待望のThe Last of Us Part2が発売されました。予約していたので発売日にゲット。ワクワクしながら早速プレイしてみました。
どこかのネット記事で読んだ記憶によると、今回のテーマは「復讐」。一体何にエリーは復讐を決意するのだろうと思ってゲームを進めてみると、2時間ちょっとで復讐の理由がわかりました。以下ネタバレです。(難易度ノーマルで30時間弱でクリアしました)
1 The Last of Us Part2の感想 ネタバレあり
ちなみに、
- 純文学のような深さが苦手な人は合わない
- ホラー・アクションが苦手な人は合わない
- 前作のようなジョエルとエリーの関係を求めている人には合わない
といったゲームかと思います。
1.1 ジョエルは開始2時間くらいで撲殺される
なんとジョエルは開始2時間くらいで殺されてしまいます。アビーと呼ばれる女性をリーダーにしているチームにジョエルは捕まり、理由は分からないまま、ジョエルはアビーにショットガンで足を撃ち抜かれて動けなくされ、苦しめるようにゴルフクラブで痛ぶられます。そして最後はエリーの目の前でジョエルを撲殺されます。
アビーの仲間はエリーも殺そうとしますが、「関係ない子まで殺したらあいつ(ジョエル)と同じになる」と仲間の一人が言い、エリーは殺されずに済みます。ここからエリーの復讐が始まるのでした。(ジョエルとエリーの旅を想像していた人は残念っす)
1.2 アビーに復讐するためにエリーはシアトルへ
敵の仲間の服装から、シアトルを拠点にしている『ウルフ』という組織にアビーは属しているのではないかと推測します。エリーは「全員ぶっ殺してやる」と復讐を決意し、ウルフの拠点であるシアトルに旅立つのでした。
1.3 アビーもジョエルに復讐しただけ
復讐に囚われるエリー。敵を殺しまくります。しかし徐々に復讐の恐ろしさに気がつき始めます。「自分が殺している人にも大切な人がいたのだと」。エリーにとってジョエルは大切な人間でした。だけれども誰にでもそのような関係はあります。自分の大切な人が殺されたら、誰もが復讐心を燃やします。だったら、アビーもそうだったのではないかと。
1.4 アビーの父親はジョエルに殺害されていた
中盤からはエリーではなくアビーの物語が始まります。(アビー編は長いため、エリー大好き人間はここが辛いようです)
そこで、アビーがジョエルを殺害した理由が明らかにされます。なんとアビーの父親は、ジョエルに殺されていたのです。アビーのジョエル殺害の動機は、いまのエリーと同様で復讐でした。
父親が殺された場所は、前作の終章。そう、病院です。アビーの父親はファイアフライの一員で、ウィルスのワクチン開発を目指していた医者でした。彼は手術現場にいたエリーの執刀医だったのです。前作をプレイした方なら悩まれたはずです。「え?お医者さんまで殺しちゃうの?これいいの?」と感じたはずです。この作品のテーマ『復讐』は、アビーのものでもあったのです。
1.5 エリーの手術を決めた時から復讐の連鎖が始まる
アビーの父親は「世界を救うために少女の命を犠牲にするか?」で悩みます。彼は決断します。「世界のために手術をする」と。そのときファイアフライのボスのマーリーンには「自分の娘、アビーでもそうするのか?」と問い詰められますが、彼の決意は揺るぎません。またアビーも父親に言います。「パパは間違ってないよ。私がそうでも、パパに手術してほしい」と。
世界を救うために行動していた父親を、ジョエルに殺されたアビー。ここからアビーの復讐劇が始まり、作品の序盤へと繋がるのでした。
1.6 ジョエルの気持ちを理解していくアビー
復讐を成し遂げたアビーに、心境の変化が起こる事件があります。アビーが属する集団ウルフは、セラファイトと呼ばれる宗教組織と戦っていました。あるとき、アビーはセラファイトに捕まります。そこで処刑される寸前に、セラファイトの子ども戦士、ヤーラとレブに助けられます。この子どもたちも、セラファイトの掟を破り処刑されそうだったのです。
アビーは、ヤーラとレブと協力してセラファイトの拠点から抜け出します。その過程でヤーラは腕を複雑骨折してしまい、腕を切断しなければ腕の壊死が進行して死に至るほどの重傷を負ってしまいます。かといって手術道具がなく腕を切断するほどの手術はできません。ヤーラを助けるため、アビーは自分が属する組織ウルフの基地から手術道具を持ってくることを決断します。敵対する組織の人間であれ、子どものために行動することにしたのです。もちろんこんなことは、ウルフ的には許せません。
仲間を騙し、命をかけながら感染者と戦い、アビーは手術道具を入手しました。無事に手術は成功し、ヤーラの命は助かりました。レブの喜ぶ顔もアビーの心を潤わせます。
その晩、アビーは夢を見ます。幾度となく見る、父親がいる手術室に向かう夢です。いつもの夢は、手術室に着くと父親は血を流して倒れています。しかし、今回の夢は違いました。父親は生きているのです。なぜこんな夢を見たかというと、敵対する組織の子どもといえど、子どもの命を助ける行動をしたからでしょう。それで夢に変化が生じました。
アビーは気がつきます。子どもの命の大切さを。あのとき父親を止めておけば、エリーという子どもの命を優先して手術をやめておけば、ジョエルが父親を殺すことはなかったのだと。ジョエルも、子どもの命を助けるために行動した大人の一人だったのです。
今回、アビーは自分の命をかけてまで、敵対するセラファイトの子どもを助けようとしました。そこでジョエルの気持ちが理解できるようになりました。子どもの命をなによりも優先しようとしたのは、ジョエルもそうだし自分(アビー)もそうだったのです。
1.7 復讐は連鎖することを理解する二人
ストーリーの前半では、エリーの視点を通して、エリーが徐々にアビーの気持ちを理解していくことが描写されます。大切な人を奪われたら、誰しもが復讐するのだと。それは自分だけではないと。そして復讐は連鎖して、終わりがなくなることを。
後半ではアビーの視点を通して、アビーが徐々にジョエルの気持ちを理解していくことが描写されます。子どもの命を守ことは、なにより重いということを。世界よりエリーの命を優先しておけば、父親が殺されることも、自分が復讐に取り憑かれることも、自分の仲間がエリーに報復されることもありませんでした。
復讐は復讐を生み、自分だけでなく他の人まで巻き込んでいくことを二人は悟っていきます。
1.8 そしてエンディング
物語もクライマックスに向かい、矛盾した気持ちを抱えたままエリーとアビーは相見えます。お互いに憎しみあっています。しかしお互いが理解者になっているのです。
結果、アビーはエリーを殺せませんでした。エリーは自分と同じように復讐に取り憑かれていることが分かったからです。またエリーに仲間がいて、大切な人がいることを理解したからです。
そしてエリーもアビーを殺せませんでした。アビーも大切な人を失って復讐していただけだと分かったからです。そして、エリーにとってジョエルが大切な人であるのと同様に、いまやセラファイトの子どもにとってアビーが大切な人になっており、大人と子どもの組み合わせは、かつてのジョエルと自分(エリー)の姿を思い出させるからです。
おわりに
復讐に燃えたエリーとアビー。彼女らが手にしたものはなんだったのでしょうか。たぶんありません。失ったものの方が多すぎます。だからこのゲームを終えた今、虚しくなっているのだと思います。
2020年になってPS4を購入した理由は、FF7リメイクとThe Last of Us Part2のためでした。どちらもおもしろく、この2つのソフトのためだけにPS4を購入してよかったと思えています。だけれどもいま、とっても虚しいです。待ちわびていたゲームをやり終えたはずなのに、満足感はまったくありません。でも、やってよかったと思える作品です。この気持ちは、人間の内面をえぐってくる純文学に触れたときに近いです。読んだ後に虚無感が残りますが、読んでよかったと思えるような感覚。The Last of Us Part2とはそういうゲームなのです。前作より、さらになんとも言えない感覚がクリア後に広がります。参考までに。それでは!
*追記
Amazonレビューは低評価がめっちゃついてます。
気持ちは分からんでもないですね。前作が大好きな人ほど、エリーとジョエルに思い入れがある人ほど、低評価をつけそうな気がします。
まぁ個人的には、前作のジョエルの暴力性はひくものがありましたから、The Last of Us Part2の流れになるのも必然に近いものを感じるため、この内容でも受け入れられました。
*追記(2020/06/23)
こんな記事を書きました↓
コメント