『ヤンキーと地元』を読んで

『ヤンキーと地元』を読んで 本の感想
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打越正行さんの『ヤンキーと地元』を読みました。

生まれ故郷が嫌いだと吐き捨てるように言った、沖縄の若者。その出会いを原点に、沖縄での調査は始まった。生きていくために建設業や性風俗業、ヤミ仕事に就いた若者たち。10年以上にわたって、かれらとつき合ってきた社会学者の、かつてない記録の誕生!

沖縄のヤンキーの生活について書かれた本です。中卒は当たり前、そんな構造を持った社会で生きている彼らを、何年にもわたり取材し続けてきた打越さんだからこそ書ける本となっています。

 

学校や警察よりも「先輩に従う」という、共同体の強さと拘束感のなかでヤンキーたちは10代を過ごします。そうすることでしか生きられないのです。

社会でフツーに生きる私たちは、共同体のしがらみからかなり解放されております。「先輩の言うことを聞け!」とか「上司の言うことを聞け!」は古く、このような言葉を聞くことはほとんどないでしょうし、無視したからと言って、沖縄のヤンキーの世界のようにモノを投げられたり、暴力を振るわれたりはしないはずです。人々が脱村社会を目指した理由もわかります。

 

しかし、共同体から距離を置いた結果、私たちは多かれ少なかれ孤独を感じるようになりました。拘束が激しい共同体から離れた結果、多くの人に待ち受けるのは孤独感なのでした。そして、行き着く先が孤独死。

 

共同体はめんどくさい。でも孤独は辛い。その狭間で私たちは揺れ動いているのですね。「人は再びつながりを求めている」、それを見抜いたのか偶然なのかは分かりませんが、ネットで「新しいつながり」を構築したFacebookはGAFAの一角を担っています。

 

ヒトである私たちは、つながりを求めます。コミュニケーションなくして生きられません。しかし、共同体という古い構造も嫌です。

 

次に求められているのは、新しい共同体のカタチ。それがなんなのかは分かりませんし、そんなものが本当にあるのかどうかすらもわかりません。でも、人は「つながり」を求めずにはいられない動物。

 

そんなことを思わせる本でした。普通に大学を出て社会人としては垂らしている人に、オススメの一冊です。知らない世界をのぞけるかと。ぞれでは!

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