才能ある人と犯罪者に共通するものがあります。これは女性ではなく男性の話です。
共通するものがなにかというと、
- 才能を発揮する時期
- 犯罪をする時期
です。
犯罪と才能と年齢の関係
時代、社会、階層、人種、性別に関係なく、犯罪やそれに準ずる危険な行動に走るパターンは決まっています。
- 思春期の前半に上昇しはじめ
- 思春期の後半から成人初期にかけてピークに達し
- 20代から30代にかけて急減し
- 中年で一定になる
このパターンは、犯罪学者の間で広く受け入れられています。
で、このパターンにあてはまるのは犯罪だけではありません。才能にもあてはまるのです。
- 男性のジャズミュージシャン
- 男性の画家
- 男性の作家
- 男性の科学者
の生産性(才能の発揮)と年齢の関係は、犯罪と同じパターンを示します。(女性の場合はそこまで同じパターンではない)
なぜ犯罪と才能に同じパターンが見られるのか?それは、進化心理学的に言えば『繁殖のため』です。異性を獲得するために、犯罪やら才能を発揮しているというわけですね。今の社会からすると「暴力を振るうことは悪いことだ」となっていますが、昔であればそれが強いオスとしての象徴でした。
暴力や犯罪に長けている男性↓
- 暴力を振るえば、ライバルを押しのけてパートナーを得られる
- 盗みを働けば、資源が蓄積されてパートナーから選ばれやすくなる
- 女性に見向きもされなければ、力づくのレイプをする
暴力や犯罪に向かない男性↓
- 創造的な活動を通じて女性を惹きつけようとする
自分の持っている能力を駆使して、子孫を残そうとするのが生物なのですね。ではなぜ、それらが発揮されるのが思春期以降かというと、思春期以前では競争に勝っても繁殖上のメリットはないからです。
しかし思春期に入れば、競争することのメリットは増大します。だから男性は、暴力であれ犯罪であれ才能の発揮であれ、思春期以降に発揮する確率が高くなるわけです。
オスが競争を終えるころ
オスが競争を終えるのは、『子孫ができた時』です。
競争し続けるにはコストがかかります。負傷するコスト、死ぬコスト、相手からの報復を受けるコストなどなどです。しかしこれらのコストは、子孫を残す前であればコストになりません。なぜなら競争せずに子孫を残せなければ、自動的に繁殖ゲームの敗者になるからです。オスの競争においてゲームを降りることは、すなわち敗北なので競争に参加せざるを得ないのですね。
しかし、繁殖に成功し子孫を残せたのであれば、競争するコストは大きくなります。競争し続ければさらに多くの子孫を残せるかもしれませんが、負傷や死というコストがついてきます。そのため、競争に向けるエネルギーと資源を、生まれた子供に費やすほうが得策というわけです。
結婚が科学者の生産性に与えるもの
結婚した科学者と独身を貫いた科学者の生産性を比較すると、結婚が生産性を低下させることがはっきりとわかっています。
- 独身の科学者の50%は、50代後半でも20代後半と同様に精力的に論文を発表している
- 既婚の男性科学者では、この割合は4.2%しかない
「独身の科学者は子どもの世話などしなくていいので、研究に没頭できる時間が多いからじゃないの?」と思われるかもしれません。たしかに現代で調べるとそうなるかもしれません。しかしいまあげたデータは、18、19世期のデータであって、この時代は男性が家族サービスをすることはほとんどなかった時代です。科学者の妻たちは専業主婦でした。つまり既婚の男性科学者の方が、家事などをすべて妻に任せられるので、むしろ研究に没頭できたはずなのです。
極端に言ってしまえば、結婚して子供ができると生物としての一番大きな役目は終えちゃうわけで、研究で競争するという手段がどうでもよくなってしまうのですね。こういうのがデータに出ているとなると、「人って動物なんやねぇ」と思わされますー。
*参考
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