前回の記事で、私は決意しました。(>Googleの中の人さえ認めた敗北。私がGemini一本足打法を辞めて『AI二刀流』を決めた日)
「思考整理や画像生成はGeminiに任せるが、コーディング(アプリ作成)は、Googleの中の人さえ実力を認めたClaudeやGPTに任せる」と。
よし、これで勝つる!……と思ったのも束の間、すぐに次の壁にぶち当たりました。
「で、そのClaudeやGPTを、どこで使えばいいの?」
選択肢は主に3つあります。
- Webブラウザ(ChatGPT / Claude公式サイト / Bolt.new / v0.dev など)
- プロ用ツール(Claude Code / Aider などの黒い画面)
- AIエディタ(Cursor)
結論から言います。
私たち非エンジニアが「1」や「2」を選ぶと、高い確率で挫折します。
なぜ私が、流行りのWeb完結型ツールや本家のサービスではなく、あえて「Cursor」というインストール型のツールを選んだのか。
そこには、非エンジニアが「バイブコーディング(ふんわりした指示で開発すること)」を成功させるための、絶対的な理由がありました。
選択肢①「Webブラウザ」の罠:コピペ地獄とロックイン
一番手っ取り早いのは、ChatGPT PlusやClaude Proに課金してチャット欄で頼むこと。あるいは、最近流行りの「Bolt.new」や「Replit」のように、ブラウザだけですべて完結するサービスを使うことです。
確かに最初は楽です。でも、本格的にアプリを作り込むと「壁」にぶつかります。
コピペ地獄(本家ChatGPT / Claude)
ChatGPT本家の場合、コードを書いてもらうたびに「コピー&ペースト」の往復作業が発生します。
AIがコードを書く → コピー → エディタにペースト → エラーが出る → エラー文をコピー → AIの画面に戻ってペースト……
ファイルが10個を超えたあたりで、人間には管理不能になります。
データの持ち逃げリスク
Web完結型ツール(Boltなど)は便利ですが、作ったアプリのデータはそのサービスの中にあります。
「やっぱり別のAIで試したい」と思った時、手元にファイルがないので身動きが取れなくなります。
私は「自分のPCの中にデータを持って、自由にAIを切り替えたい」と思いました。だからWebブラウザ型は卒業です。
(データを自分のPCに残すって意味でこちらの記事を書いています>AIとの「共通言語」を持て。非エンジニアでもマークダウン「.md」を使うべき理由)
選択肢②「プロ用ツール」の罠:黒い画面の恐怖
じゃあ、Googleエンジニアが絶賛していた「Claude Code」などのCLIツール(コマンドライン・インターフェース)はどうでしょう?
これらは、パソコンの中にAIが住み着いて、ファイルを直接書き換えてくれます。
一見便利そうですが、非エンジニアには致命的な欠点があります。
「黒い画面(ターミナル)」が怖すぎるのです。
ハッカー映画に出てくるような、文字だけの画面。マウスも使えません。
AIに「書き換えていい?」と聞かれて「Yes」と答えた瞬間、自分のパソコンのどこがどう変わったのか、視覚的に確認する術がないのです。
プロのエンジニアなら「履歴(Git)」を見て元に戻せますが、私たちには無理です。
それはまるで、「目隠しをしたまま、凄腕の外科医に手術を頼む」ようなもの。成功すればいいですが、失敗したらリカバリーできません。
救世主『Cursor』:非エンジニアのための「パワードスーツ」
そこで選んだのが「Cursor」です。(選んだと言いつつ、すでに無料版で文章整理のために使ってはいましたが)
これは一言で言えば、「中身は天才(Claude / GPT)なのに、見た目はいつもの使いやすいエディタ」です。エンジニアの人たちがバリバリとCursorを使っていますが、非エンジニアの方でも「高機能エディタ」として使えちゃうるものなのです!(非エンジニアの私が無料版で使っているように)
私がCursor一択だと断言する理由は、以下の3つです。
理由①:「赤と緑」で味見ができる(Diff機能)
CLIツール(黒い画面)は勝手にファイルを書き換えますが、Cursorは違います。
指示を出すと、「ここを消して(赤色)、ここを追加します(緑色)。どうですか?」と、色付きで提案してくれるのです。
私たちは、その変更を見て「Apply(適用)」ボタンを押すだけ。
コードの中身が読めなくても、「うわ、なんか全部真っ赤で消そうとしてる! 怖いからReject(拒否)!」という判断が直感的にできます。
この「味見」ができる安心感は、何物にも代えがたいです。
理由②:魔法の言葉「Ctrl + Z」が使える
もしAIが暴走して、アプリがぐちゃぐちゃになってしまったら?
プロ用ツールだと、元に戻すために複雑なコマンドが必要です。
でもCursorなら、「Ctrl + Z(取り消し)」キーを一回押すだけ。
これだけで、AIが書き換える前の状態に時間が巻き戻ります。
この「最強のセーブポイント」があるからこそ、非エンジニアでも恐れずに「ガンガン書き換えて!」と指示が出せるのです。
理由③:テック界の「アベンジャーズ」が出資している矛盾
実は、これが一番面白い理由です。
Cursorには、なぜか「本来ならライバル同士のはずの企業や人物」がこぞって出資しています。
OpenAI Startup Fund
ここが一番の皮肉です。
OpenAIは自社でChatGPTを持っているのに、Cursorの初期段階で出資しています。
今やCursorは、ChatGPTの有料プランのシェアを脅かすほど成長してしまいました。2025年11月には評価額293億ドルで23億ドルの資金調達を実施しています。
「飼い犬に手を噛まれる」状態ですが、それでも技術提供(GPTモデルの利用許可)が続いています。
Nat Friedman氏(元GitHub CEO)
Cursorの最大のライバル「GitHub Copilot」の生みの親とも言える人物が、会社を辞めた後にCursorを激推ししています。
a16z(アンドリーセン・ホロウィッツ)
シリコンバレー最強のベンチャーキャピタル。Facebook、Airbnb、Slackなどに初期投資してきた実績があります。
なぜ彼らはCursorに投資するのか?
普通に考えたらおかしいですよね? MicrosoftやOpenAIは、自社のツールを使わせたいはずです。
なぜ彼らはCursorに投資するのか?
それは、「特定のモデル(GPTやClaude)に縛られず、その時一番賢いAIを、一番使いやすい箱で使う」というCursorの形こそが、ユーザーにとっての正解だと、彼ら自身が気づいてしまっているからではないでしょうか。
プロたちが「こっちが正解だ」とお金を投じているツールに乗っかるのが、私たち素人にとっても一番リスクが低い選択です。
API使用量で儲かる
それとOpen AIからすると、儲かるんですよね。
Cursorは独自のAIモデルを持っているわけではありません(※一部の軽量モデルを除く)。 Cursorの裏側で動いている「脳みそ」は、主にChatGPTなどのモデルです。
つまり、世界中のエンジニアがCursorを使えば使うほど、OpenAIたちのAIモデル提供者にチャリンチャリンとAPI利用料が入ってくる仕組みになっています。
- ChatGPT: 小売店(直販)
- Cursor: 卸売先(大口顧客)
OpenAIからすれば、「自社のChatGPTを使ってもらう」のも大事ですが、「自社のモデル(GPT)が世界中のインフラになる」ことの方がもっと大事です。だから、GPTを大量に使ってくれるCursorは「最高のお得意様」でもあるんです。
チャットが廃れても勝てるという(保険)
もし未来のエンジニアが「もうChatGPTなんて使わねーよ。エディタで直接AI使うわ」となった場合、OpenAIがチャットしか持っていなかったら負けてしまいます。
でも、Cursorに出資しておけば、「ChatGPTが勝っても、Cursorが勝っても、どっちに転んでもOpenAI(投資家)は儲かる」という状態を作れます。 これを投資用語で「ヘッジ(保険)をかける」と言います。
コスパと制限の話:月20ドルのリアル
最後に大事なお金の話。
Cursor Proは月額20ドルです。
| サービス | 月額 | 使えるモデル |
|---|---|---|
| ChatGPT Plus | $20 | ChatGPTのみ |
| Claude Pro | $20 | Claudeのみ |
| Cursor Pro | $20 | ChatGPT、Claude、Gemini(切替可能) |
Cursorに課金すれば、その中で「Claudeの最新モデル」も「ChatGPTの最新モデル」もモデルを切り替えて使えます。
⚠️ ただし正直な注意点も
夢のようなツールですが、3点だけハードルがあります。
1. メニュー画面は基本「英語」です
AIとは日本語で会話できますが、設定画面やメニューは英語ベースです。
「英語アレルギー」がある人は最初だけ少し戸惑うかもしれませんが、スマホの翻訳カメラを使えばなんとかなるレベルです。
2. 「完全使い放題」ではありません
Cursorは2025年6月からクレジット制に移行しました。
月額20ドルで20ドル相当のAI利用クレジットが付与されます。性能が高いモデルはクレジット消費が多く、標準モデルは少なめです。
使い切ると少し遅くなりますが、個人の開発なら十分すぎる量でし、物足りなければ60ドルのPro+プランもあります。Proの3倍の使用量があります。
3. インストールが必要
公式サイトから「Download」ボタンを押して、ダウンロードしたファイルをダブルクリックするだけ。所要時間は5分程度。
それでも、複数のAIに別々に課金するよりは遥かにコスパが良いですし、Cursorという「窓口」にだけお金を払えば、裏側の「天才たち」はセットでついてくるのは魅力的です。
浮いたお金で、愛するGeminiを維持することもできますからね!
番外編:他の選択肢はどうなの?
GitHub Copilot(VSCode拡張機能)
Microsoftが提供する、VSCodeで使えるAI支援ツール。
Cursorと同じく優秀ですが、設定がやや複雑で、非エンジニア向けではありません。
また、GPTモデルしか使えないので、Claudeも使いたい私たちには不向きです。
Zed
超高速動作が売りのエディタ。AIとの統合も進んでいます。
ただし、まだ実験的な機能が多く、安定性ではCursorに劣ります。
技術好きな人が試すには面白いですが、非エンジニアが最初に選ぶツールではありません。
結論:裸で戦うな、Cursorを着ろ
非エンジニアの私たちが「バイブコーディング」をするなら、Webブラウザ(裸)で戦ってはいけません。プロ用のCLIツール(重機)に乗ろうとしてもいけません。
「Cursor」という安全なパワードスーツを着て、その中で天才AIたちに指示を出す。
これが、2026年現在における唯一の「勝利の方程式」です。
【おまけ】業界の裏話:「飼い犬に手を噛まれる」OpenAIの苦悩
最後に、少しニッチな「業界の裏事情」をお話しします。
Cursorを使っていると、今のテック業界の「異常なねじれ現象」が見えてきて面白いんです。
1. OpenAIの「気まずい」現状
記事で「OpenAIがCursorに出資している」と書きましたが、今の関係は少し「気まずい」ことになっています。
当初、OpenAIはCursorを「GPTを使ってくれる可愛いパートナー」だと思っていました。
しかし、Cursorがあまりに便利になりすぎた結果、「本家ChatGPTを解約して、Cursorに乗り換えるエンジニア」が続出してしまったのです。
- これまで: ChatGPTに月20ドル払っていた
- いま: Cursorに月20ドル払い、その中で(OpenAIのライバルである)Claudeを使う
OpenAIからすれば、「自分が出資した会社に、自社の優良顧客を奪われ、しかもそこでライバル社のAIを使われている」という、踏んだり蹴ったりの状態。
まさに「飼い犬に手を噛まれる」状態ですが、それでもCursorの人気は止められず、関係を切るに切れない……というドラマが裏で進行中です。
2. Googleも「ちゃっかり」噛んでいる
さらに面白いのが、我らがGoogleです。
実は、GoogleのAI部門トップ(Jeff Dean氏)やGoogle系ファンドも、Cursorに出資者として名を連ねています。
本来ならバチバチの敵同士である「OpenAI」と「Google」が、Cursorというテーブルでは仲良く同席しているのです。
これはつまり、Cursorが単なる便利ツールではなく、「AI時代のコーディングにおける世界標準インフラ」になると、巨頭たちが認めざるを得なかった証拠です。
Google派の私がCursorを使うことに少し罪悪感がありましたが、これで吹っ切れました。
「Google(の人)も出資してるんだから、Cursorを使うことはGoogleを応援することにもなる!」
そう自分に言い聞かせて(笑)、堂々とCursorを使っていこうと思います。
おわりに:次回予告
さて、道具は揃いました。
次回はいよいよ実践編。
「非エンジニアが実際にCursorを使って、アプリをゼロから作ってみた(そして盛大に躓いた)」
記録を公開する予定です。
- 最初の指示で何を伝えたのか
- どんなエラーが出て、どう解決したのか
- AIとのやり取りで「これは言っちゃダメ」だったこと
- 完成したアプリの実例
を公開します。
お楽しみに!
※この記事は、2026年1月時点の情報に基づいています。サービス内容や価格は変更される可能性があります。
参考リンク↓
📚 参考リンク・出典
記事内で触れた「業界の裏話」に関するソース(情報源)と、各ツールの公式サイトです。
1. OpenAIとCursorの「ねじれ関係」の証拠
- OpenAI Startup Fund Portfolio
OpenAI公式の出資先リスト。「Anysphere(Cursorの運営会社)」の名前がしっかりと記載されています。
https://openai.com/fund/
2. 巨額の資金調達と投資家について
- Investing in Cursor (a16z)
シリコンバレー最強のVC「a16z」による出資発表記事。なぜ彼らがCursorに賭けたのかが解説されています。
https://a16z.com/announcement/investing-in-cursor/ - Google DeepMindのJeff Dean氏も出資(TechCrunch)
GoogleのAIトップであるJeff Dean氏などが、CursorのシリーズAラウンドに出資したことを報じる記事です。
https://techcrunch.com/2023/10/25/cursor-ai-code-editor-openai-investment/
3. 紹介したツール(公式サイト)

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