国民皆保険とか国民年金の制度って1961年に作られた制度です。
簡単に言ってしまえば、“時代遅れすぎて、今の時代には適してない制度”になります(´・ω・)
これを変えていけば、もっと生きやすい世の中になると議論されていたりします。
今回の記事では社会保険の適用拡大について、私が調べた限りのことを書いていきます。
国民年金と厚生年金の仕組みについておさらい
まずは年金の仕組みについておさらいします。
日本の年金には大きく分けて2つの種類があります。
- 国民年金(基礎年金とも言います。)
- 厚生年金と共済年金
国民年金とは?
国民年金は20歳以上60歳未満の全ての人が加入することになっています(免除制度あり)。
月々納付する額は平成28年度時点で16,260円ですが、少子高齢化の中、納付額は上昇中です(´・ω・)
じゃあいつから国民年金はもらえるの?って話ですが、支給開始年齢は65歳からになります。
納付した期間に応じて支給額は変化し、20歳から60歳までの40年間全て納付していれば、平成28年度時点で月に65,000円を受給することができます。
国民年金は主に、“自営業者”、昔で言えば商店街で働く人のためのものです。(八百屋や魚屋さんのおじさん、おばさんをイメージするとわかりやすいかもです。)
国民年金の猶予期間
学生や失業などの所得が低い間は納付の猶予期間が与えられたり、免除されたりする制度があります。
国民年金の種別
国民年金には3つの種別があります。(ここが分かりづらいのです)
- 第1号被保険者(自営業者・学生・無職など)
- 第2号被保険者(会社員、公務員)
- 第3号被保険者(第2号保険者の被扶養配偶者)
3がイメージしにくいと思いますが、専業主婦などが当てはまります。
国民年金は半分は国が負担してくれている
財源として税金が投入されており、国が半分負担してくれています。
だから年金はきちんと払ったほうがお得なのです。
逆に言えば、国のことを考えるのであれば、年金は払わない方がいいのかもしれません笑
だって、国が半分も税金を投入して払ってくれているのですから。
厚生年金と共済年金とは?
国民年金は国民全員が払うものですが、厚生年金は会社などで働いている人が納める年金になります(自営業の人は国民年金のみ)。
国民年金は定額の納付ですが、厚生年金や共済年金は給料が多い人ほど納付も多くなります。
もちろん支給額も納付額によって変化します。
- 会社員が加入する「厚生年金」
- 国家公務員が加入する「国家公務員共済年金」
- 地方公務員が加入する「地方公務員共済年金」
- 私立学校の教職員が加入する「私立学校教職員共済年金」
の4つに分かれています。
ちなみに国民年金より、厚生年金の方が年金額が手厚いです。
その理由は、この制度を作った当時は、雇われている人はクビになったり仕事をやめたりすると、他に食べて行く方法が見つかりにくいと考えられていたからです。
また厚生年金の保険料(基礎年金を含む)は、“労使折半”といって、企業が半分を負担してくれています。
厚生年金は自動で国民年金も払っている
会社員の方であれば厚生年金、公務員の人であれば共済年金は給与明細から天引きされているけど、「国民年金は天引きされてないよ?」と不安に感じているかもしれませんね。
厚生年金や共済年金に加入されているならば、天引きされている保険料の中に国民年金が含まれています。
つまり、厚生年金や共済年金の加入者は国民年金(第2号被保険者)に自動的に加入しているのですね。
一元化した厚生年金と共済年金
もともと厚生年金と共済年金は分かれていましたが、平成27年度10月から、『厚生年金』に一元化されました。
厚生年金に一元化されることに伴い国民年金のように種別が生まれました。
- 第1号被保険者(会社員)
- 第2号被保険者(国家公務員)
- 第3号被保険者(地方公務員)
- 第4号被保険者(私立学校の教職員)
なんで一元化されたの?
なぜ厚生年金と共済年金を一元化する必要があったと思いますか?
それは、共済年金が厚生年金に比べてメリットがあったからです。
複雑なのでその道の人に聞いてもらいたいのですが、簡単に言えば少ない掛け金でたくさん年金がもらえてたんですね。
普通に考えたら、給料が全く一緒で、同じ期間だけ納付していたら、厚生年金も共済年金も年金の受給額が一緒なはずですが・・・共済年金の方が良かったのです(´・ω・)
その不公平を小さくするために一元化されたとのことです(`・ω・´)”
ということで、国民年金と厚生年金のおさらいは終了です!
厚生年金の枠を拡大するべき?
厚生年金は被用者、つまりは会社などに雇われている人の年金でした。
しかし、ここに問題が発生しています。
当時はパートやアルバイトなどの職業がなかったので、これについて考えられていなかったんですね。
原則として1週間以内に30時間以上働かないパートやアルバイトは、厚生年金ではなく国民年金(基礎年金)側に追いやられています。
でもね、ここで考えないといけないことは、政府や社会の役割って“弱者を保護”するものってことです。
正社員に比べてパートやアルバイトは、より保護すべき対象の社会的弱者なのです。
それなのに年金が手厚い厚生年金ではなくて、国民年金側なのです(´・ω・)
これって、制度の理念的に間違ってないですか?
厚生年金を拡大するメリット
雇われている人たちが、全員年金額が手厚い厚生年金を受け取れるとしたら、たとえ解雇されてもパートやアルバイトで働き続ける限り、厚生年金から国民年金に移行せずにOKになります。
それだと心に安心感が生まれますよね。
「クビになったら厚生年金を受け取れなくなる((((;゜Д゜)))」
と、不安になることもありません。
また厚生労働省の試算によると、1ヶ月に5.8万円以上の給与をもらっている人すべてを厚生年金に移すと、1200万人が国民年金から厚生年金に移ることになります。
そうなると、たくさんの人が保険料を納めることになるので、年金財政も安定するということが明らかになっています。
猛反発する中小企業・零細企業
でも厚生年金拡大がされるとなると、猛反発するのが利益が少なめの中小企業・零細企業になります。
先ほども書きましたが、厚生年金の保険料の半分は労使折半といって、企業が払ってくれています。
社員の厚生年金保険料(社会保険料)を払いたくない企業は、パートやアルバイトを雇っているのです。
逆に言えば、制度的に企業が“パートやアルバイトを雇いたくなる”ようなインセンティブが働いているとも言えます。
でもこんなこと言ってみれば、“アルバイトやパートの労働力の使い捨て”です(´・ω・)
しっかりと働いている大切な社員なのですから、そこはきちんとと払ってもらいたいものです。
ドイツのシュレーダー元首相がやった改革
ドイツってなんかすごいイメージないですか?
EUを引っ張ってる的なイメージありません?
実際そうで、ドイツは経済的にいい国なのです。
でも20数年前は“欧州の病人”と呼ばれていました・・・。
そんなドイツを強いドイツに変える基盤を作ったのが、1998年〜2005年まで首相を務めたシュレーダーさんです。
シュレーダーさんは言葉通り痛みを伴う改革を行い、2005年の選挙で敗れました。(メルケルさんが首相になりました)
政権を失うまでに、シュレーダーさんはアジェンダと呼ばれた一連の改革をすべて実行しました。
シュレーダー政権が行った『働き方改革』があったおかげで、今の強いドイツがあるのです!
んで、シュレーダーさんの信念たるものが、
「社会保険料を支払えない企業が生き残るようなビジネスモデルは作ってはダメ!」
というものでした。
つまりは「人を大切にしろ」ということですね。
人を雇用するということは、その人の人生に責任も持つということで「ちゃんと社会保険料を払いなさい!え?社会保険料を払えない?そんな企業ななくていいよ。」と、痛みを伴う改革を行なったのです。
シュレーダーさんのような強いリーダーが日本にも求められています。
今の崩壊寸前の社会保障関係を現代にあった新しい制度に作り直すには、“痛みを伴う改革”が必要になりますから。
拡大しないと生活保護大量発生コース
厚生年金を拡大していかないと将来どんなことが起こるかというと、生活保護受給者が大量発生します。
つまりは財政圧迫というやつです。
というのも、パートやアルバイトの非正規雇用者が定年を迎えると、年金がもらえないわけですから、そのまま生活保護に流れ込んでいきます。
だから社会保険料を払えないゾンビ企業を残しておくのは・・・どうかなぁと思うわけです。
個人的には「そんな企業必要ない!」とは言えません。
だって、かわいそうじゃないですか。
でも、国の将来を考えると、企業の新陳代謝は必要なのかなと思います。
ただ、ゾンビ企業が生き残るにはからくりがあって、
- 赤字企業が政治家に泣きつく
- 補助金をもらう
- 見返りに選挙ポスターを貼るなど、選挙の応援をする
- 赤字企業が永遠に生き残り、ゾンビ企業へとなる
みたいなサイクルがあるんですね(´・ω・)
国のいく末を決断する人であるならば、個人的な感情に流されず、大局を見なければならないんですけどね。
まとめ
この記事では『厚生年金の拡大のメリット』について書いてきました。
厚生年金の適用を拡大していかないと、後々に財政を圧迫する大変なことが起こると予想されます。
だから今のうちに手を打っておかないとダメなんですよね・・・。
今や非正規雇用者が労働者の半分を占める世の中です。
その半分くらいが定年後に生活保護に流れ込むとしたら・・・マジでやばいんです(´・ω・)
これを解決するためには、
- そもそも年金とは?を再定義
- 労働市場の流動化
- 年金制度の改革
- 医療費の抑制
などなど、が必要になります。
どれも簡単ではありません。
でも、簡単ではないからと言って考えないのはダメですよね?
んで・・・こういう話をするとやっぱり選挙に行き着いちゃうわけなんですよね。
私たち一般人ができることは、改革を目指そうとする政治家を、一人でも多く政界に送り込むことです。
ということで、選挙に興味を持つしかないんですね。
そもそも論として、今は若者の投票が低いので、若者向けの政策を掲げても票に繋がりません。
そのため必然的に高齢者向けの政策を掲げる政治家ばかりになります。
だから私たちがまずするべきことは、若者の投票率を上げて、「若者は投票に行ってるぞ!俺たちの票を取りたいなら、若者向けの政策を掲げる政治家カモーン」という土台を作るのがベターなのだと思います。
今回の記事も最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
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