室伏広治さんの『ゾーンの入り方』を読みました。
いつものごとくメモしていきます“φ(・ω・。*)カキカキ
ゾーンの入り方を読んで
内容紹介
まずは内容をアマゾンより引用します。
大事な舞台やプレゼンテーションで結果を出すための集中力はどうすれば身に付くのか? 集中状態である「ゾーン」とは何か? つねに自己と記録に向き合い活躍した著者が、良質な集中状態とはどんなものなのかを語り、集中するための方法論と哲学を、満を持して公開する。
男子ハンマー投げ選手として、アテネ・オリンピックでは金メダル、ロンドン・オリンピックでは銅メダルを獲得するなど、多くの大会で好成績を残し、二〇一六年に引退後は学者、指導者として活躍する著者が今だからこそ語る、スポーツや仕事、人生にも役立つ究極の集中法をまとめた一冊。
室伏広治選手の略歴
1974年、静岡県沼津市生まれの元男子ハンマー投げ選手。
東京医科歯科大学教授と、アスリートと別の顔を持っています。
自己最高記録は、2003年6月、プラハ国際で出した84メートル86。
シドニー、アテネ、北京オリンピックに出場。
2004年のアテネでは金メダルに輝き、それを評価され紫綬褒章(しじゅほうしょう)を授与される。(紫綬褒章は“学術芸術上の発明改良創作に関し事績著明なる者”に授与される)
体格は恵まれていなかった
この本を読んでいてまず驚いたのが、室伏選手は体格に恵まれていたわけではなかったということです。
日本人から言えば室伏選手の体っていうのは化け物みたいにでかいのですが、ハンマー投げの世界からすると、全然サイズが小さいみたいなんですね。
だからこそを戻す選手は恵まれた体ではない自分の体を極限まで活用する必要がありました。
ハンマー投げの世界トップレベルの選手と比べて体格やパワーは劣っていました。室伏広治が五輪に出たり、メダルを取ったりする選手になるとは、誰も想像していませんでした。ところが、そういう私が試行錯誤の末、世界のトップレベルで戦える選手になれたのです。それはなぜか。その要因はいくつかあります。その一つ一つを本書の中で詳しく述べていきますが、ここで強調しておきたいの、「自分が持っている力を極限まで引き出すにはどうするべきかを追求する。」ということです。p3
集中力とは長くやり続けることではない
室伏選手は20代の頃、ハンマーを投げるだけの練習に毎日6時間ほど投げていました。
しかし、30代の後半ともなると100本も投げていたら怪我をしてしまうので、必要最小限の本数を投げて体の負担を小さくし、なおかつ100本以上投げるのと同じぐらいの成果を求める方法を模索するようになりました。
そこで大切にしていたことが集中力です。
午前中16本投げて、昼食を摂って昼寝をした後、午後16本投げます。
一日の合計は32本なので100本以上投げていた頃の1/3以下しか投げません。
そうなると、一本たりとも無駄にすることはできないので、当然ながらフォームを念入りにチェックすることになります。
こうやって選手生活の晩年に差し掛かった日々に投げた一本あたりの内容の濃さは、毎日のように100本以上投げていた頃とは比べ物にならないほどでした。p21
質が高くないトレーニングをするくらいなら休んだ方がいい
この本を読んでいて面白いなあと思ったことが室伏選手の考え方です。
室伏選手は量よりも質が大切という考えを持っているので、質が良くないトレーニングをするぐらいなら休んでいる方がいいとさえ思っていたそうです
というのも、質の良くないトレーニングをしていたら、結局すぐに飽きてしまったり、持続力がなくなってしまうからです。
どうしたら質が高くなるのか?
それでは、どうやったら質の高いトレーニングができるか?と言うと、考え続けながらトレーニングをすることです。
誰しもどんな仕事でも、初めのうちはフレッシュな気持ちで取り組めるけど、何年も同じことをしていると、なかなか新鮮な気持ちを取り戻すのは難しい。早い話が、「ハンマー投げを20年以上もずっと続けて、いったいどこが面白いの?」ということです。その答えが、「同じことをずっと継続したり反復したりするのではなく、メニューを変えたり取り組みを変えたりして、絶えず質の向上を目指していく」ということなのです。p23
脳科学的にも、脳は同じことを反復するよりも、新しいことを取り入れた方が好きなので活性化します。
- 反復も大切
- 新しいことも大切
という、“当たり前”のことなのですね。
室伏選手がゾーンを感じた時
室伏広治選手がゾーンに入ったと感じたのは、2000年5月に大阪で行われた国際大会の時だったそうです。
なぜゾーンに入れたのか?
では、なぜその時達成できたのかと言えば、技術や体力だけでなく、自分の心と体とハンマーが一体となる感覚を身に付けたことでした。言ってみれば、それが私なりのゾーンだったのかもしれません。p33
ハンマーと一体となる感覚を掴んだ時
じゃあどうやって、ハンマーと一体となる感覚を身に付けたのか?
度重なる反復練習、繰り返される試行錯誤、それらがあったおかげでしょうが、“ハンマーを磨く”という行為でゾーンに近づけたそなのです。
そのきっかけとなったのが、身体教育研究所の野口裕之先生が「ハンマーを磨いてみたら?」とアドバイスを受けたことでした。
つまり、私はハンマーを磨くという行為によって、ハンマーと向き合い、ハンマーの気持ちになってみることができるようになったのです。ハンマーを磨くという作業は、時間にすれば5分ほどのことですが、その間、心を込めて磨いていると、自然にはハンマーだけに神経を集中していました。p34
そうすることで、世界のトップ選手の指標である80メートルを超えることができたんですって。
アスリートではない私たち一般人は、“磨く”という行為と記録が伸びることに関連性を見出すことはできないかもしれませんが、そのような“非科学的”なところにゾーンに入る秘訣があるかもなのです。
イチロー選手が、どれだけ疲れていても“試合後は必ず自分で使ったモノの手入れをする”ことは有名ですよね。
道具を大事にすることは、トップアスリートの共通点なのかもしれません。
ハンマロビクスとは?
室伏選手が作った面白いトレーニング方法に“ハンマロビクス”というものがあります。
これはバーベルにハンマーをぶら下げ、ハンマーがブラブラ揺れるのをコントロールしながらバーベルで筋トレするトレーニング方です。
ハンマロビクスのメリットは次の通りです。
- ハンマーの揺れを敏感にコントロールしながら運動ができる
- ただの反復運動ではなく、感覚を働かせる(新しい刺激がある)
- つまり、筋肉と感覚の両方を鍛えれる
毎回、変化するバーベルの状況や負荷に応じて自分でリズムやタイミングをはかって運動を完遂する。そうすれば、反復運動だけで「もうくたびれた」と言っていた人が、「こんなにたくさんトレーニングをしたのに、何か元気だ」と感じることができるのです。p68
従来のトレーニング原則の限界
なぜハンマロビクスを考えたのでしょうか?
現代人は何にでも細分化する傾向があり、筋肉を鍛えることとその他の感覚を鍛えるトレーニングを分けて行う傾向があります。しかし、それは間違いではないかと感じることがあります。ハンマロビクスのように筋肉と同時により多くの感覚を働かせて行うトレーニングは、筋肉を使うだけの反復運動では得られない効果があるのです。p68
「還元主義的な考えでトレーニングはいいの?」という疑問からハンマロビクスは生まれたのですね!
従来のトレーニングの原則は次のようなものでした。
- 斬新性の原則:慣れたら徐々に負荷を上げる
- 反復性の原則:運動を繰り返して行わなければトレーニング効果はない
でも、これだとどちらも限界にぶち当たります。
- 斬新性の原則:生理学的限界がくる
- 反復性の原則:同じ筋肉を繰り返し使うとメンタル的にも肉体的にも限界がくる
その限界を打ち破るために開発されたのがハンマロビクスなのです!
室伏的限界を超える方法
アスリートは、常に自分の限界を越えていくのが目標になります。
じゃあどうやってその壁を越えるエネルギーを手にするのでしょうか?
室伏さん曰く、それは「ただおもしろいからやってただけ」とのことです笑
もちろん、本当の面白さというのは、いきなり最初からあるわけではありません。一生懸命に取り組んで上達すると、やがて壁に当たることもあります。その壁を乗り越えようと頑張ることでレベルが上がり、また高度な面白さを発見していけるのです。昨日の自分を今日、超える。今日の自分を明日、超える。そのためにはどうするか。それを考えて、工夫して、チャレンジする。この取り組みは、いつもワクワクするほど楽しいのです。p57
ここから学べることは、“とりあえず本気で挑戦してみる”ってことだと思います。
本気で挑戦するから次の課題が見つかるんですね。
室伏選手は大学生の時に「限界だ」と感じたことがあって、その時の記録は66メートルくらいだったんですって。
でも最終的には80メートルを越えるようなトップアスリートに成長したのです。
その理由は、繰り返しになりますが『全力を出したから』です。
そこで「全力を出せた」という経験をした人は、「次はもっとこうしよう」ということが見えてきて、すごく緊張した状態でも力を出すための方法もわかってきます。p145
なぜ全力を出せないのか?
そうは言っても、私たちはなかなか全力を出す事はできません。
なぜ全力を出すことができないのでしょうか?
本当の全力を出したことがない人は、実は失敗を怖がっているのです。「全力でやったのに失敗してしまった」という状態になるのが怖いのです。余力を残してやって失敗したら自分に言い訳ができるけど、全力でやったのに失敗してしまったら自分は完全に無能だと認めなければいけないと思っているからです。p146
アドラー心理学にも似たようなことが書いてあったのを思い出しました。
ついつい私たちは失敗するのを恐れて、“全力を出せない言い訳”を探しちゃうんですよね(´・ω・)
目的と目標の違い
目的と目標の違いについてはよく問われることですが、その違いについて知っていますか?
- 目的:最終的に実現しようとしている事柄
- 目標:その目的のために当面、実現させるべき事柄
この違いを頭に叩き込み、「それは何のためのトレーニングなのか?」「これは何を目的にした練習なのか?」を常に考えて練習に取り組むことが肝心なんですって。
何のための練習なのか明確ではないことは決して行わないようにする一方で、理由と根拠が明らかなトレーニングは、どんなに苦しくても全力でやり遂げることが大切なのです。p99
まとめ
この記事では『ゾーンの入り方』についてメモしてきました。
めちゃめちゃいい本だったので是非是非手にとってみてください!
いや〜超一流のアスリートはすごいや〜。
ちなみにですが、“ゾーンの入り方”とタイトルには書いてありますが、たぶんこの本を読んでもゾーンには入れないです。
心技体を高いレベルで実践した人ならば、この本を読んでゾーンに入れるかもしれませんが、私のような超凡人は無理です笑
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