生成AIの活用が日常化する一方で、次の疑問を持つ人は非常に多いはずです。
「このAIに入力した内容は、勝手に学習に使われてしまうのか?」
「有料版なら安全なのか?」
結論から言えば、「有料版=学習されない」という単純な構図はほぼ存在しません。
多くの生成AIは、デフォルト(初期設定)のまま使うと、あなたの会話内容が「AIの学習データ」として利用される可能性があります。つまり、あなたが入力したアイデアや下書きが、巡り巡って他人の回答として出力されてしまうリスクがあるのです。
本記事では、主要な生成AIサービスについて、
- 入力データが学習に使われるかどうか
- 無料版と有料版でデフォルト設定は違うのか
- 入力データを学習させないための「オプトアウト(拒否)」設定
- よくある誤解と注意点
を、公式ポリシーと公開情報に基づいて正確に整理します。
まず理解すべき重要な前提:「学習」と「保存」は別物
設定に入る前に、多くの人が誤解している「データ利用の3つのレベル」を整理しておきましょう。ここを混同していると、間違った安心感を持ってしまいます。
| 用語 | 意味 | 防げるか? |
| ① モデル学習 | あなたのデータを使って、AIを賢くするためのトレーニングを行うこと。 | 設定で防げる(今回解説) |
| ② ログ保存 | 不正利用の監視や法的対応のために、サーバーに一時的に会話を保存すること。 | 基本防げない(30日程度で削除されることが多い) |
| ③ 人的レビュー | サービスの品質向上のため、人間の担当者がチャットの中身を目視確認すること。 | ツールによる(これが一番怖い) |
「学習に使われない」=「完全に保存されない」ではありません。
ほぼすべてのサービスで、学習オフ設定後も一定期間のログ保存は行われます。
この記事で解説するのは、主に「① モデル学習」を防ぐ設定です。
ただし、Gemini(無料版) など一部のツールでは、①を防ごうとすると利便性が大きく損なわれるケースがあるため注意が必要です。
1. ChatGPT (OpenAI) の設定
ChatGPTは設定項目が非常にわかりやすく、無料版でも簡単に「学習オフ」にできます。最もコントロールしやすいAIです。
💰 プランごとのデフォルト設定
ChatGPT は、無料版・有料版(ChatGPT Plus)ともに、デフォルトでは入力データがモデル学習に使われる設定になっています。つまり、設定を変更しない限り、あなたが入力したテキストや画像、ファイルなどがすべて OpenAI のモデル改善のために利用される可能性があります。
ただし、法人向けプランである Team と Enterprise では、デフォルトで学習に利用しない設定 になっています。
プラン別まとめ:
- 無料版:デフォルトで学習される(設定変更が必要)
- ChatGPT Plus:デフォルトで学習される(設定変更が必要)
- Team・Enterprise:デフォルトで学習されない
⚙️ 設定手順
手順(Web版):
- ChatGPT にログイン
- 画面右上のアカウントアイコンをクリック
- 「Settings(設定)」 を選択
- 「Data controls(データコントロール)」 をクリック
- 「Improve the model for everyone(すべてのユーザー向けにモデルを改善する)」 の項目を探す
- 「Model Improvement」のトグルスイッチを オフ に設定
- 「Done」ボタンをクリック
手順(スマートフォンアプリ):
- ChatGPT アプリを開く
- 画面左下の自分のアイコンをタップ
- 「データコントロール」を選択
- 「すべての利用者のためにモデルの改善に協力する」の右横スライドを動かして オフ に設定
この方法では、会話履歴を画面左側に保存(表示)することができます。ただし、この設定はブラウザやデバイス間で同期されないため、別のブラウザやデバイスで ChatGPT を利用する際は都度設定し直す必要があります。
2. Claude (Anthropic) の設定
Claudeは以前「学習に使わない」方針でしたが、現在は個人向けユーザー(無料・有料とも)でデフォルト学習 ON に変更されています。
💰 プランごとのデフォルト設定
プラン別まとめ(2025年9月28日以降):
- Claude Free(無料版):デフォルトで学習される(設定変更が必要)
- Claude Pro・Max:デフォルトで学習される(設定変更が必要)
- Claude for Work(Team)・Enterprise・API:デフォルトで学習されない
⚙️ 設定手順
手順(Web版):
- Claude(claude.ai)にログイン
- 画面右上または左下のアカウントアイコンをクリック
- 「Settings(設定)」 を選択
- 「Privacy(プライバシー)」 または 「Data Controls(データコントロール)」 をクリック
- 「Claudeの改善を手伝う(Help improve Claude)」 または 「モデル改善のためにデータを使う」 という項目を探す
- チェックを外すか、スイッチを オフ にする
- 設定を保存
手順(スマートフォンアプリ):
- Claude アプリを開く
- 画面左下のアカウントアイコンをタップ
- 「設定」を選択
- 「プライバシー」→「データコントロール」をタップ
- 「Claudeの改善を手伝う」のトグルを オフ に設定
3. Gemini (Google) の設定
ここが一番の落とし穴です。 Geminiは「無料版」と「有料版(Google AI Pro)」で、学習データをオフにしたときに、明確なデメリットがあります。
💰 プランごとのデフォルト設定
プラン別まとめ:
- 無料版(個人 Google アカウント):デフォルトで学習される
- 有料版(Google AI Pro):デフォルトで学習される
- Google Workspace アカウント:デフォルトで学習されない。企業レベルの保護が受けられる(Business Standard以上)
⚙️ 設定手順(無料版の場合)
個人向けのGeminiは無料版と有料版ともに、学習をオフにすると「チャット履歴も保存されなくなる」という非常に不便な仕様になっています。
- メニューの「アクティビティ」設定を開く。
- 「Gemini アプリ アクティビティ」 を OFF にする。
注意点:OFFにすると、過去のチャット履歴が見られなくなります。
「履歴を残したいけど、学習はされたくない」という当たり前の要望が、個人向けGeminiでは叶いません。
そんなことから私は、Geminiを使いたいのであれば、個人でもGoogleの法人向けサービス「Google Workspace」に契約するのがいいと思っています。実際私もGoogle Workspaceに契約しています。>ワイがGemini課金にGoogle Workspaceを選んだ理由【学習に使われずに便利にGeminiを使いたかった】
Workspace での保護内容:
- ビジネスデータは AI の学習に使用されない
- 管理者による詳細な設定が可能
- 企業向けセキュリティ機能が提供される
| プラン | 対象 | デフォルト設定 | 履歴と学習の関係 |
| 無料版 | 個人 | ⚠️ 学習される | 学習OFFにすると履歴も消える |
| 個人有料版 (Google AI Pro) | 個人 | ⚠️ 学習される | 学習OFFにすると履歴も消える |
| 法人有料版 (Google Workspace) | 企業/組織 | ✅ 学習されない | 学習OFFでも履歴は残る |
4. Perplexity の設定
検索特化型AIのPerplexityも、個人プランではデフォルトでデータが利用される設定になっています。
💰 プランごとのデフォルト設定
プラン別まとめ:
- 無料版:入力データが AI の学習に使用される可能性がある
- Perplexity Pro(有料版):データが AI の学習に使われる可能性がある(設定変更可能)
- Enterprise 版(法人向け):デフォルトで学習されない、7 日後の自動データ削除機能あり
⚙️ 設定手順
手順(Web 版):
- Perplexity にログイン
- 画面左下の歯車アイコン(設定)をクリック
- 「アカウント」タブを選択
- 「AI データ保持(AI Data Retention)」の項目を探す
- トグルスイッチを オフ に設定
手順(スマートフォンアプリ):
- Perplexity アプリを開く
- 画面左下のアカウントアイコンをタップ
- 設定メニューから「AI データ保持」を選択
- トグルを オフ に設定
5. Grok (xAI) の場合
X(旧Twitter)に統合されているGrokも、初期設定ではデータが学習に使われるようになっています。
💰 プランごとのデフォルト設定
プラン別まとめ:
- 無料版:入力データが AI の学習に使用される可能性がある
- Premium: ⚠️ デフォルトで学習される設定(ON)になっています。
⚙️ 設定手順
手順(Web 版):
- Grokにログイン
- 画面左下のアカウントアイコンをクリック
- 設定をクリック
- モデルを改善するをオフに設定
手順(スマートフォンアプリ):
- Grokアプリを開く
- 画面左上のアカウントアイコンをタップ
- データと情報メニューから「データコントロール」をタップ
- モデルを改善するをオフに設定
無料版と有料版の違い:結論整理
「有料版=学習されない」は誤解
| サービス | 無料版 | 個人有料版 | 法人 / Enterprise |
|---|---|---|---|
| ChatGPT | 学習利用あり | 同左 | 学習利用なし |
| Claude | 学習利用あり | 同左 | 学習利用なし |
| Gemini | 学習利用あり | 同左 | 管理者制御可 |
| Perplexity | 学習利用あり | 同左 | API等で制御 |
| Grok | 学習利用あり | 同左 | Xポリシー依存 |
- 新しいツールを入れたら、まず「設定」を開く。
- 「Training(学習)」「Data(データ)」という単語を探し、OFFにする。
この習慣をつけることが、AI時代のリスク管理の第一歩です。
しかし、学習データをオフにしたとしても、
- 過去データは対象外
- ログ保存は別枠
- 人的レビューの可能性は残る
ということもあるので注意です。
特にGeminiに関しては、個人版で課金しても「履歴と学習のジレンマ」からは逃れられない点に注意が必要です。
参考までに。それでは!


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