『売り上げを、減らそう』従業員ファーストで考える

『売り上げを、減らそう』従業員ファーストで考える 本の感想
本サイトはプロモーションが含まれています
スポンサーリンク

社員を犠牲にしてまで「追うべき数字」なんてない。

帯の言葉が目を引いた。ブラック企業の社長が使いそうな言葉であったりするが、佰食屋(ひゃくしょくや)を経営している中村朱美(なかむらあけみ)さんは、言葉通りのことを実行している。

 

佰食屋は「どんなに売れても1日100食限定」というスタイルで、ステーキ丼屋さんを営んでいる。100食売り切れたら、あとは片付けをして社員は退社できる。だからどんなに忙しくても18時前には帰宅できるのだ。

 

  • 「売り上げを増やすんや!」
  • 「事業を拡大するんや!」

会社の経営者の多くは、このように考えているだろう。「そのためなら社員を使い倒してもいい」、心の底からそうは思ってなかったとしても、結果としてそういう働き方になっているのが日本だ。

  • 上司の顔色を気にして『有給』を取れないまま出社
  • 台風が来ても出社
  • 病欠したら周りに迷惑をかけるから出社

 

そんな疑問を感じた著者が出した結論が、『売り上げを減らそう』なのだ。佰食屋で働く人は、きっと大金持ちにはなれない。都心に一軒家を建てたり、別荘を持ったり、高級車を数年おきに買い替えたり、クルーザーを購入したりは一生できないだろう。でも、それでいいじゃない。

 

もちろんお金を稼ぐことを否定する気はない。ただ、資本主義社会の精神に流されず、『売り上げを減らして適度に働こう』という価値観があってもいいのだ。

利益を追求するより、私たち自身が「本当に働きたいと思える会社」をつくろう。佰食屋をはじめたとき、夫と2人でそう決めました。そして、本当に働きたいと思える会社の条件は、「家族みんなで揃って晩御飯を食べられること」。それが、私たちにとって大切なことだったのです。p28

 

この考えに共感した人が社員になる。強い共感をベースに人が集まってくるのだから、その絆は強い。「もっと多くを売り上げなければ!」というプレッシャーもないので、社員もストレスが少なく仕事ができる。殺伐としていない雰囲気で食事ができるということは、客にとっても嬉しい。

 

今の価値観からすると、「佰食屋って経営大丈夫なの?そんなのでいいの?お客さんがくるのだから、もっと売ればいいのに」みたいな意見が出てくるだろう。しかし、その価値観に従えば、たちまち競争社会に飲み込まれてしまう。佰食屋が打ち出す価値観は貴重だ。この価値観がもっと世に広がれば、今より生きやすくなる社会ができるだろう。

 

稼ぎたい人はどうぞ競争社会の中へ。まったりと生きたい人は、ある程度の仕事で。そういう住み分けができたらいいなと思う。これからは『多様性』がキーワードな時代なのだから、佰食屋の存在は、今の社会に新しい風を呼び込んでくれるだろう。

読書メモとして簡単に動画にしています↓↓↓

コメント

タイトルとURLをコピーしました