ウォルター・シャイデル大先生の『暴力と不平等の人類史』を読みました。2019年で読んだ本のうち、もっとも衝撃的な本でした。「そうか・・・そうなのか・・・そうだったのか・・・」と、心がざわつきましたね。
著者は膨大なデータから、『経済的な平等はどのような時に起こったのか?』を説明します。そして、4つのことが人類の平等化の大きな推進力になったと考察します。
その4つとは↓
- 大量動員戦争
- 変革的革命
- 国家の破綻
- 致死的伝染病の大流行
つまり、暴力的な力で人が大量に死んだ後に、平等化の流れが来ていたのです。
衝撃的でした・・・。まさか大いなる暴力の後に平等がやってくるなんて。つまり、歴史に学ぶのであれば、平等化を成功させるためには、圧倒的な暴力が必要だということです。
世界各地でデモが起こっていますし、日本でもありました。でも、ほとんどのデモは成功していません。「なぜ成功しないのだろう」という疑問を常々持っていたのですが、この本を読むことでデモが成功しない1つの理由を理解できました。暴力が足りないのですね。
でもだからといって、平等化を求めるために歴史に刻むほどの超暴力をするわけにもいきません。しかし歴史を見ると、暴力なしに平等化は推進されていないのです。では、今の不平等さはどうやって平等にしていけばいいのでしょうか・・・。
「経済発展をすればいいんだ!」と経済学者やら、政府は考えます。でも本当にそうなのでしょうか。世界人口の半分が保有する富は、2010年だと388人が保有していました。2014年だと85人で、2015年だと62人です。どんどんと一部の人の富が増大しております。経済が発展すると平等になるのでしょうか。疑問ですね。
でも、ある程度は経済が発展することで、平等になっているのも事実。しかし、ここに大前提があります。ある程度の平等とされている先進国が、なぜ比較的に平等なのかというと、それは第一次世界大戦、第二次世界大戦という大量動員戦争を経てきたからこそ、平等化がされている可能性が高いのです。
要するに、それらの社会が今豊かで、不平等の度合いが特に高くないにしても、不平等性の低さは必ずしも豊かさから生じたものではないと言うことである。
この本は、パンドラの箱が開いちゃったのではないかというくらいに衝撃を与えてくれました。軽々しく「平等を実現したい!」なんて言えないです。愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ。歴史が教えてくれた平等化への推進力は、超暴力だったのです。
読書メモとして簡単に動画にしています↓↓↓
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