偏差値と平均点の違いは、ひとことで言うと「見ているもの」の違いです。
平均点は、テストを受けた人たち全体の点数の中心を見るための数字です。一方で偏差値は、自分の点数がその集団の中でどのくらいの位置にあるのかを見るための数字です。
平均点は「みんなの中心」、偏差値は「自分の位置」。まずはこのくらいに考えると、だいぶわかりやすくなります。
偏差値は、昔からよく聞く言葉です。学校でも模試でも受験でも出てきます。ただ、ちゃんと説明しようとすると、意外と難しい言葉でもあります。
まさに、いまさら聞けないけれど、実はきちんと理解しておきたい言葉です。
この記事では、偏差値と平均点の違い、偏差値の計算方法、偏差値60は平均点より何点上なのかを、できるだけ噛み砕いて整理していきます。
偏差値と平均点の違いを先にいうと

平均点は、テスト全体の中心を見る数字です。
たとえば、5人の点数が60点、70点、80点、90点、100点だった場合、合計は400点です。これを5人で割るので、平均点は80点になります。
平均点を見ると、そのテストを受けた人たちの点数が、だいたいどのあたりに集まっているのかがわかります。平均点が高ければ問題が簡単だった可能性がありますし、平均点が低ければ問題が難しかった可能性があります。
ただし、平均点だけでテストの難しさを完全に判断できるわけではありません。同じ問題でも、得意な人が多く受ければ平均点は上がりますし、苦手な人が多く受ければ平均点は下がります。
つまり、平均点は便利ですが、それだけで自分の成績の良し悪しを決めるには少し足りません。
そこで出てくるのが偏差値です。
偏差値は、平均点を50として、自分の点数が平均からどれくらい離れているかを表す数字です。平均点と同じ点数を取れば偏差値は50、平均点より高ければ50より上、低ければ50より下になります。
ここまでならシンプルです。
ただ、偏差値が少しややこしいのは、「平均点より何点高いか」だけで決まるわけではないところです。偏差値は、平均点との差に加えて、点数のばらつきも見ています。
ここが大事です。
点数だけでは成績を判断しにくい
たとえば、数学で70点、英語で60点を取ったとします。
点数だけを見ると、数学の70点のほうが良く見えますよね。70点と60点なら、普通は70点のほうが上に見えます。
でも、数学の平均点が80点で、英語の平均点が40点だったらどうでしょうか。
数学は平均より10点低く、英語は平均より20点高いことになります。点数そのものは数学のほうが高くても、全体の中での位置は英語のほうが上かもしれません。
このように、テストの点数は「何点取ったか」だけでは判断しにくいことがあります。
同じ70点でも、平均点が80点なら見え方は変わります。反対に、平均点が40点ならかなり良い点数に見えます。点数は同じでも、周りの状況によって意味が変わるわけです。
偏差値は、その「周りの状況」を入れて、自分の位置を見やすくするための数字です。
偏差値と平均点の違いを整理する
ここで、平均点と偏差値の違いを一度整理しておきます。
| 項目 | 平均点 | 偏差値 |
|---|---|---|
| 何を表すか | テスト全体の点数の中心 | 受験者全体の中での自分の位置 |
| 基準 | 点数そのもの | 平均点と点数のばらつき |
| 平均の値 | テストごとに変わる | 50 |
| わかること | テスト全体の中心 | 自分の相対的な位置 |
| 注意点 | 受験者層や極端な点数の影響を受ける | 母集団が違うと比較しにくい |
平均点は、テスト全体の中心を見るには便利です。一方で、偏差値は、そのテストを受けた人たちの中で自分がどのあたりにいるのかを見るために使います。
どちらか一方だけを見ればいいというより、平均点と偏差値を合わせて見ることで、テスト結果を理解しやすくなります。
平均点との差だけでは偏差値はわからない

偏差値を考えるときは、平均点との差だけでなく、点数のばらつきも大事です。
ばらつきとは、受験者の点数がどれくらい広がっているかということです。ものすごくざっくり言うと、「みんなの点数が近いのか、それともバラバラなのか」という話です。
たとえば、平均点が60点のテストが2つあったとします。
1つ目のテストは、ほとんどの人が55点から65点くらいに集まっているテストです。この場合、70点を取ると、かなり上の位置にいると考えられます。みんなが平均点の近くにいる中で、平均より10点高いからです。
一方で、もう1つのテストは、30点の人もいれば90点の人もいるようなテストです。この場合、70点を取っても、そこまで上位とは限りません。上にも下にも人が広く散らばっているからです。
同じ「平均点より10点上」でも、テスト全体のばらつきによって意味が変わります。
つまり、平均との差だけでは足りません。
この点数のばらつきを表す数字が、標準偏差です。
標準偏差は点数のばらつきを表す数字
標準偏差とは、点数の散らばり具合を表す数字です。
言葉だけ見ると、急に数学の授業が始まった感じがします。少し身構えますよね。でも、この記事では「みんなの点数がどれくらいバラバラなのかを表す数字」くらいに考えれば大丈夫です。
標準偏差が小さいテストは、みんなの点数が平均点の近くに集まっています。標準偏差が大きいテストは、高い点数の人と低い点数の人の差が大きいテストです。
たとえば、平均点60点、標準偏差10点のテストなら、70点を取ると偏差値60になります。
でも、平均点60点、標準偏差20点のテストなら、同じ70点でも偏差値は55です。
同じ70点でも、テスト全体のばらつきによって偏差値は変わります。これが、平均点と偏差値の大きな違いです。
偏差値の計算式と計算例

偏差値は、次の式で求められます。
偏差値 = 50 + 10 ×(自分の点数 - 平均点)÷ 標準偏差
式だけ見ると、ちょっと難しそうに見えます。できれば見なかったことにしたいタイプの式です。
ただ、やっていることはそこまで複雑ではありません。まず、自分の点数が平均点よりどれくらい高いか、または低いかを見ます。次に、その差を標準偏差で割ります。最後に、偏差値として見やすいように、50を中心にした数字へ変換します。
実際に計算してみます。
自分の点数が70点、平均点が60点、標準偏差が10点だったとします。
この場合、式に当てはめるとこうなります。
偏差値 = 50 + 10 ×(70 - 60)÷ 10
70点から平均点の60点を引くと、差は10点です。その10点を標準偏差の10点で割ると、1になります。最後に10をかけて50を足すので、偏差値は60です。
つまり、この場合の70点は偏差値60になります。
ただし、これは標準偏差が10点だった場合です。標準偏差が20点なら、同じ70点でも偏差値は55になります。
「平均点より10点高いから偏差値60」と決まっているわけではありません。
偏差値60は平均点より何点上?

偏差値60は、平均点より標準偏差1個分上の点数です。
つまり、偏差値60が平均点より何点上になるかは、標準偏差によって変わります。
| 平均点 | 標準偏差 | 偏差値60の点数 |
|---|---|---|
| 50点 | 10点 | 60点 |
| 50点 | 15点 | 65点 |
| 60点 | 12点 | 72点 |
| 70点 | 8点 | 78点 |
たとえば、平均点50点、標準偏差10点なら、偏差値60は60点です。でも、平均点50点、標準偏差15点なら、偏差値60は65点になります。
つまり、「偏差値60=平均点より10点上」と覚えてしまうと、少し危ないです。
正しくは、「偏差値60=平均点+標準偏差」と考えるのがわかりやすいです。
ここは、この記事で一番持ち帰ってほしいところです。
実際のテストで見る偏差値60の例
実際のテストでも、偏差値60に必要な点数は科目によって変わります。
ここでは、大学入試センターが令和8年2月5日に公表した「令和8年度大学入学共通テスト 実施結果の概要」の本試験データを使って、偏差値60の目安を見てみます。
偏差値60は「平均点+標準偏差」で考えられるので、次のようになります。
| 科目 | 平均点 | 標準偏差 | 偏差値60の目安 |
|---|---|---|---|
| 国語 | 116.37点 | 32.87 | 約149.24点 |
| 数学Ⅰ・数学A | 47.20点 | 19.41 | 約66.61点 |
| 英語リーディング | 62.81点 | 23.72 | 約86.53点 |
| 情報Ⅰ | 56.59点 | 15.72 | 約72.31点 |
この表を見ると、同じ偏差値60でも「平均点より何点上か」は科目によって違うことがわかります。
標準偏差が大きい科目は得点が広く散らばっているため、平均点より少し上を取っただけでは偏差値が大きく上がりにくくなります。逆に、標準偏差が小さい科目では、平均点より少し上に出るだけでも偏差値が上がりやすくなります。
なお、ここで出した点数は、大学入試センターの公表資料にある平均点と標準偏差から計算した目安です。実際の成績表や模試の偏差値は、集計方法や受験者層によって変わることがあります。
偏差値と順位の関係

偏差値は、自分が全体の中でどのあたりにいるのかを知る手がかりになります。
ざっくりした目安としては、次のように考えるとわかりやすいです。
| 偏差値 | 目安 |
|---|---|
| 70 | 上位約2% |
| 60 | 上位約16% |
| 50 | 平均付近 |
| 40 | 下位約16% |
| 30 | 下位約2% |
偏差値60なら、かなりざっくり言うと上位16%くらいの位置です。100人いれば、上から16人くらいまでに入るイメージです。
偏差値70なら、上位約2%くらいの目安です。100人に2人くらいと考えると、かなり上位だとわかります。
ただし、これは多くの人が平均点付近に集まるような、自然な点数分布に近い場合の目安です。実際のテストでは、必ずきれいな分布になるわけではありません。
問題が簡単すぎると高得点に偏ることがありますし、難しすぎると低得点に偏ることもあります。特に学校の小テストや定期テストのように人数が少ない場合は、偏差値と順位の関係がかなりブレることもあります。
偏差値は便利ですが、順位そのものではありません。「だいたいの位置を知るための数字」として見るのがちょうどいいです。
偏差値は「どの集団の中か」で意味が変わる
偏差値を見るときにとても大事なのが、母集団です。
母集団とは、そのテストを受けた人たちの集まりのことです。学校の定期テストの偏差値は、同じ学校の生徒の中での位置を表しています。一方で全国模試の偏差値は、全国の受験生の中での位置を表しています。
だから同じ偏差値60でも、学校内の60と全国模試の60では意味が変わることがあります。
模試どうしを比べるときも同じです。模試Aで偏差値60、模試Bで偏差値55だったとしても、それだけで「成績が下がった」とは言い切れません。
受験者層が違うかもしれません。問題の難しさが違うかもしれません。出題範囲が、自分の得意不得意に偏っていた可能性もあります。
偏差値を比べるなら、できるだけ同じ模試を、同じような受験者層で、近い時期に受けたデータどうしで見るのがおすすめです。
志望校選びで偏差値を見るときの注意点
志望校を選ぶときにも、偏差値はよく使われます。
学校ごとに「偏差値の目安」が出ていることがありますが、これも絶対的な数字ではありません。偏差値は、どの模試のデータをもとにしているかで変わります。
ある模試では偏差値60の学校でも、別の模試では偏差値55や65のように出ることがあります。
そのため、志望校を考えるときは、1回の偏差値だけで判断しないほうがいいです。同じ模試を何度か受けて、成績の流れを見る。過去問を解いて、実際に何点取れるかを見る。内申点や苦手科目、志望校の出題傾向も合わせて考える。
そうやって複数の材料を合わせると、偏差値に振り回されにくくなります。
偏差値は便利な目安ですが、合否を決める唯一の数字ではありません。
偏差値だけで成績を判断しない
偏差値は、自分の位置を知るためにはとても便利です。
ただし、偏差値だけを見て成績を判断するのはおすすめしません。偏差値が上がっていても、苦手分野が残ったままなら本番で不安が残ります。逆に、偏差値が少し下がっても、受験者層が変わっただけかもしれません。
大事なのは、偏差値を「次に何を勉強するか」を考える材料にすることです。
点数は、実際に取れた力を見せてくれます。平均点は、そのテストの中でどのくらい取れていれば普通なのかを教えてくれます。順位は、同じテストを受けた人の中での具体的な位置を示してくれます。
そして、間違えた問題や苦手分野は、次にやるべき勉強を教えてくれます。
偏差値は大切ですが、それだけで自分の学力を決めつけなくて大丈夫です。
まとめ
偏差値と平均点の違いは、結局「何を見るための数字か」に尽きます。
平均点は、テストを受けた人たち全体の点数の中心を見るための数字です。偏差値は、自分の点数が平均点からどれくらい離れているかを、点数のばらつきも含めて見やすくした数字です。
平均点と同じ点数なら、偏差値は50です。平均点より高ければ偏差値は50を超え、平均点より低ければ50を下回ります。
そして偏差値60は、平均点より標準偏差1個分だけ上の点数です。そのため、何点上になるかはテストごとに変わります。
「偏差値60=平均点より10点上」ではなく、「偏差値60=平均点+標準偏差」と覚えておくと間違いにくいです。
偏差値は、自分を落ち込ませるための数字ではありません。今の位置を知って、次に何を伸ばすかを考えるための道具です。
というわけで、数字に振り回されすぎず、「今どこにいて、次に何をすればいいか」を考えるために使えば、それで十分だと思います。
よくある質問
偏差値の平均はいくつですか?
基本的に50です。偏差値は平均点を50として考える数字なので、平均点と同じ点数を取れば偏差値も50になります。
平均点を取ると偏差値はいくつですか?
50です。平均点より高ければ50を超え、低ければ50を下回ります。
偏差値60は平均点より何点上ですか?
平均点より標準偏差1個分上です。標準偏差が10点なら平均より10点上、15点なら15点上になります。テストごとに標準偏差が違うので、何点上かも変わります。
平均点との差だけで偏差値はわかりますか?
わかりません。偏差値を出すには、平均点との差に加えて標準偏差が必要です。同じ「平均より10点上」でも、点数のばらつきが小さいテストと大きいテストでは偏差値が変わります。
偏差値と平均点はどちらを見るべきですか?
どちらも見るのがおすすめです。平均点を見れば、そのテストでどのくらい取れていれば普通かがわかります。偏差値を見れば、受験者全体の中での自分の位置がわかります。
模試が違っても偏差値は比較できますか?
単純には比較しないほうがいいです。偏差値は、そのテストを受けた人たちの中での位置を表す数字です。受験者層や問題の難しさが違えば、同じ学力でも偏差値が変わることがあります。
比べるなら、同じ模試を継続して受けるほうがわかりやすいです。
偏差値が高ければ必ず合格できますか?
可能性は上がりますが、必ずとは限りません。入試では当日の得点、出題傾向との相性、内申点、倍率なども関わります。
偏差値は大切な目安ですが、過去問の得点や苦手分野の対策も合わせて考えることが大切です。

コメント