内田良さんの『ブラック部活動 子どもと先生の苦しみに向き合う』を読みました。
内田良さんの本を読んだのは『教育という病』に引き続き2冊目になります。
「なるほどなー」と思うところが多々あったのですが、個人的には「学校という組織、そして学校になる先生っておかしい人多いのでは?」と思わずにはいられない内容でした。
もちろん学校にも素晴らしい先生方もいるのですが「なんでよ?」と疑問符が残る先生がいるのも事実です。
今回の記事では本の内容とともに、個人的に感じたことを書いていきます。
部活動というグレーゾーン
「部活の思い出って最高だよな!」という方は、この本を読んでみるといいです。
先生の犠牲の上に部活は成り立っていたということが分かると思います。
それと、「部活ってあまり良いイメージがない」という方も読んでみてください。
その理由が分かると思います。
素人が部活を教えてもいいのか?
教師になるためのカリキュラムに、部活動に関する事業は組み込まれていません。
極端に言ってしまえば、素人の先生が子供たちに部活動教えているのです。
それを教育と言えるのでしょうか?
国語の授業で、国語の素人が授業することはない。それは、正規の教育内容としてちゃんと制度設計ができていて、中学校や高校では、国語科の教員免許を持つ教員が国語を教えているからである。だが、部活動はそこがゆるゆるだ。素人が何の経験も知識もないままに、部活動指導することになる。p23
そもそも部活動は『教育課程外』
部活動は教育課程外の活動になります。
つまり、生徒の自主性を重んじるものであって、学校の先生が関与しなくてもいいのです。
教育課程外の部活動を、土日を潰して学校の先生が指導する必要がありますか?
先ほども書いた通り、『部活動は素人』の先生が多いのにです。
先生の役割は“教科を分かりやすく教えること”です。
授業が終わった後、部活に付き合って、土日も部活のために働いて・・・それで本来の役割である『授業』はおろそかにならないの?って話ですよね。
これに関しては、私たち一般市民が意識改革をしなくてはなりません。
「先生は部活の指導をすべき!」から「先生は部活の指導しなくてもいいよ」へと。
勘違いする先生たち
部活動は教育課程外なので、先生たちに部活動指導をする義務はありません。
しかし、これを知らない先生たちがいるんですって。
「恥ずかしながら、部活動が教育課程外と言うことを知らなかったんです。やるのが当たり前。初任の時からずっと、年度初めに職員会議で部活動の顧問担当が示されて、それを受けて、何も疑うことなく指導に当たってきた」p58
「部活動はやるのが当たり前」と、思考停止状態の先生が増えて。このような風潮を作り上げたのも先生たちかもしれないのです。
本格的に運動をしたいならスポーツクラブへ
先ほども書いた通り、部活動は教育課程外の活動になります。
であるならば、別に毎日部活動に激しく打ち込まなくてもいいわけです。
「週に2〜3回、軽い感じで」
くらいに、生徒が自主的にやるべきなのです。
勉強をもっとしたければ塾に通うじゃないですか?
それと一緒で、スポーツをもっとしたければスポーツクラブに通えばいいのです。
なんども言ってる通り、部活に関しては素人の先生が多いのですから、本格的に運動をしたいのであれば、スポーツクラブに通い、プロから学ぶべきです。
学校はトップアスリート養成機関ではありません。
部活が大好きな先生が厄介
ここまでの話を聞いたら、「そうか、先生も大変だし、学校でそこまで部活をやらなくてもいいんじゃね?」と思ってもらえるはずです。
そうであるならば、学校と部活の関係を変えていけばいいのですが、それがなかなかできません。
その理由が
『部活が大好きな先生』
が一定数いるからです。
そしてそんな先生は「部活指導ができてこそ、一人前の教師」という考えをお持ちなのです(´・ω・)
こういう風潮があるからこそ、学校教育はなかなか変化できません。
それで、そういう頭の弱い先生はこんなことも言うそうです。
そういえばTwitterで、部活動顧問を辞退する先生たちを快く思わない先生が、「部活動担当しない教員は、給料減らせ!」と憤っていた。その理由は、「教育課程内の活動なんだからやるのが当然で、それをやらない奴は給料を減らすしかない」ということであった。p57
部活動は教育課程外なんですよ!!
なぜ部活が大好きになるのか?
なぜ先生が、部活が大好きになるのでしょうか?
ある程度真面目な先生であれば、嫌々ながらも受け持った部活動に対して真面目に行動します。
- 部活動に力を入れる
- 部活動のレベルが上がる
- 生徒が試合に勝つ
- 生徒の保護者からも「あの先生の指導はすごい!」と評判になる
- 自尊心などが満たせて先生は嬉しくなる
- さらに部活動に取り組む
- ブラック部活動へ・・・
となっていくのです。
自分の指導する部活動が実績を得ていくと、強豪校の顧問の方とも知り合いになります。
そうすると練習試合のオファーが入ってきたり、大会の後は飲み会にも誘われたりとで、それが誇り高くて嬉しいということも、部活動をブラック化する原因になっています。
後任の悲劇
学校の先生は転勤があります。
そのため、部活の指導に優れた先生も他校へと移っていきます。
そうなると後任の部活指導の先生が悲劇に見舞われます。
「前の先生と比べて、あの先生指導下手じゃね?」と、生徒からも保護者からも冷たい視線を投げかけられるからです。
なんども書いた通り、学校の先生は授業のプロであって、部活動に関しては素人です。
「学校の先生は部活動指導ができて当たり前」という風潮の元、現場の先生たちは精神をすり減らしているのです。
部活は外部指導者に任せるべきか?
「スポーツのプロを学校側に呼んで、部活動を担当してもらえたらいいんじゃね?」
これをすることで2つのメリットがあります。
- 学校の先生の負担が軽減→本来の役割である授業に専念できる
- 生徒もプロからスポーツを学べる
と、いいことばかりな気がします。
ガチでスポーツをしたい人は、外部指導者のもとで学べばいいですし、趣味程度に運動がしたければ自主的にスポーツをすればいいんですね。
くれぐれも、「部活に入ることは絶対だ!!!」という方針にしたはダメです。
だって誰もがスポーツのプロになりたいわけではないですし、外部指導者はそれ相応のレベルを求めてくるはずなので、運動嫌いの人が部活に入るとかなりきついことになりますからね。
外部指導者は教員と比べた時に、より長い時間、より多くの日数を部活動に費やすべきだと考えている。部活動は十分に過酷であると思われがちだが、外部指導者の目からすれば、まだまだ足りないということである。p159
外部指導者はその道のプロですからね。
その人たちの指導法が「学校教育に適しているか?」と言われたら、疑問符が残ります。
外部指導者がいない問題
学校の部活動の指導に当たるということは、
- 毎日学校に来る
- 毎日夕方の5時くらいから指導開始
という条件付きになってしまうのですが、「そもそもそんな都合のいい外部指導者っているの?」って話になります。
“会社を定年で辞めてるおっちゃん”ならいるかもしれませんが、その人が適切な指導者か?と言われたら、やっぱり安心できません。
だから安易に『外部指導者を導入しよう!』といっても、無理な話なんですよね。
これについて私は「体育教師が部活動指導をすればいいじゃん」と思うんですよね。
学校に導入したい部活動の数だけ体育教師がいれば問題ありません。
んで、体育教師は昼から勤務にすれば、部活動指導の時間が、勤務時間外になることもありません。
学校の体育の授業も全部昼からにすればいいのです。
「え?体育教師をそんなに雇えない?」
これも部活動の数の問題であって、部活動の数を絞ればそんなに問題ないはずなんですよね。
それに“ガチで運動したい生徒”だけ部活動に入ればいいわけで、お遊び的に運動をしたい生徒は自主的にやればいいのです。
ガチで部活をしたい生徒ってどれだけいると思います?
そんなにいないはずです。
こういうのも『その高校の校風』にして、学校の差別化にすればいいと思うわけです。
- 「野球がしたいからあの高校に行くぜ!」
- 「体育教師が多くて、部活動が盛んだからあの高校に行くぜ!」
- 「運動嫌いだし部活動に入る気は無いから、部活動がない学校でいいぜ!」
的なね。
本を読んで思うこと
職員室のタブー
部活問題についてこれだけ世論が高まっているけど、その一方で実は職員室では全然議論がないんです。世論とは対照的に、職員室では部活問題は存在しない。部活を熱心に指導して当たり前の文化だから、部活問題はタブーなんですよ。p196
SNSや、インターネット上を見ても、学校の先生たちは「部活動指導はきつい!!」と叫んでいます。
でも、全然解決できていません。
いろんな先生に「なんで解決できないの?」と聞くと、「学校の構造的な問題です。」と返ってきます。
問題なのは、学校側で部活動に対してそこまで本気に議論をできる環境にないってことです。
誰もがそのお題で他の先生方とぶつかり合うのを避けているのです。
学校の先生って生徒には「自分の頭で考えて行動しなさい!」とか言うのですが、自分自身が全然できてないんですよね(´・ω・)
うーん、この先生たちの環境ってなんとも言えないですよね。
じゃあ辞めれば?
「学校の制度おかしい!苦しい!働く時間の割に給料安すぎ!」
と言う先生方もめちゃめちゃいます。
そんな先生方を見ると「じゃあ辞めれば?転職すれば?」と口には出しませんが、そう思います。
そんなにきついなら、辞めればいいじゃん。
あなたが優秀ならより良い環境の就職先が簡単に見つかりますよっと。
でもほとんどの先生は辞めて転職しません。
なぜなら、優秀でなければ今より悪い環境に就職することになると分かっているからです。
- 教師という身分を捨てたくない
- 公務員という立場を保ちたい
そんな思いが邪魔してるんだろうなぁと。
愚痴を言うアホすぎる新米教師たち
もっともアホだと思うのが、学校の制度に愚痴を言いまくる新米教師です。
だってさ、これだけネットが発達した今、将来の自分の就職先がどんな状況かわかるじゃないですか。
だから今の教育現場がどれだけ大変かって分かるわけですよね。
今の時代教師になるのって、そういう覚悟を持って入るしかないと思うんですね。
だから愚痴を言うのはおかしいのです。
逆に「そんな情報知らなかった!」という情報収取能力がない新米教師は、即刻教育現場から退場してもらわないとやばいです(´・ω・)
愚痴をいう暇があるなら、その環境を変えれるように頑張ってください。
「え?年寄り教師の意見が強くて、教育現場を変えることができない?」
だったら、早く転職しなさいよ。
子供の教育に携わる職業なんて『教師』だけじゃないんですから。
まとめ
いかがでしたか?
この記事では『ブラック部活動』について書いてきました。
後半は私が個人的に思っていることを書いたので、これを読んだ先生方は多分“腹がたつ”と思います。
でも腹がたつなら、私にではなく今のおかしな学校現場の制度に腹を立てて、環境を変えてください。
- 学校現場がおかしいのは分かってる
- でも、自分では何もしない
- 転職する勇気もない
- ツイッターで叫んで、周りが変えてくれることを期待している
いやね、そんな考えの人ばかりだから、何も変わらないんですよ(´・ω・)
もっと勇気を持って、教育現場を変えていくべきです!
こういう話になったら毎回いうことなんですが、スタディサプリを学校に導入して、授業を楽にしたらいいじゃないですか?と。
この話をすると、
「え?スタディサプリってなんですか?」
「こんなの導入したら教師の存在意義がなくなるなじゃないですか!」
とか、こんな反応ばっかりする人がいるんですけど、もっと外の知識を取り入れて、自分の頭で考えてください!
スタディサプリは教師と対立するものではなく、共存できるものです。
そして、スタディサプリを導入して、現場の教師はアクティブラーニングができるような授業に移行するべきなのです!!
部活動がなくなったら普通の教師は窮地に立たされる
部活動が楽になればなるほど、普通の教師は窮地に立たされると思っています。
というのも、言い訳ができなくなるからです。
『部活動に時間を割かなくてはいけないから、授業のための時間を確保できない』
という言い訳ができなくなります。
「予備校や塾の先生はいいよなー。指導だけに集中すればいいんだから。学校の教師は進路指導やら部活指導やらがあって大変なんだよ( ´∀`)」
という言い訳はもう通用しません。
最後の言い訳として使えるのが『進路指導』かもしれませんが、私は学校の先生が適切な進路指導ができるかは昔から疑問なんですよね。
結局できるのは、『偏差値』を見ることだけでは?と思います。
ほとんどの学校の先生は、
- 小学校卒業
- 中学校卒業
- 高校卒業
- 大学卒業
- 学校に就職
と、学校以外の経験がありません。
確かに、国語とか数学とかは教えることができると思います。
でも、進路指導って何ができるの?
「生徒の学力に見合ったレベルの高校や大学を探すだけ?」
それが進路指導なのですか?
そんなの模試を受ければ、大体のことがわかります。
先生の解釈なんて必要ないです。
結局のところ、最後に残るのが『指導力』なわけですが、部活動などで言い訳ができなくなった時、普通の教師って大丈夫なんですかね?
この言い訳を残すためにも、部活動にしがみついている教師がいるんだろうなぁと思うわけです(´・ω・)
子供を持つ親御さんは、このことをよく知っておいてください。
「教師は何を教えることができて、何を教えることができないのか?」
これを知らずして、全てを教師に任せておくのは、子育ての放棄です。
そして先生に任せきりが、より教師の負担を重くし、授業の質が低くなることを理解しておいてください。
変わるべきは教師もそうですが、私たち一般市民もなんですね(`・ω・´)”
今回の記事も最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
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