恥ずかしい話をします。
私はしばらくの間、「YAML」と「YMYL」をごちゃ混ぜにしていました。
YMYLは、ブログやSEOをやっている人なら一度は聞いたことがある言葉です。健康、お金、安全、法律のように、人の生活に大きく関わるテーマのことですね。
なので、AI界隈で「YAMLが大事」と聞いたとき、私はこう思っていました。
「ああ、AIが健康情報や金融情報を量産する時代だから、YMYLがさらに重要になるという話か」
でも、違いました。

YAMLはYMYLではありません。
名前は似ていますが、まったく別物です。
YMYLは、検索や情報の信頼性に関わる話。
YAMLは、情報を構造化して書くための形式です。
最初は「なんだ、エンジニア向けの設定ファイルの話か」と思いました。自分にはあまり関係ない話だと。
でも、AIに指示を出すようになってから考えが変わりました。
YAMLは、非エンジニアにこそ使い道があります。
なぜなら、YAMLっぽく条件を書くだけで、AIへの指示がかなり整理しやすくなるからです。
この記事では、YAMLとYMYLを勘違いしていた私が、YAMLをどう理解し、AIへの指示やObsidianのメモ管理にどう使えると感じたのかを整理します。
YAMLとYMYLはまったく別物

まず、ここをはっきりさせておきます。
YMYLとYAMLは、名前が似ているだけで意味はまったく違います。
| 用語 | 読み方 | 意味 |
|---|---|---|
| YMYL | ワイエムワイエル | Your Money or Your Life。健康・お金・安全など、人の生活に大きく影響する情報領域 |
| YAML | ヤムル、またはヤメル | YAML Ain’t Markup Language。人間にも読みやすいデータ記述形式 |
ブログを書いている人がよく聞くのは、YMYLの方です。
一方、AIやプログラミング、設定ファイル、Obsidianのプロパティなどで出てくるのはYAMLです。
私はここを混同していました。
でも、今ならこの勘違いは意外と悪くなかったとも思っています。
なぜなら、AI時代にはどちらも大事だからです。
YMYLは、人間に信頼される情報を出すために大事。
YAMLは、AIやツールに意図を正しく伝えるために大事。
似た名前の2つですが、見ている方向が違います。
YMYLは、読者との信頼の話。
YAMLは、AIやツールとの伝達の話。
こう考えると、かなり整理しやすくなります。
YAMLとは何か

では、YAMLとは何でしょうか。
ざっくり言うと、YAMLは「情報を分かりやすく整理して書くための形式」です。
もともとは設定ファイルやデータの受け渡しなどで使われる形式で、コンピュータにも人間にも読みやすい書き方を目指しています。
たとえば、普通の文章でAIに指示を出すと、こんな感じになります。
初心者向けに、やさしい文章で、1000文字くらいで、専門用語を少なめにして、Markdownについて説明してください。
これでも意味は伝わります。
でも、条件がひとつの文章に詰め込まれているので、あとから見返すと少し読みづらいです。
YAMLっぽく書くと、こうなります。
テーマ: Markdown
読者: 初心者
文体: やさしい
文字数: 1000文字程度
避けること:
- 専門用語の多用
- 難しい言い回し
どうでしょう。
何を指定しているのか、かなり見やすくなりますよね。
これは、プログラミングというより、整理されたメモに近いです。
YAMLは、情報にラベルを付ける書き方です。
「テーマはこれ」
「読者はこれ」
「文体はこれ」
「避けることはこれ」
このように、条件を分けて書けます。
だからAIへの指示にも使いやすいわけです。
YAMLは、道路の白線のようなもの

私の中で、YAMLは「道路の白線」に近いものです。
道路に白線があると、どこを走ればいいか分かります。
対向車線はこっち。
自分の車線はこっち。
ここから先ははみ出さない。
ここは曲がっていい。
白線があるから、車は安心して進めます。
AIへの指示も同じです。
白線がない指示は、AIにとって走りにくい道路です。
たとえば、次のような指示です。
この記事を初心者向けにやさしく書いてください。専門用語は使いすぎず、でも内容は薄くしないでください。私の失敗談も入れて、SEOも意識して、自然な日本語にしてください。
悪くはありません。
でも、AIから見ると、条件と背景と希望が混ざっています。
「初心者向け」は必須なのか。
「失敗談」は必ず冒頭に入れるのか。
「SEO」はタイトルだけなのか、見出しも含むのか。
「自然な日本語」はどんな文体なのか。
判断する余地が多いです。
YAMLっぽく書くと、こうなります。
目的: YAMLを初心者に分かりやすく説明する
読者: 非エンジニア
文体: やさしい日本語
必ず入れること:
- YAMLとYMYLを勘違いした話
- YAMLはAIへの指示を整理する道具であること
避けること:
- 専門用語の多用
- エンジニア向けに寄りすぎる説明
白線が引かれました。
AIは、「何を守るべきか」を把握しやすくなります。
もちろん、YAMLっぽく書いたからといって、AIが必ず完璧な答えを出すわけではありません。
でも、少なくともこちらの意図は整理されます。
YAMLは魔法ではありません。
ただ、AIが迷いにくくなるように白線を引く道具です。
MarkdownとYAMLの違い
前回の記事では、Markdownを「AIに読ませやすいメモの残し方」として整理しました。
では、MarkdownとYAMLは何が違うのでしょうか。
ざっくり言うと、役割が違います。
Markdownは、文章の骨組みを残す形式。
YAMLは、条件や属性を整理する形式。
たとえば、読書メモならMarkdownはこんな感じです。
# 読書メモ
## 印象に残ったこと
## 自分の考え
## あとで調べたいこと
これは文章を整理するための骨組みです。
一方、YAMLはこういう情報を整理するのに向いています。
本のタイトル: サンプル本
テーマ:
- AI
- 働き方
状態: 読了
記事化: 予定あり
これはメモの属性です。
人間が読む本文はMarkdown。
機械やAIに整理してほしい条件はYAML。
こう考えると分かりやすいです。
もちろん、厳密に分けすぎる必要はありません。
でも、
「本文として書きたいこと」
「条件として整理したいこと」
を分けておくと、メモもAIへの指示も扱いやすくなります。
ObsidianのプロパティはYAML的に考えると分かりやすい

Obsidianを使っている人なら、ノートの上部にプロパティを入れたことがあるかもしれません。
たとえば、こんな情報です。
status: 下書き
tags:
- AI
- Markdown
- メモ
created: 2026-01-16
Obsidianでは、こうした情報をノートのプロパティとして管理できます。
これは、本文とは別に「このノートはどういうものか」を示すための情報です。
たとえば、
status: 下書き
tags: AI、Markdown、メモ
created: 作成日
のように書いておけば、あとから検索したり、分類したり、一覧化したりしやすくなります。
ここでも、白線の考え方が使えます。
プロパティは、機械が読むための整理された場所。
本文は、人間が自由に考える場所。
この分け方があるから、Obsidianは使いやすいのだと思います。
全部をきれいにデータベース化しようとすると、疲れます。
でも、冒頭のプロパティだけ整理しておけば、本文では自由に書けます。
思いついたことを書いていい。
迷っていることを書いていい。
途中の考えを書いていい。
感情が混ざってもいい。
管理する場所と、考える場所を分ける。
これが、YAML的な発想の良さだと思います。
Front Matterとコードブロックは分けて考える
ここは、非エンジニアが少し混乱しやすいところです。
YAMLには、使われる場所によって見え方が変わる場面があります。
ひとつは、Markdownファイルの冒頭に書くFront Matterです。
Front Matterは、ノートや記事の一番上に「ハイフン3つ(—)」で囲んで書く管理情報です。たとえば、タイトル、タグ、状態などを整理するために使います。
WordPressの記事上でFront Matterの例を見せる場合は、ハイフン3つが区切り線として変換されることがあるため、普通の段落にそのまま書かない方が安全です。コードブロック、またはカスタムHTMLの pre / code タグで表示すると分かりやすくなります。
一方で、本文の途中に「YAMLの例」として見せたいだけなら、Front Matterのようにハイフン3つで囲む必要はありません。
その場合は、コードブロックとして表示します。
コードブロックとは、「バッククォート3つ(“`)」で囲んで、本文とは別の例として見せる書き方です。YAMLの例なら、最初に「バッククォート3つ+yaml」、最後に「バッククォート3つ」を置きます。
WordPressの記事で表示する場合は、通常の段落にそのまま貼るのではなく、ブロックエディターの「コード」ブロックに入れると安全です。
AIへの指示でYAMLを使うと何が変わるのか

AIへの指示でYAMLを使うと、何が良いのでしょうか。
一番大きいのは、条件が見えることです。
たとえば、普通にこう頼むとします。
この記事を初心者向けに分かりやすく書き直してください。やさしい文体で、専門用語を少なくして、私の実体験も入れてください。
これでも伝わります。
でも、あとから見返すと条件が混ざっています。
YAMLっぽく書くと、こうなります。
目的: 記事を初心者向けにリライトする
読者: 非エンジニア
文体: やさしい
重視すること:
- 分かりやすい日本語
- 筆者の実体験
- 専門用語を使いすぎないこと
避けること:
- AIっぽい硬い表現
- 箇条書きの多用
- 断定しすぎる言い方
AIにとっても、人間にとっても見やすいです。
自分でも「あ、今回はここを重視したかったんだ」と確認できます。
AIへの指示は、長くなるほど曖昧になります。
でも、YAMLっぽく条件を分けると、曖昧さが少し減ります。
これは、文章のうまさではなく、指示の整理の問題です。
AIに良い出力をしてもらうには、AIを賢くするだけでは足りません。
こちらの指示を、AIが迷いにくい形にする必要があります。
そのために、YAMLはかなり使えます。
非エンジニア向けのYAMLテンプレート
ここからは、実際に使える形でいくつかテンプレートを出します。
厳密なYAMLとして完璧であることよりも、AIに意図を伝えやすいことを重視しています。
記事リライト用
目的: 記事を読みやすくリライトする
読者: 初心者
文体: やさしい日本語
重視すること:
- 冒頭で悩みを明確にする
- 一文を長くしすぎない
- 具体例を入れる
避けること:
- 難しい専門用語
- 大げさな表現
- 同じ結論の繰り返し
読書メモを整理する用
目的: 読書メモを整理する
出力形式:
- 要点
- 自分の感想
- 生活や仕事に使えそうな視点
重視すること:
- 本の要約だけで終わらせない
- 自分の考えを残す
調査メモを記事化する用
目的: 調査メモをブログ記事にする
読者: そのテーマを初めて調べる人
文体: 分かりやすく、少し個人的に
入れること:
- 何に困ったのか
- 調べて分かったこと
- 注意点
- 自分ならどうするか
避けること:
- 情報の羅列
- 根拠のない断定
AIへの質問を整理する用
目的: 疑問を整理して回答してもらう
前提:
- 私は非エンジニア
- 専門用語はなるべく避けたい
知りたいこと:
- 何が問題なのか
- どこから始めればいいか
- 注意点は何か
回答の希望:
- 具体例を入れる
- 難しい場合はたとえ話を使う
このくらいで十分です。
YAMLを完璧に書く必要はありません。
大事なのは、自分の意図を分けて書くことです。
YAMLを書くときの基本ルール
YAMLはシンプルですが、いくつか注意点があります。
コロンの後ろに半角スペースを入れる
読者: 初心者
読者:初心者 のように詰めるより、コロンの後ろに半角スペースを入れるのが基本です。
階層はスペースでそろえる
避けること:
- 専門用語
- 長すぎる文章
リストの前には、半角スペースを入れて階層をそろえます。
Tabキーは使わない
YAMLでは、インデントにTabを使わない方が安全です。
見た目は同じでも、ツールによってはエラーになることがあります。基本は半角スペースでそろえます。
複雑にしすぎない
非エンジニアがAIへの指示に使うなら、複雑なYAMLを書く必要はありません。
項目名と中身。
リスト。
階層。
まずはこれだけで十分です。
YAMLは魔法ではない
ここは大事です。
YAMLっぽく書いたからといって、AIの回答が必ず良くなるわけではありません。
YAMLは、AIにとっての万能薬ではありません。
間違った前提を書けば、間違った出力になります。
情報が不足していれば、薄い回答になります。
曖昧な言葉を残せば、AIも迷います。
YAMLは、あくまで整理の道具です。
良い内容を作るには、前提、目的、読者、条件を自分で考える必要があります。
ただ、その考えたことを分かりやすく並べるには、YAMLが便利です。
AIが暴走しないようにするというより、こちらの意図が散らからないようにする。
私は、YAMLの価値はそこにあると思っています。
YAMLとYMYLを勘違いしていたから見えたこと
最初は、YAMLとYMYLを勘違いしていました。
でも今は、この2つを並べて考えるのも悪くないと思っています。
YMYLは、読者に対する責任の話です。
健康、お金、安全、法律のようなテーマでは、適当なことを書いてはいけない。信頼できる情報をもとに、慎重に書く必要があります。
一方でYAMLは、AIやツールに対する伝達の話です。
何を守ってほしいのか。
何を避けてほしいのか。
誰に向けて書くのか。
どんな文体にするのか。
これを整理して渡すためのものです。
読者に信頼されるためのYMYL。
AIに意図を伝えるためのYAML。
どちらも、曖昧さを減らすための考え方だと思います。
片方は情報の信頼性を守るもの。
もう片方は指示の明確さを守るもの。
そう考えると、名前を勘違いしていたことにも少し意味があった気がします。
まとめ:YAMLはAIへの指示に白線を引く道具

YAMLは、非エンジニアには関係ないエンジニア用語だと思っていました。
でも実際には、AIを使う非エンジニアにもかなり役立つ考え方でした。
YAMLは、条件を分けて書くための形式です。
読者。
目的。
文体。
入れること。
避けること。
出力形式。
こうした情報を整理して書くことで、AIへの指示が分かりやすくなります。
もちろん、YAMLは魔法ではありません。
でも、AIにこちらの意図を伝えるための白線にはなります。
Markdownでメモを残す。
YAMLで条件を整理する。
Obsidianで知識を管理する。
AIに読ませて、整理やリライトに使う。
この流れができると、非エンジニアでもAIをかなり扱いやすくなります。
まずは次にAIへ依頼するとき、少しだけYAMLっぽく書いてみてください。
目的: この記事を読みやすくする
読者: 初心者
文体: やさしい
避けること:
- 専門用語の多用
- 上から目線
たったこれだけでも、指示に白線が引かれます。
AIへの指示がうまくいかないとき、必要なのはもっと長いプロンプトではなく、条件を分けることなのかもしれません。


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