ここ最近の「AIの進化」、凄すぎませんか?
なんとなくChatGPTと雑談していたんです。天気の話とか、おすすめのラーメン屋とか、そんな他愛もないことを。でもある日、ふと思いました。
「あれ? このAI、めちゃ賢いよな。これ使えば、プログラミングできない自分でもツール作れるんじゃね?」
HTMLもCSSも、if文すら書けない完全な非エンジニア。それでも「AIが隣にいれば大丈夫な気がする」という根拠のない自信だけは満タンでした。そこから始まったツール開発。AIと二人三脚で、あーだこーだ言いながら実装していく日々。
その中で、AIがポロッと言ったんです。
AI:「それなら今回は『WASM(WebAssembly)』で実装しましょう。これが最適解です」 ワイ:「……ワズム? なにそれ、新しいリズムゲーム?」
完全に初耳でしたが、先生がそう言うならと、生成されたコードをコピペして実装。ブラウザで開いた瞬間、思わず声が出ました。
「はっっっっや!!!」
重たい画像処理が、一瞬で終わる。あまりに速すぎて「え、これバグってない?」と疑い、何度もリロードしました。5回目でようやく信じました。これ、マジで動いてる。
しかも、サーバーに画像を送っていません。全部ブラウザの中で完結している。通信待ちの時間、ゼロ。魔法でした。
興奮してAIに聞きました。「これ凄すぎでしょ! なんで世の中のサイト、全部これ使わないの?」
AI:「WASMは一般にはまだ馴染みが薄くて、使いこなせる人が少ないからです。それに、ここに至るまでには30年の血と涙の歴史があるんですよ」
……30年?
AIが語り始めた物語は、まるで映画のようでした。Flashの栄光、ジョブズの宣告、クリエイターの絶望、そして復活。気づけば私は、技術の進化ではなく人間のドラマとして、Webの30年を追体験していました。
あまりにエモすぎたので、今日はその歴史を、あなたにも共有させてください。
「テレホーダイ」「キリ番」「Adobe Flash Player」。これらの言葉に反応してしまう世代の方は、ハンカチのご用意を。20代以下の方は、「昔のネット、マジでヤバかったんだな」と思いながら読んでください。
それでは、時間旅行に出発します。
第1章:静寂と忍耐の時代(1990年代)

「インターネット=砂時計を見つめる修行」
1999年、夜11時。私は分厚いCRTモニター(ブラウン管)の前に座っていました。部屋の電気は消して、画面の光だけが顔を照らしています。
「ピーヒョロロロ……ガガガ……ピーーー」
モデムが歌います。電話回線を通じて、遠くのサーバーと「握手」をする音。この音が、世界と繋がった証でした。
当時のインターネットは従量課金で、電話代が使った分だけかかります。だから、夜11時から朝8時まで定額使い放題になる「テレホーダイ」を待つのが日課でした。
「よし、繋がった」
ブラウザを開きます。Netscape Navigator、あるいはInternet Explorer 4.0。アドレスバーに手書きメモから写した長いURLを打ち込み、Enterキー。画面が真っ白になり、砂時計アイコンが現れます。10秒、20秒、30秒。ようやく灰色の背景が現れて、上から順番にテキストが表示されていきます。
ようこそ!○○のホームページへ! あなたは 1024 人目の訪問者です 現在の時刻: 1999年11月23日 23:12:34
画像はまだ表示されません。「×」マークの四角い枠だけが並んでいます。さらに1分待って、ようやく画像が1枚。上から下へ、まるで印刷機のように少しずつ「描画」されていきます。
これが、当時のWebでした。「待つ」ことが、Webの本質だった時代です。
動画はありません。音楽はMIDI(電子音)がたまに流れるくらい。アニメーションと呼べるものは、カクカク点滅する「🚧 Under Construction 🚧(工事中)」の看板GIFだけ。
でも、それでよかったんです。だって、世界中の情報が自分の部屋に届くんです。アメリカの大学のサイトも見られる。知らない誰かが作った日記も読める。遅くても重くても、そこには「世界」がありました。
Webサイトは、静かな図書館でした。文字を読み、画像を眺め、リンクをクリックして次のページへ。そこに「体験」はない。ただ「読む」だけの、静謐な場所。
私たちはその静けさの中で、世界の広さを噛み締めていました。
第2章:熱狂と騒音の時代(2000年代前半)

「Flash黄金期=ママチャリに積んだロケットエンジン」
2002年、深夜2時。時代が変わりました。ADSL(ブロードバンド)の普及です。
定額制で、常時接続。もう電話代を気にしなくていい。もうテレホーダイを待たなくていい。人類の欲望が、解放されました。
「もっと面白いことがしたい! 動かしたい! 音を出したい! 遊びたい!」
そこに現れた、救世主であり革命児。Macromedia Flash(後のAdobe Flash)です。
覚えていますか?
- おもしろFlash倉庫
- 脱出ゲーム
- 恋のマイアヒ
- レッツゴー!陰陽師
- ゴノレゴ
- キリ番ゲット!
あの頃のWebを。
静かだった図書館は、一夜にして「ドンチャン騒ぎのおもちゃ箱」になりました。マウスを動かせばキャラクターが追いかけてくる。クリックすれば爆発エフェクトが飛び散る。画面いっぱいに広がるオープニングムービー。ブラウザの中で、ゲームが動く。
もう「読む」だけじゃない。「遊ぶ」ことができる。
私たちは夢中になりました。学校から帰って、ご飯も食べずにパソコンの前へ。深夜まで、光る画面に没頭しました。
でも、この熱狂には大きな代償がありました。

当時のブラウザ(Internet Explorer 6など)は、まだ貧弱な「ママチャリ」のような性能でした。JavaScriptは遅く、CSSも限定的。そこにFlashというF1カーのエンジンを、ガムテープで無理やりくっつけて爆走していた。それが、この時代の正体です。
Flashサイトを開いた瞬間を、思い出してください。
「ブオオオオオオオオオオオ!!!!!!」
PCの冷却ファンが、まるで離陸するジェット機のような爆音を上げませんでしたか? CPU使用率100%。メモリがパンパン。パソコン本体が、触れないくらい熱くなる。
そして。
Internet Explorer は応答していません
プツン。強制終了。
開いていたタブ、全部消える。遊んでいたゲーム、セーブなし。書きかけのブログの下書きも、消える。
「……マジかよ」
絶望の中で再起動し、ブラウザを開くと、あの忌まわしきポップアップが現れます。
Adobe Flash Player 新しいバージョンが利用可能です [今すぐ更新][後で通知]
「またかよ!! さっき更新しただろ!!」
怒りながらもクリックして、更新して、再起動。そしてまた開く。また落ちる。また更新。無限ループです。
しかもFlashプラグインはセキュリティホールだらけで、ウイルス感染の温床でもありました。怪しいサイトを開いたら最後、PCがおかしくなる。
重い。落ちる。危険。
それでも、私たちはFlashを愛しました。そこには「未来」があったから。不完全で、危険で、でも最高に自由で、最高にワクワクする。Webの「青春」が、そこにあったからです。
第3章:断絶と絶望の時代(2010年〜2020年)

「神(ジョブズ)の審判=一つの文化の死」
2010年4月29日。世界が変わった日です。
Appleの創業者スティーブ・ジョブズが、一通の公開書簡を発表しました。タイトルは「Thoughts on Flash(Flashに思うこと)」。その内容は、冷徹で、論理的で、容赦のない宣告でした。
「iPhoneでは、Flashを動かしません」
理由は6つ。
- オープンではない(Adobeが独占している)
- 「完全なWeb」ではない(動画はH.264で十分)
- セキュリティとパフォーマンスが悪い
- バッテリーを消費しすぎる
- タッチ操作に向かない(マウスオーバー前提の設計)
- サードパーティのソフトウェアレイヤーは不要
すべて正論でした。誰も反論できない、完璧な理屈でした。
それでも、世界中のFlashクリエイターは絶望しました。当時のTwitter、掲示板、ブログは阿鼻叫喚です。
「Appleふざけんな!」「俺たちが作った作品は、iPhoneじゃ見られないのか?」「Webの半分が死ぬぞ!」「ジョブズは独裁者か!」
Adobeも必死に抵抗しました。モバイル向けに最適化したFlash Player 10.1をリリースし、バッテリー消費の改善をアピールします。それでも、世界はiPhoneを選びました。
iPhoneの爆発的な普及。スマートフォン時代の到来。Flashは、居場所を失っていきます。
2011年、Adobeはモバイル版Flashの開発断念を発表。2017年、Flash自体の開発終了を宣言。そして2020年12月31日、Flash Playerは完全にサポートを終了しました。
その日、一つの時代が終わりました。
「おもしろFlash倉庫」に並んでいた無数の作品。誰かが徹夜で作った脱出ゲーム。友達と笑い合った音MAD。すべて、再生できなくなりました。ブラウザで開いても、表示されるのは真っ白な画面だけ。
そこにあった「文化」が、消えたんです。
Flash職人という存在は、Webの表舞台から姿を消していきました。ある人はアプリ開発者に転身し、ある人はWebから去っていきました。Webは再び、大人しい場所に戻されます。リッチな演出は消え、シンプルで平坦なデザインへ。「ゲームや動画編集がしたい? Webじゃ無理だよ。アプリをダウンロードしてね」。アプリ全盛期の到来です。
少なくとも私たちの目に映るWebは、「カタログを見るだけの場所」に戻りました。
あの「ブオオオオ!」というファンの音も、あの「応答していません」の絶望も、あの「更新してください」のイライラも、すべて過去になりました。でも同時に、熱狂も、ワクワクも、自由も消えました。
私はAIからこの話を聞いたとき、胸が締め付けられました。そうか。Webって、一度死んだんだ。
ジョブズは正しかった。Flashは確かに問題だらけだった。でも、そこには「魂」があった。不完全で、危険で、でも誰もが夢中になった、あの時代。それが、一人の男の宣告をきっかけに、終わったんだ。
ワイ:「……結局、Webって『読むだけ』の場所に戻る運命だったんですね」 AI:「そう思われました。10年間、誰もがそう思っていました」 AI:「でも……」
第4章:復活と革命の時代(2020年代〜現在)

「ブラウザの逆襲=最強の鎧をまとった復活」
Flashの死から、約10年。水面下で、壮大な計画が進行していました。
かつてのライバルたち、Google(Chrome)、Apple(Safari)、Microsoft(Edge)、Mozilla(Firefox)が、そろって手を組んだのです。目的はただ一つ。「ブラウザでも、アプリと同じことをさせる」。
彼らは、Flashの失敗から学びました。プラグインではダメ。ブラウザの標準機能にしないといけない。重くてはダメ。ネイティブアプリ並みの速度が必要。危険ではダメ。プラグインに頼らず、安全に動かせる仕組みが要る。
そして2017年、彼らが共同で作り上げた「最終兵器」が、ついに主要ブラウザすべてで動くようになりました。
WebAssembly(WASM)。2019年には、HTML・CSS・JavaScriptに続く、ブラウザで動く「4番目の言語」として正式に認められます。
考えてみれば、Flashの正体は「ブラウザに、本来の力以上のことをやらせるための装置」でした。HTMLだけでは絵は動かない。ゲームも作れない。だからプラグインという外付け装置で、無理やり能力を拡張していた。
そしてWASMがやっていることも、実は同じです。ブラウザに、本来できないはずの重い処理を実行させる。
AIがこの話をしたとき、私は震えました。
「これって……Flashの生まれ変わりじゃないですか?」
AI:「半分イエスで、半分ノーです」 AI:「夢は同じなんです。ブラウザをアプリの実行環境にするという夢。ただし、作り方が真逆なんですよ」
WASMとFlashの決定的な違い
Flashは、「ママチャリにロケットエンジンをガムテープでくっつけた」ようなものでした。WASMは、「車体そのものをF1カーに改造した」ようなものです。
| Flash | WASM | |
|---|---|---|
| 実装方法 | プラグイン(外付け) | ブラウザ標準機能(内蔵) |
| 速度 | 遅い(CPUが悲鳴) | 爆速(ネイティブ並み) |
| セキュリティ | 脆弱(ウイルスの温床) | 堅牢(サンドボックス) |
| 対応言語 | ActionScriptのみ | C++, Rust, Goなど |
| バッテリー消費 | 大きくなりやすい | 効率化しやすい |
つまり、ジョブズがあの手紙で挙げた欠点を、ひとつずつ潰した形で帰ってきたんです。
WASMで何ができるのか?
「〜ができるらしい」という話ではありません。すでに動いています。
- Photoshop:Web版をブラウザで動かすうえで、WASMが重要な役割を果たしている
- Figma:世界中のデザイナーが使うツール。C++で書かれたエンジンをWASMでブラウザ実行
- AutoCAD:30年以上かけて育てられたC++資産を、AutoCAD Webとしてブラウザへ移植
- Unityの3Dゲーム:ダウンロード不要でブラウザで遊べる
これまで「アプリじゃないと無理」だったことが、ブラウザでできるようになりました。しかもインストール不要で、爆速で、安全。作り方次第では、私のツールのように「サーバーにデータを一切送らない」ものも作れます。
これが、30年の到達点です。
私は、AIに聞きました。
ワイ:「じゃあ……Flashは、無駄死にだったんですか?」 AI:「いいえ。Flashがいたから、WASMが生まれたんです」 AI:「Flashが示した『ブラウザで何でもできる未来』。その夢を、正しい形で実現したのがWASMです」 ワイ:「……おかえり。めちゃくちゃ賢くなって、帰ってきたな」
涙が出そうになりました。
Flashは死んだんじゃない。最強の鎧をまとって、蘇ったんだ。
あの爆音も、あの絶望も、もうない。でも、「ブラウザで何でもできる」というワクワクは、戻ってきた。
エピローグ:そして「巨人の肩」に乗る

私が今回作った「AVIF画像変換ツール」は、このWASMを使っています。
- サーバーにアップロードしない(プライバシー保護)
- ブラウザだけで爆速で動く(Flash時代の重さを解消)
- 安全(ブラウザ標準の仕組みで安全に動かしやすいので、ジョブズの懸念を解消)
正直、みんなのスマホやPC、スペック持て余してないですか? 今のiPhoneには、一昔前のスーパーコンピュータ並みの性能があります。でも、Webサイトを「見るだけ」じゃ、その性能は活かせない。WASMは、皆さんの手元にある「眠れるスーパーパワー」を叩き起こします。
同じ仕組みで、履歴書やマイナンバー用の証明写真をブラウザだけでリサイズできるツールも作りました。写真という、一番「どこにも送りたくない」データを、手元だけで処理できます。ほかのツールも一覧ページにまとめているので、よければ覗いてみてください。
非エンジニアの私が、なぜこんな最先端技術を使えたのか。AIのおかげです。一人で勉強していたら、HTMLのタグを覚えるので精一杯だったでしょう。「WASM」なんて言葉には、一生出会わなかったかもしれません。でも、AIと話しているうちに、いつの間にかWebの30年を追いかけていました。気づけば、その歴史の最前線に立っていました。
「巨人の肩に乗る」って、こういうことなんですね。
30年の歴史を経て、Webは進化しました。
- 1990年代:図書館(静かに読む場所)
- 2000年代:おもちゃ箱(遊ぶ場所)
- 2010年代:カタログ(見るだけの場所)
- 2020年代:スーパーコンピュータ(何でもできる場所)
その最先端技術を使った、自作ツール。背景を知ると、ただの変換ボタンも、ちょっと愛おしく見えてきませんか?
ちなみに、WASMの具体的なメリット(なぜ安全で無料なのか?)については、焼肉屋に例えて別の記事で詳しく解説しています。技術的な話をめちゃくちゃ噛み砕いているので、ぜひ読んでみてください。
最後まで読んでくださって、ありがとうございました。もしこの記事が「エモい」と思ったら、ぜひシェアしてください。Flash世代の友達に、「あの頃」を思い出してもらえたら嬉しいです。
そして、「自分も何か作ってみたい」と思ったあなた。今が、最高のタイミングです。AIという巨人の肩に乗れば、非エンジニアでも最先端に立てる。そんな時代が、もう来ています。
P.S. 「Adobe Flash Playerを更新してください」 あの通知を見るたびにイライラしていた、あの頃。今となっては、懐かしいですね。
参考URL
- Thoughts on Flash(Steve Jobs、Apple、2010年4月29日/Internet Archive保存版)
https://web.archive.org/web/20100501010616/http://www.apple.com/hotnews/thoughts-on-flash/(2026年7月6日アクセス) - Adobe Flash Playerサポート終了に関するお知らせ(Adobe) https://www.adobe.com/jp/products/flashplayer/end-of-life-alternative.html(2026年7月6日アクセス)
- W3C press release: WebAssembly becomes a W3C Recommendation(W3C、2019年12月5日) https://www.w3.org/press-releases/2019/wasm/(2026年7月6日アクセス)
- WebAssembly support now shipping in all major browsers(Mozilla、2017年11月) https://blog.mozilla.org/en/mozilla/webassembly-in-browsers/(2026年7月6日アクセス)
- Figma is powered by WebAssembly(Figma公式ブログ) https://www.figma.com/blog/webassembly-cut-figmas-load-time-by-3x/(2026年7月6日アクセス)
- Photoshop’s journey to the web(web.dev) https://web.dev/articles/ps-on-the-web(2026年7月6日アクセス)
- The future of AutoCAD(Through the Interface / Autodesk・Kean Walmsley、2018年3月) https://keanw.com/2018/03/the-future-of-autocad.html(2026年7月6日アクセス)


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