徹底した思想管理社会は恐ろしいんだなぁと。多様性が必要な理由を改めて感じた。やはり古典は読みづらいけど、その分得るもの多い。#読書 #ユートピア #トマスモア
トマスモア著の『ユートピア』。
古典として有名なもので、読もう読もうと思いつつなかなか手を出さなかった本なのですが、とうとう読みました(`・ω・´)”
いや〜、読みづらかったですけど、やはり古典として現代まで残っているだけのものがあるなぁと。
読みながら、「あ、あの映画ってユートピアの思想を取り入れてたんだー」と思うことも多々ありました。
いつもながらメモに残したいと思います“φ(・ω・。*)カキカキ
ユートピアを読んで
時代背景
時代背景を知っておかないと古典って理解しづらいものです。
トマスモアは1478年〜1535年を生き、57歳で生涯を閉じました。(処刑された)
トマスモアが生きた時代のイギリスは、重商主義政策がとられていました。
当時のイギリスの主要な貿易品目は毛織物ですが、イギリスは国土が狭いため、羊を飼うために必要な土地がたりません。
毛織物拡大のため牧羊地を広げるために、地主は農民から農地を取り上げ、そこを柵で囲って羊を飼うという『囲い込み運動』が行われました。
あまりに酷い政策だったため、『エリザベス救貧法』という世界初の社会保障が生まれたほどです。
このような農民の悲惨な現状と、それを生み出した政策に対して、トマスモアは「羊が人間を食う」と批判しています。
そのような時代を生きたトマスモアだからこそ書けた作品が『ユートピア』というわけです。
どこにもない国
ユートピアってなんだか“理想郷”的なイメージがありますよね?
本来の意味は『どこにもない国』という意味で、トマスモアが創作した造語になります。
社会主義国家っぽい
読んでて感じたのが「ユートピアって社会主義国家っぽいな」です。
まぁ当時のイギリスは封建主義ど真ん中の時代で、王や貴族たちが下層階級の人たちを酷使し、贅沢を尽くしていました。
そんな時代を生きたからこそ、社会主義っぽい国を理想として、「いずれ世界はこうなる」と未来予測をしたのだと思います。
ユートピアがどんな国かというと、“なにものも私有ではない”国です。
- 私有財産を禁止
- 公共の利益追及が熱心に教育される
- 全国民の1日6時間の労働の義務がある
- きつい労働をするのは奴隷やユートピアのルールを無視した犯罪者
- 質素・倹約が美徳とされ、それを守らない人を軽蔑する
- あらゆる宗教を認めるが、それを他人に勧めることは禁止
- 街並みはどこも同じに作られる
ユートピアのルールを守ってさえいれば、何不自由なく暮らすことができます。
ただし、ルールを守らない人は奴隷になります(´・ω・)
戦闘に参加して捕らえられたものはともかく、一般に戦争中に捕らえられた俘虜は奴隷にしない。それから奴隷の子も奴隷にはしない。また、外国から連れ出してきた人間はどんな人間でも、たとえ外国で奴隷であったとしても、ユートピアでは奴隷にしない。奴隷にするのは彼ら自身の同胞で兇悪な犯罪を犯したため自由を剥奪されたものか、他国の都市で重い罪科のために死刑の宣告を受けた者かに限られている。 p130
誰でもすぐに奴隷にするわけでなく、“奴隷の子どもは奴隷にしない”とあるように、階級差別を作ることはありません。
ただ、ユートピアに生まれたのに罪を犯したものには凄まじい軽蔑の目が向けられます。
ユートピア人によれば、この連中はもともと立派な国に生まれ、敬虔な雰囲気の中に真実な人間となるよう育てられてきたのである、それなのにずるずると悪の誘惑に引きずり込まれたということは、全く度しがたい人間というほかなく、苛酷な刑に十分値するというのである。 p130
ポップな感じにすると、
「ちゃんとした教育を受けたのに、犯罪をする奴は許さないぞ☆」
ですが、いやー怖い。
これで、「ユートピアの人々には悩みがない」としているのですが、どう思いますか?
多様性の大切さに気がつく
この本を読んでやっぱり大事だなと感じたことが『多様性』です。
ユートピアって確かに理想の国のような感じもしないことはありません。
今の日本のように、
- 子どもの貧困がある
- 格差がある
- 誰しもが働けるわけではない
- ズルができる
などなど、真面目な人が報われない社会よりは、ユートピア的な国の方がいいのかなぁと考える人もいると思います。
でも、ユートピアの的な思想の押し付けってすごく窮屈なんですよね。
管理された社会って人間にあってないんですよね。
だからやっぱり、面白い社会にするためには、多様性を受け入れていくしかないのかなぁと私は思いました。
読みづらい本ですが、是非とも一読を!
今回の記事も最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
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