湊かなえさんの小説「告白」を読みました。「告白」だから甘酸っぱい恋愛小説なんだろうかな〜とか思っていると、痛い目にあいます。全然違います。超重いっす。
もうね、累積売り上げ200部を突破してる意味がわかるくらいにおもしろかったです。止まらない止まらない。
湊かなえさんってどんな人?
びっくりすることに「主婦」です。
昼は主婦業をこなし、朝晩は執筆をしているという真面目な人。
多分、「告白」読んだ人は「おい!」って突っ込みたくなると思います。だって告白の内容からするに、もっと壮絶な人生を歩んでそうなイメージあるもん笑。
青年海外協力隊として2年間トンガに行っていたという経歴が、さらに謎を呼びます。もうめっちゃいい人ですやん笑
「告白」はどんな内容?
あらすじをウィキペディアから引用します。みたくない人は飛ばしてね。
第一章「聖職者」初出:『小説推理』 2007年8月号市立S中学校、1年B組。3学期の終業式の日、担任・森口悠子は生徒たちに、間もなく自分が教師を辞めることを告げる。原因は“あのこと”かと生徒から質問が飛ぶ。数カ月前、学校のプールで彼女の一人娘が死んだのだ。森口は、娘は事故死と判断されたが本当はこのクラスの生徒2人に殺されたのだと、犯人である少年「A」と「B」を(匿名ではあるがクラスメイトには分かるように)告発し、警察に言うつもりはないが、彼らには既に恐ろしい復讐を仕掛けたと宣告して去っていく。この章を書いた時点では、全登場人物の性格などの構想はあったものの、続きを書く予定はなかった[4]。湊は章を書き終えた後、鼻血が出たと告白した。
第二章「殉教者」初出:『小説推理』 2007年12月号1年の時の終業式直後、クラス全員に「B組内での告白を外にもらしたヤツは少年Cとみなす」という謎のメールが送られる。春休み後、2年生に進級したB組の空気はどこか異様だった。「少年A」こと渡辺修哉は相変わらず学校へ来ていたが、「少年B」こと下村直樹は一度も姿を見せていなかった。その後のクラスの様子と、1年B組に何が起きたか一切知らない新任教師の「ウェルテル」こと寺田良輝の愚かな行い、そして「修哉に天罰を! 制裁ポイントを集めろ!」という第二のメールを皮切りに行われたクラスによる修哉への制裁の模様を、クラス委員長の美月が悠子へ綴った手紙の形で語る。
第三章「慈愛者」初出:『小説推理』 2008年3月号母親を殺してしまった下村。その下村の姉・聖美が、弟が起こした事件の背景を知ろうと、母親の日記を読み始める。そこには、弟が母親を刺殺するまでの出来事が、息子を溺愛する一方的な母の思いと共に綴られていた。
第四章「求道者」書き下ろし母を刺殺した下村は、施設の中で壁に映る幻覚を見ていた。彼が共犯者である渡辺と出会い、故意で愛美を殺し、さらに母親を殺害するまでの苦痛の生活を記憶のフラッシュバックという形で追っていく。あまりにもショックなことが起こり過ぎ、記憶障害になってしまった彼は、そのフラッシュバックを半ば他人の話のように見て、その行いをとても馬鹿にしている。
第五章「信奉者」書き下ろし主犯である渡辺が自身のサイト『天才博士研究所』に「母親への遺書」として自分の生い立ち、愛美を殺すに至った過去の経緯や犯行後の一時の平穏と彼の心の安定を壊す一連の出来事、次なる犯行予告などをアップロードした。最後に二ページだけ渡辺の現在の視点となり、突然彼の携帯電話が鳴り響くシーンで終わる。
第六章「伝道者」書き下ろし第五章から直接続いて森口悠子から渡辺へ携帯電話の電話口で最後の宣告が行われる。森口は渡辺が設置した爆弾を彼の母親の勤務先に移動させ、爆破が完了した後こう告げた。「これが本当の復讐であり、あなたの更生の第一歩だとは思いませんか?」
とまぁ、これだけみてもワクワクするでしょ?
森口目線、渡辺目線、下村目線、美月目線、下村の母親目線と様々な登場人物たちの感情から物語は書かれています。よくもまぁ、ここまで様々な目線でストーリーを書けること。
感想
神戸連続児童殺傷事件の酒鬼薔薇聖斗に、湊かなえさんはインスピレーションを受けたのだと思います。たぶん。
本文中にこの言葉が出てきます↓
「道を踏み外して、その後構成した人よりも、もともと道を踏み外すようなことをしなかった人の方がえらいに決まっています。」
私にはこれが妙に心に響きました。
昔は悪だったけど、今は優しいお父さんとか、今は更生しているけど、昔は悪だったタイプの人ってなんか持ち上げられる傾向にあります。
たしかに悪いことをした経験があるからこそ、それを反省して良い大人になる人はいっぱいいます。でもよく考えたら、悪いことをせずに良い大人になる人の方が素晴らしいですよね。
この小説は人の内面的な感情にとてもキレイに入り込んでいます。何より共感できるし、登場人物全員に同情したくなる。
きっと誰しもが心の中に「悪いところ」を秘めていて、それはいうまでもなくなんだけど、その悪をどう処理するかが子供や大人によって違います。それも幼少期の育てられ方に大きく依存するんですよね。
その人の根本的な考え方、つまり小説でいう登場人物のバックグランドをかなり明確に、鮮明にしている本であり、そこがすごく伝わってきました。こういうタイプの人はこう考えそうだな、とか私らが認識できる共通部分をキレイに切り取って登場人物にしているところがすごいです。
以上!とってもおもしろい本でした!