「複利の力はすごい」という話、どこかで一度は聞いたことがあるはずです。雪だるま式に増えるとか、時間を味方につけるとか、なんだか良いことらしいというのは伝わってくる。でも「単利と何がどう違うの?」と正面から聞かれたら、答えに詰まる人が多いのではないでしょうか。
安心してください。利息の計算方法は、大きく分けて単利と複利の2つです。しかも違いの正体は、足し算か掛け算か、それだけです。今回は仮の数字を使って、実際に手を動かして比べてみます。なお、そもそも金利とは何か、率と金額はどう違うのかという金利の基本は、前回の記事で整理しています。
単利は「元のお金にだけ」利息がつく
単利は、最初に預けた・借りた金額(元本)に対してだけ利息がつく計算方法です。
仮に、年利5パーセントで100万円を10年間預けたとします。単利なら、毎年つく利息はずっと「100万円×5パーセント=5万円」。元本が増えない限り、利息の金額は1年目も10年目も変わりません。
10年分の利息を合計すると、5万円×10年=50万円。元本100万円と合わせて、10年後には150万円になります。同じ大きさの雪玉を、毎年ひとつずつ横に並べていくイメージです。数は増えますが、雪玉そのものは大きくなりません。
複利は「利息にも利息がつく」

複利は、ついた利息を元本に組み入れて、次の年はその合計額に対して利息を計算する方法です。利息が利息を生む。複利の特徴は、これに尽きます。
同じ条件で見てみましょう。1年目は元本100万円に5パーセントの利息がついて105万円。ここまでは単利と同じです。違いが出るのは2年目からで、今度は105万円に対して5パーセントがつくので、利息は105万円×5パーセント=5万2500円。合計で110万2500円になります。3年目は、この110万2500円が計算の土台になる。こうして利息を生み出す土台そのものが、毎年少しずつ育っていきます。
この計算を10年分繰り返すと、100万円は約162万8900円になります。単利の150万円と比べて、差は約12万8900円。こちらは雪玉を横に並べるのではなく、坂道で転がしていくイメージです。転がるたびに雪玉自体が大きくなるので、次にくっつく雪の量も増えていきます。
差が開くのは、時間が経ってから

ここで正直に言っておくと、複利の差は最初のうちは地味です。
同じ仮の条件で5年後を比べてみます。単利は100万円×5パーセント×5年=25万円の利息がついて125万円。複利は約127万6300円。差はまだ2万6300円ほどです。「複利の力はすごい」と聞いて期待していた身からすると、思ったより差がないな、というのが正直なところではないでしょうか。
ところが10年、20年と期間が延びるほど、利息が利息を生む効果がじわじわ効いてきます。単利が毎年同じ額の足し算なのに対して、複利は土台が年々大きくなるので、後半になるほど増え方が加速していく。「複利は時間を味方につける」と言われるのはこのためです。裏を返せば、複利の効果は短期間では実感しにくく、長い期間で初めて見えてくるものだということです。
私自身、最近これを数字の上ではなく実感として味わう出来事がありました。
コロナ禍をきっかけに始めたつみたてNISAの残高が、思っていた以上のペースで増えていることに気づきました。株価の上昇そのものが大きいのですが、増えた分がさらに増えていく複利的な感覚を、初めて自分のお金で実感したのです。
単利と複利、どちらが得なのか

ここまでを読むと、「複利の方が得」と結論したくなります。ただしそれは、お金を預けて増やす側から見た場合の話です。
借りる側に立つと、景色は反転します。仮に借入れの利息計算に複利があてはめられた場合、返済が長引くほど利息にも利息がつき、借金の残高は単利で計算するよりも速いペースで膨らんでいく計算になります。その場合、預ける側にはありがたかった雪だるまが、借りる側にはそのまま重荷になるわけです。単利と複利のどちらが得かは、計算方法そのものでは決まりません。自分が貸す側なのか借りる側なのか、立場によって望ましい方向が逆転します。
なお、複利には「利息を1年ごとに組み入れる」「半年ごとに組み入れる」といった、組み入れる頻度による細かい種類の違いもあります。頻度が細かいほど、理屈の上では複利の効果はさらにわずかに大きくなります。
まとめ

単利は元本にだけ利息がつく足し算、複利は利息にも利息がつく掛け算です。年利5パーセント・100万円という仮の数字で比べると、5年では2万6300円ほどだった差が、10年では約12万8900円まで開きました。差を生んでいるのは時間です。
どちらが得かは、自分が預ける側なのか借りる側なのかで逆になります。まずは「利息に利息がつくかどうか」という一点さえ押さえておけば、金融商品の説明に出てくる数字の意味も、ぐっと見えやすくなるはずです。
よくある質問
複利の計算は自分で暗算できますか?
期間が短ければ電卓で十分追いかけられます。ただ、期間が長くなるほど掛け算を繰り返す回数が増えるため、暗算では厳しくなります。仕組みを理解したうえで、実際の数字を知りたいときは金融機関の計算ツールなどを使うのが現実的です。
単利と複利、どちらの商品が多いのですか?
商品の種類によって採用されている計算方法は異なります。どちらの方式が使われているかは、契約内容や商品説明で個別に確認する必要がある事柄です。
複利なら必ず単利より増えるのですか?
金利や期間の条件が同じであれば、複利の方が単利よりも増える金額は大きくなります。ただし、これは「増やす側」から見た場合の話で、借りる側にとっては複利の方が返済額が膨らみやすいという逆の側面もあります。


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