山口周さんと楠木健さんの共著、「仕事ができる」とはどういうことか?を読んでいまして、『外交官選抜』の話が興味深かったのでメモ。
アメリカの国務省は外交官選抜の基準に悩んでいました。というのも、スキルの高い人材を集めたとしても、スキルの高さが外交官としてのパフォーマンスを決めるものではなかったからです。(統計的な相関関係がなかった)
以下の能力を満たす人を集めて、第三諸国に送ったとしても「潰れる人」「つぶれない人」に分かれます。
- 一流大学卒
- 外国語が2カ国語以上できる
- 行政とか文化といった知識も十分にある
- 交渉術も高い水準にある
つまり、大学時代の成績はあてにはなりませんでした。
では、潰れない外交官の能力はなんなのでしょうか?
国務省の担当者が、ハーバード大学で行動心理学の研究所のボスだったデイビット・マクレランドさんに相談しました。そしてマクレランドさんが調べた結果、成功している外交官に共通してみられる行動パターン、モノの考え方のパターンが3つあることがわかりました。
- 文化や宗教が違う相手であっても、その人の感情を読み取る対人感受性が非常に強い
- 根源的な人間に対する信頼を持っている(「あいつは劣等人種だから」、みたいな思考がまったくない)
- 政治的な力学に対する嗅覚がある(キーマンを見抜く)
この本の共著者である山口さんはこういます。スキルや知識が必要条件である可能性はあるかもしれないけれど、十分条件ではないと。
では外交官として成功する能力がパーソナリティかというと、そうでもありません。スキルでもなくパーソナリティでもないよくわからないものを「コンピテンシー」と呼ぶそうです。(コンピテンシーは、現在の人事評価に使われております。)
それをセンスと名づけるかどうかは別として、スキルやサイエンスだけでは測れないことのひとつの表れだと思うのです。p74
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