ペンシルベニア大学ウォートン校教授のアダム・グラントさんとフェイスブックCOOのシェリル・サンドバーグさんの共著『OPTION B』を読みました。
いつものごとくメモしていきます“φ(・ω・。*)カキカキ
OPTION Bを読んで
OPTION Bってなに?
「人生はオプションBの連続だ!だったらどう生きる?」
が、この本のテーマだと思います。
“オプションB”とは、『次の選択肢』のことです。
人は誰もがオプションA(最善の選択肢)を選びたいのですが、オプションAばかりの人生なんてありません。
時にはオプションBを選ばないといけませんし、なんなら人生とはオプションBの連続だったりします。
- 夫が不治の病にかかる
- 生まれた子どもに障害がある
- リストラされる
- 離婚
などなど、私たちの人生は急に何かが降りかかってきます。
著者のシェリル・サンドバーグさんは愛する夫が急死しました。
悲しみの淵にいる彼女を助けてくれたのが、友人で心理学者のアダム・グラントさんだったのです。
レジリエンスってなに?
“レジリエンス”がこの本のキーワードになります。
日本語に直すと、“回復する力”ですかね。
オプションBを選ばないといけない時、そこには深い悲しみや絶望があるかもしれません。
しかし、人間にはそれを克服する力レジリエンスがあり、そしてレジリエンスは鍛えることができるのです。
立ち直りを妨げる3つのP
心理学者のマーティン・セリグマンによると、「3つのP」が人を苦難から立ち直るのを妨げることを明らかにしました。
- Personalization(自責化):自分が悪いと思うこと
- Pervasiveness(普遍化):ある出来事が人生のすべての側面に影響すると思うこと
- Permanence(永続化):ある出来事の影響が永遠に続くと思うこと
だから、
- 自分のせいではない
- その影響は人生のある一部分だ
- ずっとは続かない
と思うことができれば、立ち直りを早めることができます。
相手に選択肢を与えてあげる
友人が悲しみの淵にいる時、私たちはどうしてあげたらいいのでしょうか?
こんなストレスに関する実験があります。
ランダムな間隔で不快な騒音を被験者に聞かせながら、集中力を有するパズルなどの課題に取り組んでもらいました。
当然ながら被験者のストレスは高まり、ミスを連発し、イライラのあまり課題を投げ出す人もいました。
このとき、被験者の一部にはストレスを軽減させるための逃げ道を与えました。
「あまりに不快を感じるのであれば、このボタンを押して。そうすると騒音は止まるから」と、ボタンを与えたのです。
ボタンを押せば騒音は止まると理解した被験者は、“いらだち”を感じることなく課題に取り組むことができ、そして驚くことに、ボタンを押した人は一人もいなかったのです。
つまり、『自分で騒音を止めることができる』という選択肢を持っているかによって、冷静さが変わるということです。
苦しんでいる人には「ボタン」が必要だ。p64
現実世界でこのボタンをどうするか?
状況によって変わりますが、“話を聞いてあげる”、それだけでも大きく違うはずです。
何をいっても、何をしても力になれないと思い、何もいわず、何もしない。でも騒音事件が教えてくれるように、「ボタン」は問題を解決しなくても、ただそこにあるだけでプレッシャーを和らげることができる。ただ友人に顔を見せるだけで、大きな力になれるのだ。p67
喪失に対する感情の5つのプロセス
精神科医のエリザベス・キューブラー=ロス博士は『悲嘆の5段階』というものを提唱しています。(有名なやつです)
人は喪失に直面すると次の5つの段階を辿ります。(例えば大病を患った時)
- 否認
- 怒り
- 取引
- 抑うつ
- 受容
しかし、最近の専門家たちの見解によると「段階」ではなくて「状態」だということです。
5つの状態が“ときに強くなったり、ときに弱くなったり”しながら存在しているらしいのです。
つまり、怒りが完全に消え去るわけではないということです。
もし友人が喪失を感じているならば、この5つの状態をすべて持っている精神状態にあると考えるべきです。
もしかしたら急に怒り出すかもしれません。
でも、それも受け止めてあげてください。
ジャーナリング:自分の気持ちを書き出す
自分の感情をノートか何かに書き出すことを“ジャーナリング”と言いますが、これは心を鎮める作用があります。
ある実験で、参加者に自分が嫌になるような失敗や屈辱的な出来事を思い出してもらった。大事な試験でしくじった、運動会のリレーで転んだ、演劇の舞台でセリフを忘れた、など。そして、同じ失敗をした友人をなぐさめるようなつもりで、自分宛に手紙を書いてもらった。結果、このように自分に優しくした人たちは、単に自分の長所について書いた対照群に比べ、幸福感が40%高く、怒りの度合いが24%低かった。p85
ジャーナリングの効果は100を超える実験で実証されているとのことです。
また書かなくても、ボイスレコーダーに向かって話しても同様の効果が得られるとのことです。
ネガティブな感情にはラベルを貼る
これまた心理学では有名な話ですが、ネガティブな感情には具体的なラベルを貼ってください。
これを“ラベリング”といいます。
例えば、「ひとりぼっちで孤独だ」という感じに。
なぜラベリングするのがいいかというと、感情を言葉に置き換えることで、その感情を“自分がコントロールしている”という感覚が得られ、モヤモヤした感情を処理しやすくなるからです。
逆境があるからこそ人は成長できる
それまで心理学者はトラウマ後の変化として、主に2つのタイプに焦点を当てていた。一方には、苦しむ人たちがいた。PTSDを発症し、心身を衰弱させるような鬱や不安に悩まされ、機能障害を生じることもあった。その一方で、レジリエントな人たちもいた。彼らはトラウマ前の状態を取り戻していた。そして今や3つめの可能性が考えられた。苦しみをバネに成長する人たちがいたのである。p108
これが本書の本題です。
苦しみから立ち直るだけでなく、成長すること。
苦しみをバネに成長した人たちは、5つの形態を取り得ます。
- 人間としての強さを自覚する
- 感謝を深める
- 他者との関係を深める
- 人生により多くの意味を見出す
- 新たな可能性を見出す
の5つです。
ニーチェは、「自分を殺し損なったものが、自分を強くしてくれる」と言う名言を残した。p109
じゃあどうやって苦しみをバネに変えるのか?
いろいろな例は本書で紹介されていましたが、「これだ!」というものはありません。
簡単な言葉になりますが、「それでも前を向いて生きていく」に尽きるのかと。
アドラー心理学の言葉を借りれば、“意味付け”を変えていくしかありません。
「あれがあったからオレはダメなんだ・・・」じゃなくて、「あれがあったからこそ!」と、過去の出来事の意味をプラスにすることが苦しみをバネにする方法なのかと。
まぁ昔からよく言われるやつですよね。
北斗の拳でいうと、ケンシロウは悲しみを知ったからこそ北斗神拳奥義『夢想転生』を身につけたんですよね・・・笑
仲間とレジリエンスを育む
苦しみは個人だけで解決していくものではありません。
仲間と一緒に解決していくものです。
人々が一緒にレジリエンスを育めば、個人として強くなれるだけでなく、コミュニティーとしてともに障害を乗り越え、逆境を未然に防ぐことができる。集団のレジリエンスを育むには、単に希望を分かち合うだけでなく、経験、物語、そして力を分かち合うことがカギとなる。p183
- ストーリー
- コミュニティ
この2つがこれからの時代のキーワードだと思います。
自分のストーリーをどう語るか?そのストーリーでどのようなコミュニティを作っていくか?そしてコミュニティとしてどこに向かっていくか、これが自分にとっても相手にとっても大切なんだと思います。
まとめ
この記事では『OPTION B』についてメモしてきました。
レジリエンスをどう高めていくか?それについての知識がちりばめられていました。
今の私はそこまでの苦境に立たされていないので「なるほどー」くらいにしか感じませんでしたが、数年後に読み返すと「そういうことが言いたかったんだな・・・」と著者たちが言いたかったことの本当の意味が分かってくるのだろうなぁと思います。
一度、人生でどうしようもないくらいの悲しみを感じたことがある人ならば、きっと書かれていることの多くに共感できる本かと思います。
そういう人ほど手にとってみてください。
そして、深い悲しみから立ち直れてない人も読んでもらえたらなと思います。
今回の記事も最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
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