『ジョナサン・アイブ』アップルのデザインを手がけた男

『ジョナサン・アイブ』アップルのデザインを手がけた男 本の感想
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2019年にジョナサン・アイブ氏がアップルを退社することが報じられた。アイブ氏はアップルのデザインを長年担当した男だ。アップルといえば、堅苦しいイメージだったパソコンに美しいデザイン性を融合させた唯一の企業だ。だからこそ、ジョナサン・アイブを抜きにアップルを語ることはできないのである

 

この本は「アップルのデザイン性はどうやって生み出されたのか?」と疑問を感じる人にオススメだ。アップルのデザインが他社のメーカーと比べて、なぜそこまで優れているのかが分かる。

 

アイブはもともとコンピュータ音痴だと思い込んでいた。そんな時に出会ったのがMacだ。総合的なユーザー体験を提供しようとするデザイナー魂に、アイブは感動した。縁もあり、1992年、アイブが27歳の時にアップルに入社することになる。

 

アイブはアップルデザインスタジオで働くことになった。1990年にロバート・ブルーナーが設立したスタジオだ。ブルーナーは2つの功績があると言われている。アップルのデザイン文化を創ったことと、アイブを採用したことだ。

 

しかしブルーナーは、1996年にアップルの機能不全に愛想をつかして退社する。今では考えられないことだが、当時のアップルはデザインより機能を重視する文化だったのだ。スティーブ・ジョブズがアップルを追い出されたいたことが要因だろう。ブルーナーがいなくなったデザインチームは、若干29歳のアイブがリーダーに就任することになった

 

リーダーに任されて数ヶ月、アイブをアップルを辞めようかと考えるようになる。それくらいにアップルはデザインを軽視し、イノベーションが起きない文化になっていたのだ。当時のアイブはこんな言葉を残している。「利益を追いかけるあまり、製品への思いやりが失われていた。デザイナーに外観を繕うことしか求めず、エンジニアは生産コストを下げる事しか考えていなかった。僕はやめるところだった。

 

そんなデザインチームに転機が訪れた。ジョブズがCEOに復帰したのだ。復帰後にジョブズは、18ヶ月の間に4200人を解雇するという大規模な人員整理を行った。もちろんデザインチームも対象だ。ただし、デザインスタジオに訪れたジョブズは、そこの創造性と綿密性に驚き、スタジオには手をつけなかった。そして数ヶ月もしないうちにアイブはジョブズと一緒にランチをとるような関係性になり、ジョブズはデザインスタジオに入り浸るようになった。

 

今のアップルがあるのはジョズブとアイブの関係性があってのことだろう。ジョブズは亡くなる前にアイブについてこう語っていた。「アップルでジョニー(アイブ)以上に業務運営の権限を持つのは私だけだ。彼に指示を与えたり、口を挟んだりできる人間はいない。私がそうしたからだ。」ジョブズにそこまで信頼されていたアイブが2019年にアップルを去る。アップルにはジョブズもいなくなり、アイブもいなくなるのだ。ニュースにならないわけがない。

 

ジョブズにそこまで言わしめたアイブがアップルに残したもの、アイブのデザイン精神を体現したものがユニボディだ。ユニは英語で「1つの」を意味する。今までは複数のパーツを組み合わせてボディを作っていたのだが、それとは反対にアルミを削り出して1つのボディを作り上げたのがユニボディだ。こうしてアップル製品はさらに美しくなり、なおかつ強さを持ち合わせるようになった。素晴らしいデザインと最先端技術を融合し、これまでにないものをアイブは生み出したのだ。ユニボディについてはこちらの動画が参考になる↓

 

アイブは天才的なデザイナーだ。しかしデザイン重視ではなく機能性重視の文化を持つ会社では、アイブの才能は埋もれたままだったろう。それを見つけ、引き出し、権力を与えたのがジョブズだ。GAFAの中で圧倒的なブランド性を持つアップル。そのブランド力には、アイブのデザインが大きく関わっている。この本はあまり語られることのないアイブを知るための、貴重な一冊となるだろう。また「ブランドを築くためには?」と考えているビジネスパーソンにも、参考になる知見を与えるはずだ。

 

読書メモとして簡単に動画にしています↓↓↓

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