数年前の話ですが、自衛隊幹部候補生に合格しました。その時のことを振り返りながら、自衛隊幹部候補生試験についてイロイロと書いていきたいと思います。受験を考えている方に参考となれば幸いです。
この記事では、私の経験をもとに自衛隊幹部候補生の試験について書いていきますよー。冒頭で言えることとしたら、「社会のことを知るためにさまざまな本を読みながら、公務員試験対策を頑張れ!」です。
補足情報:最近、「どうやって勉強されましたか?」というお問い合わせを多く受けます。私は公務員試験対策講座など受けずに『独学』で合格しました。
ですが私は理系だったため、文系科目の知識はビミョーでしたので、勉強に手こずった思い出があります。今であれば『スタディサプリ』というサービスを利用して、サクッと知らない知識を頭に効率的に詰め込みます。
ということで、公務員対策講座なんかに十数万円払うよりは、スタディサプリが断然お勧めですよ〜。スタディサプリについては『公務員試験対策講座はスタディサプリに決まり!月額2,178円なので費用対効果が高い!』の記事で詳しく書いているので、参考にしてみてください👍
またこちらのサイトでは勉強法についてもまとめているので、「筆記試験が不安・・・」という方は合わせて参考にしてみてください→科学的に根拠のある勉強法についてまとめてみた
1 自衛隊幹部候補について
まず始めに書きたいことがあります。
恥ずかしながら私は、「大学を卒業したのに自衛隊に進むなんてバカじゃないの?」ということを大学生の頃は思っていました。“自衛隊”という組織に偏見を持っていたのです😅
今ならそれが私の無知であるからだとわかるのですが、当時はマスメディアなどの影響で『自衛隊=税金のムダ』だと思っていました。そんなことを考えていた自分をぶん殴ってやりたいくらいです。
でも今ならわかります。自衛隊という組織の大切さ、日本人が持つ自衛隊への偏見のおかしさ。
海外では軍隊と呼ばれますが、国を守ることを職業に選んだ人たちは尊敬されると聞きます。自衛隊の友達が数人いるのですが、アメリカなどに行くと海外と日本の自衛隊(軍隊)の扱いの差がすごいのですって😱
平和ボケした日本人にはわからない感覚かもしれませんが、“平和な国がある”ということは国の防衛機構がしっかりとしているからなのです。歴史的に見ると平和である時代の方が珍しく、基本的に戦いばかりの時代でした。アメリカやヨーロッパのニュースを聞くと、いまだにテロなどありますしね。
何が言いたいかというと、当時の私みたいに「自衛隊?は?税金のムダだろ」なんて思わないで欲しいのです。日本だけじゃなく海外の事情に目を向ければそれがわかると思うので、自分の持っている知識だけで判断しないでください^^
1.1 よくある質問まとめました
よくある質問をまとめてみました→自衛隊幹部候補生の試験についてよくある質問に答えてみた
ありがたいことにたくさんの方がこの記事を読んでくれており、質問やら感想やらを『お問い合わせ』から頂いております。その中からよくある質問をまとめてみたので、試験を受けようと思う方は参考にしてみてください。
2 自衛隊幹部候補生を知る
自衛隊幹部候補生ってなんなの?
普通に生きていたら知らないことだよね。自衛隊幹部候補生はその名の通り自衛隊の幹部を目指す人たちのことです。
自衛隊幹部候補生は自衛隊の中ではキャリア組と呼ばれ、幹部候補生学校を卒業後は、初級幹部自衛官として
- 大学卒なら3尉(アメリカ的にいえば少尉)
- 院大学卒なら2尉(アメリカ的にいえば中尉)
としてスタートします。(つまり、いきなり部下を持つ立場ということ)
2.1 自衛隊の役割
自衛隊の役割は、
『国の平和と国民の生活を守ること』
なんと言ってもこれです。国を守るとは、国の防衛はもちろんのこと、災害時の対応、そして国際平和協力があります。
この中で国際平和協力がピンとこない方もいるかもしれません。「自衛隊なのに国際平和協力?そんなことしてどうなるの?」、と。これはつまり『恩を売る』ということです。
困っている諸外国に協力することで日本がピンチになったときはよろしく頼むよってことです。こういう国防のあり方もあるんですね。
PKOってそのためにやってるんだ。
そうだね。「税金のムダ!」なんて言われたりするけど、国防という視点で見ると大切なことなんだ。それに日本という経済大国が世界の平和の維持に努めることは、ある意味“当然”とも言えるね。
2.2 幹部自衛官とは?
「幹部は絶対に倒れてはならない。なぜならチームを率いなくてはならないから。そのためには卓越したリーダーシップや知識が求められる。」と、とある陸上自衛隊の一佐の方に教えてもらいました。
自衛隊は約26カ所の駐屯地・基地があり、約23万人の隊員を有しています。この大規模な組織を指揮するために存在するのが「幹部自衛官」です。
自衛隊は2士から将まで16階級に分かれており、このうち3尉以上の8階級を幹部自衛官と呼びます。幹部候補生として、幹部自衛官の養成期間である“幹部候補生学校”で訓練し、卒業後初級幹部として配属されます。学部卒が3尉、院卒は2尉からのスタートとなります。
2.3 幹部自衛官の身分と待遇
- 身分:特別職国家公務員
- 給与:大卒で約22万円、院卒で約24万円
- 福利厚生:もちろんさまざまな手当、社会保障もばっちりです。
大学院を出ているほうが給料が高いんだ。
3 幹部自衛官になるための試験内容
1次が筆記試験で2次が面接、小論文、身体検査です。(体力測定などはありません)
自衛隊の試験なのに体力測定がないんだ。
不思議に思うよね。でも、「入った後からいくらでも鍛えられるから、大丈夫だよ。」と広報の人が言っておられました笑
3.1 1次試験は筆記試験
試験科目は1次試験が公務員的な筆記試験があり、学部卒なら記述が1つ、院卒は記述2つを解かなくてはなりません。自衛隊の広報の人に聞いたら、ここで10分の1くらいに絞られるみたいです。
10分の1かー。やっぱり結構厳しいんだなー。
院卒では記述を2つも解くため、朝8時から18時くらいまでは拘束されるので、受験される方はそのつもりでお願いします。チョコレートとフリスクは必須かと。
記述はさまざまな分野があるので、過去問などを参考に自分の得意な科目を選びましょう。私は英語と化学を選びました。また、パイロットを希望する方はパイロット専用の問題を解きます。(パイロットも併願できます)
たとえば、戦闘機の写真見て、これは今どの方角に向かってるでしょうとか、少し頭使ったら簡単に解ける内容ですが、時間が短いので即断即決が必要な判断力を問われる問題です。
パイロット希望の方は試験が2日間に及ぶので体力的にちょっときついものがあります。パイロット試験は筆記試験の翌日にあり、これは午前中に終わります。
大学院まで行った人には利点があって、学部卒枠と院卒枠で併願できるのが良い点なんですよね。さらにパイロット枠でも併願できるので、全部で3つ併願できます。
院卒の人は有利なんだ。
そうなるね。私は3つのフルコース受験をしたよー。拘束時間が長くて本当に疲れたけどね^^;
3.2 年齢制限
年齢制限は学部卒が22〜26歳未満で、院卒は28歳未満です。
民間企業をやめて自衛隊に入る人もいるの?
少ないけど、一定数はいるみたいよ。
3.3 身体検査の内容
身体検査もある程度のことがなければ落ちることはないでしょう。(自衛隊のウェブサイトで合格基準を確認してください)
歯の状態もチェックされるので、歯磨きはきちんとやっておきましょうね!→電動歯ブラシオススメですよー!
普通に身長やら体重やらを計ります。独特なのが、下着姿で変な体操をすることです笑。関節の可動域などを見ているのだと思います。また、パイロット志望の人は身体検査+αがあって、深視力とか中間視力などを計ります。ただ単に遠くのものが見えるだけではダメなんですねぇ。
ちなみにパイロットになるためには裸眼視力が0.2以上ないとダメです。私は0.03くらいの視力なのでここでアウト。(って受ける前から分かっていたのですけれど😅)
体力に自信のない人は今のうちから筋トレしておきましょう。自衛隊に行く行かない関わらず、健康であることは重要ですから。
運動か・・・
運動することは自衛隊に入る入らないに関係なく大切なことだね。
3.4 面接の内容
私が聞かれた質問内容を書いていきます。
面接は20分くらいで、面接官が3人、受験生1人でした。
- なぜ幹部自衛官になりたいのか?
- 今までどんなスポーツをしてきたのか?
- 親は自衛隊に入ることをどう思っているのか?
- 自衛官になって何がしたいのか?
- 上官と判断が食い違ったらどうするか?
- 長所と短所は?
内容的には普通ですが、普通の民間系とはやっぱり雰囲気が違いました。決して圧迫面接なわけではないですが、なんとなくピリっとした感じです。
なんか怖そう・・・。
怖くはなかったけど、ピシッとした大人が3人もいると空気が張り詰めるよね。それに自衛隊の正装(軍服)を来てるから、非日常感がすごかったね。
3.5 小論文の内容
さて、みなさんがきっと不得意であろう小論文のテストです。
2つのテーマからどちらかを選択して解きます。
- 1つのテーマが時事問題
- もう1つのテーマが国防関連です。
どちらか得意な方を解いてください。(試験内容は変わるかもしれないので、自分で確認しておいてください)
この対策は日頃からニュースをチェックすることが必要不可欠です。時事問題、そして日本の防衛のことを知っておいてください。
小論文が苦手な人はきちんと対策しておきましょう。文章を書くことは練習しておかないと、いざ書けって言われてもムリですから。
文章を書くことは超苦手だー。
誰でも最初はそうだよ。ここは練習しかないね。みんなが苦手だからこそ、差が出るところでもあるから頑張ろう!
先ほど紹介したスタディサプリには小論文対策講座もあるので、お勧めですよ〜。
3.6 必ず読んで欲しいもの「防衛白書」
一般人ならたぶん知らないであろう『防衛白書』。面接や小論文対策のために必ず読んでおきましょう→防衛省・防衛白書
防衛白書は、わが国防衛の現状と課題およびその取組について広く内外への周知を図り、その理解を得ることを目的として毎年刊行しており、平成27年版は刊行41回目になります。
防衛白書の内容は上記の通りで、日本と世界の現状を知ることができます。この内容を知らないまま、受験会場には行かないように。
防衛白書とかあるんだ。知らなかった。
読み物としても興味深いので、自衛隊の試験に関係なく読んでみるといいですよ。
これからさらに自衛隊の役割がより必要になるはずです。防衛白書を読めば日本が脅威にさらされていることがわかります。
3.7 受かるためには何と言っても面接
「志望動機は公務員で安定だから!」、なんて言ってたら絶対に受かりません。
「国を守りたいと本気で思うから」のような熱意をぶつけないと受かりません。
- 部下の命を任せられる人
- 日本の防衛の指揮官として任せられる人
- どんな場面でもリーダーシップをとろうとする人
こう人ではないと幹部自衛官になれません。というかなってもツライだけです。
20代中頃で多くの小隊長、中隊長などの指揮官になり、自分より年上の人を動かさなくてはなりません。そのための知識力、精神力、行動力が必要とされます。
面接ではそのような人物に将来的になれる人か、幹部候補生学校で1年間の教育投資を受けるに値する人物かどうか、その可能性を見られるわけです。
もちろん筆記試験を通過してきているので、ある程度の学力は担保されています。その上に身体的な面、そして人間的な面を2次試験で見られるのです。面接時間はわずか20分程度ですが、その間に自分の将来性を相手に伝えないといけません。
まとめ:自衛隊幹部候補生になるにはまず筆記対策を
この記事では『自衛隊幹部候補生』について書いてきました。
この記事を通して一番言いたいことは、『筆記の対策は必ずしてください』ということです。ここに落ちるようでは全然ダメです😅
筆記に合格したらなら、日本と世界の現状に目を向けること、そしてその現状に対してどう思うか、自分の言葉で喋れるようにしておいてください。そのために、日頃からニュースなどに目を向け、見聞を広めておくことが肝心です。
ニュース見てるけど、頭に入らないんだよなー。
コメンテーターの意見をメモしておくだけでも、頭の入りやすさは全然違ってくるよ。自分の頭の良し悪しとか、記憶力の良し悪しは関係なく、メモする習慣をつけておくことは大切だよ。
追記1:連絡はお気軽に
追記です。
アクセス解析をすると多くの方が記事をご覧になってくれています。それだけ試験が心配という方が多いのかな?と思います。私にできることであれば、質問には答えますのでメールにて質問どうぞです。
また合格者の方がいましたら、サイト閲覧者のために勉強法などもメールしてもらえたらら嬉しく思います。この記事が『日本のために!』という強い思いで自衛隊を志す人の参考になれば幸いです。
追記2:幹部候補生学校の動画
youtubeに幹部候補生学校の動画があったので、転載しておきます。
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