中高年の引きこもり問題が深刻化しているみたいです。まぁそんなこと言われなくても分かりますよねっていう感じの話なのですけれど。一度引きこもったら、普通は社会復帰できないですからね。
「8050問題」という言葉をご存知でしょうか。「80」代の親が「50」代の子どもの生活を支えるという問題です。背景にあるのは子どもの「ひきこもり」です。
「8050問題」 求められる多様な支援|ひきこもりクライシス“100万人”のサバイバル|NHK NEWS WEB「8050問題」という言葉をご存知でしょうか。「80」代の親が「50」代の子どもの生活を支えるという問題です…
で、今さになって「社会復帰を手伝う!」みたいなことを自治体が考え出すみたいですが、遅いっての。
- 支援をしなかった
- 支援があることを知らなかった
- 社会に適性がなかった
- リストラされた
などなどの人が中高年のひきこもりになってるのだから、いまさら支援されても無理だと思うのですよ(費用対効果はかなり薄いはず。エビデンスないけれど)。役所組織も費用対効果が薄そうなところに人員やら予算をかけるべきではないでしょう
で、そういう人には「親の介護料として月に3万円ほど配ればいいんじゃないかなー」と、私は思うわけです。「引きこもり=悪いこと」の考えじゃ、引きこもってる人を追い詰めるだけ。
そんなことより、「高齢者になる家族の世話をしてくれて、ありがとう。介護施設も人手が足りないし、これからは子どもが親の世話をしていかなければならない時代だから、本当に助かる🙇♂️」みたいな流れにしていく方がいいと思うのです。
というか、ほんと変な世の中ですよね。家にいたらいたで「家を建てて自立しろ!」というし、家を出たら出たで「近くにいなくてさみしい」とかいうし、「家に戻ってきて親の介護しろ!」とかいうし。
まぁ核家族というスタイルが高度経済成長時代だけに許された、特殊な家族構成だったのでしょうね。ヒトは『家族』という集団を形成しないと生きられない弱い生物なのですよ。
1 子どもの世話、親の介護をする人はお金をもらえない問題
社会の制度で歪んでるなぁと思うところがあります。それは、施設に預けたもん勝ち、なところです。
- 親を介護施設に預ける
- 子どもを保育園に預ける
という場合、その施設やらには税金が投入されております。税金が投入されているわけですから、そういうサービスを少ない料金で利用できるわけですね。
でも、
- 自分で親を介護する
- 自分で子どもを育てる
場合、税金は投入されません。実費なのですよ。
ということは、施設に預けた方がお得!となります。施設に預けて税金の恩恵を受けつつ、自分は働いてお金を稼ぐ方が、どう考えても経済合理的。そうなると、自分でお世話する人は損です。ここが制度の歪んでいるところだと私は思っています。インセンティブ設計をもっとうまくした方がいいと思うのですね。
1.1 施設にではなく人にお金を与えるべき
また教育界ではよく言われている、バウチャー制度を取り入れるべきだと思います。施設にお金を与えるのではなく、人にお金を与えるというわけですね。
そうすることで、
- 自分で子育てするか、施設に頼むか
- 自分で介護するか、施設に頼むか
を選択することができます。施設に預けた人も、預けてない人も平等に税の支援があるというわけです。
支援が平等になると、「預けないと損!」みたいな考えもなくなります。介護士さんの待遇を良くすることも大切ですが、施設に預けないで親の介護をやってる人にも支援していきましょうよ。
こちらの内閣府のデータを見ても分かる通り、これからは15〜59歳は減っていくのですけれど、75歳以上は増えていくんですよね。ただでさえ施設が足りてないと言われているのに、さらに足りなくなるのは目に見えています。親の介護は『できるだけ家族で見る』しかない時代なのですね。
1.2 中高年の引きこもりに役割を与える
ヒトは社会的動物。社会との接点なしには精神が保てません。だからひきこもりはヤバイとされているのですが、ひきこもり対策が余計にひきこもってる人を追い詰めていたりするわけですね。
ですから、まずは簡単な社会的役割を与えるべきなのではないでしょうか。中高年のひきこもりには「親の介護」という役割を与えて、「介護問題の一助を担ってくれてありがとう」みたいな風潮にしていけばいいと思うんです。実際、介護ってめちゃめちゃ大変なお仕事ですし。
仮に2択あったとしたら、どちらを選びます?
- 月に30万円でITのお仕事
- 月に30万円で介護のお仕事
多くの人が、ITの仕事を選ぶんじゃないでしょうか。介護って肉体的にも精神的にもきついんですよ。それをやってくれる人に、お金を渡すのって普通じゃありませんか?
役割が与えられていると、「ワイ、ちゃんと生きてるで!」という気持ちにもなれますし、精神衛生上にプラスになること間違いなしです。無理に「社会復帰しろ!」と追い詰めるよりは、身近にできることから役割を与えて、少額のお金を渡す方がいいんじゃないかなーと思います。
月に3万円というのは適当な数字ですが、ひねりだせないことはないお金かと。市議会議員の年収が仮に1000万円だとしたら、不要な市議会議を一人減らせば1000万円浮きます。となると、10人くらいの中高年ひきこもりに毎月3万円を渡して、親の介護をしてもらえます。人口が減るのですから、市議会議員も減っていいですよね。ひきこもり支援をやってる役所の人も減っていいですよね。
1.3 脱核家族で生まれるメリット(余談)
余談です。親の介護をするなら少額のお金を給付することになれば、「親の介護でお金をもらえるなら、実家に戻ろう」みたいに考える人も出てくるのではないでしょうか。
核家族から、集団の家族に戻るというわけですね。そうするとメリットがいくつか生まれます。
- 高齢者は認知症になりづらくなる
- 集団で暮らす方が経済的にも優しい
- 祖父母が子どものお世話をしてくれる
などなどですね。
で、たぶん、一番のメリットですが、「人間ってこうやって老いて死んでいくんだなー」ということを、子どもが学べる点かと。今の時代では『老と死』が遠ざけられてますからね。生物として当たり前にくる未来を、学べない環境なのです。
まぁもちろん、
- 仲が悪い家族
- 核家族で生活したい
というような人たちには使えない手なのですけれど。
おわりに
ひきこもり中高年に「就職支援を!」みたいに言われていますが、それは本当に社会のためなのでしょうか?例えば、それで就職したとして、その就職先がブラック企業だとしたら、社会的にプラスなのでしょうか?
というかそもそも、山口周さんの言葉を借りれば「クソ仕事が蔓延」している世の中で、クソ仕事に従事することは社会のためになるのでしょうか?むしろマイナスじゃないですか?
クソ仕事の代表例は、かんぽ生命でしょう。高齢者に詐欺まがいの保険商品を売りつけていた話ですね。
>かんぽ生命のほぼ詐欺問題
「役割を与える」ということは、中高年ひきこもりに大切です。でもその役割が「ブラック企業で働く」のではダメなんですよ。じゃあどうやって役割を与えていくのか?という話ですが、それは家でもできる『親の介護』でいいんじゃないかなぁと思うわけです。
- 親の介護で感謝される社会
を築いていけば、脱ひきこもりの第一歩になるはずです。なにがなんでも「働け!」では、誰も幸せにならないよなーと。
それでは!
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