ネットで「軽自動車を買うやつは馬鹿」という意見を見て、車の安全性の最新評価(JNCAP)を調べてみたら衝撃の結果だった

雑記・エッセイ
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ネットでこんな意見を目にしました。

「軽四は頑丈ではないから、軽四を買うやつは馬鹿。車を買うなら普通車。」

言いたいことはわかります。物理法則として「重いほうが強い」、これは否定しようのない事実ですから。

でもそれを言い出したら、もう歩くことさえ自転車に乗ることさえできなくなりませんか?😱

ちょっとモヤッとしたのと、実際のところどうなんだろう?という「検証したい欲」が出てきたので、感情論抜きでガッツリ調べてみました。

結論として、調べたデータをまず簡潔に箇条書きしておきますと、

  • 公式統計には「軽自動車だから死亡率が高い」という明確なデータは見当たらない
  • 今の車の安全性は「サイズ」ではなく「偏差値(スコア)」で決まる
  • 最新の軽(サクラやN-BOX)は、国の評価で最高ランクの「ファイブスター賞」を取っている
  • その得点率は90%を超えており、普通車(クラウン等)と比べても遜色ないレベル

という感じです。

特に「軽は危ない」というイメージについてですが、最新のJNCAP(自動車アセスメント)のスコアを見ると、「むしろこの数値で『危険』と呼ぶなら、数年前の普通車はどうなるの?」というレベルの高性能ぶりでした。私にとってはここが一番の発見ポイントでした。

軽自動車に乗っていて肩身が狭い思いをしている方の参考になれば。

以下ではもう少し具体的に、調べた「公的データ」の中身を書いていきます。


検証1:ネットで見る「死亡率」の噂は本当か?

まず、ネットでよく出回っているこんな数字について調べてみました。

「事故全体の死亡率は、軽自動車が0.26%、普通自動車は0.22%であり、車両同士がぶつかる相互事故の場合、軽自動車0.22%、普通自動車0.19%です。全体と相互事故、ともに軽自動車のほうが死亡率は高いですが、それほど大きな差ではありません。」

これ、まことしやかに語られていますが、実はこれを証明する最新の公式情報が見当たりません。つまり、この数字はかなり古いデータか、出所が不明確な情報が独り歩きしている可能性があります。 「データがない=危険」ではなく、「そんな単純な比較は最新の統計ではされていない」というのがリアルなところです。(たぶん2015年のデータが参考にされているっぽいのですが、今やそのデータを見ることができませんでした。仮にデータが正しかったとしても、2015年ですからだいぶ古いデータです)

根拠のない数字で不安になるより、もっと確実な「国のお墨付きデータ」を見るほうが精神衛生上よさそうです。

今回、警察庁や国土交通省の最新統計(2023年・令和5年版など)をひっくり返して確認したのですが、車種ごとの「事故件数」はあっても、「事故1回あたりの死亡率(致死率)」を算出して比較しているデータは掲載されていませんでした 

具体的に数字を出しておくと、令和5年中の自家用普通乗用車の事故件数は129,328件、軽乗用車は79,639件です。「自動車乗車中」全体の致死率(死者数÷死傷者数×100)は、令和5年で0.39%と算出されています。これは普通車、軽自動車、貨物車など、すべての自動車を合算した数値であり、普通車と軽自動車を分けた死亡率のデータは示されていません。

高速道路における第1当事者別の事故件数も記載されていますが(普通乗用2,627件、軽乗用702件)、ここでも死亡率としての比較記述はありませんでした。

結論として、国が公開している資料からは各車種の事故発生「件数」は把握できますが、「普通車と軽自動車のどちらが死にやすいか(死亡率の違い)」という分析結果は見当たりません💡

検証2:最近の軽は「星5つ」らしい(JNCAPデータ)

ここが今回の調査のキモです。 日本の「独立行政法人自動車事故対策機構(NASVA)」という機関が実施しているJNCAPという評価テストがあります。

これは、実際に車をバリヤーに衝突させて、「乗員がどれだけ守られるか」を点数化したものです 

このテストで、すべての項目でAランクを取らないともらえない「ファイブスター賞(★★★★★)」という最高称号があるんですが…

最近の軽自動車、これを普通に獲得しています 

具体的な「得点率(100点満点中何点取れたか)」を見てみましょう。

  • トヨタ クラウン(クロスオーバー/スポーツ): 95%(さすがに高い!)
  • 日産 サクラ / 三菱 eKクロス EV: 91〜92%
  • ホンダ N-BOX: 91%

わかりますか? 「いつかはクラウン」と言われる高級車と、最新の軽自動車の安全スコアの差は、わずか数パーセントです。 JNCAPの資料でも、「車のサイズだけで判断せず、個別の試験結果を比較すべき」と推奨されています 。

たとえるなら、これは「車の偏差値」のようなものです 。 「大きい学校の生徒だから頭が良い」とは限らないように、「大きい車だから安全」とは限りません。小さくても偏差値70(ファイブスター)の車は、偏差値50の大きな車よりよほど優秀で安全なのです。

近年のファイブスター賞を取った車を並べておきます↓

✅ 2024年度 評価車種↓

【ファイブスター大賞】トヨタ クラウン(セダン)(得点率95%)

マツダ CX-80(得点率94%)

ホンダ シビック(得点率94%)

ホンダ WR-V(得点率90%)

✅2023年度 評価車種↓

【ファイブスター大賞】スバル クロストレック/インプレッサ(得点率98%)

トヨタ クラウン クロスオーバー/スポーツ(得点率95%)

マツダ CX-60(得点率94%)

ホンダ ZR-V(得点率94%)

レクサス RX(得点率93%)

日産 セレナ(得点率93%)

レクサス NX(得点率93%)

レクサス LBX(得点率92%)

トヨタ アルファード/ヴェルファイア(得点率92%)

日産 エクストレイル(得点率91%)

トヨタ プリウス(得点率91%)

ホンダ N-BOX/N-BOX カスタム(軽自動車)(得点率91%)

スズキ スイフト(得点率90%)

✅2022年度 評価車種↓

スバル ソルテラ/トヨタ bZ4X(得点率93%)

トヨタ ヴォクシー/ノア(得点率93%)

トヨタ シエンタ(得点率93%)

日産 サクラ(軽自動車)(得点率92%)

ホンダ ステップ ワゴン(得点率92%)

三菱 eKクロス EV(軽自動車)(得点率91%)

トヨタ カローラ クロス(得点率90%)

マツダ CX-60(得点率94%) ※2022年度評価時

検証3:それでも「馬鹿」と言う人へ(経済性の話)

安全性が十分なら、あとはコストです。

計算してみると、やっぱりか、という感じでした。

「排気量1.5リットル(1500cc)クラスの小型普通乗用車」と「軽自動車」を10年乗った場合の差額を、結構シビアに計算しました。

昔と違って「自賠責保険」の差はほぼ無くなっているので、そこは除外して「確実に差が出る部分」だけを積み上げてみます。

① 維持費の差(10年間)

  1. 自動車税(毎年):
    • 普通車(1.5L):30,500円
    • 軽自動車:10,800円
    • 10年差額:197,000円(確定)
  2. 重量税(車検ごと):
    • 普通車:24,600円
    • 軽自動車:6,600円
    • 10年差額:約 90,000円
  3. タイヤ代・オイル等(3回交換想定):
    • 普通車はタイヤがデカイので高いです。
    • 10年差額:約 100,000円
  4. 高速道路料金:
    • 軽なら普通車の2割引です。
    • 10年差額:約 30,000〜50,000円

ここまでの「維持費」だけで、まず 約40〜45万円 浮きます。

② 資産価値の差(ここが重要)

「でも最近の軽は、車両本体が200万くらいして高いじゃん! 普通車と変わらないよ」という声が聞こえてきそうですが、見るべきは「買った値段」ではなく「売る時の値段(リセールバリュー)」です。

同じ200万円で新車を買って、5〜7年後に売るとどうなるか?

  • 不人気なコンパクトカー: 値落ちが激しく、二束三文になりがち。
  • 人気な軽(N-BOXやジムニー): 驚くほど高値がつきます。

車種にもよりますが、この「売却益の差」だけで 50万円以上の差 がつくことも珍しくありません。

【結論】 「維持費の差(45万)」+「売却益の差(50万)」= トータルで約100万円


想定されるツッコミ(反論)と、それへの回答

ここまで書いても、「いや、でもさ…」という意見はあると思います。

私がもしアンチ軽自動車派ならこう言うな、という反論と、それに対する再反論をまとめておきます。

反論1:「でも、大型トラックと正面衝突したら死ぬでしょ?」

回答: はい、死にます。でもそれは普通車も同じです。 物理的な質量差が10トン以上ある相手に対し、軽(1トン)だろうが普通車(1.5トン)だろうが、ぺしゃんこになる結末は変わりません。 「トラックに勝つ」ことを目的にするなら、ハマーか装甲車に乗るしかありません。JNCAPの評価は「現実的な事故」での生存率を示しています。

反論2:「軽はボンネットが短いから、クラッシャブルゾーン(潰れる場所)がないじゃん」

回答: これ、実は「あえて潰している」んです。 JNCAPの評価基準にもある通り、今の車は「衝撃吸収構造」が進化しています 。 前の部分(エンジンルーム)をグシャッと潰すことで衝撃を吸収し、人が乗っている箱(キャビン)だけは絶対に変形させない、という構造になっています。 「硬くて潰れない車」が良い車だったのは、昭和の話です。

反論3:「遠出する時、疲れるし煽られるでしょ?」

回答: これは半分正解で、半分古いです。 今は軽にも「ACC(全車速追従機能付クルーズコントロール)」などの予防安全技術が評価対象となり、搭載が進んでいます 。 高速道路で勝手に前の車についていってくれるので、疲れ知らずです。 煽り運転に関しても、今はドラレコ標準装備が当たり前ですし、あえてナンバーの黄色枠を消している軽も増えているので、車種による差は減ってきています。


まとめ

「軽を買うやつは馬鹿」という意見。

これ、データを並べてみると「アップデートされていない古い常識」である可能性が高いです。現在の軽自動車は進化しています!(まぁお値段も高くなっていますが😅)

もし「安全性や世間体が気になって…」と悩んでいる人がいたら、

  • 噂レベルの死亡率データより、国が認めた「ファイブスター(星5つ)」を信じる
  • 浮いたお金で家族と旅行に行ったり、美味しいものを食べたほうが幸せ

と、自信を持ってしまって良いと思います。

以上、軽自動車の安全性に関する調査ログでした。

普通車もいいし、軽自動車もいいよ。
軽自動車を選ぶ人、全然バカじゃないよ!

参考までに。それでは!

参考にしたサイト↓

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