『未来型国家エストニアの挑戦』を読みました。
「エストニアすげー」と思わされる1冊でしたので、忘れないうちにメモしていきます“φ(・ω・。*)カキカキ
専門的なことも書いてあり、私には理解できないところもありましたが、「日本ももっとこうしたらいいやん!」と思える箇所がたくさんあったので、そこについて独断でメモしていきます。
ちなみにですが読めば読むほど、「ん?マイナンバーって企画倒れすぎてない?」と不思議な感覚に襲われます。もっと何かできそうなんですけどね。
未来型国家エストニアの挑戦を読んで
内容紹介
まずはアマゾンの内容紹介を引用します。
世界で最も進んだ電子政府を持つ国、エストニア。未来型のオープンガバメントをいち早く実現し、さらに進化させているこの国の現在の姿を最新情報とともに紹介します。さらに、それを支えるICT技術基盤や電子政府サービスの将来ビジョンも詳細解説。エストニア政府CIOのターヴィ・コトカ氏による序文も掲載。最先端のオープンガバメントに見る新しい社会像を体感してみませんか?
エストニアの電子政府は、世界から大注目なのです。
エストニアってどんなに国?
エストニアは北欧の国で、人口は約130万人と、日本と比べるととても小さな国になります。大きさとしては九州くらいの面積になります。
1991年までソ連に占領されており、独立を機にネットを使って公共サービスを届けようと考えたみたいです。というのも、公共サービスを提供するには人数が少なかったからです。
少ない人数て、多くの人にサービスを届けるためには、「ネットを使う必要がある」と考えたそうな。
電子書面が普通なエストニア
エストニアがどれくらい電子的な生活をしているかというと、書面などは基本的に電子書面らしいのです。
いまだに印鑑を押し続ける超非効率な日本とは大違いなのです。
エストニア人と書面での契約をしようとすることは得策ではありません。なぜ契約相手がそのような非効率的で、安全性が低く、環境負荷を与える方法で契約するのか、エストニア人は理解できないからです。ときにはあなたを疑いの目で見ることもあるでしょう。エストニアの人々は、電子署名と電子契約が、署名を安価にし、ビジネスのスピードを上げ、森の木を残すことを知っています。p9
ぐうの音も出ないくらい正論・・・。
書類をデータで残すような仕組みを作っておけば、「書類が紛失しました!」という日本のくだらないニュースも防げたんでしょうねー。
eIDカードが広がるまでに5年かかった
日本でいうマイナンバーカードみたいなのが、エストニア人に広まるまで「5年かかった」と書いておりました。だから、ITの改革は時間と忍耐が必要とのことです。
んー。マイナンバーの状況を見ていると、5年ってすごく早く感じます笑
ちなみにeIDは15歳以上の国民は取得しなければならないもので、
- 運転免許
- 健康保険
- チケットレス切符(Suicaのようなもの)
など、多くの用途に使えます。便利ですね。
インターネットによる選挙
日本でも「投票ってネットでよくない?という話が議論されていますが、エストニアではすでにやっちゃってます。
しかもですよ、
2005年10月に世界で初めてインターネットによる地方選挙を行い、2007年3月には国政選挙もネット投票を行ったのです!
すごいぜ・・・すごすぎるぜエストニア。
国の規模が小さいから「やりやすい!」ってのもあると思いますが、それでも2007年に国政選挙をしてるなんてすごすぎます。
2017年秋の総選挙は、大義のない選挙であるとして注目を集めました。思想家の東浩紀さんは『積極的棄権』の声を集めていました。(私、東さんの考えに賛同しています)
これのキーポイントは『費用が600億円かかる』ってところです。これ、税金です。
600億円あったら・・・もっと他に使えそうじゃないですか?もしこれがネット選挙であれば、費用がどれくらい小さくて済んだのか?が気になるところなのです。誰か教えて。
ちなみに、エストニアでのインターネット投票システムの初期開発費用は約4000万円だそうです。そこからどれくらいのお金がかかったのかは書いてませんが、意外と安いんだなぁと思いました。
政治と情報公開
エストニアでは情報公開も進んでおり、政治家は不正行為ができません。
企業献金が禁止されており、政治家は個人献金だけを受け取ることができます。そしてその個人の献金額も公開されており、何をどこで使ったのか?が誰でも分かる仕組みになっています。
日本でも時たま問題になる『海外視察』の経費も、エストニアではしっかり公表する必要があり、支出の説明も求められるんですって。
このように、少しでも不透明なところがあると国民もメディアも厳しく追及する。エストニアではプレスフリーダム(報道の自由)という考えが徹底していて、いかなる人もマスコミに対して圧力をかけることができない。p23
日本と全然違います。
また、公務員の給料なんかもチェックできるんですって。
実際にそれほど多くの人が公務員の給料をチェックするとは思いませんが、エストニアでは公務員の給与調べることが可能です。公務員に加えて、政府系団体の取締役会のメンバーは年に1度、自らの給与を公開する必要があります。p78
会社設立も簡単
スタートアップ支援も、エストニアに見習うべきところがあります。
なんと、会社設立はインターネットで簡単にできるんです!時間は30分、手続きにかかる費用は約140ユーロ。
また、「スタートアップ・エストニア・プロジェクト」と言うものがあり、起業したい市民に国がコンサルティングサービスを行っています。
エストニアで誕生した有名な会社は『Skype』になります!いやー、知らなかったー。
先生と保護者の連絡は『eKool』
私がこの本を読んでいて、もっとも興味を惹かれたのが『eKool』です。
eKoolというシステムを使って、先生が行事の予定や生徒について気づいたことを書き込み、保護者も気になることを書き込めるシステムになります。
もちろん子どもに関する情報や成績は保護者しか見ることができません。
日本の学校の先生って雑務で大変じゃないですか?このシステムを早く導入するべきだと思います。
学校の先生じゃないと分からないことですが、子どもに連絡事項を渡しても、それが親に伝わらなかったりします。そういうことに、先生の労力は使われていたりするんですね。
いまだに大量のプリントを印刷して、それをファイルに挟んで、親に見せるって遅れてますよね。紙の無駄だし。
eKoolの主要機能はこんな感じです。
- クラスの記録(授業の説明、宿題、生徒指導など)
- 学習帳
- 休講記録
- 成績シート
- 時間割
- 生徒と親の連絡先情報
- クラス担任の校長へのレポート
エストニアすごいですわー。「通知表は紙じゃなきゃ嫌!」てな人もほとんどいないでしょうし、さっさとデジタル化してあげてほしいです。先生は授業に専念するべきですから。
処方箋もeIDカードで
処方箋の紙をいちいちもちあるくのってめんどくさいじゃないですか。
エストニアでは処方箋は電子処方箋システムによってデジタル化しています。患者の処方箋情報を登録して、それを薬剤師に送信するんですって。
本当に効率的になってますねー。
日本のインターネットシステムはどうなってる?
マイナンバー制度が導入され、日本もインターネットのシステムを構築しようとしています。さてさて日本はいつぐらいからこのようなシステムを作ろうとしていたかと言うと、遡ること17年前の2001年の自民党政権時代に『e-JAPAN戦略』が開始されていたそうな。
んで、毎年一兆円程度の税金をサービス開発の向上につぎ込んでいたみたいです・・・。
コストに対してリターンが少なすぎてワロタ!!
その原因は何なのか?筆者たちが2つ指摘しています。
1つが、行政サービスの効率化に政治家が関心を示さないこと。
2つ目が、テクノロジの著しい発展に政治家がついていけず、理解ができないこと。
政府の方針が決まらない状況では、日本が誇る官僚システムも身動きが取れない。p156
やっぱりこういうのは民間に任せるしかないんですねぇ・・・。政府は優秀な人材が動きやすいように規制を緩めるくらいしかできないのかも。
激動の時代ですからね。
まとめ
「エストニアすげー」の連続となる内容でした。
エストニアのような行政サービスの効率化は、これからとっても必要になっていきます。なぜなら日本の人口は減っているからです。
そこで行政サービスの効率化が必要なのですが、効率化にともない公務員の削減が起こると予想され、それを快く思わない人たちが足を引っ張ろうとします。
先日読んだ落合陽一さんの『これからの世界をつくる仲間たちへ』にも、ホワイトカラーはやばくなるかもよ?と書いていました。でも、その通りなんですよね。
効率化を受け入れるか、反発するか・・・。
効率化を受け入れれば、その職業についている人たちは痛みを伴います。しかし、反発し続ければ、日本という船はみんな仲良く沈没していくのです。
市民のため、国民のため、を思うならば、テクノロジーを受け入れていくしかないんですよね。
「俺たちはどうなってもいいのか?」ってな反発がきそうですが、そのために労働市場の流動化やらベーシックインカムやらの議論をガンガンしていかないといけないんですなー。
今回の記事も最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
追記:エストニアが公共交通機関の無料化を!
世界初、エストニアが公共交通機関の無料化 https://t.co/fxjhsfRjn2 日本では所得が低い世帯ほど無視できないのが生活費の中で占める交通費の割合だ。就職活動においても交通費の負担感が話題に上るように、公共交通の無料化は行動範囲や就労機会の格差の改善につながるという見方もされている。
— 藤田孝典 (@fujitatakanori) 2018年7月20日
エストニアおもしろいですなー。
地球温暖化や大気汚染など車の利用が原因となる社会問題は多く、公共交通を無料にすることで、人々の移動の足を車からバスや電車にシフトさせることを目指しているのだ。また、日本では、金額としては大きくないものの、所得が低い世帯ほど無視できないのが生活費の中で占める交通費の割合だ。就職活動においても交通費の負担感が話題に上るように、公共交通の無料化は行動範囲や就労機会の格差の改善につながるという見方もされている。
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