地震のニュースを見たとき、「最大震度5弱」と「マグニチュード6.8」という2つの数字が並んでいても、どちらを見ればいいのか迷ったことはないでしょうか。
どちらも地震の大きさに関係している数字ですが、見ているものはまったく違います。震度は「自分のいる場所でどれくらい揺れたか」、マグニチュードは「地震そのものがどれくらい大きかったか」を表しています。この違いを知っておくだけで、地震ニュースの読み方はずいぶん変わります。
この記事では、震度とマグニチュードの違いを軸に、震度7とマグニチュード7がなぜ別物なのか、同じ地震でも場所によって震度が変わる理由、津波の判断に必要な視点、異常震域とは何かまで、防災に役立つポイントを整理します。
電球でたとえると、一瞬でわかる

震度とマグニチュードの関係は、電球でたとえるとわかりやすくなります。
電球そのものの明るさがマグニチュード。自分の机の上に届く明るさが震度です。電球のワット数がどれだけ大きくても、遠く離れていれば手元は暗くなります。逆に、小さな電球でも真横に置けばまぶしいくらい明るく感じる。地震も同じで、地震そのものの規模と、自分の場所で感じる揺れは別の話です。
| 項目 | 震度 | マグニチュード(M) |
|---|---|---|
| 意味 | その場所での揺れの強さ | 地震そのものの規模 |
| 数字の性質 | 場所によって変わる | 同じ基準で見れば、1つの地震で原則1つ |
| 電球で例えると | 机の上に届く明るさ | 電球そのものの明るさ |
| 地震情報での使い方 | 身の安全や被害状況の確認 | 津波など広域的な影響の判断 |
震度とは:その場所でどれだけ揺れたか

震度は、「その場所でどれくらい強く揺れたか」を表す数字です。同じ地震でも、震源に近い地域では震度5強、少し離れると震度3、さらに遠ければ震度1になることがあります。地震そのものの大きさではなく、「自分の家がどれくらい揺れたか」を示すものです。
日本では気象庁の震度階級によって、0・1・2・3・4・5弱・5強・6弱・6強・7の10階級で表されます。
| 震度 | 人や建物への影響のめやす |
|---|---|
| 0 | 人は揺れを感じない。地震計だけが記録する |
| 1〜3 | 屋内にいる人が揺れに気づくことがある |
| 4 | 多くの人が驚き、吊り下げた電灯などが大きく揺れる |
| 5弱・5強 | 物が落ちたり、歩きにくくなったりすることがある |
| 6弱・6強 | 立っていることが難しくなり、固定していない家具が倒れることがある |
| 7 | 耐震性の低い建物が傾いたり、倒壊したりすることがある。日本の震度階級の最大 |
ニュースで「最大震度6弱」と言う場合、「その地震で最も強く揺れた地域の震度が6弱だった」という意味です。地震全体が震度6弱だったわけではありません。意外と混同しやすいところです。
マグニチュードとは:地震そのものの規模

マグニチュードは、地震が発したエネルギーの大きさを表す指標です。震度のように場所によって変わる数字ではなく、同じ基準で見れば1つの地震に対して原則1つの値になります。
注意が必要なのは、数字が少し違うだけでエネルギーが桁違いに変わるという点です。
- マグニチュードが 1 増える → エネルギーは約 32倍
- マグニチュードが 2 増える → エネルギーは約 1,000倍
マグニチュード6とマグニチュード8は数字の上では「2」の差ですが、地震波として放出されるエネルギーでいえばマグニチュード8はマグニチュード6の地震約1,000回分に相当します。2011年の東北地方太平洋沖地震はM9.0、2024年の能登半島地震はM7.6でした。数字の差は1.4ですが、地震波として放出されるエネルギーに換算すると約125倍の開きがあります。「2」で1,000倍になる数字なので、直感では追いつかない大きさです。
なお、速報値のマグニチュードはあとから修正されることがあります。また、気象庁マグニチュードとモーメントマグニチュードのように計算方法の違いから、同じ地震でも資料によって値が多少異なる場合があります。
震度7とマグニチュード7は、同じ「7」でも別物
ここは多くの人が引っかかるところです。震度7とマグニチュード7は、数字が同じでも意味がまったく違います。
- マグニチュード7 → 地震そのものが大きい(大地震クラス)
- 震度7 → その場所で非常に強い揺れが観測された(日本の震度階級の上限)
マグニチュード7の地震でも、震源が遠くて深ければ離れた地域では震度2〜3程度にとどまることがあります。反対に、マグニチュードがそれほど大きくなくても、震源が浅くて直下型であれば局地的に激しい揺れになることがある。「マグニチュード7だから震度7になる」という関係ではありません。
同じマグニチュードでも震度が変わる3つの理由

地震の揺れが場所によって変わる主な理由は、震源からの距離・震源の深さ・地盤の違いの3つです。
震源からの距離 電球の例えそのままで、震源に近いほど揺れは強くなりやすい。ただし距離だけで単純に決まるわけではなく、地震波の伝わり方や地盤の条件も絡んできます。
震源の深さ 浅い地震ほど、震源の真上付近では突発的で鋭い揺れになりやすい。深い地震では震源直上の揺れが比較的小さくなることがありますが、後述する「異常震域」のように、遠い場所で逆に強く揺れるケースもあります。
地盤の違い 固い岩盤の地域は揺れが増幅されにくく、埋立地や川沿いのやわらかい地盤では揺れが大きくなりやすい。同じ市内でも場所によって震度や被害の程度が変わるのはこのためで、自治体のハザードマップや防災情報で自分の地域の地盤や災害リスクを確認しておくことも大切です。
「震源」「震央」「震源地」の違いと、異常震域

地震情報に出てくる似た言葉を整理しておきます。
- 震源 → 地下で岩石の破壊が始まった「地下の点」
- 震央 → 震源の真上にあたる「地表の点」
- 震源地 → ニュースで使われる「○○沖」のような、震央付近を示す地名
「震源の深さ」はこの震源が地下何キロにあるかを示す情報で、揺れ方を読み解くうえで重要な手がかりになります。
遠くなのに強く揺れる「異常震域」
深い場所で起きた地震(深発地震)では、震源の真上付近はあまり揺れないのに、遠く離れた地域が比較的強く揺れることがあります。地震波が太平洋プレートなどの固いプレートの中を効率よく伝わって遠方まで届くために起こる現象で、気象庁はこれを「異常震域」と呼んでいます。「震源地から遠いのに、なぜここが揺れたのか」と感じる地震情報を見たときは、この現象が背景にある可能性があります。
津波の危険性は、震度だけでは判断できない

海で大きな地震が起きた場合、津波のリスクを考えるうえでマグニチュードは重要な情報です。ただし、津波の危険性はマグニチュードだけで決まるわけではありません。震源の位置・海底の動き・沿岸の地形なども関係するため、気象庁は地震の規模や位置をもとに総合的に判断し、地震発生から約3分を目標に大津波警報・津波警報・津波注意報を発表しています。
大切なのは、陸上の震度が小さくても、海底で大きな地震が起きていれば津波が押し寄せることがあるという点です。海沿いや川沿いにいる場合、「揺れが小さかったから大丈夫」という自己判断は危険です。強い揺れはもちろん、弱くても長くゆっくりした揺れを感じたときは、津波警報・注意報を待たず早めに高い場所へ避難することが命を守る行動になります。
地震ニュースで2つの数字が並ぶ理由
地震ニュースに震度とマグニチュードの両方が出てくるのは、役割が違うからです。
気象庁では地震発生から約1分半後に「震度速報」が発表され、震度3以上を観測した地域名などが伝えられます。その後「震源・震度情報」でマグニチュードや震源の詳細が続きます。震度は「今、自分の場所で何が起きたか」を知るための数字、マグニチュードは「地震全体の規模はどれくらいか、津波など広域的な影響をどう見るか」を判断するための数字です。どちらか一方だけでは、判断に必要な情報が揃いません。
強い揺れの最中は、情報収集より先にまず身を守ることが最優先です。揺れが収まってから落ち着いて情報を確認する、という順番を覚えておいてください。
高層ビルにいるなら「長周期地震動」にも気をつけて
震度とは別に、高層ビルで問題になりやすい揺れがあります。「長周期地震動」です。周期の長いゆっくりした揺れで、通常の震度だけでは被害の出方を表しきれないことがあります。地上の震度が小さくても高層階では大きく揺れることがあり、家具が大きく移動したり、エレベーターが停止したりするリスクもあります。
気象庁は2023年2月から、長周期地震動階級3以上が予想される場合にも緊急地震速報を発表するようになりました。高層階で働いたり生活したりしている方は、震度と合わせてこの情報にも目を向けておきましょう。
地震情報を見るときの順番
地震が起きたとき、情報をどの順に確認するかを整理しておくと、いざというときに慌てにくくなります。
- まず自分の地域の震度を確認する(身の安全・家の状況・家族の安否)
- 震源と震源の深さを確認する
- 海の地震であれば、津波情報を必ず確認する
- マグニチュードで地震全体の規模を把握する
- 高層階にいる場合は、長周期地震動の情報も確認する
繰り返しになりますが、揺れの最中はこのリストより先に身を守ることが先決です。
よくある疑問
Q. 震度8はありますか? ありません。気象庁の震度階級の最大は震度7です。震度7より激しい揺れが存在しないという意味ではなく、どれだけ激しい揺れでも震度7として扱われます。
Q. マグニチュードはあとから変わることがありますか? あります。発生直後は限られた観測データで推定されるため、データが集まるにつれて修正されることがあります。また、気象庁マグニチュードとモーメントマグニチュードでは計算方法が異なるため、資料によって値が多少異なる場合もあります。
Q. 震度が小さければ安全ですか? 揺れによる被害は小さくても、海底で大きな地震が起きていれば津波の危険がある場合があります。特に海沿いや川沿いでは、震度だけで判断せず津波情報を必ず確認してください。
Q. 長周期地震動は震度とどう違いますか? 震度はその場所での揺れの強さを表す指標です。長周期地震動は、周期の長いゆっくりした揺れに着目した情報で、高層ビルで問題になりやすい揺れを知るためにも使われます。地上の震度が小さくても高層階で大きく揺れることがあるため、高層階にいる場合は両方を確認する必要があります。
まとめ
震度は自分の場所の揺れ、マグニチュードは地震そのものの規模。この2つを分けて見られるようになると、地震情報の読み方は変わります。
そのうえで大切なのは、揺れが収まったら震度を確認し、海の地震ならすぐ津波情報に目を向けること。マグニチュードは地震全体を理解するための補助線として使う、という順番で見ていくと整理しやすいはずです。
参考までに。それでは!
参考資料
- 気象庁「震度・マグニチュード・地震情報について」
- 気象庁「地震情報について」
- 気象庁「地震情報等に用いるマグニチュードについて」
- 気象庁「津波警報・注意報、津波情報、津波予報について」
- 気象庁「緊急地震速報の発表基準の変更について(長周期地震動)」
- 日本地震学会「震度とマグニチュードの違い」

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