妹尾武治さんの『脳がシビれる心理学』を読みました。
すごく面白かったです!!
日本の本では珍しく論文の出典まで記してくれてるので、「もっと詳しく知りたい!」という熱い方には最高の本だと思います(`・ω・´)”
いや〜面白かった!
ということで個人的に気になったところを備忘録的にメモに残します。
脳がシビれる心理学のメモ
ハンディキャップ仮説
ハンディキャップ仮説というものがあります。
これは「オレ、こんなにもハンデがあるのにこんなこともできるんだぜ!!てことは、ハンデがなければもっとすごいんだぜ!!」ということです。
これは生物界で普通にあることなのです。
例えば、クジャク。
クジャクって派手ですよね?
でもね、あんなに派手だったら自然界では目立ってしまって、外敵に狙われる危険性が増えます。
しかし、ここでハンディキャップ仮説がスタートします。
「オレ、こんなに派手なんだぜ!外敵なんかにビビらないんだぜ!これが俺の生命力だぜ!!すごいだろ!!!」
ってことで、メスは「かっこえええええええ!!!あれだけ生命力に満ち溢れたオスの子を産みたい・・・」となるわけです笑
私ら人間からしたら「なんだかアホらしいな」と思うことかもしれません。
しかし、視点がシャープなとある科学者は「入れ墨やってる人も、ハンディキャップ仮説通りなんじゃね?」という仮説を立てました。
入れ墨は肝炎やHIVなどの感染症にかかるリスクがあります。
それでもなお、入れ墨をするって・・・。
「オレ、健康リスクがあるけど入れ墨ほれるんだぜ!俺の生命力からしたら、そんなことどうでもいいんだぜ!!!」
さてさて、科学者はそれを調べるために、入れ墨のある人とない人(年齢・教育水準)の人を集めて比べました。
生命力の強さってどうやって調べるの?ですが、体の非対称性の度合いで比べました。
科学的には対称性が高いほど、健康面で優れた遺伝子を有していることが分かってるんですって!
その結果・・・入れ墨を入れている人ほど優位に非対称性の値が小さく、健康的であることがわかりました。
いや〜、面白い。
「入れ墨を入れちゃうくらい、俺、強いんだぜ!」というハンディキャップ仮説は当てはまっちゃったのです笑
ちなみに、これは女性には当てはまらないんですって。
というのも生物界ではオスは選ばれる側だけど、メスは選ばれる側ではないからです。
そのため、「私、強いのよ!」を証明するためにハンディを追う必要がありません。
そのため女性で入れ墨をする人の心理をハンディキャップ仮説では説明できないんですって。
字が汚い方が頭がいい!?
- 読みやすいフォントを使った情報
- 読みづらいフォントを使った情報
さて、どちらが記憶に残りやすいと思いますか?
知的レベルが同じ被験者で比べたところ、読みづらいフォントの方が10%以上もテストの正答率が良かったのです笑
同じような実験を220人の高校生に試しました。
- 同じ教科書(フォントは変えている)
- 同じ先生による授業
やっぱり読みづらいフォントの方が小テストの成績は良かったのです笑!
読みづらいフォントの方が『読むこと』に努力が必要なので、それだけ記憶に定着すると考えられています。
字が汚い人には朗報ですね!(私のこと)
2秒で先生との相性が決まる!?
教員はどのくらいの時間で判断されるのか?という研究になります。
- 大学の授業の開始準備をしている教員の動画を音無で30秒間、被験者に見せました。
被験者はその動画を見た後、教員の評価を行います。 - その後、被験者は動画に映っていた教員の授業を対面形式で半年間受けました。
そしてその後にもう一度、教員の評価をしてもらいました。
授業を受ける前と、受けた後にの評価を比べると、高い相関性が見られたのです。
特に高い相関性を見せたのが、
- 活気
- 自信
- 情熱
- 楽観さ
- プロさ
- 温かさ
でした。
この実験と同じように、高校生に高校の先生の動画を見せて実験を行いました。
すると、高校の先生でも同じ結果が得られたのです。
そして、動画の尺を15秒、6秒、と短くした場合にも高い相関性が見られ、さらには2秒でも相関性が見られたのです。
つまり、2秒あれば自分と先生の相性が分かっちゃうということです笑
ちなみに、
- 外見
- 授業の面白さ
には高い相関性が見られなかったので、やはり人間は自分との相性を瞬時のうちに判断できるようになっているのです。
予備校の先生選びなんかに、この方法は使えると思います。
第一印象で「この人何かいい!」と思えるのであれば、その人のもとで勉強を習ってみると効果的な気がします。
神を信じる人は直感的思考に頼っている!?
2012年にサイエンス(トップレベルの学術誌)に掲載されたものです。
思考には大きく分けて2つがあります。
- 分析的思考
- 直感的思考
です。
神様を信じる人って、分析的思考じゃなくて直感的思考の人なんじゃ?と、科学者は考えて実験を行いました。
さて、あなたはどちらの思考の人でしょうか?
以下の問題に答えてみてください笑
- バットどボールで1.1ドルします。バットはボールよりも1ドル高いです。ボールの値段はいくらですか?
- ある製品を5個作るのには5台のマシンを5分間走らせなければなりません。では、100台のマシンで100個の製品を作るのには、何分かかりますか?
- 池にユリの花が咲いています。ユリは毎日倍の大きさになります。48日目に池はユリで覆い尽くされました。では、池のちょうど半分の大きさが覆われたのは何日めですか?
さて、頑張って解いてみてください。
答えは下の方で書きますね(`・ω・´)”
実験の結果、この問題の正答率が高い人ほど、宗教的信念が弱いことがわかりました。
つまりは神様を信じるのは直感ってことですね。
まぁ無宗教の日本ではあんまりピーンとこないと思いますが、怪しげな宗教にハマってしまう人は直感的思考ということです。
(ただし、信仰心がある人の方が幸福度が高いというデータもあるので、宗教にハマることが悪いとは言えないんですね〜。)
ちなみに私は神様をほぼ信じてないです。
んで、3問とも正解できました\(^o^)/
科学の常識が変わる時
1てんかんに悩まされていたイギリス人、Henry Molaisonさんの手術が1953年に行われました。
その手術によって脳の一部が除去され、その際に海馬の大半を取り去ったと考えられていました。
その後、ヘンリーさんは記憶に障害を持ってしまい、特に『新しいことが覚えられない』ようになってしまったのです。
そのため脳科学の世界では、海馬が記憶に重要な役割を果たしているという認識になっています。
ところがどっこい、2014年のネイチャー・コミュニケーションという科学雑誌で驚くことがわかりました。
2008年に死去したヘンリーさんの脳の一部から、最新の技術を用いて脳の全体像を復元したところ、海馬の大半は切除されずに残っていることが分かったのです!!
1990年代のCTやMRIの精度はまだ荒かったので、海馬の消失程度が過度に見積もられていたんですって。
つまり、『海馬が記憶に関係している脳部位』ってのは本当?てなことなのです。(他の研究からも海馬は記憶に関係していることが分かっているので、全てが覆るわけではない)
常識と思われていたものが、急に常識じゃなくなるところが、面白いようで怖いところですね〜。
植物状態の患者さんにfMRIをしてみると
fMRIという装置を使えば、脳のどこがどのタイミングで活動していたのかを明らかにすることができます。
このfMRIを植物状態の患者さんと健常者さんに使って比較してみました。
- 「テニスをしているところを想像してください」
と、どちらにも言い、脳の活動をスキャンしました。
すると、健常者の脳と植物状態の患者さんの脳は、同じパターンで脳活動をしていたのです!!
- 想像で部屋を歩き回ってください
これも同じように、植物状態の患者さんは健常者と同じパターンで脳が活動したのです!
サブリミナル効果の真実
誰もが一度は聞いたことがあるであろうサブリミナル効果。
有名なのが、映画のカットにコーラのカットを気がつかないくらいの短時間提示するだけで、脳内にコーラが刻まれ、コーラの売り上げが上がるというやつですね。
これは経営学者のジェームズ・ヴィカリーが1957年に発表したものになります。
その5年後の1962年、ヴィカリーは「あれは嘘だった」と発表したのです。
ええええええええええええ(´・ω・)
この本を読むまで私は信じていました・・・。
いやぁ〜情報って怖いですねぇ。
私と同じようにサブリミナル効果のこと信じてる人多いと思います。
ちなみにサブリミナル効果については、下條 信輔さんの『サブリミナル・マインド―潜在的人間観のゆくえ 』という本がオススメらしいですので、興味ある方は是非。
まとめ
心理学に興味がある方は是非とも手にとって読んでもらえたらなと思います(`・ω・´)”
このネタ量で1500円ですから超お買い得だと個人的には思っています。
飲み会の席の小ネタになると思いますよ〜。
今回の記事も最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
答え
問題の答えになります。
- 5セント
- 5分
- 47日目
でした!
できました??
これを直感で答えちゃう人は、
- 10セント
- 100分
- 24日目
と答えるそうです。
ちなみに、自分の母親にこの問題を出してみたら・・・母親は全て間違えました・・・。
詐欺に引っかからないか心配でたまらなくなっています(´・ω・)
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