。これは技術的・ビジネス的な理由によるもので、以下の点に注意が必要です:

  1. 対応デバイスが限定的
  • DTS公式の案内(”Now streaming”ページ)では、対応デバイスとして「Android/Google TV搭載テレビの一部」が挙げられています
  • 具体例:Sony、Hisense、Sharp、Xiaomi等の一部モデル
  • 重要:これらは例示であり、対応状況は製品・地域・時期により変わります
  1. 主要ストリーミングデバイスの状況
  • Apple TV、Chromecast、Fire TV等の主要デバイスについては、現時点でDTS:X配信への対応が明記されていません
  • 各デバイスメーカーの公式情報で最新状況を確認してください
  1. 対応作品も限定的
  • IMAX Enhanced対応作品の一部のみ
  • 同一作品でも地域や端末により配信音声が異なる場合があります
  1. 視聴前の確認方法
  • Disney+アプリで作品を選択した際の音声表示で確認
  • 公式ヘルプで最新の対応状況を確認

現実的な選択:Disney+のほとんどのユーザーは、Dolby Atmos版を視聴することになります。DTS:Xを試したい場合は、まずアプリの表示で利用可能な音声を確認してください。

公式情報:

Apple TV+

対応音声:Dolby Atmos(対応作品で利用可能)

要件

  • Apple TV 4K(推奨デバイス)
  • Atmos対応音響システム
  • 対応作品であること

Apple TV 4K上でApple TV+のコンテンツを視聴する場合、Dolby Atmosに対応した作品で立体音響を体験できます。対応状況はデバイス、音響システム、作品により異なります。

公式情報:

Amazon Prime Video

対応音声:Dolby Atmos(対応作品で利用可能)

重要な特徴:Prime Videoはデバイスや視聴環境によって音声体験が変わり得ます

Prime Video公式ヘルプでも、デバイスや環境によって利用できる音声形式が異なり得る旨が案内されています。例えば:

  • あるデバイスでは:Stereo(2.0)
  • 別のデバイスでは:5.1サラウンド
  • 対応デバイスでは:Dolby Atmos

つまり、同じ作品でも視聴するデバイスにより音声体験が大きく変わる可能性があります。対応作品や要件の詳細は、必ず公式ヘルプで確認してください。プランや地域により視聴条件が異なる場合があります。

公式情報:

配信の現状まとめ

2026年時点で、主要配信サービスはDolby Atmosを中心に展開しており、DTS:Xは一部サービスで限定的に利用可能という状況です。

重要な注意点

  • すべての作品が対応しているわけではありません
  • すべてのデバイスが対応しているわけではありません
  • すべての地域で利用できるわけではありません
  • すべてのプランで利用できるわけではありません

実際の受信状態を確認する方法

配信サービスの「対応」表示と、あなたの環境で実際に受信できる音声は異なることがあります。最終確認は実用編で解説している「判定テンプレート(元・出力・経路・受信)」と受信側の入力フォーマット表示 (SonosならAudio In)で行ってください。

参考:Dolby: Where to Watch Dolby Atmos Content

ケーススタディ:なぜこうなったのか

実際の問題事例から、歴史的背景と技術的理由を理解しましょう。

ケース1:「NetflixでAtmosが出ない」

データ帯域幅の比較イラスト。上段:クラウドアイコンが、「ストリーミング(DD+)」とラベル付けされた効率的な細いパイプに繋がっている。下段:ディスクアイコンが、「ディスク(TrueHD)」とラベル付けされた広く巨大なパイプに繋がっている。両方のパイプをデータブロックが流れている。効率性と生の容量の対比を可視化。フラットベクタースタイル。白背景で分離。

よくある状況

  • 「Netflix Atmosに対応している作品を選んだのに、Atmosにならない」
  • 「Ultra HDプランに加入しているのに、サウンドバーでAtmosと表示されない」

背景:配信のAtmosはディスクと違う

主要配信サービスでは、ストリーミング向けの方式でDolby Atmosが提供されています。具体的には:

  • ディスク(Blu-ray):Dolby TrueHD + Atmosメタデータ(ロスレス、高ビットレート)
  • 配信(Netflix等):Dolby Digital Plus + Atmosメタデータ(非ロスレス、低ビットレート)

なぜDD+なのか?配信には「帯域と互換性の制約」があります:

  • TrueHDはDD+より一般に高ビットレートで、ディスク向きになりやすい
  • 配信は帯域・互換性の都合で、効率の良い方式(例:DD+系)が採用されやすい
  • 互換性も高く、多くのデバイスが対応している

つまり、配信とディスクでは「運び方」が違います。そのため、最終的には「経路と設定」で結果が決まるのです。

あなたの環境チェック(Netflix公式の要件に基づく)

  1. プラン:Ultra HD対応プランに加入しているか?
  2. デバイス:Atmos対応デバイスか?(Apple TV 4K、Fire TV、対応スマートTVなど)
  3. 音響システム:Atmos対応か?(Sonos Arc、Beam Gen 2、Atmos対応AVアンプなど)
  4. 設定:ストリーミング画質設定が「高」または「自動」か?
  5. 経路:テレビとサウンドバー/AVアンプの接続は適切か?
  • eARC接続:最も安定(TrueHD/Atmos、Multichannel PCMが通りやすい)
  • ARC接続:DD+/Atmosは通る可能性あり(TrueHDは厳しい)
  • 光デジタル:DD 5.1まで(Atmos不可)
  • 重要:Netflix AtmosはDD+ベースなので、ARCでも通る可能性があります。ただしeARCの方がトラブルが減りやすい傾向にあります

最終確認
上記をすべて満たしても、実際の受信状態は機器の表示で確認する必要があります。「判定テンプレート(元・出力・経路・受信)」で整理し、最終確認は受信側の入力フォーマット表示(SonosならAudio In)で確認してください。

参考:Netflix Dolby Atmos要件

ケース2:「Disney+でDTS:Xを試したいのに出ない」

よくある状況

  • 「Disney+がDTS:Xに対応したと聞いたのに、自分の環境では選択できない」
  • 「Apple TVで視聴しているが、DTS:Xの表示が出ない」

背景:DTS:Xの配信は極めて限定的

Disney+は2024年5月にIMAX Enhanced音声(DTS:X)の配信を開始しましたが、これは「一部の作品を、一部のデバイスで」という極めて限定的な展開です。

技術的背景:DTS:X Profile 2という壁

配信向けのDTS:Xには「DTS:X Profile 2」という規格が使われます。これは配信向けのプロファイル/実装が必要で、既存のDTS:X対応機器でも追加対応が必要になる場合があります

主な制約:

  • チャンネル構成が限定的(例:5.1.4程度)
  • 既存のDTS:X対応AVアンプでも、Profile 2非対応なら再生できない
  • ストリーミングデバイス側も新たな対応が必要

対応デバイスの現状

DTS公式の”Now streaming”ページ(Compatible devicesセクション)では、対応デバイスとして「Android/Google TV搭載テレビの一部」が挙げられています。具体例:Sony、Hisense、Sharp、Xiaomi等の一部モデル。

重要:これらは例示であり、対応状況は製品・地域・時期により変わります。Apple TV、Chromecast、Fire TV等の主要ストリーミングデバイスについては、現時点でDTS:X配信への対応が明記されていません。

現実的な選択

  1. まずDisney+アプリの表示で利用可能な音声を確認してください
  2. 多くの場合、Dolby Atmos版が利用できます
  3. DTS:Xにこだわる場合は、対応デバイスの購入が必要になる可能性があります

最終確認
実用編で解説している「Audio Inの見方」で、実際の受信状態を確認してください。

参考:

ケース3:「なぜBDプレーヤーにDTS-HD MAが多いのか」

よくある状況

  • 「2010年前後に買ったBlu-rayディスクは、ほとんどDTS-HD MAが入っている」
  • 「最近のUHD Blu-rayはAtmosが多い気がする」

背景:ディスク市場の採用変遷

Blu-rayディスク市場では、時期によりスタジオの採用傾向が異なりました。

2006-2012年頃:スタジオで採用が分かれた

この時期、映画スタジオにより採用傾向が異なりました:

  • DTS-HD MA採用が多かった:20th Century Fox、Paramount、Universal、LionsGate等
  • Dolby TrueHD採用が多かった:Warner Bros.、Sony Pictures等

この時期のBlu-rayコレクションを持っている方は、DTS-HD MAのディスクが多く含まれている可能性があります。

2012年以降:Dolby Atmosの台頭

2012年にDolby Atmosが登場し、2015年頃からUHD Blu-rayディスクでの採用が始まると、状況は変化しました。

業界レポート(FlatpanelsHD)のUHD Blu-rayデータベース(2025年6月時点の登録数)では:

  • Dolby Atmos:616タイトル
  • DTS:X:113タイトル

Atmosの採用が多い傾向にあります。

注意:これはデータベースに登録されているタイトル数であり、全体の市場シェアを正確に反映するものではありません。

あなたのBDライブラリへの影響

  • 2010年前後のBD:DTS-HD MAが多い可能性
  • プレーヤーのPCM出力設定を活用すると、接続トラブルを回避しやすい
  • 「現象A/B」セクションで切り分け
  • 2015年以降のUHD BD:Atmosが多い傾向
  • eARC接続推奨(TrueHD/Atmosを通すため)
  • ARC接続では音声が劣化する可能性

最終確認
実際にどの音声で再生されているかは、判定テンプレート(元・出力・経路・受信)で確認してください。

参考:FlatpanelsHD: UHD Blu-ray市場データ

技術史の物語:記念碑的作品たち

新しい音響技術は、その技術の特徴を印象づけやすい作品で導入される傾向があります。ここでは、DolbyとDTSの歴史を象徴する作品を紹介します。

1992: Batman Returns でDolby Digital

Tim Burton監督のBatman Returnsは、Dolby Digital(SR-D)の初期導入作品の一つとして知られています。

劇場でのデジタル5.1サラウンド時代の幕開けを象徴する作品でした。それまでのアナログサラウンドから、デジタル音声への転換点となった記念碑的作品です。

1993: Jurassic Park でDTS

Steven Spielberg監督のJurassic Parkは、DTSが劇場音声として初めて使用された作品です。

恐竜の足音や咆哮を5.1サラウンドで表現するという体験は、当時の観客に強い印象を与えました。特に「ティラノサウルスの足音が劇場を揺らす」という体験は、DTSの技術力を印象づけるものでした。

2012: Brave でDolby Atmos

PixarのBrave(メリダとおそろしの森)は、Dolby Atmosが初めて使用された映画です。

森の中を矢が飛び、音が立体的に動く表現が、Atmosの特徴を印象づけました。「音が頭上を通り過ぎる」という新しい体験は、オブジェクトベース音響の可能性を示すものでした。

一般に、新技術は視覚的・聴覚的に体験の違いが分かりやすい作品で導入されやすい傾向があります。これらの作品は、それぞれの技術の「デモンストレーション」としての役割も果たしました。

あなたの環境診断フロー

この診断は判定テンプレートと連携しています。方向性を立てた後、必ず実際の受信結果を確認してください。

Q1: 主な視聴方法は?
├─ 配信メイン → Dolby Atmos対応環境を検討
│  ├─ Netflix/Disney+など
│  │  └─ 必要なもの:
│  │     • Ultra HD対応プラン(サービスにより異なる)
│  │     • Atmos対応ストリーミングデバイス
│  │     • Atmos対応音響システム
│  │     • eARC接続(推奨)またはARC接続
│  │
│  └─ 複数サービス利用
│     └─ 汎用性の高い組み合わせ例:
│        • Apple TV 4K(多くのサービスでAtmos対応)
│        • eARC対応テレビ
│        • Atmos対応サウンドバー(Sonos Arc等)
│
└─ ディスクメイン → 作品により異なる
   ├─ 2015年以降のUHD BD
   │  └─ Atmosが多い傾向
   │     • eARC接続推奨(TrueHD/Atmosを通すため)
   │     • プレーヤーのビットストリーム出力設定
   │
   └─ 2010年前後のBD
      └─ DTS-HD MAも多い
         • プレーヤーのPCM出力設定が安全
         • または、eARC接続でビットストリーム出力

Q2: 既存のサウンドシステムは?
├─ Sonos Arc / Beam Gen 2
│  └─ eARC接続推奨、Dolby Atmos対応済み
│     DTS音声はPCMへ変換して受信
│
├─ DTS:X対応AVアンプ
│  └─ ディスク:DTS-HD MA、DTS:Xを活用可能
│     配信:DTS:X対応は限定的(デバイス依存)
│     Dolby Atmos対応状況も確認推奨
│
└─ 非対応システム(古いAVアンプ、2.0/2.1システム等)
   └─ まず対応状況を確認
      買い替えを検討する場合、配信メインならAtmos対応を優先

Q3: テレビの接続は?
├─ eARC対応
│  └─ 推奨接続
│     • TrueHD/Atmosが通る
│     • Multichannel PCMが通る
│     • 最も安定
│
├─ ARC(旧規格)
│  └─ 制約あり
│     • DD+/Atmosは通る可能性(配信向け)
│     • TrueHDは厳しい(ディスク向けは制約)
│     • 可能ならeARC対応機器への買い替えを検討
│
└─ 光デジタル
   └─ 大きな制約
      • DD 5.1まで(非ロスレス)
      • Atmos不可
      • 新しい機器への買い替えを強く推奨

最終確認は受信側の入力フォーマット表示(SonosならAudio In)で確認してください。

重要:この診断で方向性は立てられますが、確定は「Audio Inの見方」セクションで解説しているSonos Audio In表示でのみ可能です。

予想と実際は異なることがあるため、ここだけは必ず確認してください。診断は「推測」、Audio Inは「測定」です。

深掘り:なぜDTS:Xは配信で普及していないのか

ケース2で触れましたが、ここではより深く掘り下げます。

技術的・ビジネス的な要因

1. エコシステムの先行:数年単位の差

Netflixが2010年代後半にDolby Atmosを選択した時点で、配信における採用の方向性が定まりました。後発のDisney+も当初はAtmosを中心に展開しました。

DTS:Xの配信参入(2024年ごろ)は数年単位で後発です。この数年の間に:

  • 多くの配信サービスがAtmosを採用
  • 多くのストリーミングデバイスがAtmosに対応
  • 多くのサウンドバー/AVアンプがAtmosに対応
  • 多くのコンテンツがAtmosでミックスされた

すでに形成されたエコシステムを覆すことは容易ではありません。

2. デバイス対応の壁

配信を視聴するための主要なストリーミングデバイス:

  • Apple TV 4K
  • Fire TV Stick 4K / Fire TV Cube
  • Chromecast with Google TV
  • Roku Ultra
  • ゲーム機(PlayStation 5、Xbox Series X等)

これらの多くは、Dolby Atmosには対応していますが、DTS:X配信への対応が明記されていません。

つまり、多くのユーザーにとって「DTS:X配信を視聴する手段がない」という状況です。

3. 新規格(Profile 2)の壁

配信向けDTS:X(Profile 2)は、従来のDTS:Xと互換性がありません。

これは:

  • 既存のDTS:X対応機器でも、Profile 2非対応なら再生できない
  • 機器メーカーが新たに対応する必要がある
  • ユーザーが機器を買い替える必要がある可能性

という普及のハードルを生み出しています。

歴史が示す教訓

技術の優劣よりも、エコシステムの形成が重要という教訓です。

Dolby Atmosは技術的に優れているから普及したのではなく(DTS:Xも優れた技術です)、「主要なプラットフォームが先に採用し、デバイスメーカーが対応し、コンテンツ制作者が採用した」から普及したのです。

この状況を覆すには、DTS:Xが「圧倒的に優れた体験」を提供するか、「主要プラットフォームの全面採用」を獲得する必要がありますが、どちらも容易ではありません。

実用的な結論:2026年にあなたがすべきこと

歴史と現状を踏まえて、2026年時点であなたがすべきことをまとめます。

1. 配信メインなら、Dolby Atmos対応環境を優先する

理由

  • 主要配信サービスがAtmosを採用
  • 対応デバイスが豊富
  • 対応コンテンツが豊富

確認すべきこと

  • 各サービスの要件(プラン、デバイス、音響、設定)
  • すべての作品が対応しているわけではないことを理解
  • サービスごとに要件が異なることを理解

投資の優先順位

  1. eARC対応テレビ(まだなら)
  2. Atmos対応サウンドバーまたはAVアンプ
  3. Atmos対応ストリーミングデバイス(Apple TV 4K等)
  4. Ultra HD対応プラン(サービスにより)

2. ディスクコレクションがあるなら、プレーヤーのPCM出力設定を活用する

理由

  • ロスレス音声は最終的にLPCMで展開される
  • PCM出力なら、接続トラブルを回避しやすい
  • DolbyでもDTSでも、PCM化すれば同じように扱える

確認すべきこと

  • プレーヤーの音声出力設定(ビットストリーム/PCM)
  • テレビのパススルー設定
  • 「現象A/B」セクションで切り分け

3. テレビ経由ならeARCを確保する

理由

  • TrueHD/Atmosが通る
  • Multichannel PCMが通る
  • トラブルが減る

確認すべきこと

  • テレビがeARC対応か
  • サウンドバー/AVアンプがeARC対応か
  • eARCモードが有効になっているか
  • HDMIケーブルがHigh Speed以上か

ARC時代の機器を使っている場合

  • 可能なら買い替えを検討
  • 予算が厳しい場合、配信メイン(DD+/Atmos)なら許容範囲

4. 最終判定は常に「受信側の入力フォーマット表示」(SonosならAudio In)で行う

理由

  • 推測ではなく、実際の受信状態を確認できる
  • 「対応している」と「実際に受信できている」は別物
  • トラブルシューティングの起点になる

使い方

  • 判定テンプレート(元・出力・経路・受信)を使用
  • 「結果ログ」として読む
  • 予想と違ったら、経路や設定を見直す

最終的な考え方

「DolbyとDTSどちらが上か」ではなく、「自分の視聴スタイルに合った経路を構築するか」が2026年の正解です。

そして、最終確認は受信側の入力フォーマット表示(SonosならAudio In)で確認してください。これが唯一の「測定」です。

補足年表:技術とディスクの詳細

オーディオの進化を説明する水平タイムラインインフォグラフィック。左のポイント:「1992」と映画のリールアイコン。中央のポイント:「2006」とBlu-rayディスクアイコン。右のポイント:「2026」とクラウドストリーミングアイコン。滑らかな線がそれらを繋ぎ、進歩を示している。シンプルでクリーンなテックスタイル。青とグレーの色使い。白背景で分離。

本文のタイムラインで主要マイルストーンは提示しましたが、より詳細な経緯を知りたい方向けの補足です。

1990年代:劇場から家庭へ

  • 1992:Dolby Digital(AC-3)劇場展開開始
  • 1993:DTS劇場展開開始(Jurassic Park)
  • 1997前後:DVD登場、Dolby DigitalとDTSが家庭へ

この時期、DVD-Videoの標準音声がDolby Digitalとなり、家庭でのデジタルサラウンドが一般化しました。

2000年代:HD時代のロスレス競争

  • 2005:Dolby TrueHD、Dolby Digital Plus発表
  • 2005:Dolby Digital Plus、ATSC規格(北米デジタル放送)に組み込まれる
  • 2006前後:DTS-HD Master Audio登場、Blu-ray市場で普及

この時期、Blu-rayディスクの容量増加により、ロスレス(無劣化)音声が実用化されました。

参考:

2010年代:立体音響時代へ

  • 2012:Dolby Atmos登場(Brave)
  • 2015:DTS:X登場
  • 2010年代後半:Netflix等でAtmos配信開始

この時期、音声技術は「チャンネルベース」から「オブジェクトベース」へと進化しました。

2020年代:配信の時代

  • 2024年ごろ:Disney+、DTS:X配信開始(限定的)
  • 2026:配信は主にDolby Atmos中心、ディスクは作品により異なる

配信が主流となり、帯域効率の良い技術が再び重要になりました。

参考リンク

情報の信頼性を保つため、一次情報と参考情報を明確に分類しています。

公式ヘルプ・一次情報

配信サービス公式

Dolby公式

DTS公式

Sonos公式

技術資料(参考)

以下は技術的背景を理解するための参考資料です。第三者サイトでホストされている場合があり、一次情報としての確実性は低い場合があります。

業界レポート(参考)

以下は業界動向を理解するための参考情報です。データベース登録数や報道内容であり、市場全体を正確に反映するものではありません。

注:FlatpanelsHDは業界レポートサイトです。データベース登録数や報道内容は参考情報として活用してください。

福山

・Sonos Arc / Sub Gen4 / Symfonisk×2で映画と音楽を満喫中
・Sonos歴7年、Sonos PlaybaseからSonosにハマる
・趣味:映画鑑賞、RIZIN/UFC観戦、テニス観戦
・最高のコンテンツを楽しむためにSonosで環境を整えた人

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