ワークライフバランスを考える前にレイバーライフバランスを考える

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「ワークライフバランスを考えよう!」

こんな言葉はもう耳タコだよ!
この言葉が叫ばれて以来、どれくらいの年月が経ったのか。
それにしても一向に改善しないであろうワークライフバランス。
いや、その前に考えるべきことはこの社会で『ワーク』ができている人はどれくらいいるのでしょうか?
今回の記事ではワークライフバランスについて改めて考えてみたいと思います。

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ワーク(仕事)とレイバー(労働)の違い

私たちはなんとなく仕事をすることを西洋から引っ張ってきた言葉の『ワーク』を使っています。
だからワークライフバランスと聞けば、「仕事と生活のバランスね」みたいに簡単に納得しちゃうのですが、ワークって本当に仕事なの?

ワークの定義をきっちりするためにも、こういうことをグダグダ考えるのが好きな哲学者の一人、ハンナ・アーレントさんの言葉を借りてみましょう。

ハンナ・アーレントの考える仕事

ハンナ・アーレントさんは『仕事(ワーク)』と『労働(レイバー)』を区別して考えました。
彼女の言葉をそのまま引用すると「意味わかんねーよ(╯°□°)╯︵ ┻━┻」となりかねないので、自由気ままにブログを書いている一人として、個人的な解釈をしてみると、

  • 仕事(ワーク):生きるため以上のもの
  • 労働(レイバー):生きるためのもの

です。

欲求段階説で有名なマズローのいう、自己実現に貢献するのものがアーレントのいう『仕事』だと私は解釈しています。
逆に言えば、アーレントのいう労働ばっかりやってても自己実現には一歩たりとも近づかないよってことです。

仕事(ワーク)ができている人ってどれくらいいるの?

この話をもうちょっと具体的にしてみましょう。

例えば「俺は超一流のプログラマーになるんだ!」という考えのもと、安月給の会社でブログラムを書き続けている田中くんがいたとします。
この田中くんがやっていることは仕事でしょうか、労働でしょうか?

周りから見ればそれはただのブラック企業で、ワークライフバランスが取れていないかもしれません。
しかし、田中くんとしては、夢を叶えるため毎日コードを書き続けているのです。

個人的にはこれは仕事(ワーク)だと私は思います。
しかもプログラマーって夢がある職業だしね。
頑張ってればグーグルでもマイクロソフトでも、アップルでもフェイスブックにでもいけるかもしれませんし。

話は少し脱線しますが、はてな匿名ダイアリーにこんな記事がありました。
小学校に通う娘が、「将来はプログラマーになりたい」と言ったところ、担任の先生が「プログラマーは年収400万円くらいで低いからやめておけ」と答えたそうです。
やっぱり、世間知らずの先生って怖いなぁと思うばかりなのです。
確かにIT土方と呼ばれている人もいますが、その反面、若くして超高級取りな人もいるわけです。
自分の小さな知識の範囲内で、小学生に向かって、夢を潰すような言葉を発しちゃダメですよね。
はい、脱線終わり!

では次に田中くんの同僚の鈴木くんの場合を考えてみましょう。
鈴木くんは田中くんと違って一流のプログラマーになりたいとは考えていません。
それに田中くんと違って鈴木くんは文系大学卒で、そもそもプログラマーになんてなりたくなかった。
しかし、就職難で仕方なくこの会社のプログラマーとして採用されたのです。
毎日イヤイヤコードを書き、常に早く帰りたいと思っています。

さて、これは鈴木くんのやっていることは仕事でしょうか、労働でしょうか?
これは多くの人がレイバー(労働)と答えると思います

田中くんも鈴木くんも同じ給料、同じ休日、全くの同じ条件だとしても、仕事と労働の違いは出てきます。
これって個人によって全然違うんですよね。
私はテニスが好きなので、錦織選手の例を出してみましょう。

錦織選手は世界のトップテニスプレイヤー。知名度も高いし、好感度も高い。
おまけに収入も超高くて、なんならプライベットジェット機をレンタルして世界各地のツアーを回っていたりします。(サッカーのクリロナはプライベートジェット機を購入しています(´・ω・))

錦織選手の環境をなんとな〜くで考えてみると、好きなことしてて、なおかつお金ももらってて、移動はプライベートジェット機なので、すごく優雅な生活をしていると思うかもしれません。
しかし、実際のその生活たるやテニス漬け。
朝から晩までテニスの肉体的トレーニング・精神的トレーニング・技術的トレーニングばかり。
年間休日なんて30日そこそこだろうし、友達や彼女とグダグダもできない。
二日酔いはおろかお酒も飲めない生活が1年のほとんどをしめているのです。

この生活、あなたならどう思いますか?耐えれます?でもきっとこれは錦織選手にとってはいいんですよね。
なぜなら自己実現に近づいていっているから。4大大会(ウィンブルドンなど)の優勝を狙えるから。

グダグダと書いてきましたがワークとレイバーって個人の受け止め方がすごく大きいんですよね。

  • ミュージシャンを目指しているけど、まだ売れていないからコンビニでバイトをしている
  • 芸人を目指しているけど、まだ売れていないのでバイトしている

こんな感じにワークとレイバーを両方に取り入れることが大切なのかもしれません。
ワークライフバランスを考える前に、「あなたにとってのワークって何?」を考えましょう。
んで、まだワークを持っていないのであれば、レイバーライフバランスを考えて、自分の労働をどう生活に位置付けていくかを確認して行かなければなりません。

脳科学からみるレイバー(労働者)

さて、今までは「レイバーライフバランスについて考えよう!」的な話を書いてきましたが、実際は一度レイバーになるとそこから抜け出せない方が多くいます
「自分にとってワークはない、レイバーしかない。身をすり減らしながら、生きるため・家族のため、ただただ目の前にある仕事を片付けていくだけなんだ」という人がいます。

ある程度の社会的地位もある人は「なんでそんなことしてんの?仕事やめろよ!転職しろよ!」と強者の意見を投げかけます。
当たり前のような気がしますが、レイバーな環境にある人には仕事を辞めることは難しいんですね。
これを脳科学的な見地から見てみましょう

行動の結果が人の感情を変える

池谷裕二さんの『単純な脳、複雑な「私」』を参考にしています。

バイトを雇ってつまらない単純作業をしてもらいます。作業内容は全く一緒だけど、後で払うバイト代を変えます。

  • グループA・・・時給2000円
  • グループB・・・時給100円

この後「あの作業は面白かったですか?」というアンケートをとりました。同じ単純作業をしても報酬額によって作業内容の面白さが違うという心理作用が見つかりました。

「どちらのグループが仕事が面白いと感じたでしょうか?」

普通に考えると、時給2000円のAグループの方が面白いと感じそうですが、結果は全くの逆でグループBは「意外と楽しかった」と感じたのです。

ここに厄介な人間の心理作用があるんですね。
人は感情と行動の不一致を嫌います。
だから感情と行動を一致させるように感情を変化させるのです。
この場合、単純作業をしたという行動の事実は変えることができません。
だから変えるのは必然的に感情になります。

  1. 時給100円のバイト代をもらう
  2. この単純作業ってこんなに低賃金だったんだ・・・
  3. こんなに低賃金なのに一生懸命やったということは、この作業はきっと面白いんだ!
  4. なんなら人の役にも立ってるんだ!

人によって捉え方は変わってくるでしょうが、を都合のいいように解釈してしまうんですね。
このことから2つのことが見えてきます。

  1. 給料が高ければ人は仕事に満足するわけではない
  2. この人間の心理作用はブラック企業にもってこい

1の『給料が高ければ人は仕事に満足するわけではない』、という話はどちらかといえばワークライフバランスに悩んでいる人向けの話っぽいのでここでは省略です。
ここで考えるべきはレイバーライフバランスであり、2の『人間の心理作用はブラック企業にもってこい』です。「なんでこんなにキツくて低賃金のところで働いてるんだろう・・・でもこれがきっと人の役に立つんだ!それに今ここでこの会社から抜けたらみんなが困るしな!俺がいないとダメなんだ!」

と、こういう思考になる人もいるわけです(いろんな思考があると思いますが)。
こういうのを表すいい言葉があります。

やりがい搾取

  • 君の能力をフルに活かせるんだ!
  • 一緒に会社を成長させよう!
  • 君の仕事は日本のためになるんだ!
  • 社会貢献だ!
  • 君がいないとこの会社は潰れてしまう・・・

などなど。
先ほど話した人の心理的作用や承認欲求をうまく使いながら、あなたの労働力をフルに使ってやろうというブラック企業経営者はいます。

あなたの上司、サイコパスかも?

やりがい搾取をされているレイバーな人たちは、上司や経営者の中には『サイコパス』がいるんだということも知っておかなくてはなりません
中野信子さんの著書『サイコパス』を参考にしてみましょう。

中野先生曰く、サイコパスは100人に1人の割合くらい存在します。
またサイコパスといっても全員が殺人者といったわけではないので、全員が悪い人ではありません。
しかし、サイコパスの性質を知っておかないと、都合よく利用されてしまう可能性が出てくるのです。

サイコパスの特徴を簡単にまとめると、

  • 恐怖を感じずに堂々としているので、魅力的に見える
  • 口達者
  • 普通の人なら倫理的にブレーキを踏むところを、踏まない
  • 他者への共感性が低い
  • 道徳性による判断ではなく、合理性に基づいて判断する

などなどの特徴があります。んで、こういう特徴を持っている人は企業の経営者に向いているし、実際に経営者にはサイコパスが多いようです。大きな決断をしたり、人を使うことをなんとも思わないようなメンタルがないと、とてもじゃないけど経営者なんて辛いだけです。

またサイコパシーが高い人は、人の気持ちに共感することはありませんが、その代わりに人の表情を読むことが得意です(人の表情を読める方が生存に適していたため、その能力が高くなった)。
だから人の表情を読み取り、行動を予測し、巧みに操ることができるのです。

サイコパスに操られると苦しいだけですので、「普通の人は人を思うがままに利用しようとは思わない」という考えを捨てて、「人を利用するのをなんとも思わない人もいる」という認識を持って上司や経営者と接していくべきなんですね。

なぜブラック企業から抜け出せなくなるのか?

脳科学的にみて、

  • 人は低賃金労働を肯定する心理作用にあること
  • 上司や経営者などの一部のサイコパシーが高い人は、レイバーを搾取することに対して何も感じないこと

が、レイバーをより苦しい立場に追い込んでいるのだと思います。だからまずはこの2つのことを認識する必要があります。

  1. 人は行動した結果に対して感情を合わせること(低賃金労働を肯定的に捉える)
  2. 人を追い込むことに何も感じない人がいる(感情ではなく合理的に判断する人がいる)

「これさえ認識できたら、レイバーな環境の人でも今の環境を変えることができるでしょ!さぁやばい環境だと分かったら、転職すればいいじゃん!」

と、思うかもしれませんが、レイバーな人には重大な問題がある可能性があります。医学博士ジョンJ・レイティの著書『脳を鍛えるには運動しかない』を参考にしてみましょう。

人はストレスを感じると、ストレスホルモンであるコルチゾールを分泌します。コルチゾールはニューロン内の遺伝子を刺激し、ニューロンの材料となるタンパク質を作ります。
その結果、シナプスはより太くなるのですが、ストレスとは関係のない情報を遮断するようになるのです。
つまり、新しくニューロン形成をすることができなくなり、新しい情報が記憶として定着されなくなるのです。

最初のハンナ・アーレントのところで書きましたがレイバーの労働とは『生きるためのもの』であり、レイバーとしてのストレスが高すぎると、生きるためのことしか考えられなくなるのです。

「なぜブラック企業で勤めている人はそこから抜け出せなるのか?」

その1つの答えとして、慢性的なストレスにさらされると、コルチゾールが多くなり、生存とは関係ない情報は遮断され、新しい情報がニューロンに取り込まれなくなるからです。
だから自分が置かれている環境が見えないし、他の労働環境を知ることや、転職のための情報集めなどができなくなるのです。

レイバーライフバランスを見直そう

ワークライフバランスを見直す前に、『レイバーラーフバランスを見直そう!』というのがこの記事のテーマでした。
しかし、今見てきた通り、レイバーの環境で働いている人には、新しい情報を与えることすらできないので、どれだけ周りの人が「お前の労働環境おかしいよ!転職しろよ!」と言っても、効果が薄いのです(まだ慢性的なストレスに侵されてなく、脳内がコルチゾールで満たされてなければ大丈夫)。

だから今からいうことは予防です。
社会人になる前に、慢性的なストレスにやられる前に、頭の中に留めておきましょう。

  1. 生活をレイバーで満たすだけでなくワークも取り入れる
  2. 劣悪な労働環境を肯定的に捉えようとする心理的作用がある
  3. やりがい搾取をしても何も感じないサイコパシーの高い上司や経営者がおり、その人たちは相手の表情を読むことが得意で言葉巧みに操ろうとしてくる
  4. 慢性的なストレス状態になると、生存とは関係ない情報を受け入れることができない

労働市場の流動化を目指す

ここからの話は理想論で、個人ですぐに変えれるものではありません。
しかし、レイバーライフバランスを見直すにあたって、必ず考えなければならないことだと私は思っています。

ブラックな労働環境は、『労働市場が流動化』すればなくなります。
「どういうことだってばよ?」と思われる方は、以下を読んでみてください。

労働市場の流動化を簡単な言葉で言ってしまうと、『転職がしやすい環境になる』ということです。
例えば会社に入ったとして、

  • 「うわ、ここ、すごく労働環境悪いじゃん」
  • 「同じ仕事内容なのに、あっちの会社の方が給料がいいじゃん」

という、事実が分かったとします。
もし、転職がしやすい環境であれば、人々はよりより職場環境へと転職することができるんですね。
だから、必然的に待遇の悪い会社は人々に選ばれなくなるのです。
しかし、今の日本みたいに「最初に入社した会社で最後まで働き続けることが美徳!転職なんて悪だ!」という考えが浸透してしまっては、転職が気軽にできないので、ブラックな労働環境にいる人は、ずっとブラックな環境のままでという固定化が起こってしまうんですね。

この話について、もっと詳細に知りたい人は、ロバート・アラン・フェルドマンさんの『『フェルドマン博士の日本経済最新講義』を読んでみてください。

オススメの一冊になります(`・ω・´)”

人口減少も悪くない?

今の日本では『人口減少だ!やばい!!』と叫ばれていますが、労働環境が良くなるという点では、必ずしも人口減少が悪だとは言い切れないんですね。
なぜ労働環境がブラックな環境になっていくかというと、『モノ・サービス>ヒト』になっているからですよね。
でも、人が減っていくのであれば『モノ・サービス<ヒト』になっていきます。
人がどんどん減れば、それだけ人の価値が上がっていきます。
逆に言えば人が増えれば増えるほど、人の価値が下がっていくんですね。

また、これからロボットやAIが発達していくと予想されているので、「人が減って何が問題なの?」という話が出てくるはずです。
人が減るの良くないというのは、労働力が減るのを恐れているからなんですけど、「その労働力は別に人間じゃなくてもいいんじゃない?」というのが、これからの未来なはずです。

生産性を上げるべき

長時間労働の本質的な問題とはなんでしょうか?
これに対して、「人が足りないから一人当たりの仕事量が増えて、長時間労働に繋がるんだ!」と考える方は、この本を読んでみてください。
『採用基準』で有名な伊賀泰代さんの『生産性』になります。

『長時間労働を解決するには人を増やすべきた』=『女性が働きやすい社会にして、女性の労働力を!』or『移民の受け入れて、移民の受け入れを!』という話かもしれませんが、これ以外にも答えはあります。

それが、『生産性』を上げることです。
先ほど書いたように、AIやロボットが働き出してくれることが究極の生産性向上なのかもしれませんが、全ての職種にAI・ロボットが導入されるのはまだ先になるでしょう。

だからこそ、一人当たりの生産性を高めることで、長時間労働問題を解決することができるのです。
伊賀泰代さんは、元マッキンゼーでバリバリ働いてきたお方。
そのお方から、生産性向上の案を学んでみましょう(`・ω・´)”
ということで、この本はオススメです。

まとめ

いかがだったでしょうか?
今回の記事では『ワークライフバランス』について書いてきました。
色々な書籍を参考にしながら、ワークライフバランスについて自分の考えをまとめてみました。

ワークライフバランスで悩んでいる人には、私が言えることはありませんが、レイバーライフバランスで悩んでいる人には、言えることがあります。

  • その労働、やめてもいいんだよ?
  • 今は人手不足だから、他の仕事見つかるはずだよ?
  • 生活の一部にワークを取り入れてみよう!
  • もしかしたらあなたの上司はサイコパスかも(´・ω・)
  • 生活習慣に有酸素運動を取り入れたら、精神的にリラックスするよ!

などなどです。

よく言われてる言葉ですが、他人の人生のために、自分の人生を捧げる必要はありません。
もちろん、他人に貢献することで自分の人生はより良くなるのでしょうが、そのために自分の身も心も壊す必要はないんですね。

目指すべきはワーク(仕事)であって、レイバー(労働)ではありません。
ということで皆さん、労働市場の流動化を目指して、「転職は悪くないよ!」という考えを根付かせて行きましょうね〜。

今回の記事も最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

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