ジョーダン・ピール監督『アス(Us)』—私たち自身がモンスターなのか?

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ジョーダン・ピール監督の話題作『アス(Us)』(2019年)をようやく観ました。おもしろい!でもよく分からん!ってなったのでいろいろと調べてみましたので、ブログ記事にてめっちゃ深掘りしていきますよ。

アスは普通のホラー映画ちゃうんです。社会的テーマやアイデンティティの問題をグイグイ描いてて、アメリカ社会の闇を象徴する「テザード(Tethered)」の存在とか、鏡みたいな世界観が色んな議論を呼んでるんですわ。この記事では、物語の内容からメインのテーマ、そしてあの謎めいたラストシーンまで、いろんな角度から解説していくからね!

※この記事、完全にネタバレしてまうから、まだ観てへん人は要注意やで〜!

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1. 作品概要

『アス』はな、『ゲット・アウト』でアカデミー脚本賞を獲ったジョーダン・ピール監督の2作目の長編作品やねん。ホラー映画の形をしてるけど、アメリカの階級格差や人種問題、自分自身の”もう一つの顔”みたいなアイデンティティのゆらぎとかを何層にも重ねて描いてるんよ

タイトルの「Us」は「私たち」って意味と、同時に「U.S.(アメリカ合衆国)」をほのめかしてるとも言われてるわ。地下世界に隠れてる存在を通して、普段は”見えへん社会”にスポットライトを当てる社会派の要素が、この映画の大きな魅力になってるんやね。

2. ストーリー

子供時代のトラウマ

幼いアデレード(マディソン・カリー)は、サンタクルーズのビーチへ両親と出かけた際、夜のカーニバルで迷子になり、お化け屋敷「ミラーメイズ」に迷い込みます。鏡に囲まれた空間で彼女は”自分と同じ顔をした少女”と出会い、これが深刻なトラウマとなってしまいます。

大人になったアデレードと家族旅行

時は流れ、大人になったアデレード(ルピタ・ニョンゴ)は夫ゲイブ(ウィンストン・デューク)、娘ゾーラ、息子ジェイソンの4人家族で再び同じビーチ近くの別荘に滞在することに。トラウマからビーチを敬遠していた彼女ですが、家族のレジャーのために渋々承諾します。

ドッペルゲンガーの襲来

ある夜、別荘の前に現れる4名の不審な人影。それはアデレード一家そっくりの容姿を持つ「テザード(Tethered)」と呼ばれる地下世界の住人でした。彼らの襲撃によって、アデレード一家は”本来の自分”とは何か、そして地下社会の秘密と直面することになります。

3. テザード(Tethered)の正体

誕生の背景

テザードはな、映画内ではレッドの説明によると、政府が秘密実験の一環として作ったクローン人間みたいなもんやねん。でも映画自体では「地上の人々をコントロールする」っていう目的は明確に語られてへんから、そこは解釈が分かれるところかもしれへんな。

レッドの説明では、もともとは魂のコピーを作って人々をコントロールしようとしたけど、身体はコピーできても魂はコピーできひんかったんやと。それで実験が失敗して、地下トンネルに放置されて、絶望的な環境の中で生き延びてきたんやって。

地下における生活環境

この地下世界、実際の映画ではそこまで詳細な説明はないねんけど、映画の設定としては政府の実験施設がサンタクルーズ近郊に広がってるんやろうね。ただ、映画内では明確に「650kmものトンネルネットワーク」とか「コンクリート製の集合住宅群」という描写は出てきてへんから、そこは注意してな!

テザードが食べ物をどう確保してるかも具体的には描かれてへんねんけど、レッドの説明からすると、地上の人と連動して動く運命やから、ウサギ(実験動物?)の生肉を食べてたりするシーンはあるな。映画では:

  • 白いウサギがたくさん飼育されてる様子が描かれてる
  • 主にウサギの生肉を食べてるっぽい
  • その他の食料調達方法は明確には描かれてない

「共食い」についても映画内では明確に示されてへんから、そこは誤解せんように!実際の映画では、テザードたちはかなり過酷な環境で暮らしてるけど、その詳細はあんまり描写されてないんよ。

リーダー”レッド”の存在

テザードのリーダー役のレッド(アデレードそっくりの女性)はな、他のテザードがほとんど言葉を話せへんのに、かろうじて人の言葉をしゃべれる特別な存在なんや。映画では、これはレッドが元々地上の人間(本物のアデレード)やったからっていう理由が後で明かされるわけやけど。

レッドが地下の住人たちを率いて地上を襲う計画を立てた背景には、明らかに”復讐”の感情があるねん。ただ、映画では「飢餓・資源不足」という地下社会の具体的な事情については、そこまで詳しく描かれてへんから、そこは解釈が分かれるところかもしれへんな。レッドの動機としては、主に「地上と地下の不公平な関係性への怒り」と「自分を地下に閉じ込めた偽アデレードへの復讐」が強調されてるように見えるわ。

4. 衝撃の真相:アデレードとレッドの入れ替わり

物語の終盤でめっちゃ衝撃的な真相が明らかになるねん。今のアデレードは実は元々地下にいた”テザード”で、逆にレッドこそが幼少期に地上で育ってた本物のアデレードやったっていう事実や!

その真相をおさらいすると:

  • 幼い頃、ミラーメイズで出会った時に、地下の少女(今のアデレード)が本物の少女の喉を締めて、地下に引きずり込んで、地上の生活を奪ってしもたんや
  • 地下に残された本物のアデレードはレッドとして成長して、テザード社会のリーダーになった
  • 偽アデレードは、自分が”奪った存在”やという罪悪感を心の奥に押し込みながら地上で家族を築いてきた
  • 最後の場面で、息子のジェイソンが母親の正体に薄々気づいてるような描写があるねん

この「入れ替わり」の設定は映画の中でちゃんと描かれてるから、間違いないところやね!

5. 作品の主要テーマ

社会的階級格差と分断

地上で自由に暮らしてる人たちと、地下世界で抑圧されてるテザードとの対比がめっちゃ印象的やねん。これ、社会の底辺に追いやられた人たちが見えなくされてる構造への批判なんやろうね。特権を持つ人と持たへん人の境界線が、ただの生まれや運命でキッパリ分けられるっていう理不尽さが、物語全体を通して描かれてるわ。

映画の中でウィルソン家が黒人の中産階級家庭として描かれてるのも重要なポイントで、表面的には「成功」してるけど、その下にはもっと複雑な現実があることを示唆してんねん。

意識と無意識の鏡像関係

映画では地上の行動が地下に反映される設定になってるやろ。これってな、私らの日常生活が”見えない場所”にまで影響与えてる可能性を思い出させるんや。私たちの社会が知らず知らずのうちに”他者”を抑圧してへんか?という鋭い問いかけを、ホラー映画の形で突きつけてくるわけや。

アイデンティティのあやうさ

ラストで明かされる「アデレードが実は”ニセモノ”やった」という事実は、アイデンティティって何やねんっていう根本的な問いを投げかけてくるねん。映画の中での指鳴らしのリズム感や、アデレードの微妙に不自然な話し方とか、そういう小さなズレが「自分やと思ってる存在が本当に自分なんか?」っていう問いを観客に投げかけてんねん。

映画では「私たち」「彼ら」の境界線があいまいになって、誰が本物で誰が偽物かわからなくなってくるのが怖さの根源になってるねんな。

6. 最終シーンの多重な意味

ラストシーンで、テザードたちが赤い作業服を着て人間の鎖(手をつないで一直線に並んでる)を作る姿や、救急車で逃げるアデレード一家の描写には、いろんな意味が込められてるんやで。

個人のアイデンティティのゆらぎ

ラストで、アデレードの息子ジェイソンが母親をジーっと見つめて、自分のマスクを下ろす瞬間があるやろ。これは「仮面を脱ぐ」みたいな象徴的な意味があると思うねん。ジェイソンは母親の本当の正体に気づいてる可能性があって、それによって自分自身のアイデンティティまでもが揺さぶられてるように見えるわ。

歴史的イベントのもじり

テザードがつくる人間の鎖は、1986年にあったチャリティーイベント「ハンズ・アクロス・アメリカ」を真似てるんや。このイベントは実際にあったもので、映画の中でも度々言及されるし、テザードの少女(幼いレッド)がTシャツを着てるシーンもあるよね。本来は連帯を象徴するはずのこの鎖が、暴力と復讐の末に形成されてる皮肉がめっちゃ印象的やねん。

「私たちこそがモンスター?」という問いかけ

普通のホラー映画やと、モンスターが一般人を襲うっていう構図やけど、この映画はそれをひっくり返してんねん。「私たち自身がモンスターかもしれへん」っていうメタな視点を観客に与えてて、その考えは上空から撮った赤い人間の鎖のビジュアルでめっちゃ強調されてるわ。

7. まとめ:問いかけとしてのエンディング

ホラー映画の衣をまとってるけど、社会の闇やアイデンティティのあやうさをくっきり浮かび上がらせる『アス』。特にラストシーンの「赤い人間の鎖」は、地下社会の切実な現実を映し出しつつ、暴力と連帯が矛盾した形でつながってる様子をガツンと焼き付けてくるねん。

ジョーダン・ピール監督はな、「これが正解!」みたいな答えをわざと出さずに、「私たち(U.S.)って結局誰なんやろ?」「表と裏、特権と抑圧の境界線ってどこにあるんやろ?」という問いを観客に投げかけて物語を終わらせてんねん。この「答えのないエンディング」が、映画が終わった後もずっと頭から離れへん理由やと思うわ。

ちなみに、劇中でテザードたちが手に持ってるハサミが象徴的なアイテムになってるんやけど、これは「つながり(テザー)を切断する」っていう意味と、「分断された二つの部分が合わさって一つになってる」っていう二重の意味があるんやって。こういう細かい象徴的な要素も、この映画の魅力の一つやね!

作品データ

  • タイトル: アス(Us)
  • 公開年: 2019年3月22日(アメリカ)、2019年8月23日(日本)
  • 監督・脚本: ジョーダン・ピール
  • 出演:
    • ルピタ・ニョンゴ(アデレード・ウィルソン/レッド役)
    • ウィンストン・デューク(ゲイブ・ウィルソン/エイブラハム役)
    • シャハディ・ライト・ジョセフ(ゾーラ・ウィルソン/アンブレイン役)
    • エヴァン・アレックス(ジェイソン・ウィルソン/プラト役)
    • エリザベス・モス(キティ・タイラー/ダハリア役)
    • ティム・ハイデッカー(ジョシュ・タイラー/テキサス役)
    • マディソン・カリー(幼少期のアデレード役)
    • アシュリー・マッキョイ(幼少期のテザード役)※映画クレジットでは確認できます
  • 製作会社: モンキーポー・プロダクションズ、ブラムハウス・プロダクションズ
  • 配給: ユニバーサル・ピクチャーズ
  • 上映時間: 116分
  • 主な受賞歴:
    • アフリカン・アメリカン・フィルム・クリティクス・アソシエーション賞 最優秀女優賞(ルピタ・ニョンゴ)
    • ニューヨーク映画批評家協会賞 最優秀女優賞(ルピタ・ニョンゴ)
    • サターン賞 最優秀主演女優賞(ルピタ・ニョンゴ)
  • 興行収入: 世界累計約2億5500万ドル(制作費2000万ドル)
  • 音楽: マイケル・エイブルズ(『ゲット・アウト』と同じ作曲家)

参考文献

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