出前館の名前は以前から知っていましたが、どこか都会向けのサービスという印象がありました。飲食店や配達員がたくさんいる都会なら便利そうですが、私が住んでいるような地方ではどのくらい使えるのだろうと思っていたのです。
ところが、登録して自宅の住所を入力してみると、画面にくら寿司が出てきました。私の住んでいる地域でも普通に使えるのだと驚きました。
試しに注文してみると、表示された到着予定は約30分。そして、ほぼ予定どおりに届きました。支払いはネット上で済ませていたので、玄関では商品を受け取るだけです。これは想像以上に便利でした。
最初は単純に「店まで行かなくていいのは楽だな」と思ったのですが、実際に体験してみて、もう一つ考えたことがあります。
こういうサービスを、高齢の親にも知っておいてほしい、ということでした。
毎日使わなくても構いません。ただ、外に出るのが大変な日に自宅まで食事を届けてもらえる手段がある。それを知っているだけでも、地方で暮らすうえでは心強いのではないかと思いました。
地方でも意外と使えるデリバリー

地方で暮らしていると、食べ物を買いに行くことと車を運転することは、ほぼ同じ意味を持ちます。
身支度をして車に乗り、店へ向かう。駐車場に車を止めて商品を受け取り、また運転して帰ってくる。普段から当たり前にやっていることなので、自分ではそれほど手間だとは思っていませんでした。くら寿司が食べたいなら、自分で車を出して店に行く。それが普通だったのです。
しかし、出前館に住所を登録すると、自宅まで届けてもらえます。地方に住む自分にはあまり関係のないサービスだと思っていたものが、急に現実の選択肢に加わりました。
もちろん、地方ならどこでも同じように使えるわけではありません。地域や時間帯によって注文できる店舗は変わります。それでも「地方だから関係ない」と思っているなら、一度住所を入力して確かめてみる価値はあると感じました。
私の場合は、そこにくら寿司がありました。ちなみに、はま寿司もあります。ほかにも選択肢はありますが、私は脂っこいものがあまり得意ではないので、外食なら基本的に寿司が一番です。そういう意味でも、寿司屋が宅配に対応しているのはありがたいところでした。
くら寿司が約30分で届いた
注文画面に表示された配達予定は約30分でした。そして実際にも、ほぼその時間どおりに届きました。
その間、私は車を出していませんし、店にも行っていません。家にいたら、寿司のほうからやってきたのです。文章にすると当たり前のようですが、初めて体験するとかなり新鮮でした。
持ち帰り予約をして店での待ち時間を減らしたとしても、往復の移動時間は残ります。出前館を使うことで、その移動そのものがなくなりました。
ただ、今回私が見たくら寿司の出前館メニューでは、店内のように一皿ずつ好きなネタを選ぶというより、「○○セット」のようなセット商品が中心でした。店で好きなネタを次々と頼むのとは少し違います。
そこは宅配なので仕方がないところでしょう。それでも、自宅にいながら寿司が届く便利さのほうが、今回はずっと大きく感じました。
ネット決済なら受け取りも簡単だった

もう一つ便利だったのが支払いです。
今回は注文時にネット決済を選んでいたため、配達員さんが来てから財布を出す必要がありませんでした。「小銭あるかな」みたいなストレスや、配達員さんを待たせるストレスとも無縁です。ドアを開けて商品を受け取るだけで終わります。
出前館では、店舗によって利用できる方法は異なりますが、クレジットカードやデビットカード、PayPay、Apple Pay、Amazon Pay、携帯キャリア決済などが用意されています。
玄関先で現金やお釣りのやり取りをしなくてよい。この受け取りやすさも、高齢の親に知ってほしいと思った理由の一つです。
ただし、受け取りは簡単でも、最初の設定まで誰にとっても簡単とは限りません。住所を正しく登録し、支払い方法を設定し、メニューを選んで注文を確定する。スマートフォンの操作に慣れていない場合は、最初は家族が一緒に画面を見ながら進めるのが安心だと思います。
高齢の親にも、困っていない日に一度試してほしい

今回使ってみて一番印象に残ったのは、高齢の親にもこういう方法があることを覚えておいてほしい、ということでした。
毎日の食事を出前で済ませてほしいわけではありません。雨の日、暑い日、体調が悪い日、そして将来、車の運転を控えるようになったとき。そうした日に「自宅に食事を届けてもらえる方法」を知っているかどうかは、地方で暮らすうえで小さくない違いになります。普段はこれまでどおり買い物や料理をして、出前館は困ったときの選択肢の一つとして持っておけば十分です。
ただ、アプリを入れて「便利だから使ってみて」と伝えるだけでは、実際に必要な日に迷わず使えるかは分かりません。本当に必要になった日に、初めて住所や支払い方法の設定から始めるのは大変です。
だからこそ、特に困っていない何でもない日に、家族と一緒に一度注文してみるのがよさそうです。
家族側から注文を手伝う使い方も考えられる
親自身が操作するのが難しい場合は、家族側から注文を手伝う方法も考えられます。
出前館では複数のお届け先を追加でき、それぞれに住所や電話番号を登録できます。地図上のピンの位置も指定できるため、実家を別のお届け先として登録すること自体は可能です。そのため、実家の住所を登録して、家族側から注文を手伝うという使い方もできそうです。これは、離れて暮らす親がいる家庭では便利な使い方になるかもしれません。
ただし、私はまだ実際に親の家へ注文した経験はありません。配達時に電話連絡が入ることもあり、「出前館がお届け」の手渡しでは、電話やインターホンで連絡が取れない場合に配達中止となることも案内されています。連絡先を誰にしておくのが使いやすいのかなど、実際に試してみないと分からないところもあります。機会があれば、ここは一度確認してみたいと思います。
地方暮らしの選択肢が一つ増えた
宅配サービスの便利さを実感したことで、地方で暮らす自分の中に一つ選択肢が増えました。今日は外へ出たくない、天気が悪い、体調がいまひとつ、運転を控えたい。そんな日に、自分で車を出さなくても食事が家まで来る。今回初めて使ってみて、それが思っていた以上に心強いと分かりました。
人の移動も、もっとこうならないのだろうか
そして、ここまで考えたところで、どうしても別のことまで考えてしまいました。
人の移動も、もっとこうならないのだろうか、ということです。
アメリカでは、UberXが2012年に始まり、アプリで車を呼ぶライドシェアが広がっていきました。日本でも2015年、Uberが福岡で一般ドライバーと利用者をアプリでつなぐ「みんなのUber」という実証実験を始めています。しかし国土交通省は、道路運送法に抵触することや、事故時の保険について十分な確認ができていないことなどを理由に、中止を指導しました。
それから約9年後の2024年、日本でもようやく「日本版ライドシェア」が始まりました。ただし、これはアメリカで普及している仕組みとはかなり異なります。
日本版ライドシェアは、タクシー会社の管理のもとで、タクシーが不足する地域や時期、時間帯を特定し、その不足分を一般ドライバーと自家用車で補う制度です。2026年現在も、この基本的な枠組みは変わっていません。地方でアプリを開けば一般ドライバーの車を気軽に呼べるような、一般的なイメージのライドシェアとはまだ大きな隔たりがあります。
もちろん、安全性や保険の問題が重要であることは理解できます。それでも、2015年に実証実験まで行われていたものが中止され、約9年を経て始まった制度が制限の多い形にとどまっていることに対して、「もっと早く、安全を担保しながら日常的に使える仕組みを作れなかったのだろうか」という思いは残ります。
地方では、車を運転できるかどうかが生活範囲に直結します。高齢になり「そろそろ運転を控えたい」と思っても、車を手放せば買い物にも通院にも行けなくなるのであれば、簡単にはやめられません。そこに「必要なときにスマホで車を呼べる」という選択肢があれば、無理に運転を続けなくてもよい人は増えるのではないかと思います。
出前館で寿司を届けてもらうだけでも、これほど生活の負担が減りました。それなら、人の移動も同じようにもっと早く便利にできていれば、地方の高齢者の生活や、それを見守る家族の安心感も大きく変わっていたのではないでしょうか。
テクノロジーは、都会の生活を少し便利にするためだけのものではありません。むしろ移動手段が限られる地方や、運転が難しくなってきた高齢者にこそ、生活の選択肢を広げる力があるはずです。
出前館でくら寿司を頼んで「便利だな」と思っていただけなのに、気づけば日本のライドシェアについてまで考えてしまいました。
まあ、日本の移動の問題はさておき、私の場合は家にくら寿司とはま寿司が届くだけでも、まずはかなりありがたいんですけどね。
ちゃんちゃん。
参考にした公式情報
- 出前館「決済方法」
https://help.demae-can.com/%E6%B1%BA%E6%B8%88%E6%96%B9%E6%B3%95-64c238be14ed58001c3f45da - 出前館「お届け先住所を変更・削除・追加したい(アプリの場合)」
https://help.demae-can.com/%E3%81%8A%E5%B1%8A%E3%81%91%E5%85%88%E4%BD%8F%E6%89%80%E3%82%92%E5%A4%89%E6%9B%B4%E3%83%BB%E5%89%8A%E9%99%A4%E3%83%BB%E8%BF%BD%E5%8A%A0%E3%81%97%E3%81%9F%E3%81%84%EF%BC%88%E3%82%A2%E3%83%97%E3%83%AA%E3%81%AE%E5%A0%B4%E5%90%88%EF%BC%89-6539174ffaa1b7001cc2fc34 - 出前館「注文後、キャンセルや注文内容の変更はできますか?」
https://help.demae-can.com/%E6%B3%A8%E6%96%87%E5%BE%8C%E3%80%81%E3%82%AD%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%82%BB%E3%83%AB%E3%82%84%E6%B3%A8%E6%96%87%E5%86%85%E5%AE%B9%E3%81%AE%E5%A4%89%E6%9B%B4%E3%81%AF%E3%81%A7%E3%81%8D%E3%81%BE%E3%81%99%E3%81%8B%EF%BC%9F-66ea39636e2fef001c8d5edd - 出前館「不在と判断されて商品を受け取れなかった」
https://help.demae-can.com/%E4%B8%8D%E5%9C%A8%E3%81%A8%E5%88%A4%E6%96%AD%E3%81%95%E3%82%8C%E3%81%A6%E5%95%86%E5%93%81%E3%82%92%E5%8F%97%E3%81%91%E5%8F%96%E3%82%8C%E3%81%AA%E3%81%8B%E3%81%A3%E3%81%9F-64c238bd14ed58001c3f4554 - Uber「福岡の皆様、みんなのUberが間もなく到着します!」
https://www.uber.com/jp/ja/newsroom/to-everyone-in-fukuoka-everyones-uber-will-arrive-soon/ - 国土交通省「太田大臣会見要旨(2015年3月6日)」
https://www.mlit.go.jp/report/interview/daijin150306.html - 国土交通省「タクシー事業について:自家用車活用事業(日本版ライドシェア)」
https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk3_000003.html - Uber「Uber, just the way you like it!」
https://www.uber.com/us/en/newsroom/choice-is-a-beautiful-thing/

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