『AI vs 教科書が読めない子どもたち』読んでシンギュラリティの見方が変わった

『AI vs 教科書が読めない子どもたち』読んでシンギュラリティの見方が変わった 本の感想
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シンギュラリティが2045年に起こるなんて言われていて、私はそれをまあまあ信じていました。というのも、これだけ AI が進化していくのだから2045年に起こるかどうかはわからないけど、大局的な見方としてはシンギュラリティがいつかは起こるのだろうと。しかし新井紀子さんの『 AI VS 教科書が読めない子供たち 』を読んで、シンギュラリティへの考え方が変わりました。

やはりどこまで行っても機械は機械であって、人間の全ての能力を超えることはできないのかなぁとぼんやり思っています。AIは進化していきますが、AIが自分よりも能力の高いAIを作り出すようになるのはまだまだ難しいのかなぁと。(未来予測なんてあてになりませんけど!)

本を読んで、AIのできること、できないこと、をメモしたいと思います。

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AIのできること、できないこと

新井紀子さんは東ロボくんと言う「ロボットは東京大学に合格できるのか」について研究している人です。なんでそんな研究をしているかと言うと、 AI ができることできないことを見極めようとしているからです。んで、今までの研究の結果によるとまだまだ AI にはできないことがたくさんあり、東大に合格するのは不可能とのことです。

ディープラーニングなどのすごい技術は一般人に過大評価されており、それは“ある制約された条件でのみ”めちゃんこパワーを発揮するのですが、万能ではないんですね。

条件がないと分からない

東ロボくんの限界は、『何を計算すればよいのかがわからない』ような問題については全く手が出ないことです。だからどれだけ高性能のスパコンを用いたとしても、計算できない問題に対しては手がつけられないのです。

ビッグデータがないものはディープラーニングできない

またビッグデータがないものはディープラーニングで学習することができません。例えば古文や漢文のデータなんてものは限りがあるので、ディープラーニングはできないんですね

AIが計算できるものは数学に表現できること

結局のところAIは賢いパソコンなので、めちゃめちゃ計算ができるということです。計算するためにはパソコンが理解できる言葉にしてあげないといけません。計算できるということは数学に表現ができるということです。

ではでは数学に表現できることはどれくらいあるのでしょうか?私たち人間が意識的・無意識的に感じていることを全て数学に表現できるのであれば、シンギュラリティが来る日も近いそうです。

ですが私たちの認知しているものを全て数学に表現することはできません。4000年以上の数学の歴史から発見された数学の言葉は、

  1. 論理
  2. 確率
  3. 統計

の三つだけです。私たちの知能の営みのすべてをこの三つで表現することはできません。

AIの得意分野

逆に言えば、論理、確率、統計で表現できるものはAIの得意分野になります。

  • 用意されたものから最適解を導く(コールセンター業務)

なんかが代表例ですね。

AIの苦手分野は国語

AIは文章の意味が理解できないんですって。Google翻訳の精度は高くなりましたが、それは“文章の意味”を理解した訳ではありません。

人間ならば誰もがわかる「その通りの意味」を AI に教える道具は、少なくとも数学にはありません。そして、繰り返し申し上げているように、コンピューター上で動くソフトウェアに過ぎない AI は徹頭徹尾数学だけでできているのです。p138

ホワイトカラーの危機

この本でもホワイトカラーの職業はやばいんじゃないのか?という指摘がありました。私はまぁまぁ本を読むのですが、「これからもホワイトカラーは安心だぜ!」と書かれている書物に出会ったことがありませぬ。

まぁ私のバイアスがあるのかもしれないのですが、どう考えてもやばそうな気がしますねぇ。

AI を導入する過程を考えると、求められる労働は高度で知的な労働だけで、単純な労働は賃金の安い国に移動してしまうため、高度な仕事ができない人には仕事がなくなってしまうことがわかります。ホワイトカラーは分断されるどころか、その大半が職を失う危険性があるのです。p261-262

著者が考える未来予想図

シンギュラリティはきません。でも・・・著者が語る未来が本の後半に書かれています。

私の未来予想図はこうです。企業は人手不足で頭を抱えているのに、社会には失業者が溢れている。せっかく新しい産業が興っても、その担い手となる AI にはできない仕事ができる人材が不足するため、新しい産業は経済成長のエンジンとはならない。一方、 AI で仕事を失った人は誰にでもできる低賃金の仕事に再就職するか、失業するかの二者択一を迫られる。私はそんな社会の姿がありありと目に浮かびます。そして、それは日本にだけ起こることではありません。多少のタイムラグはあるとしても、全世界で起こりうることです。p273

シンギュラリティが起こらないとしても、恐ろしい未来が迫ってきそうなのです。「なぜシンギュラリティが起こらないのに、そんな未来なの?」と疑問をお持ちの方は、どうぞ本書を手にとってみてください。まぁタイトルに書いてある通りなのですが。

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おわりに

読むべき本です。まじで読むべき本です。お子さんがいる家庭なら絶対ですね!

ぼんやりとしたAI想像に、くっきりとした輪郭を与えてくれるのではないかと思います。AIを使いこなす側に回るのか、使われちゃう側に回るのかは、今の私たちの行動次第だなぁと思う次第であります。

最後に、新井紀子さんのユーチューブ動画を貼っておきます。本書の内容をコンパクトにまとめてくれているものになります。

知的さがプンプンただよってますね〜。素敵です!

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