Amazon Prime Videoで『28年後…』(2025年)を観ました。
『28日後…』『28週後…』も観ています。ただ、中身はほぼ覚えていません。「普通にゾンビ映画だったなー」くらいの記憶です。
で、今回の『28年後…』。正直、つまらなかったです。3本の中で一番面白くありませんでした。
観終わって残ったのは、「何がやりたかったんだよ」の一言です。
隔離された島で人が暮らしているのは分かる。病気の母親を助けたくて、息子が危険を冒して医者を探すのも分かる。
でも、そこから先が分からない。母親の死も、医者の行動も、最後に出てくる連中も。
ということで、どこに引っかかったのかを整理します。
※ここから先は、母親の最期とラストシーンを含むネタバレがあります。
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*2026年10月19日に配信を確認しています。
父との狩り、そして母との旅
感染爆発から28年。英国は隔離され、12歳の少年スパイクは、潮が引いたときだけ本土と道がつながる小さな島の共同体で暮らしています。
前半は父ジェイミーに連れられて初めて本土へ渡り、感染者を狩る話です。
島に戻ったスパイクは、父の浮気を目撃したこともあって、父への見方が変わります。そして、本土にいるという医師ケルソンのもとへ、病気の母アイラを自分で連れていこうと決めます。
道中では感染した妊婦の出産に立ち会い、生まれた赤ん坊も連れて旅を続けることになります。
ここまでの目的はシンプルです。母親を医者に診せる。それだけ。
危ないから行くなと言われても、助かる可能性があるなら行く。12歳がそう決めるのは理解できます。
だからこそ、ケルソンにたどり着いたときは、「よし、やっと診てもらえる」となるわけです。
ところが、そこから急に、母親の死を受け入れる話になります。
え、母親を助けるために、ここまで来たんだよね?
母の死、受け入れるの早すぎない?

一応整理しておくと、母親は突然倒れて、そのまま亡くなったわけではありません。
ケルソンは診察から進行したがんを疑い、自分には治せないと判断します。十分な検査設備がある状況ではありません。そのうえでアイラは苦痛から解放されるために、医師に死を介助してもらうことを受け入れます。
話としては追えます。母親に苦痛があったことも、本人に思い当たる節があったことも描かれています。
でも、「なるほど、じゃあ仕方ないね」とはなりませんでした。
医者に会えば必ず治る、なんて思っていません。助からない結末そのものがダメなんじゃないんです。ただ、「治せない」と分かることと、「その場で死を選ぶ」ことの間には、もう少し話があるでしょう。
ついさっきまで、息子は母親を救うために感染者だらけの本土を歩いていたんです。その目的が医者と会ってからあっという間に「母親を見送る」に切り替わる。
いや、切り替え早すぎない?
しかも、息子が母親の選択に納得して、最期まで見届ける、という流れですらありません。まぁ自分の死を子どもに見せたくないのはわかるけれどさぁ…ここまできたんだし最後まで見届けようよ。
で、その後は母親の頭蓋骨を骨の塔に置く。
待って待って待って。こっちはまだ、母親が死ぬこと自体を飲み込めてないんだけど。
死者を弔う場面として見せたいのは分かります。でも気持ちが追いついていないので、骨の塔を見せられても、感動より先に疑問が来ます。
助けようとして助けられなかった、という話ならなおさら、その事実をどう受け止めるのか、葛藤する時間をもう少し観たかったです。
アルファを眠らせて、放置するんかい

医師のケルソンにも引っかかりました。
感染者がいる本土で暮らしてきた人なのに、巨大な感染者のサムソンに襲われると、スパイクに助けてもらうことになります。
あれ、今までどうやって生き延びてきたん?
まあ、強くなければ生き残れない、と決めつけるのも違うのでしょう。ケルソンには鎮静用の吹き矢があって、感染者と距離を取る方法もある。腕力で勝ち続けてきた人ではない、という説明はつきます。
問題は、その後の行動です。
前にサムソンを一度眠らせているのに、とどめを刺さない。そして、その後また襲われる。
いや、放置するんかい。
さっき対処できたよね? 起きたら、また襲われるんじゃないの?案の定襲われるんかい!
ここで出てくるのが「感染者も病気になった人間だ」という考え方です。ボイル監督もExtra.ieのインタビューで、その見方と、ケルソンが感染者と非感染者を区別せずに弔うことを説明しています。
そういう人物として描いているのは分かりました。
でも、相手は普通に襲ってきます。自分だけじゃなく、一緒にいる子どもも危ない。殺さないなら、その危険をどうするつもりなのか。
感染者にも人間らしさがある、という話をしたいのは分かる。でも、それで目の前の危険が消えるわけじゃないでしょう。
なので、ケルソンの考え方には素直についていけませんでした。
最後の連中、お前ら誰だよ

そしてラストです。
スパイクは赤ん坊を手紙と一緒に父に託して、一人で本土へ戻ります。28日後、感染者に囲まれたところへ、金髪でジャージ姿の一団が現れて、感染者をアクロバティックに倒していきます。
お前ら誰だよ。
そして、その戦い方はなんなんだ。
私が前の2作を忘れているだけで、何かのオマージュなのか?とも思いました。それくらい、急に知らない映画が始まりました。
気になって調べると、中心人物のジミーは冒頭で感染拡大から逃げていた少年が成長した姿だそうです。The Independentの取材で、ボイル監督が説明しています。
金髪やジャージ姿には英国のテレビ司会者ジミー・サヴィルを連想させる意匠もあります。死後に多数の性加害が明らかになった人物なので、背景を知ると、頼もしい助っ人が来たという場面ではないことが分かります。
監督の説明でも、ジミーたちは物語に再び悪を持ち込み、次の話へつなぐ存在として位置づけられています。
なるほど、意図はあるらしい。
でも、意図があるからあの出し方でいい、という話にはならないでしょう。
母親を助けに行って、助けられず、死を受け入れて、骨を弔って、赤ん坊を託して本土へ戻る。そこまでやった直後に、ジャージ軍団のアクロバット格闘です。
なんだよこれ。
さっきまでの母親の話、どこに置いとけばいいんだよ。
続きにつながる人物を出すにしても、入り方はあったはずです。私には、今観ている話を終える前に、次の映画の予告が始まったようにしか見えませんでした。
ゾンビ映画に意味を求めすぎたのかもしれないけれど
ここまで書いておいてなんですが、ゾンビ映画に意味を求めている自分が悪いのかもしれない、とも思います。
ただ純粋に、パニックの怖さやグロさを楽しめばよかったのかもしれません。
以前、『死霊館』シリーズを観たときも、ものすごく新しい話だから楽しめたわけではありませんでした。お決まりの展開でも、怖くて退屈しなければ楽しめる。ゾンビ映画とかホラー映画ってそういうのを楽しまないといけないんだよね。
ただ、今回の映画は母親の病気と死にかなり踏み込んでいます。
そこまで描かれたら、「この人はなぜそうするのか」「この子はそれをどう受け止めたのか」が気になってしまうんですよね。
母親を助けたい気持ちにはついていけた。死を受け入れるところで置いていかれた。医者の判断で首をかしげて、最後の連中で完全に分からなくなった。
調べると、作り手がやりたかったことは少し分かります。家族の話であり、感染者も人間だという話でもあるのでしょう。
それでも、観ていたときの「なんでそうなるんだよ」は、ほとんど解消されませんでした。
ということで、私にはつまらなかったです。
何か深い意味があるのかもしれない。でも、それを探す前に、母親を助けようとした少年の話として納得したかったなぁ、という感想でした。
参考資料
The Standard:物語と結末の整理(母の最期、スパイクの鎮静)
https://www.standard.co.uk/culture/film/28-years-later-plot-and-ending-explained-and-will-there-be-another-film-b1233535.html
Extra.ie:ダニー・ボイル監督インタビュー(感染者をどう捉えるか)
https://extra.ie/2025/07/01/entertainment/danny-boyle-interview
The Independent:ダニー・ボイル監督によるジミーとラストシーンの説明
https://www.the-independent.com/arts-entertainment/films/news/28-years-later-ending-jimmy-savile-danny-boyle-b2774905.html
TIME:BBCの調査報告に関する記事(ジミー・サヴィルの背景)
https://time.com/4237046/bbc-sexual-abuse-savile-hall-report/
※参考資料には作品のネタバレと、続編に関する制作・宣伝情報が含まれます。この記事では2025年の『28年後…』だけを扱っています。

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