Next.jsは本当に下火?TanStack StartとCloudflareが注目される理由を調べてみた

Web開発の道が複数に分かれ、その先でクラウド基盤につながっていく様子を表したイラスト AI
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Xを見ていたら、「Next.jsが下火ってマ???」という投稿が流れてきました。返信には「TanStack Startの人気が高まっているらしい」「TanStack StartはCloudflareと相性がいい」といった話が並んでいます。

私はエンジニアではありません。ただ最近は、AIを使いながらAstroでサイトを作り、Cloudflareに公開する機会が増えました。その過程でNext.jsという名前も何度か候補として出てきたので、これは少し気になる話でした。

本当にNext.jsは下火なのでしょうか。TanStack Startが注目されているのなら、それはなぜなのでしょう。VercelとCloudflareの料金差も関係しているのでしょうか。

そこで、State of JavaScriptの調査結果や、Next.js、TanStack、Vercel、Cloudflare、Astroなどの公式情報を中心に確認してみました。

調べる前は、「Next.jsからTanStack Startへの世代交代が始まっているのかな」くらいに考えていました。しかし実際には、そんな単純な話ではありませんでした。

むしろ見えてきたのは、「Next.js+Vercel」だけを前提にしなくてもよくなり、Viteを中心とした別の選択肢が広がっていることです。そして、その変化の中で存在感を増しているのがCloudflareでした。

「Next.jsが下火」は、何が減ったという意味なのか

まず、「Next.jsが下火」という言葉から考えてみます。

利用者が減っているのでしょうか。新しいプロジェクトで選ばれにくくなっているのでしょうか。それとも、開発者からの評価が以前より下がっているのでしょうか。この三つは似ているようで、まったく別の話です。

State of JavaScript 2025では、回答者の58.6%がNext.jsを使った経験があると回答しています。2024年は54%でした。

ただし、この数字は「現在Next.jsを使っている人の割合」ではありません。「これまでに使ったことがある人」の割合です。

一方で、興味深い変化もあります。

State of JavaScriptでNext.jsの「満足度」として示されている数字は、2024年の68%から2025年には55%まで低下しています。

ここでいう満足度は、一般的な5段階評価のようなものではありません。実際にその技術を使った経験がある人のうち、「また使いたい」と答えた割合です。

この調査から「Next.jsが使われなくなった」とまでは言えません。Next.jsには非常に厚い利用経験の蓄積がある一方で、使った人の評価には変化が出ている、ということです。

そのため、「Next.jsは下火」とするよりも、「Next.js以外の選択肢にも目が向くようになってきた」と考えたほうが近そうです。

そこで注目されているTanStack Start

その新しい選択肢の一つがTanStack Startです。

TanStackという名前を知らなくても、Reactを使う開発者の間ではTanStack QueryやTanStack Routerが広く知られています。TanStack Startは、そのTanStackが開発しているフルスタックWebフレームワークです。

非エンジニア向けにざっくり言えば、画面を表示するだけでなく、サーバー側の処理やデータ取得まで含めてWebアプリを作るための仕組みです。用途としてはNext.jsと重なる部分が多くあります。

2026年9月20日時点で、TanStack Startはまだ正式版のv1ではなく、Release Candidate(RC)段階です。公式には、機能は揃っておりAPIも安定していると考えているものの、バグがないことを意味するわけではない、という位置付けになっています。

それでも注目度は高いです。

State of JavaScript 2025の調査時点ではまだベータだったため、TanStack Startは正式な選択肢に含まれていませんでした。それにもかかわらず、自由回答では235件挙げられています。

これは「Next.jsに迫るほど普及している」という意味ではありません。ただ、開発者の間で「次に試してみたい技術」としてかなり意識されていることは分かります。

TanStack StartとCloudflareはなぜ「相性がいい」のか

Xでは「TanStack StartはCloudflareと相性がいい」と言われていました。

これは単なる評判ではありません。

CloudflareはTanStack StartをWorkersで動かすための公式ガイドを用意しています。Cloudflare向けに設定した新しいプロジェクトを作る方法もあり、既存のTanStack StartプロジェクトをWorkersへ公開する手順も整備されています。

さらにCloudflareには公式のVite Pluginがあり、TanStack Startにも対応しています。

ここで重要になるのがViteです。

Viteは、開発中のWebアプリを動かしたり、公開用のファイルを作ったりするための開発ツールです。TanStack StartはViteを基盤の一つとしているため、TanStack StartからCloudflare Workersまでの開発・公開の流れを組み立てやすくなっています。

VercelとCloudflareでは料金の考え方も違う

ここで、以前Next.jsについて調べたときに気になったVercelの話につながります。

Next.jsを使うならVercelは非常に自然な公開先です。VercelはNext.jsの開発元でもあり、Next.jsを簡単にデプロイできる環境が整っています。

Vercelには無料のHobbyプランがあります。そのため、「Next.jsを使うには有料のVercelが必要」という説明は正しくありません。

ただしHobbyプランは、個人的な非商用利用向けとされています。

VercelはCommercial Usageの例として、広告を掲載するサイトや、主目的がアフィリエイトリンクであるサイトなどを挙げています。商用利用にはProまたはEnterpriseが必要で、Proは現在月額20ドルです。20ドル分の利用クレジットも含まれています。

趣味で小さなアプリを公開するならHobbyで始められます。一方、広告サイトや収益化するWebサービスを作る場合は、利用条件を確認する必要があります。

Cloudflare WorkersにもFreeプランがあります。一定範囲まで無料でWorkerを実行でき、静的アセットへのリクエストについては無料・無制限と案内されています。有料のWorkers Paidも最低月額5ドルからです。

ここだけを見るとCloudflareのほうが安く見えますが、単純には比較できません。

静的ファイルを配ることと、サーバー処理を実行することでは課金の仕組みが違います。データベース、ストレージ、画像処理、ログなど別のサービスを使えば、それぞれ料金が発生する可能性もあります。Vercel側にも利用量や機能による追加料金があります。

つまり、「Vercelは20ドル、Cloudflareは5ドルだからCloudflareのほうが4分の1」という比較にはあまり意味がありません。

それでも、小規模なサイトやアプリをまず低コストで試してみたい人にとって、Cloudflareの料金体系が魅力的なのは分かります。特に静的なページが多いサイトでは、この特徴が効いてきます。

「Next.js+Vercel vs TanStack Start+Cloudflare」ではない

ここまで読むと、「Next.js+Vercelに対抗して、TanStack Start+Cloudflareが出てきた」という構図に見えるかもしれません。

実際にはそれほど単純ではありません。

TanStack StartはCloudflare専用ではありません。Vercel、Netlify、Render、Railwayなど複数の環境へデプロイできます。

さらに2026年9月には、Vercel自身がTanStackのGold Partnerになっています。

つまり、VercelとTanStackが敵対しているわけでもありません。

Next.jsについても同じで、Vercel専用ではありません。セルフホストもできますし、Cloudflareを含む別の環境で動かす方法もあります。

違いがあるとすれば、Next.jsとVercelは開発元も同じで、非常に深く統合されていることです。一方TanStack Startは、最初から複数のホスティング先を選べることを強く意識しています。

ですから現在の構図は、「どの陣営が勝つのか」という対立で捉えないほうがよさそうです。

調べていて面白かったのは、むしろCloudflareの動きだった

ここからが、今回調べていて一番面白かったところです。

CloudflareはTanStack StartをWorkersで動かしやすくしています。しかし、それだけではありません。

Next.jsまでCloudflare上で動かしやすくしようとしています。

2026年2月、Cloudflareは「vinext」というプロジェクトを公開しました。これはNext.jsのAPIをVite上で再実装するという、かなり大胆な試みです。

単にNext.jsをCloudflareへ移植するアダプターではなく、Next.jsで使われている仕組みを別の実装で再現します。

そして現在のCloudflare公式ドキュメントでは、新しいNext.jsアプリをWorkersへ載せる方法としてvinextが案内されています。

ここで重要なのは、vinextがNext.jsそのものではないことです。

Next.jsのAPIとの互換性を目指した別実装なので、完全に同じものだと考えるべきではありません。それでもCloudflareがここまで取り組んでいること自体が興味深いです。

Cloudflareにとって重要なのは、TanStack StartとNext.jsのどちらが勝つかではないのかもしれません。

どちらを選んでもCloudflareで動かせるようにする。そのほうが、Cloudflareにとっては重要なのではないでしょうか。

Astroを作っている会社もCloudflareに加わった

さらに、私が普段使っているAstroもこの流れに入っています。

2026年1月、Astroを開発するThe Astro Technology CompanyがCloudflareに加わりました。Astroのフルタイム社員はCloudflareの社員となり、そのままAstroの開発を続けています。

ただし、「CloudflareがAstroを自社専用にした」と考えるのは正しくありません。

Astroは引き続きMITライセンスのオープンソースであり、Cloudflare以外のホスティング先もサポートし、プラットフォームに依存しない方針を維持すると明言しています。

Astro自体の開発も続いています。

Astro 7ではVite 8が採用され、コンパイラやMarkdown処理の高速化が行われました。Astro公式のベンチマークでは、条件によってビルド時間が15〜61%改善したとしています。

さらにAstro 7.2では、数千ページ規模のサイトを意識したIncremental Static Buildsも実験的に導入されました。

すべてのページを毎回作り直すのではなく、変更が必要な部分だけを再生成する考え方です。

大量の記事や比較ページを生成するサイトでは、こうした進化のほうがTanStack Startより直接関係してきます。

さらにViteを開発するVoidZeroまでCloudflareに加わった

そして今回、最も驚いたのがこちらでした。

2026年6月、Vite、Vitest、Rolldown、Oxc、Vite+などを開発するVoidZeroと、そのチームがCloudflareに加わりました。

ここでも注意したいのは、「CloudflareがViteを自社専用の技術にした」という話ではないことです。

CloudflareとVoidZeroは、Viteなどのプロジェクトについて、引き続きオープンソースで、特定ベンダーに依存せず、コミュニティ主導の方針を維持すると説明しています。

それでも、この動きはかなり大きいと感じます。

Viteは一つのWebフレームワークではありません。Astro、Vue、SvelteKit、Nuxt、React Router、TanStack Startなど、さまざまなWeb技術の下で使われている共通基盤のような存在です。

State of JavaScript 2025では、回答者の84.4%がViteを使った経験があると答え、満足度は98%でした。

最初は「Next.js vs TanStack Start」という話を調べていたのに、ここまで来ると別の構図が見えてきます。

TanStack StartもViteを使います。AstroもViteを使います。CloudflareもVite Pluginを用意しています。Next.js互換のvinextまでViteを使います。

そして、そのViteを開発するVoidZeroのチームまでCloudflareに加わりました。

もしかすると、今起きている大きな変化は「Next.jsからTanStack Startへ」という世代交代より、Viteを中心としたWeb開発の世界が広がっていることなのかもしれません。

「世界がCloudflare中心に回り始めている」は言い過ぎなのか

最初に見たXの投稿には、「世界がCloudflare中心に回り始めている!!」と書かれていました。

もちろん、そのまま受け取るのは大げさです。

AWS、Google Cloud、Microsoft Azure、Vercelなど、Webサービスを動かす場所はいくらでもあります。CloudflareだけがWebを支配しているわけではありません。

ただ、2026年の動きを並べると、単なる冗談とも言い切れなくなってきます。

Astroを開発する会社がCloudflareに加わりました。Viteを開発するVoidZeroもCloudflareに加わりました。TanStack StartにはWorkersへデプロイする公式経路が用意され、Next.jsについてもvinextを開発しています。

そしてCloudflare Workersでは、Astro、Next.js、TanStack Start、React Router、SvelteKit、Nuxt、Honoなど、さまざまなフレームワークを使えます。

これらを見ているとCloudflareは、特定のフレームワークを勝たせるというより、「何を使って作ってもCloudflareで動かせる」という場所を取りにいっているように見えます。

もちろん、これはCloudflareがそのまま言っている戦略ではなく、一連の動きから私が感じたことです。

ただ、「Next.jsが下火らしい」という話から調べ始めて、最終的にCloudflareの動きのほうが気になった理由はここにあります。

非エンジニアは何を選べばいいのか

では、私のような非エンジニアは、これからTanStack Startを勉強したほうがいいのでしょうか。

今のところ、私はそうは思いません。

TanStack StartはまだRC段階ですし、Astroで目的を達成できているサイトを、SNSで別の技術が話題になったという理由だけで作り直す意味もありません。

非エンジニアが考える最初の目安としては、「読んでもらうことが中心なのか」「操作してもらうことが中心なのか」で分けると分かりやすいと思います。

記事、レビュー、比較ページ、辞書、大量のデータページなど、人に読んでもらうことが中心ならAstroは今でも有力な選択肢です。

一方、ログイン、マイページ、ダッシュボード、データ入力、ユーザーごとに違う画面など、操作してもらうことが中心ならNext.jsやTanStack Startが候補になってきます。

もちろん、これは厳密な境界ではありません。Astroでも動的な機能は作れますし、Next.jsやTanStack Startでも記事中心のサイトは作れます。

大切なのは、流行している技術を選ぶことではなく、必要以上に複雑な構成にしないことだと思います。

AIに作ってもらう時代だからこそ、技術名だけは知っておく

一方で、TanStack Startが非エンジニアにまったく関係ないとも思わなくなりました。

理由はAIです。

これまでは、新しいフレームワークを使うなら自分で覚えてコードを書く必要がありました。ところがAIがコードを書くようになると、「こういうWebアプリを作って」と頼んだ結果、AIがTanStack Startを選ぶこともあり得ます。

非エンジニアにとっては、TanStack Startを自分で使いこなすより、「AIが選ぶ可能性のある技術として知っておく」という付き合い方のほうが現実的かもしれません。

ただし、AIが選んだからそのまま採用するのではなく、「なぜこのフレームワークが必要なのか」「Astroなどもっと単純な方法では難しいのか」「公開先と料金はどうなるのか」「実験的な機能や特定サービスへの依存はないか」と確認したいところです。

ログインや個人情報を扱うなら、認証、権限、秘密情報の管理なども別に確認する必要があります。

AIがコードを書けることと、そのシステムを安全に運用できることは同じではありません。

非エンジニアに必要なのは、すべてのフレームワークを覚えることではなく、AIが選んだ技術について「なぜそれなのか」と聞ける程度の地図を持っておくことなのだと思います。

まとめ

最初は、「Next.jsが下火になって、TanStack Startへの世代交代が始まっているのか」と思って調べ始めました。

実際には、そんな単純な話ではありませんでした。

State of JavaScriptではNext.jsを使った経験のある回答者は依然として多くいます。ただし、その数字は現在の利用者数や新規採用の増減を直接示すものではありません。一方、使った人のうち「また使いたい」と答えた割合は下がっており、開発者の評価に変化が出ていることは分かります。

その中でTanStack Startが新しい選択肢として注目されています。Cloudflareとの公式な開発・デプロイ経路が整っていることも、その魅力の一つです。

しかし、本当に面白かったのはその先でした。

CloudflareはTanStack StartだけでなくNext.jsもWorkersで動かしやすくし、Astroを開発する会社やViteを開発するVoidZeroのチームもCloudflareに加わりました。ただしAstroもViteも、オープンソースでベンダー非依存の方針を維持しています。

こうして見ると、起きているのは単純な「Next.jsからTanStack Startへの世代交代」ではありません。

「Next.js+Vercel」だけを当然の組み合わせとして考える必要がなくなり、Astro、TanStack Start、Vite、Cloudflareなどを目的に応じて組み合わせられる世界になってきた、と考えたほうが近そうです。

私自身は、今のところ記事や比較ページを作るならAstroを使います。Webアプリらしい機能が必要になったら、その時点でNext.jsやTanStack Startを比較します。

流行している技術を先回りして全部覚える必要はありません。

作りたいものが先にあって、そのために必要な道具を選ぶ。AIにコードを書いてもらう時代になっても、そこは変わらないのだと思います。

ただ、今回調べ終わったあとでは、最初に見た「世界がCloudflare中心に回り始めている!!」という投稿が、調べる前より少しだけ冗談に見えなくなりました。

参考資料

以下はいずれも2026年9月20日閲覧。

State of JavaScript 2025 – Libraries
https://2025.stateofjs.com/en-US/libraries/

State of JavaScript 2025 – Meta-Frameworks
https://2025.stateofjs.com/en-US/libraries/meta-frameworks/

State of JavaScript 2024 – Libraries
https://2024.stateofjs.com/en-US/libraries/

TanStack Start Overview
https://tanstack.com/start/latest/docs/framework/react/overview

TanStack Start Hosting
https://tanstack.com/start/latest/docs/framework/react/guide/hosting

TanStack + Vercel Partnership
https://tanstack.com/blog/vercel-partnership

Cloudflare Workers – TanStack Start
https://developers.cloudflare.com/workers/framework-guides/web-apps/tanstack-start/

Cloudflare Workers – Vite Plugin
https://developers.cloudflare.com/workers/vite-plugin/

Cloudflare Workers Pricing
https://developers.cloudflare.com/workers/platform/pricing/

Cloudflare Workers Limits
https://developers.cloudflare.com/workers/platform/limits/

Cloudflare Workers – Static Assets Billing and Limitations
https://developers.cloudflare.com/workers/static-assets/billing-and-limitations/

Vercel Pricing
https://vercel.com/pricing

Vercel Hobby Plan
https://vercel.com/docs/plans/hobby

Vercel Fair Use Guidelines
https://vercel.com/docs/limits/fair-use-guidelines

Next.js – Deploying
https://nextjs.org/docs/app/getting-started/deploying

Cloudflare Workers – Next.js
https://developers.cloudflare.com/workers/framework-guides/web-apps/nextjs/

Cloudflare – How we rebuilt Next.js with AI in one week
https://blog.cloudflare.com/vinext/

Astro – The Astro Technology Company joins Cloudflare
https://astro.build/blog/joining-cloudflare/

Astro 7
https://astro.build/blog/astro-7/

Astro 7.2
https://astro.build/blog/astro-720/

Cloudflare – VoidZero is joining Cloudflare
https://blog.cloudflare.com/voidzero-joins-cloudflare/

VoidZero – VoidZero is Joining Cloudflare
https://voidzero.dev/posts/voidzero-cloudflare

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