三橋貴明さんの『米中覇権戦争 残酷な未来透視図』を読みました。米中覇権戦争より、
- ブレグジット
- 改正水道法
- 中国共産党
について理解を深めることができましたので、この記事にてメモしていきます。
ブレグジットで主権を取り戻す行為は正しいかも
EUからイギリスが離脱する話になると、「イギリスってダメだよね。損することが分かりきってるのに」と、世間一般では思われております。私もそうです。でも、この本を読んで少し考え方が変わりました。
EU加盟国の多くはシェンゲン協定を批准しています。シェンゲン協定とは、ヨーロッパの批准国間において、国境検査なしで国境を越えることを認める協定のことです。イギリスはシェンゲン協定を批准していません。
ですが、EU加盟国ではあるため、イギリスは同じく加盟国からの労働者の移動を「妨げる」ことはできません。これがどういうことかというと、人の移動の自由の制限に関し、イギリス国民は主権を持っていなかったということなのです。
イギリスの法ではなく、欧州議会がつくる法に従うという構造になっています。もちろんイギリスも、自分たちの代表を欧州議会に送り込むことができます。ですが最大でも10%弱の議席を占めることしかできないため、「イギリスのための法」を採用することはできません。
さらにここから話がややこしくなるのですが、欧州議会には法案提出権がありません。法案提出権を持っているのは、28人のメンバーで構成される『欧州委員会』です。そして欧州委員会のメンバーは、欧州議会の議員の代表というわけではなく、各国政府が選出する仕組みとなっています。
つまり、民主的な選挙で選ばれたわけではない人々が、欧州委員会で法律を立案し決定事項を実施している、というわけです。主権とは?という話なのですね。
国民は「主権」を求めて、EUからの離脱を国民投票を決めた。そのイギリスの「民主的なプロセス」を得た決断を、グローバリズムに汚染されたマスコミやEUが批判する。p18
ブレグジットはイギリス国民に良い影響を与えるのでしょうか?これは『良い影響』の定義によって決まります。著者は、良い影響を『国家は国民を守り、豊かに安全に暮らすことを実現することが目的である』とすると、離脱の方が良い影響を与えると言います。ブレグジットはイギリスが主権を取り戻そうとする動きなのですね。EUから離脱すれば、欧州委員会の決め事ではなく、「イギリス国民のための政治」ができるようになるわけですから。
改正水道法は行う必要があったのか
緊縮財政ということで水道を民営化するため、水道法が改正されました。それによりコンセッション方式で、外資が参入することになりました。
コンセッション方式の水道民営化とは、
- 水道インフラの所有権は自治体が保有し続け
- 管理運営権のみ民間企業に委ねる
方式です。つまり、参入する企業はインフラ維持については責任を求められない、実に「美味しい」ビジネスモデルとなっています。
そもそも水道法を改正してまで、外資を入れる必要はあったのでしょうか。水道菅が老朽化しているのであれば、政府が建設国債でお金を調達して、交換していけば済む話だと、著者は言います。水道代がバカ高いのであればまだしも、水道代について、そこまで不安はなかったように思われます。
外資が入ればより良くなるかというとそんなことはなく、海外では失敗事例があります。世界37カ国、235都市では一度民営化した水道を再度公営化している現状もあります。そしてこの数字を国会審議で厚生労働省は正しく報告せず、失敗事例を3件と報告していたみたいです。
前にも統計不正問題がありましたから、政府が「統計」という言葉を使うと怪しんじゃいますねぇ。
>厚生労働省の統計不正問題【日本政府は腐ってると子供に教えればいいの?】
中国共産党の異常性
1949年に建国された中華人民共和国は、中国人民の国家ではありません。中国共産党の国家です。
というのも、中国では中国共産党総書記が、中華人民共和国国家主席の上に立っています。なんと党のトップが、国家主席よりも偉いということなのです。(ちなみに今は党のトップも、国家主席も習近平氏です)
きちんと憲法に書かれております。
中華人民共和国憲法の前文には、「中国の諸民族人民は、引き続き中国共産党の指導のもと、マルクス・ レーニン主義、毛沢東思想、鄧小平理論及び、3つの代表の重要思想に導かれ、人民民主主義独裁を堅持し、社会主義の道を堅持し」と書かれている。
さらに、中国の国防法において、「中華人民共和国の武装力は中国共産党の領導を受ける」と、明記されているため、人民解放軍は法的にも中国共産党の支配下にあるのだ。p226
なんと中華人民解放軍は、「共産党の軍隊」であって、中国の国軍ではないのですね。
イロイロと勉強になる本でした。それでは!
読書メモとして簡単に動画にしています↓↓↓
コメント