出口治明さんと駒崎弘樹さんの共著、世界一子供を育てやすい国にしようを読みました。
前々から出口さんの本も駒崎さんの本も読んでいて、「どちらもすごい人だなー」とこっそりと尊敬している方の共著なので、ワクワクしながら読んだのですが、「やっぱり最高!!」でした。
個人的には「学校の教科書でいいんじゃね?」というくらい良い本で、下手に学校の社会の本を読むくらいなら、こういう本を読んで、“社会の問題意識を持ってから勉強に取り組む”というスタイルがいいんじゃないかなーと思います。
気になったところをメモしていきます(`・ω・´)”
世界一子どもを育てやすい国にしよう
2050年に、日本の高齢者率は4割になり、労働者は3分の2に激減します。社会のサスティナビリティ(持続可能性)そのものが失われようとしている。私はその頃70歳ですが、子供や孫の世代に「あの時、なぜ問題意識を持ってくれなかったの?」「なぜ、手を打ってくれなかったの?」と言われたくはありません。p201
この本の『おわりに』にある駒崎弘樹さんの言葉ですが、今度から友達に「なんでお前ってそんなに社会問題を意識してるの?」と言われたら、この言葉を使おうと思います。
今だってみなさん思いませんか?
「なんで年金制度はガタガタなのに、誰も何もしなかったの?」と。
10年前以上から、
- 日本の経済は停滞してる
- 高齢者は増えている
- 医療の向上で平均寿命は伸びている
- こどもは少なくなっている
なんて分かっていたのです。
この条件がわかれば、頭のいい人なら「あ、これ、今の社会保障制度を保つのは無理だ!」と、分かるはずなんですね。
でも何も変わらないまま、ずるずると先送りされました・・・。
これを私たちの子や孫世代にまで先送りするわけにはいきません(`・ω・´)”
だから社会問題に意識を向けるべきなのです。
出口さんがライフネット生命を作った理由
「保険料を半分にするから、そのお金を子育てに回してほしい」p14
ここ20年で世帯の所得は20%ほど減少しています。
特に20代はニートやフリーターも多いので、年収が300万円くらいです。
大手の生命保険は月に1〜2万円なので、その年収だと払う気になれません。
でも生命保険を買わなければ、安心して赤ちゃんも産めません。
だったら、“保険料を半分にして、安心して赤ちゃんを産める社会をつくろう”と出口さんは考え、ライフネット生命を創業しました。
素敵ですよね(=゚ω゚)ノ
日本はもともと移民国家なんだし、移民を受け入れたら少子化解決!?
よく言われている話ですが、日本はもともと移民国家なのです。
日本人という単一の民族と考えている人もいますが、そんなことありません。
日本人の遺伝子を分析すると、本州に住んでいる人は
- 北方から来た人
- 琉球から来た人
- 朝鮮から来た人
- 上海あたりから来た人
と数タイプに分けられます。
近隣の中国や韓国は日本人ほど遺伝子が分散していないことが分かっています。
つまり、日本人はもともと移民国家であり、多様性にとんだ社会なのです。
移民問題が取り上げられていますが、日本ってそもそも移民国家、だから、もっと移民をガンガン受け入れたら「少子化なんて解決だよ!」というのが出口さんの意見になります。
これを聞いて「なるほどなるほどー、移民を受け入れれば少子化も解決ねー」と思った人もいはずです。
私も数年前まではそう思っていました。
でも、三橋貴明さんの本を読んで、「むむ、移民受け入れや良くないのかも・・・」と今は思っています。
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核家族で母親が子育てするのは“当たり前ではない”
「核家族が当たり前」
と思っている人もいますが、生物学的にみてこれは全然当たり前ではありません。
人類はもともと“家族”という構成でずっと暮らしてきており、おじいちゃんおばあちゃん、そしてたくさんの兄弟やらと暮らしてきました。
『核家族』という構成ができ、『専業主婦』というのが登場したのは、“戦後の高度経済成長時期のみ”です。
そのころの日本の発展するパワーのもと、強引に家族から核家族になり、子どもは母親が育てるという概念が登場して、なんとかそれでできていましたが、日本の発展パワーもなくなった今、核家族はきついですよっていうのが今の日本のあちらこちらでてきています。
- おじいちゃん、おばあちゃんと触れ合う時間が少なくなった子ども(非認知能力が向上減)
- 孫と触れ合う時間が少なくなったおじいちゃん、おばあちゃん(認知症加速)
- 給料が上がらない今、マイホームを無理に買うとキツイ問題
- お金がないからと専業主婦の母が働き出し、保育園足りない問題(子どもの相手もできない問題)
んで、「子どもの声がうるさい!」と言う住民たちもいます。
いやね、もともと人間は、子どもをみんなで育てていたのです(`・ω・´)”
フランスに学ぶシラク3原則
少子化について、いつも私が話題に挙げるのはフランスの「シラク3原則」です。p38
と出口さんは言います。
シラク3原則がどんなのかというと、
- 赤ちゃんを産めるのは女性だけ。なら女性が産みたいときに産めば良い。男性の意見は聞く必要なし。産める時期に経済力があるとは限らないので、それは税金でサポートする。
- 赤ちゃんを預けられる場所を用意する。
- 男性でも女性でも育児休業を取ったあと、元の人事評価のランクで職場に戻れる。
これがシラク3原則になります。
んで、第2原則にはさらに知恵が隠されています。
0歳児保育は非常にコストがかかります。
つまり、0歳児をたくさん預けられたら税金がやばいかかるということになります。(0歳の大変さはお母さんなら分かるはず)
だから育児給付金の支給を1年目はほぼ100%にしました。
つまり、会社を育児で休んでも、給料をほぼ変わらずにもらうことができます。
そうなると、子どもを預けるんじゃなくて1年目は赤ちゃんと一緒に過ごそう!という気持ちになります。
そうなれば社会全体のコストも下がります。
素晴らしいインセンティブ設計をしたのがフランスです(`・ω・´)”
結婚→出産はもう古い?
日本では結婚してから出産というのが当たり前です。
結婚前に子どもができようものなら「おいおい!!!」と言うおじさん、おばさんがいます。
でも世界的に見ると、この考えって古くて「赤ちゃんが生まれたし、結婚するか」的な流れになっています。
保育園を作れない5つの要因
- 保育士の給料が低く、希望者も少なければ、復帰者も少ない
- 保育園で事故が起これば、責任を問われるのは役所。だから厳しい基準を作って保育園を作りづらくしている。例えば、園長の採用基準を“経験年数のべ6年”ではなく“連続6年”とし、子育てなどで一時的に保育園を離れた人は園長になりづらくなる。
- 保育園を作りすぎて将来的に余ることを懸念して、「このくらいでいっか」と、コントロールしようとする。
- 制度不備。小規模保育園は0~2歳までしか預かれないというルールがあり、それ以上の年齢の子は受け入れない。そのため、第一子はA保育園、第二子はB保育園という親の負担を考えない制度設計になっている。
- 物件問題。都市部では保育園に使える土地が不足。また、住民の反対運動もある
未来に投資せず、過去に投資する日本
北欧に比べて、日本は圧倒的に公的支出が少ないとのことです。
やる気のなさは、公的支出にも表れています。例えばGDPに占める家族関係支出は日本では1%余りですが、フランスは3%弱。イギリスになると4%弱に達しています。国が投入している資源が、全く違うんです。p54
結局、こういうのはお金の問題になり、お金の使い道の問題になります。
つまりは、“政治”になるんですよね(´・ω・)
ちなみに駒崎さん曰く、待機児童問題は約2.7兆円あれば解決できるとのことで、これは消費税1%上げるだけでOKみたいです。
はっきりって待機児童問題は、年金や医療費みたいに大きなお金がかかりません。年金は50兆円だし、医療費は毎年1兆円ずつ自然増となっているほど膨大な額なんでよ。p56
駒崎さんに賛同します。
日本は医療費がかかりすぎてるんですよべ(´・ω・)
そんなに病院に行かなくてもいいじゃん?
医者としてもそんなにバンバン薬を処方しなくていいじゃん?
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まとめ
この記事では『世界一子どもを育てやすい国にしよう』について書いてきました。
ここに書いたことは、本の内容の前半部分で、後半は「働きかた」が書かれていたので、それは後日記事にしたいと思います。
待機児童問題などの、子供に関する問題を解決するには、私たち一人一人がそれについて“認識”しないと解決できません。
だって、見えないものとか、知らないもものは、『気がつくこと』もできませんから(´・ω・)
んで、結局はこれを解決するためにはお金の使い道をどうするか?であって、お金の使い道を変えるには『選挙』しかありません。
「政治なんかよくわからない!だから行かない!」と言っていたら、自分が子どもを産んだ時、そのしっぺ返しを食らうことになります。
逆に「子育て終わったからどうでもいい」と言って、この問題を解決しなければ、将来の日本を担う子どもたちにまともな教育投資をすることができません。
日本を担う子どもたちは、あなたに税金として補助をもたらす存在です。
日本の未来が
- 年金なし
- 医療費の補助なし
でもOKならば、今の政治に無関心でもいいと思います。
そんな老後嫌じゃないですか?
そうであるならば、未来に投資していく必要があります。
だから今、私たちは選挙に行かないとダメなんです。
「選挙に行ったって、何にも変わらないよ!」
確かにそうかもしれません。
でも選挙に行かない限り「100%変わることはない」のが、今の民主政治のシステムです。
まぁそんなこと言う不勉強な人は、この記事を最後まで読んでないと思います。
ということで、今回の記事も最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
良い本ですので、ぜひ手に取ってもらえたらなと思います(`・ω・´)”
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